オーストラリア事業者登録番号 (ABN) とは、オーストラリアの事業者を識別する 11 桁の一意の番号で、税務やビジネスに関するさまざまな目的で用いられます。ABN は、オーストラリア税務局 (ATO) の管理下にあるオーストラリア商務登記官 (ABR) が発行します。ABN 制度は、物品サービス税 (GST) の導入など税制改革の議題の 1 つとして、2000 年 7 月に導入されました。
ABN 制度の導入によってオーストラリアの税務・ビジネス規制制度の効率化が大幅に進みました。2023 年 6 月時点でオーストラリアには活発な取引を行っている事業者が 250 万以上あります。ABN 制度の導入前は複雑で非効率な制度が適用されており、オーストラリアの事業者は政府部局・機関ごとに複数の識別番号を使い分ける必要がありました。ABN 制度はそのようなやり取りをシンプルにして、政府とのやり取りにおける事業者の負担を軽減することを目的としています。
ABN にはいくつかの目的があります。事業者は政府や他の事業者との取引にあたり、ABN を用いて自社の身元を証明をします。割り当てられた一意の識別子によって企業情報を確認できるため、取引の効率が向上します。また、ABN を用いて GST への登録や所得税申告書の提出を行えるため、納税申告プロセスがシンプルになります。単一の事業者識別番号を取得することで、オーストラリア国内の複数の商取引を簡単に進められるようになります。
このガイドでは、ABN の有用性に関してオーストラリアの事業者が知っておくべき事項、事業者が ABN を申請すべきタイミング、申請プロセスの概要についてご説明します。
この記事の内容
- ABN が必要になる状況
- ABN の申請方法
- ABN 申請後に起こり得る結果
ABN が必要になる状況
オーストラリアの事業者であれば、小規模であってもパートタイムであっても、一般的には ABN を取得することをおすすめします。ABN を取得するとプロフェッショナルな印象を与えることができ、一定の特典を利用できるようになり、納税申告が簡単になります。GST 事業者登録、事業活動費の所得税控除、「.au」ドメイン名への登録を希望する事業者は ABN が必要です。
年間売上高が 7 万 5,000 ドル (GST 抜き) を上回る事業者は GST 事業者登録が義務付けられるため、ABN の申請が必要になります。また、ABN が必要な他の事業者から支払いを受ける場合も ABN の申請が必要になります。オーストラリアの事業者が ABN を取得する必要がある場合の例を以下にご紹介します。
- 個人事業主: 個人事業主として事業を営む者は通常、GST 事業者登録を義務付けられる場合 (GTS 抜きの年間売上高が 7 万 5,000 ドルを上回る場合)、事業者ウェブサイトで「.au」ドメイン名を登録したい場合、あるいは特定の補助金や割引といった他の事業者特典を利用したい場合、ABN を取得する必要があります。
- パートナーシップ: パートナーシップを設立する場合は、その事業活動にかかわらず、ABN の申請が必要です。
- ASIC 登録事業者: ASIC に登録している事業者にはオーストラリア企業番号 (ACN) が自動的に発行されます。ASIC 登録事業者は ACN を使って ABN を申請できます。
- 特定サービスの提供企業: タクシーの運転など一部のビジネスサービスでは、売上高にかかわらず GST への登録が義務付けられるため、ABN が必要になります。
ABN の申請方法
オーストラリアの事業者は簡単な手続で ABN を取得できます。ATO と ABR のウェブサイトでは、ABN の申請プロセスに関する総合的な情報とリソースを入手できます。申請に必要なものがわからない場合は、登録税理士または事業活動報告書 (BAS) エージェントに相談して助言を得ることができます。事業形態が複雑な事業者の場合は特に専門家のサポートが役立ちます。
ABN 申請プロセスの概要は以下のとおりです。
申請資格の確認: まず、ABN の申請資格を満たしていることを確認します。オーストラリア商務登記官のウェブサイトには、申請資格の有無を判断するのに役立つ情報が掲載されています。不要な申請や法的な影響を避けるため、まずはこの情報を確認してください。資格のない事業者が ABN の申請、GST への登録、GST 控除の請求を行った場合、法的措置の対象となる可能性があります。繰り返しになりますが、ABN が必要になるのは通常、事業活動を行う場合 (パートタイムを含む)、GST への登録が義務付けられる場合 (推定年間売上高が 7 万 5,000 ドルを上回る場合)、「.au」ドメイン名への登録を希望する場合、または ABN が必要な他の事業者から支払いを受ける場合です。
必要な情報の収集: 申請には書類と申請者の情報が必要です。申請者の情報としては、氏名、生年月日、居住地住所、連絡先などの個人情報と、法人名、事業形態 (個人事業主、パートナーシップ、会社)、事業開始日、事業活動、推定年間売上高などの事業情報が必要です。事業形態によっては、パートナーシップのパートナーや会社の取締役など、共同経営者や従業員の情報も併せて提出する必要があります。申請を開始する前に、自身の事業形態に適用される固有の要件を確認してください。さらに、通常は、オーストラリアのパスポート、運転免許証、出生証明書、メディケアカードといった身分証明書の提出が必要です。
申請方法の選択: ABN をオンラインで申請する方法は 2 通りあります。オーストラリア税務局 (ATO) プロファイルと紐付けられた myGovID アカウントをすでに保有している場合は、myGovID を用いる申請が最も早く簡単な方法です。オーストラリア商務登記官 (ABR) のウェブサイトから直接申請することもできますが、先に ABR アカウントを作成する必要があります。
申請書への入力: 選択したプラットフォームの指示に従って、収集した情報を正確に入力します。入力内容の不備による遅延や申請拒否を防ぐため、申請書の送信前にすべての情報をもう一度チェックします。十分に確認したら、申請書を送信します。
申請結果のレビュー: 申請が正常に完了するとすぐに 11 桁の ABN と確認書類が発行されます。後から参照できるようにそれを印刷または保存してください。申請書の審査が手動で行われる場合、その後数週間、申請書の進捗状況を確認する必要があります。メール、スパムフォルダー、ABR ウェブサイトを定期的に確認してください。ABR から追加情報の提供を求められた場合、プロセスを円滑に進めるため、必要な情報を速やかに提出します。
ABR 登録情報の確認: ABN が発行されると、事業者情報が ABR に追加されます。必要に応じて特定の事業情報を非公開にできます。事業情報、事業形態、連絡先に変更があった場合は ABR に最新の情報を伝えます。
GST 登録義務の確認: ABN を取得したからといって、必ずしも GST への登録が義務付けられるわけではありません。推定売上高や事業活動に基づいて登録義務の有無を確認します。
ABN 申請後に起こり得る結果
ABN 申請書の送信後に起こり得る結果は複数あり、結果によって処理にかかる時間が異なります。申請が電子的手段によって承認された場合、承認が完了した時点で myGovID と ABR の両方のウェブサイトに 11 桁の ABN がすぐに送信されます。追加の検証や情報が必要な場合、オーストラリア商務登記官が手動で申請書を審査する必要があるため、完了までに最大 20 営業日 (複雑なケースではそれ以上の期間) かかる可能性があります。手動による審査が完了すると、申請書は拒否または承認されます。休日に申請書を送信した場合も、担当者の人数が限られるため、処理が遅れる可能性があります。
ABN 申請書の送信後に起こり得る結果について以下にまとめました。
即時承認: これは最も望ましい結果であり、この場合、申請書の処理と検証がただちに行われます。11 桁 の ABN と確認書類がただちに発行され、GST の請求、税務登録、決済の受け付けなどの関連目的で ABN の利用をすぐに開始できます。
手動審査: 追加の検証や情報が必要な場合、申請書は手動審査の対象となり、申請者には参照番号と手動審査の対象になった旨を伝える通知が送られます。ABR が申請書を手動で審査する必要があるのは、提出文書によって申請者の身元を確認できない場合、申請書に重要情報の入力漏れがある場合、あるいは事業形態が複雑または特殊な場合です。審査プロセスで追加情報が必要になった場合、ABR から申請者に連絡があります。想定期間内に申請に関する最新情報が送られてこない場合は、ABR に問い合わせて説明を求めることを検討してください。なお、申請ステータスが「保留中」でも、参照番号を提示することで ABN 関連の一部のサービスを利用できる場合があります。
手動審査後の承認: ABR による手動審査で申請者の情報が正常に確認された場合、即時承認のときと同じ方法で ABN が発行されます。その後は通常どおり ABN を使用できます。
手動承認後の拒否: めったにないことですが、提出した情報が不正確、不完全または資格要件を満たしていない場合、申請が拒否される場合があります。ABR からメールまたは ABR のウェブサイトで拒否の詳しい理由が伝えられます。申請者は問題を是正して再請求を行うか、専門家に相談して懸念事項を解消します。
エンジェル投資家と他のタイプの投資家の相違点
エンジェル投資家からの資金調達を追求する前に、他のタイプのスタートアップ投資家についてよく理解しておくことが重要です。投資オプションの概要は次のとおりです。
ベンチャーキャピタリスト: ベンチャーキャピタリスト (VC) は、多くの場合、株式と引き換えに、成長の可能性が高いスタートアップに投資する企業または個人です。エンジェル投資家とは異なり、通常、スタートアップの発展の後期、つまり企業が市場である程度のトラクションを示した後に投資します。VC はエンジェル投資家よりも多額の資金を投資し、会社の方向性により深く関与することもよくあります。VC は実質的な利益を求め、その多くは事業を拡大し、特定の期間内にイグジットを達成するために、より積極的なスタンスをとります。
シードファンド: シードファンドは、エンジェル投資や大規模な VC ラウンドの前などの初期段階の投資に焦点を当てた特殊な VC ファンドです。構想段階を過ぎて、MVP (Minimum Viable Product) またはある程度の初期牽引力を持つスタートアップに投資します。
インキュベーターとアクセラレーター: これらのプログラムは、教育、メンターシップ、資金調達を通じて初期段階の企業を支援します。インキュベーターは、ほとんどの場合、初期発展段階に焦点を当て、起業家がアイデアを実行可能なビジネスに変えるのを支援します。一方、アクセラレーターは、短期間で既存企業の成長を拡大することを目指しています。
法人投資家: 一部の企業は、革新的な技術へのアクセス、新しい市場への参入、戦略的パートナーシップの育成を目的として、スタートアップに投資しています。これらの投資家は豊富なリソースを提供できますが、テクノロジーの所有権や会社の方向性のコントロールなど、金銭的な利益以上のものを求める場合があります。
クラウドファンディング: これには、通常はオンラインプラットフォームを通じて、多数の人々から少額の資金を調達することが含まれます。クラウドファンディングは、株式を手放すことや借金を負うことなく、幅広いオーディエンスで製品を検証し、潜在的な顧客と関わり、資金を調達したいスタートアップにとって良い選択肢となり得ます。
政府の助成金と補助金: 一部のセクター、特に科学研究、クリーンテクノロジー、または社会的影響に関連するセクターでは、政府の助成金や補助金は株式を希薄化することなく資金を提供することができます。
ピアツーピア融資とデットファイナンス: デットファイナンスには、金融機関からの融資やピアツーピア融資プラットフォームが含まれます。このタイプの資金調達は、通常、初期段階のスタートアップにとって確保が難しく、スタートアップはローンを利息付きで返済する義務を負いますが、所有権が希薄化することはありません。
ファミリーオフィス: 富裕層は、ファミリーオフィスと呼ばれる民間の資産管理アドバイザリー会社を持ち、スタートアップに直接投資することがよくあります。これらの投資家は、多額の資金を提供することができ、従来の VC と比較して、長期的な投資に関心を持つ可能性があります。
エンジェルグループとシンジケート: 個人のエンジェル投資家とは異なり、エンジェルグループやシンジケートは、スタートアップに投資するためのリソースを共同出資します。これらのグループは、多額の資本を提供し、複数の投資家の専門知識と人脈を組み合わせることができます。
各タイプの投資家の利点、期待、および関与の程度は異なります。スタートアップは、どのタイプの投資家にアプローチするかを決定する前に、発展段階、業種、資金調達のニーズ、および育成したい戦略的関係の種類を慎重に検討する必要があります。
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