PayTo: 徹底ガイド

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成長中のスタートアップからグローバル企業まで、あらゆるビジネスに対応できる決済ソリューションを利用して、オンライン決済、対面支払いなど、世界中のあらゆる場所で決済を受け付けます。

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  1. はじめに
  2. PayTo の仕組み
  3. PayTo の使い方
  4. PayTo の利用事例
  5. PayTo を受け付けるメリット
  6. PayTo のセキュリティ対策
  7. PayTo を決済手段として受け付ける方法
    1. PayTo を導入するための要件
    2. PayTo の受け付けを開始する方法
  8. PayTo に代わる決済手段

PayTo は比較的新しいデジタル決済手段です。利用者は銀行口座からの直接支払いを承認できます。PayTo は 2022 年に New Payments Platform Australia (NPPA) の一環として導入されたものであり、オーストラリアの決済ソリューションの現代化を進める大きな一歩となっています。

PayTo に対応しているオーストラリアの銀行を使用している企業にとって PayTo は支払いオプションの 1 つとなります。ただし、PayTo 取引に適した銀行口座が必要です。PayTo は銀行のデジタルプラットフォームのセキュリティを通じて PayTo 決済契約の確認、承認、一時停止、キャンセルを行える機能を備えており、請求書、サブスクリプション、1 回限りの支払いといった決済管理をユーザーがよりコントロールできるようになります。

このガイドでは、PayTo の仕組み、PayTo を使用できる場所、他の決済手段との比較、PayTo を決済手段として受け付ける方法など、PayTo に関して企業が知っておくべきことをご説明します。

この記事の内容

  • PayTo の仕組み
  • PayTo の使い方
  • PayTo の利用事例
  • PayTo を受け付けるメリット
  • PayTo のセキュリティ対策
  • PayTo を決済手段として受け付ける方法
  • PayTo に代わる決済手段

PayTo の仕組み

  • PayTo へのアクセス: 企業が PayTo にアクセスするには、PayTo ユーザーとしてスポンサーを受ける必要があります。このプロセスの中で、取引先の銀行、金融機関、決済サービスプロバイダーに問い合わせて PayTo 機能を有効にする必要があります。正式にスポンサーを受けると、オーストラリアの NPP で PayTo が有効なすべての口座から決済を開始できるようになります。

  • PayTo 契約: 企業が PayTo を用いて販売を開始したい場合、顧客の口座からの引き落としに関する規約を詳しく記載した PayTo 契約を作成します。この規約には支払いの金額、頻度、期間が含まれ、1 回限りの支払い、臨時の支払い、継続支払いに対応しています。

  • 顧客の承認: 作成した PayTo 契約を顧客の銀行、住宅金融組合または消費者信用組合に送信すると、PayTo 契約が顧客のインターネットまたはモバイルバンキングアプリに表示され、顧客による承認が可能になります。顧客が PayTo 契約をレビューして承認しない限り、決済は処理されません。

  • 決済の開始: 顧客から PayTo 契約の承認を受けると、企業は支払い規約に従って顧客の口座から引き落としを行えるようになります。PayTo を利用すると、指示の作成時に顧客の口座をリアルタイムで検証できるうえ、支払い時に利用可能な残高をリアルタイムで確認できるため、企業は取引の成否を即時に確認できます。そのほか、企業には、顧客の金融機関が決済開始のメッセージを確実に処理するための関連規則が適用されます。

  • PayTo 契約の変更: 顧客が PayTo 契約の一時停止、変更、キャンセルを行った場合、企業に通知が送られます。必要な場合は、企業の側から PayTo 契約の修正、一時停止、再開、キャンセルを行うこともできます。

  • 指示の記録: PayTo は一元管理のデータベースを備えており、そこで指示の記録を作成、保管、維持管理しています。このデータベースの所有・運用は NPP Australia が行っています。

PayTo の使い方

オーストラリアでは、1 回限りの支払いにも、サブスクリプション、オンライン課金、アプリ内課金、給与、買掛金といった継続支払いにも、PayTo が使われています。オーストラリアでは 2022 ~ 2023 年度に 1 人あたり平均約 730 件の電子取引が行われており、PayTo などのデジタル決済手段に高い需要があります。

PayTo は顧客口座のリアルタイム検証、利用可能な残高の確認、支払いの即時確認などの機能を備えており、従来の口座引き落としに伴う多くの課題を解消しています。PayTo はアプリ内取引や E コマース取引のほか、電子請求書の支払いにも使用できます。PayTo を利用することで、企業はより短期間で支払いを受けられるようになり、調達から支払いまでのプロセスを向上できます。PayTo は常時稼働のサービスです。給与や買掛金といった外部委託業務にも対応しており、PayTo の利用によって事業運営が全面的に強化されるとともに、給与プロバイダーとの大規模なフロートが不要になります。

PayTo の利用事例

PayTo を使って決済処理の向上を実現している企業の種類を以下にご紹介します。

  • 企業と請求者: PayTo は、信頼性が高く効率的な支払い回収手段が必要な企業と請求者にとって最適な決済手段です。特に従来の口座引き落とし手段に代わる最新の決済手段を求める企業に適しているほか、アプリ内取引や E コマース取引にも対応しているため、デジタル決済システムを必要としている企業にとって PayTo は理想的なソリューションといえます。このような企業は 1 回限りの支払いや臨時の支払い、顧客の「口座情報を記載したファイル」の保管といった目的で PayTo を使用しています。

  • 決済サービスプロバイダー (PSP): 一部の PSP はビジネスクライアント向けの高度な決済サービスとして PayTo と連携しています。効率性の高い決済ソリューションの提供を模索しているペイメントゲートウェイ代行業者の場合、PayTo が特に適している可能性があります。

  • 外部委託サービスプロバイダー: 給与や買掛金などの外部委託処理を管理する第三者や会計ソフトウェアプロバイダーの場合、PayTo を使用してこれらの業務を効率化できます。PayTo の「常時稼働」な機能により、継続的でリアルタイムな決済処理が確保されます。

  • 金融サービス会社: 取引、投資、銀行のプラットフォームでは、PayTo の即時送金機能を利用できます。即時送金機能によって即時取引が可能になります。株式や仮想通貨といった移り変わりの速い環境では、このような取引の即時性が重要です。

  • 送金会社: 通貨換算や送金に携わる企業の場合、PayTo の即時送金機能を利用することでマーケットエクスポージャーを減らし、送金プロセスを高速化できます。

  • プロップテック会社: 不動産テクノロジー会社の場合、PayTo を利用することで支払い回収のスピードと信頼性を向上し、金融業務の効率を高めることができます。

PayTo を受け付けるメリット

PayTo には他の決済手段と比べて企業に多くのメリットがあります。PayTo のメリットを以下にまとめました。

  • リアルタイムの顧客確認: PayTo を利用すると、企業は支払い時に顧客の口座情報と利用可能な残高を即座に検証できます。そのため、資金不足やアカウント情報の誤りに起因する取引の失敗、チャージバック、不審請求の申請を減らすことができます。

  • 取引の高速化: 従来の口座引き落としによる決済の場合、対応に最大 3 日かかりますが、PayTo の場合、リアルタイムで決済が処理されます。そのため、企業は支払いの回収を高速化し、キャッシュフローと業務効率を向上できます。

  • 即時の決済通知: 顧客による決済契約の修正、一時停止、キャンセルなど、取引のステータスが変化すると、PayTo から企業にリアルタイムで通知されます。この機能により、企業は最新情報を常に把握し、決済ステータスの変化に素早く対応できます。PayTo では、決済サイクルのすべての段階で通知が送られるほか、顧客や資金をリアルタイムで検証できます。

  • 顧客の本人確認: PayTo では、顧客がバンキングアプリで決済契約を承諾しない限り、請求を開始できません。この追加手順によって顧客の同意を確保し、不正な引き落としのリスクを低減することで、取引のセキュリティを高めることができます。

  • 決済データ: PayTo には豊富なデータ機能が備わっており、企業は自社の会計・消し込みプロセスを効率化できます。詳細な取引情報を活用することで、決済をそれぞれの請求書や契約と照合できます。

  • 常時稼働サービス: PayTo は継続的で常時稼働の決済処理サービスを提供しており、週末や公休日にも利用できます。一方、従来のバンキングシステムでは、営業時間外や休業日の決済処理に対応していない場合があります。

  • シンプルな登録プロセス: 企業が PayTo に登録するには銀行、金融機関、決済サービスプロバイダーから PayTo ユーザーとしてスポンサーを受ける必要がありますが、登録手続きは全面的にデジタル化されており、紙での作業は不要です。通常、用紙での手続きを伴う従来の口座引き落としの登録よりも、簡単でわかりやすく登録できます。

  • 顧客のセルフサービス: 顧客はバンキングアプリを使って自分の PayTo 契約を管理できます。これにより、請求の中断や企業による別途の管理作業を要することなく、顧客が異なる銀行口座や金融機関の間で契約を移動できます。

  • 取引コストの削減: PayTo は、高額の取引手数料がかかることが多いクレジットカード決済に代わる低コストの決済手段です。

  • 強力なセキュリティ対策: PayTo のインフラはセキュリティと規制遵守を考慮して設計されているため、不正利用取引のリスクを最小限に抑え、機密性の高い金融データを保護することができます。これは、不正利用を受けやすい従来の口座引き落としシステムを大幅に上回る利点です。

  • 柔軟性の高い決済機能: PayTo を利用することで、企業はスピード、セキュリティ、コストを最適化して決済戦略を調整できます。このような柔軟性は、即時の決済通知や本人確認といった機能が重視される業界では特にメリットとなります。

PayTo のセキュリティ対策

PayTo は取引の安全性と完全性を確保するため、以下のセキュリティ対策を採用しています。

  • 決済の承認
    決済の承認を得るため、PayTo 契約が顧客のインターネットまたはモバイルバンキングアプリに送られます。企業は合意済みの決済規約に基づく口座の引き落としだけが可能です。

  • 高度な認証
    PayTo 契約は顧客のモバイルバンキングアプリを経由するため、安全性の高い銀行の認証手順が有するメリットを享受できます。これにより、支払いの承認者が口座所有者本人であることを確認できます。

  • 暗号化
    NPP Australia は暗号化が施されたセキュアなデータベースを管理しており、そこで PayTo 契約を一元的に保管しています。これにより、情報の傍受や解読を試みる不正な人物から個人の銀行口座の詳細を保護しています。

  • 継続的なセキュリティ更新
    銀行はモバイルバンキングのセキュリティ対策を継続的に更新しています。そのため、PayTo 機能に使われるインフラは最新のセキュリティプロトコルに対応し、常に最新の状態に保たれます。

PayTo を決済手段として受け付ける方法

PayTo を導入することで、企業は顧客の銀行口座からリアルタイムで決済を開始できるようになります。ただし、PayTo を決済手段として受け付けるには、所定の要件を満たす必要があります。

PayTo を導入するための要件

企業が PayTo を導入するには、PayTo に対応しているオーストラリアの銀行の銀行口座を保有するか、支払いオプションとして PayTo を利用できる PSP と提携する必要があります。加盟金融機関または PSP により、送金が進められます。さらに、通常、ビジネス用の銀行口座を開設するためにオーストラリア事業者登録番号 (ABN) が必要です。

PayTo の受け付けを開始する方法

PayTo 取引を受け付けている銀行や PSP との提携の有無にかかわらず、企業が PayTo を受け付けるには、金融機関から PayTo ユーザーとしてスポンサーを受ける必要があります。スポンサーを受けると、金額や頻度などの取引規約を詳しく記載した PayTo 契約を作成して、PayTo に対応している口座から決済を開始できるようになります​​。顧客から PayTo 契約の承認を受けるまで、決済を処理することはできません。

PayTo に代わる決済手段

オーストラリアの企業が利用できるデジタル決済手段は複数あり、自社のビジネスニーズに応じて選択できます。PayTo の代替となる人気の高い決済手段を以下にご紹介します。

  • BECS ダイレクトデビット: BECS ダイレクトデビットは、継続支払いで広く使われているオーストラリアの銀行送金システムです。BECS ダイレクトデビットを利用すると、企業は承認済みの支払いを顧客の銀行口座から自動で直接回収できるようになります。BECS ダイレクトデビットはサブスクリプションサービスや継続的な B2B 取引で広く使われています。

  • BPAY: BPAY は人気の高い請求支払いシステムで、利用者は銀行口座から直接支払いを実行できます。BPAY を既存の請求システムと連携させると、企業は直接支払いを受けることが可能になります。

  • 決済アプリ: PayID や Osko などのアプリを利用することで即時送金に簡単に対応できるようになり、支払いを素早く実行できる利便性の高い方法を顧客に提供できます。企業が PayID を登録し、PayID を任意の銀行口座に紐付けると、PayID 取引によって企業の口座に直接送金されます。

この記事の内容は一般的な情報の提供と教育のみを目的としたものであり、法律または税金のアドバイスとして解釈されるべきものではありません。Stripe は、この記事の情報の正確性、完全性、適切性、および現行性について保証しません。具体的な状況について助言が必要な場合は、当該管轄地域の営業許可を有する弁護士または会計士に助言を求めてください。

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