2025 年現在、B2B 取引の場合ドイツ企業は、請求書を電子形式で作成し送信することが義務付けられています。最も一般的なものの 1 つは、ハイブリッド ZUGFeRD 請求書です。
この記事では、ZUGFeRD 請求書とは何か、どのように機能するか、どのようなメリットがあるかを学びます。また、ZUGFeRD 請求書を発行するケースとその使用方法についても説明します。
この記事の内容
- ZUGFeRD とは
- ZUGFeRD 請求書とは
- ZUGFeRD 請求書の仕組み
- 電子請求書発行が義務であるケース
- 企業が ZUGFeRD 請求書を作成する方法
- ZUGFeRD 請求書のメリット
ZUGFeRD とは
略語 ZUGFeRD は、「Central User Guide of the Forum for Electronic Invoices Germany」の略です。これは、電子請求書用の標準化されたハイブリッド請求書形式です。この名称は、2014 年に Forum for Electronic Invoicing Germany (FeRD) によって開発された中心的なユーザーガイドであることを表しています。
2010 年にベルリンで設立された FeRD は、企業、当局、その他の組織間の請求書のやり取りをシンプルにし、デジタル化しています。さまざまな省庁、協会、企業が FeRD の設立を支援しました。連邦経済・気候行動省 (BMWK) は FeRD を引き続き支援し、ZUGFeRD の開発においても重要な役割を果たしました。
ZUGFeRD 形式は、EU 指令 2014/55/EU に基づき 2014 年 4 月 16 日から公布されています。同指令は、公共契約における電子請求の導入を規制するものであり、2017 年 6 月 28 日に発行された標準 EN16931 も同様です。
バージョン 2.0 以降、ZUGFeRD は、請求書の国際標準である貿易簡易化と電子ビジネスのための国連センター (UN/CEFACT) のクロスインダストリーインボイス (CII) も統合しています。さらに ZUGFeRD は、国際標準化機構 (ISO) 標準 19005-3:2012 を考慮に入れており、文書の長期アーカイブに PDF/A-3 形式を使用すると規定しています。
ZUGFeRD 請求書とは
ZUGFeRD 請求書は、ZUGFeRD 標準に基づく電子請求書です。この記録は、PDF (Portable Document Format) ファイルと XML (Extensible Markup Language) 記録という 2 つの要素を組み合わせた文書であるため、人間も機械も読み取ることができます。
ZUGFeRD 請求書は、EU 指令 2014/55/EU に準拠しています。同指令は、管理上の負担を軽減し効率を高めるため、企業および当局に電子請求書の処理を義務付けています。また ZUGFeRD 請求書は、中小企業から国際企業まで、あらゆる規模の企業にとって、簡単に実装可能できる標準化された請求書形式となっています。
PDF/A-3 文書: 人間が読むことができる請求書を視覚的に表現したもので、従来の請求書のような外観です。
XML データセット: 会計システムまたはエンタープライズリソースプランニング (ERP) システムが自動処理できる、機械可読データです。
企業は、B2B、B2C、および企業と政府間 (B2G) の取引で、ハイブリッド請求書形式を使用できます。複雑な電子請求書プラットフォームにすぐに切り替えることなく、請求プロセスをより効率的にしたい企業に、特に適しています。
ZUGFeRD 請求書の仕組み
ZUGFeRD が登場する前は、企業は主にスキャンしたコピーの形で請求書を送信したり、電子メールの PDF 添付ファイルとして送信したりしていました。その後、複製を会計ソフトウェアに手動で転送しなければならないという状況でした。これは、時間がかかり、エラーが起こりやすいプロセスでした。
ZUGFeRD 形式は、請求書に可視データと不可視データが組み合わさっているため、同プロセスが大幅にシンプルになります。どちらにも、請求書の日付、請求先、金額、銀行の詳細などの情報が含まれています。
このデータは XML 形式で固定されているため、会計プログラムは各情報の正確な位置を認識します。適切なソフトウェアを使えば、請求書データのさらなる自動処理が可能になるため、手作業による介入が削減されます。ただし、特別なソフトウェアなしで ZUGFeRD 請求書を表示することもできるため、請求書を手作業で処理するか機械的に処理するかを選べます。
電子請求書発行が義務であるケース
2020 年 11 月以降、ドイツのすべての契約当局は、電子形式で請求書を受け取り、処理できるようになりました。この要件は、商取引における電子請求書普及を促すことを目的としています。一方、電子請求書の義務化は、公共部門の透明性と効率性を向上させるのに役立ちます。以前の規制は主に、行政機関や連邦当局に向けて請求書を発行する企業に関するものでした。
2025 年 1 月 1 日より、ドイツの B2G および B2B 部門に、電子請求書の義務化が適用されます。2025 年以降、他社へと請求書を作成し送付する企業は、電子形式で行う必要があります。これは、2024 年 3 月に連邦議会で成長機会法が可決された結果です。とりわけ、ビジネスプロセスのデジタル化と税制の効率化を目的としています。
ただし、電子請求書の義務化は、ZUGFeRD 請求書の発行義務化と同義ではありません。ZUGFeRD は、多数の利用可能な請求書形式の 1 つにすぎません。広く使われているもう 1 つの標準として、XRechnung が挙げられます。これは XML 形式のみに基づいており、機械が読み取るコード行のみで構成されています。
小規模起業家には、電子請求書に関する特別なルールが適用されます。デジタルシステムへとより柔軟に移行できるように、2024 年年次税法では、中小企業の所有者は引き続き従来の形式で請求書を送信できると規定されました。これはとりわけ、紙の文書または PDF ファイルは可、という意味です。ただし、他の会社から電子請求書を受信して処理できる必要があります。詳細については、2025 年の中小企業経営者規則に関する記事をご覧ください。
企業が ZUGFeRD 請求書を作成する方法
ZUGFeRD 請求書を作成するには、適切なソフトウェアの組み合わせと、形式の構造に関する基本的な理解が必要です。PDF ファイルを ZUGFeRD 形式に変換するサービスを使用することはお勧めできません。この種のサービスでは、テキスト認識を介して PDF から請求書データを転送する必要があります。行程中にエラーが発生する可能性があるため、一般的には請求書を書き直すことをお勧めします。
ZUGFeRD 請求書を作成する際の最も重要なステップは次のとおりです。

技術要件を確立する
ZUGFeRD 請求書を作成するには、その形式をサポートする適切なソフトウェアが必要です。専用の請求書ソフトウェア、ERP ソリューション、既存のプログラムの拡張機能、などを利用可能です。
請求先情報を入力する
請求書を登録するには、まず対象の請求書データを入力します。これには、ドイツ付加価値税 (VAT) 法 (UStG) 第 14 条に従ったすべての必須情報を含める必要があります。
製品またはサービスを提供する会社の名前と住所
製品またはサービスの受取人の完全な名前と住所
請求書の日付
商品またはサービスの引渡し日
供給会社に税務署が発行した納税者番号、または連邦中央税務局 (BZSt) が発行した VAT 識別番号(VAT ID)
連続する一意の請求書番号
配送された製品の数量と種類、または提供されたサービスの範囲と種類
適用される税率とそれに対応する税額、または免税に関する説明
さらに、銀行の詳細を指定する必要があります。このデータは、従来の請求書と同様にシステムに入力します。
ZUGFeRD 形式を作成する
ソフトウェアは、入力されたデータから、PDF 文書と XML データを含むハイブリッド文書を作成します。XML データは UN/CEFACT 国際標準に準拠しており、PDF 請求書と同じ情報が含まれています。
確認して配信する
請求書を送信する前に、すべての情報が正しく、XML データが完全であることを確認する必要があります。その後、請求書を配信します。ファイルのアップロード、電子メールの添付ファイル、または特別な送信プラットフォームなど、さまざまなオプションを利用できます。
ここで Stripe Invoicing が役立ちます。Stripe アカウントでは、Stripe パートナーのBillit のアプリを使用して、電子請求書を迅速、簡単、かつ法律に準拠した方法で送信できます。送信を 1 回設定すると、後は自動的に行われます。さらに、すべての請求書の配送ステータスをいつでも表示でき、エラーが発生した場合は通知を受け取れます。
アーカイブする
「電子形式の帳簿、記録および文書の適切な管理および保管に関する原則」(GoBD) は、ZUGFeRD 請求書にも適用されます。請求書は、10 年間の保存期間中、決して変更されずにいつでも使用できるように、監査に耐えうる方法でアーカイブする必要があります。
ZUGFeRD 請求書のメリット
ZUGFeRD 請求書は、企業にさまざまなメリットをもたらします。最も重要なものは次のとおりです。
法令遵守
ZUGFeRD は、ドイツとヨーロッパの両方の指令に準拠しています。企業がこの電子請求書形式を使用すれば、法的リスクを回避できるということを意味します。
互換性と国際性
ZUGFeRD は、国際規格 UN/CEFACT に基づいているため、EU 内および世界中で互換性があります。これは、国際的なビジネスパートナーを持つ企業にとって特に有利です。
企業にとっての柔軟性
ZUGFeRD 請求書は、人間が読める従来の PDF として読むことができ、XML データは自動処理が可能です。これにより、請求書の処理方法を決定できるため、企業にとって柔軟性が高いです。つまり、Xinvoices などとは異なり、人間や機械が特別なソフトウェアなしで請求書を読み取ることができることも意味します。
さらに、ZUGFeRD 請求書は、グラフィック要素や個別のフォントを含めることができない XRechnung とは異なり、企業ブランドのイメージでデザインできます。
既存システムへの連携
ZUGFeRD は、既存の ERP や会計システムに簡単に連携できます。多くの一般的なソフトウェアソリューションは、すでにこの形式に対応しています。ZUGFeRD を使用すると、あらゆる規模の企業が、複雑な情報技術 (IT) 構造を導入することなく、デジタル化の恩恵を受けることができます。
データ品質の向上
固定された規格がすべての請求書データを定義するため、送信エラーは実質的に起こりません。これにより、データ品質が向上します。
時間とコストの節約
ZUGFeRD は、企業の請求書発行の効率化に役立ちます。機械可読な XML データにより、企業は請求書データを会計プログラムに自動的に転送できます。これにより、手作業が減り、データ入力のエラーが最小限に抑えられます。さらには、請求書を紙に印刷しなくなった場合、材料費を節約できます。
持続可能性
紙や物理的な郵便物を廃止することで、企業の環境フットプリントが削減され、より持続可能なビジネスが促進されます。
要約すると、ZUGFeRD 請求書は、請求と処理のための効率的で将来性のあるソリューションとなっています。柔軟であると同時に標準化されているため、管理プロセスを合理化し、コストを削減し、法的要件を遵守するのに役立ちます。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。