スタートアップは世界中で多額の資金を調達しています。2023 年はスタートアップにとって最大の資金源であるベンチャーキャピタルによる投資が減少しました。それでも、2023 年第 2 四半期には、全世界で約 605 億ドルの資金調達が行われました。
スタートアップがこの資金をどのように使用するかを理解するには、スタートアップのライフサイクルを詳しく知っておく必要があります。アイデアと構想を試すアーリーステージから、飛躍的な成長と高収益を実現するレイターステージまで、スタートアップが辿る各ステージでは、さまざまな投資家からさまざまな金額の資金調達が行われます。
業種が違っても、同じステージのスタートアップには共通点があります。一方で、あるステージから次のステージに移るタイムラインは、スタートアップごとに異なります。ある企業は 5 年でプレシードステージから IPO (新規株式公開) まで到達するかもしれません。また別の企業は、シリーズ A からシリーズ B の資金調達ラウンドまで 5 年かかるかもしれません。
しかし、どちら一方が他方よりも長期的な成功を得られるというわけではありません。スタートアップが成長のステージをうまく進んでいくには、他の企業を過度に参考にするのではなく、自社の事業に合った成功要因をリアルタイムで分析することです。
ここでは、スタートアップの資金調達の各ステージの説明と、ステージごとの優先事項、目標について取り上げます。
この記事の内容
- スタートアップの資金調達のステージとは
- プレシードステージ
- シードステージ
- アーリーステージ (シリーズ A と B)
- レイターステージ (シリーズ C)
- イグジットステージ
- プレシードステージ
スタートアップの資金調達のステージとは
スタートアップのライフサイクルには異なるステージがあり、さまざまな形で分類できます。アーリーステージ、グロースステージ、レイターステージという大まかな 3 つのステージで語られることがあり、どのスタートアップもいずれかのカテゴリーに分類できます。しかし一般的には、さらに細かい 5 つのステージから成るフレームワークで定義されます。このフレームワークでは、多くのスタートアップが経験する段階的な資金調達ステージに重点が置かれています。
各ステージのタイムラインはスタートアップによって異なります。あるステージに何年も費やす場合もあれば、同じステージを数カ月で終了する場合もあります。また、特定のステージを完全にスキップするスタートアップもあります。
各ステージのスタートアップには共通する特徴があるため、このフレームワークは、特定のスタートアップについて短時間で概要を理解するのに役立ちます。ここでは、スタートアップが各ステージで重きを置いている内容、そして資金調達の方法を見ていきましょう。
プレシードステージ
ステージの概要: プレシードステージは、スタートアップにおける成長の最初の段階です。このステージでは、創業者は、新規事業を立ち上げるそもそもの理由を定義します。ビジネス内容や解決しようとする問題を明確にします。また、市場における差別化要因を定義し、ビジョンを実現するための計画を立案します。
プレシードステージでは、以下のような質問が重要となります。
- どのような問題を解決したいのか?
- どのようなソリューションを提供するのか?
- この問題に関連してどのような市場機会が存在するか?
- どのような顧客がこの問題を経験しているか?
- 現在、他に誰がソリューションを提供しているか?
- 自分たちの新しいソリューションは、既存のソリューションとどのように違い、どのように優れているか?
- ソリューションのうち、実用最小限のプロダクト (MVP) はどのようなものか?
- MVP を市場に投入するためにどのようなリソースが必要か?
プレシードステージの資金調達方法: 個人融資、家族、友人、アクセラレーター、クラウドファンディング、プレシードファンド、エンジェル投資家
シードステージ
ステージの概要: シードステージでは、プレシードステージで創業者が描いたビジョンを検証します。チームは、核となるビジネスアイデアを試し、各段階で学び、アプローチを洗練させていきます。ほとんどの企業は、この段階ではわずかな収入しか得られません。ビジネスの方向性を探りながらゆっくりと成長することが目標となります。
ほとんどのスタートアップは、シードステージではプロダクトマーケットフィットに焦点を当てます。プロダクトマーケットフィットとは、プロダクトが特定の顧客のニーズを満たしていることを意味します。つまりこれは、「提供しようとしているプロダクトは、市場における独自のポジションに完全に適合しているか?」という質問に対する答えです。
プロダクトマーケットフィットは、特定のビジネスに適用するには複雑な概念です。プロダクトマーケットフィットがシードステージの中心的な活動となっているのはそのためでもあります。通常、スタートアップは、シードステージの資金調達を利用してプロダクトマーケットフィットを証明します。その後、証明された内容に基づき、アーリーステージのシリーズ A ラウンドで追加資金を調達します。しかし、スタートアップがプロダクトマーケットフィットの達成に向けて正しい方向に進んでいるかどうかを評価する前に、プロダクトマーケットフィットを定義し、その達成状況を正確に測定するパフォーマンス指標を決定します。シードステージが終わる頃には、スタートアップは、行うべきこと、その方法、成功の測定方法について、確固たる考えを持っている必要があります。
シードステージのスタートアップの資金調達方法: シードファンド、シンジケート、エンジェル投資家、ベンチャーキャピタル (VC)
アーリーステージ (シリーズ A と B)
ステージの概要: シードステージでは、特定の市場で特定の問題を解決するためのアプローチを模索し、検証することが主な目的でした。一方、アーリーステージでは、スタートアップは市場参入 (GTM) 戦略を実行に移し、より本格的な商業活動を開始し、収益を拡大していきます。
通常、このステージでは、ビジネスニーズやビジネスチャンスのある分野を深く理解し、より多くの従業員を雇用します。シードステージの事業を本格化し、規模拡大の準備をすることが目標です。
アーリーステージの資金調達方法: アーリーステージの資金調達ラウンドにはシリーズ A とシリーズ B があります。通常、これらは VC やコーポレート VC が主導します。
レイターステージ (シリーズ C)
ステージの概要: レイターステージでは、スタートアップはすでに数年間事業を展開しており、その市場領域で確立されたプレーヤーとなり、かなりの収益を上げている状態です。そのようなスタートアップは、「成長」と「イグジット戦略」という、重複する部分を持つ 2 つの分野に焦点を当てます。レイターステージのスタートアップは、イグジットに向けて持続的に評価を上げるためにあらゆることをします。この時期に、スタートアップは次のような成長手法の一部またはすべてを模索する場合があります。
- 提供する商品やサービスを多様化する
- 主要市場に隣接する新たな市場セグメントに参入する
- 他の企業を買収する。多くの場合、買収対象となるのは、自社のプロダクトに新たな側面を追加するような、専門的なプロダクトを提供している小規模な競合企業やニッチなスタートアップ
レイターステージの資金調達方法: レイターステージの資金調達ラウンドには、シリーズ C とそれに続くシリーズがあります。通常、VC、プライベートエクイティ企業、グロースファーム、コーポレート VC、ファミリーオフィス、政府系ファンドなどが投資します。
イグジットステージ
ステージの概要: スタートアップには、買収と IPO という 2 つの有利なイグジット方法があります。
買収
買収とは、ある会社が他の会社を買い取ることです。その場合、買収された会社は、資産や知的財産とともに、法的に、買収した会社の一部となります。IPO
IPO とは、スタートアップが「株式を公開」することです。スタートアップは非上場企業ですが、IPO 後は上場企業となり、誰でもそのスタートアップの株を購入できるようになります。
買収の場合も IPO の場合も、スタートアップの評価次第でその条件が決まります。買収の際は、評価によって売却価格が決定します。スタートアップの株式公開では、IPO の際の評価で 1 株当たりの株価が決まります。
評価は収益と成長に基づいて行われますが、すべてのスタートアップを普遍的に評価できる公式はありません。スタートアップの評価額を計算する方法は多様であり、交渉プロセスにおいては適切な方法に合意することが重要です。
イグジットの資金調達方法: 通常、買収では、現金と株式を組み合わせて支払いが行われます。IPO では、スタートアップは非公開の状態から、一般の人が株式を購入できる状態になります。IPO には、証券取引所に上場する直前に、1 つまたは複数の銀行が出資して株式を購入する「資金調達型」のものもあります。
Stripe Atlas でできること
Stripe Atlas は、御社の法務基盤を構築し、世界中どこからでも 2 営業日以内に資金調達、銀行口座開設、決済を受け付けることができます。
Y Combinator、a16z、General Catalyst などの一流投資家が支援するスタートアップを含む、Atlas を利用している 7 万 5000 以上の法人設立に参加できます。
Atlas への申し込み
Atlas での会社設立のお申し込みは 10 分もかかりません。会社形態を選択し、会社名が使用可能かどうかを即座に確認し、共同創業者を最大 4 名まで追加します。また、株式の分割方法を決定し、将来の投資家や従業員のために株式のプールを確保し、役員を任命し、すべての書類に電子署名をします。共同創業者にも電子署名を促すメールが届きます。
EINが到着する前に決済を受け付け、銀行取引を行う
会社設立後、Atlas は EIN を申請します。アメリカの社会保障番号、住所、携帯電話番号をお持ちの創業者は、IRS の簡易手続きを利用できます。その他の方々は、より時間のかかる通常の手続きを行います。また、Atlas では EIN の取得前決済や銀行取引が可能ですので、EIN 到着前に決済受付や取引を行うことができます。
創業者株式のキャッシュレス購入
創業者は、現金の代わりに知的財産 (著作権や特許など) を使って初期株式を購入することができ、購入証明は Atlas ダッシュボードに保管されます。この機能を利用するには、知的財産の評価額が100 ドル以下である必要があります。それ以上の知的財産を所有している場合は、手続きを進める前に弁護士にご相談ください。
自動83(b)課税選択申請
創業者は83(b)課税選択を申請し、個人所得税を軽減することができます。創業者がアメリカ人であっても、アメリカ人でなくても、Atlas が配達証明付き書留郵便をもって申請を代行します。署名された83(b)選択と申請証明は、Stripeダッシュボードで直接受け取ることができます。
世界クラスの企業法務文書
Atlas は、会社経営に必要なすべての法務文書を提供します。Atlas のC corp文書は、世界有数のベンチャーキャピタル法律事務所であるCooleyと共同で作成されています。これらの文書は、すぐに資金調達ができ、会社が法的に保護されるように設計されており、所有権構造、株式分配、税務コンプライアンスをカバーしています。
Stripe Paymentsを 1 年間無料でご利用いただけるほか、5 万ドルのパートナークレジットと割引もご利用いただけます。
Atlas はトップクラスのパートナーと提携し、創業者限定の割引やクレジットを提供しています。AWS、Carta、Perplexity などの業界最大手による、エンジニアリング、税務、財務、法令遵守、オペレーションに不可欠なツールの割引が含まれます。また、初年度はデラウェア州の登録エージェントを無料で提供します。さらに、Atlas ユーザーであれば、10 万ドルまでの支払い手続きは 1 年間無料になるなど、Stripe の特典をご利用いただけます。
Atlas がどのように新規ビジネスの立ち上げを支援するのか、その詳細をご覧いただき、今すぐ始めることができます。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。