発生主義会計とは何かについて企業が知っておくべきこと

Revenue Recognition
Revenue Recognition

Stripe Revenue Recognition (収益認識機能) は発生主義会計の処理を効率化し、スピーディーかつ正確に帳簿の締め処理を実行できるようにします。収益レポートを自動化し、設定することで、IFRS 15 および ASC 606 の収益認識基準への準拠の負担を減らすことができます。

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  1. はじめに
  2. 会計処理方法の種類
  3. 発生主義会計と現金主義会計の比較
    1. 発生主義会計
    2. 現金主義会計
  4. 発生主義会計の仕組み
    1. 収益は支払い時ではなく、得た時点で記録する
    2. 支払い時ではなく、発生したときに費用を計上する
    3. 同じ期間の収益と費用を一致させる
  5. 見越し計上の種類
  6. 発生主義会計の利点
  7. 発生主義会計の課題
  8. 発生主義会計のベストプラクティス
    1. 正確な収益認識の実践
    2. 経費認識プロセスの標準化とレビュー
    3. 内部統制と文書化の強化
    4. テクノロジーとデータを活用して精度を高める
  9. Stripe Revenue Recognition の活用方法

発生主義会計では、支払いがいつ行われるかに関係なく、収益を得た時点または費用が発生した時点で記録します。対照的に、現金主義会計では、実際に支払いが行われたときにのみ取引を記録します。

発生主義会計では、収益は実現した時点、つまり通常は商品を引き渡したときやサービスを提供したときに、まだ支払いを受け取っていなくても認識されます。また、費用は支払い時ではなく、発生した時点で認識されます。この方法では、収益と、その収益を生み出すために発生した費用を、同じ報告期間内で対応させます。その結果、発生主義会計は企業の財務状況や業績をより正確に示します。

アメリカでは、3 年間の収益が 2,500 万ドル以上の企業は発生主義会計を採用しなければなりませんが、これより小規模な企業でも採用している場合があります。以下では、見越し計上の種類、発生主義会計の仕組み、利点と課題、ベストプラクティスについて解説します。

目次

  • 会計処理方法の種類
  • 発生主義会計と現金主義会計の比較
  • 発生主義会計の仕組み
  • 見越し計上の種類
  • 発生主義会計の利点
  • 発生主義会計の課題
  • 発生主義会計のベストプラクティス
  • Stripe Revenue Recognition の活用方法

会計処理方法の種類

企業が財務取引を記録する際に用いる主な会計処理方法は、発生主義、現金主義、ハイブリッド会計の 3 つです。ここでは、それぞれの方法の概要と、収益と費用を記録する際のルールを解説します。

  • 発生主義会計: 発生主義会計では、現金取引がいつ発生するかに関係なく、収益を得た時点または費用が発生した時点で記録します。この方法は、企業の財務状況と業績をより正確に示すため、規模の大きい企業や信用取引を扱う企業に適しています。

  • 現金主義会計: 現金主義会計では、現金がやり取りされた場合にのみ取引を記録します。これにより、収益は受領時に認識され、費用は支払い時に認識されます。手元にある現金を任意の時点で把握できるため、小規模企業や個人にこの方法はよく採用されています。

  • ハイブリッド会計: ハイブリッド会計は、発生主義会計と現金主義会計の両方の要素を組み合わせた会計処理方法です。この方法では、ほとんどの取引に現金主義会計を用いながら、主要な項目については発生主義会計に切り替えることができます。この柔軟性は、日常的な取引は簡素化しつつ、売掛金、買掛金、在庫などの多額の金額を正確に報告するために発生主義会計を必要とする小規模企業にとって有益です。企業は、税法や会計基準に準拠するために、ハイブリッド会計を慎重に管理する必要があります。

発生主義会計と現金主義会計の比較

会計処理方法を選択する際は、営んでいる事業の種類を考慮する必要があります。一般に、複雑な会計処理が必要な大企業は発生主義会計を選ぶ傾向がありますが、小規模で現金ベースの企業や個人は、その簡便さから現金主義会計を選ぶ場合があります。上場企業や多額の収益を上げている企業は、通常、法令や規制上の基準に準拠するために発生主義会計を採用しています。

この項目では、発生主義と現金主義会計の長所と短所について紹介します。

発生主義会計

発生主義会計では、現金の受け取りや支払いの時期に関係なく、収益はその獲得時点で計上し、費用はその発生時点で計上します。

メリット

  • 得られた収益と、それらの収益を生み出すために発生した費用を対応させることにより、会社の財務状況がより正確に反映されます。

  • 事業活動と財務成果を一致させることにより、財務計画と分析が容易になります。

  • アメリカの一般に公正妥当と認められる会計原則 (GAAP) および世界各国の国際財務報告基準 (IFRS) では通常、一貫性があり比較可能な財務報告のために、大企業または上場企業にこの方式の使用を義務付けるか、推奨しています。

デメリット

  • 売掛金と買掛金を追跡するため、発生主義会計の導入と維持に困難が伴います。

  • キャッシュフローの直接的な指標とはならないため、現金収支を重視する企業にとっては混乱の原因となる可能性があります。

現金主義会計

現金主義会計では、現金を受け取ったときに収益を計上し、現金を支払ったときに費用を計上します。

メリット

  • 単純な現金取引を記録することに留まるので、発生主義会計よりも運用が容易です。

  • 現金主義の企業や財務構造が単純な企業は、利用可能な資金額を把握できるというメリットがあります。

  • 現金主義会計では、収益は受け取るまで税金の対象とならず、費用は支払うまで計上されないため、企業の税務を簡素化できます。

デメリット

  • 将来の債務や売掛金を考慮していないため、長期的な財務の健全性が正確に示されているとは言い切れません。

  • キャッシュフローのタイミングによって財務活動の結果が実態とずれて見える可能性があるため、企業全体の長期的な収益性を把握しにくくなります。

発生主義会計の仕組み

発生主義会計では、現金の受け取りや支払いの時期に関係なく、収益を得た時点または費用が発生した時点で記録します。対照的に、現金主義会計では、実際に現金のやり取りがあったときにのみ取引を記録します。

発生主義会計の仕組みは次のとおりです。

収益は支払い時ではなく、得た時点で記録する

企業は、顧客に商品やサービスを提供し、契約または合意に基づく義務を果たした時点で収益を計上します。

その収益は、企業が商品またはサービスに対する決済を受けられると見込める時点で、実現可能になります。

収益を得ていて、かつ実現可能であれば、企業はまだ現金による決済を受け取っていなくても、その収益を損益計算書に記録します。また、顧客の未払い額を追跡するために、売掛金の項目も作成します。

支払い時ではなく、発生したときに費用を計上する

企業は、サプライヤーや従業員から商品やサービスの提供を受けた時点でその代金を支払う義務が生じ、費用が発生したとみなします。

企業は、発生した費用をまだ支払っていなくても、損益計算書に記録します。企業は、サプライヤーまたは従業員に対する未払い額を追跡するために、買掛金の項目を作成します。

同じ期間の収益と費用を一致させる

発生主義会計は、同じ報告期間内の費用と対応する収益を一致させることを目的とする「費用収益対応の原則」に従います。この原則により、企業は収益を生み出すために発生した費用を、その収益と同じ期間に認識しなければなりません。

たとえば、ある企業が 12 月に顧客へ商品を販売したものの、決済を受け取るのは翌年 1 月になったとします。発生主義会計では、まだ現金による決済を受け取っていなくても、収益は得た時点である 12 月に認識されます。企業は未払い額を追跡するために、売掛金の項目を作成します。1 月に現金による決済を受け取ると、売掛金が減少し、現金勘定が増加します。

見越し計上の種類

会計上の見越し計上には、未収益と未払費用の 2 種類があります。これらの見越し計上は、発生主義会計における期末締め処理の重要な要素です。これにより、会計の対応の原則に沿って、財務諸表に特定の期間に獲得したすべての収益と発生したすべての費用が反映されます。

  • 未収益: 未収益は未収資産とも呼ばれ、獲得済みであるものの、まだ現金を受け取っていない収益を指します。これは、企業がサービスを提供したものの、まだ請求書を発行していない、または決済を受け取っていない場合によく発生します。たとえば、月末にコンサルティングサービスを提供し、翌月に顧客へ請求する会社は、発生主義会計期間に得た収益を認識する必要があります。

  • 未払費用: 未払費用は未払債務とも呼ばれ、すでに発生しているものの、まだ支払われていない、または帳簿に記録されていない費用を指します。たとえば、多くの企業では、従業員の給与を、その給与が発生した月の翌月に支払います。こうした費用は、従業員の役務を受けた月に計上する必要があります。

見越し計上では、商品またはサービスが提供されたもののまだ支払われていない場合に収益または費用を認識します。一方、繰延では、商品またはサービスが提供される前に支払いが行われた場合に収益を認識します。

発生主義会計の利点

発生主義会計では、現金の受け渡しが行われた時点ではなく、収益と費用が発生した時点で記録するため、企業の財務状況をより正確に反映できます。正確性が向上することで企業が得られるメリットは次のとおりです。

  • 収益性をより深く把握する: 発生主義会計では、費用とそれによって生み出される収益を対応させることで、実際のコストと収益性をより正確に把握できます。これは、予算編成、予測、戦略計画に役立ちます。企業は、キャッシュフローのタイミングのずれによる不正確さに左右されることなく、業績を分析できます。

  • 長期契約を正確に管理する: 長期契約を扱う企業では、発生主義会計によって、収益と費用を関連する契約上の義務に対応させることができます。これにより、各プロジェクトの財務上の進捗をより正確に把握できます。

  • 信用取引とキャッシュフロー管理を改善する: 現金の受け渡しに先立って商品やサービスを提供または受領する信用取引を行う企業は、発生主義会計により、売掛金と買掛金をより効果的に把握できます。これにより、キャッシュフロー予測を管理し、事業運営に必要な流動性を評価しやすくなります。

  • 予算を継続的に管理する: 費用と収益を直接対応させることで、企業はどの領域が予算を上回っているか、または下回っているかを分析し、それに応じて戦術を調整できます。これにより、リソースをより適切かつ戦略的に配分できるようになります。

  • 利害関係者に正確な分析を提供する: 投資家、債権者、その他の利害関係者は、正確な財務諸表を基に適切な意思決定を行います。発生主義会計は、企業の事業運営の有効性と財務の安定性を、利害関係者により明確に示します。

発生主義会計の課題

発生主義会計には多くの利点がありますが、一方で以下のような課題もあります。

  • 複雑な設定と追跡の要件: 発生主義会計では、企業は売掛金の追跡、買掛金、および即時の現金取引を伴わないその他の財務上の事象を管理する必要があり、そのため会計処理が複雑になります。収益と費用を正確に記録して対応付けるには、適切なシステムとポリシーを整備する必要があります。

  • 熟練した会計スタッフが必要: 企業には、会計原則を理解し、財務データを正確に記録・分析できる熟練した会計担当者が必要です。そのため、追加の研修や人件費の増加が必要になる可能性があります。

  • システムコストと法令遵守コストの増加: 発生主義会計システムの導入と維持には、単純な現金主義会計システムよりも多くのコストがかかる場合があります。これには、より高度な会計ソフトウェアや、監査および法令遵守にかかる費用の増加が含まれます。

  • キャッシュフロー管理の負担の増加: 発生主義会計は、キャッシュフローではなく、獲得した収益と発生した費用に重点を置いているため、利用可能な現金を正確に反映しない場合があります。企業は、日々の業務に必要な十分な流動性を確保するために、発生主義会計とは別にキャッシュフローを慎重に管理する必要があります。

  • 誤りや判断ミスの可能性: 発生主義会計では、貸倒引当金 (回収されずに損失となる可能性のある売掛金)、減価償却方法、税金や賞与などの未払費用といった見積もりや判断が必要になることがよくあります。こうした見積もりは、財務諸表に誤りや偏りをもたらす可能性があります。

  • 複雑な法令遵守要件: 発生主義会計は複雑なため、財務諸表で誤りが生じるリスクが高まり、監査での指摘や法令遵守上の問題につながる可能性があります。

  • 時間のかかる追加作業: 発生主義会計を採用する企業は、売掛金、買掛金、未払費用を定期的に照合する必要があります。こうした照合作業には時間がかかることがあり、不一致を修正するには細部への注意が求められます。

  • 不正のリスク: 不正行為者は、発生主義会計における時期や見積もりの柔軟性を悪用して、実際よりも有利な財務状況を示そうとする場合があります。これは、利益の不適切な操作や不正な報告につながる可能性があります。

発生主義会計のベストプラクティス

ここでは、企業に発生主義会計を導入する際のベストプラクティスをご紹介します。

正確な収益認識の実践

  • サブスクリプションベースのモデルを使用している企業は、収益認識のタイミングを慎重に検討する必要があります。収益は、サブスクリプション期間にわたって認識することも、商品やサービスの支配が移転したタイミングに基づく特定のマイルストーンで認識することもできます。

  • 契約を詳細に分析して、それぞれの履行義務を識別し、それに応じて取引価格を配分することで、バンドルされた商品やサービスの収益を適切に認識できます。

  • 変動対価 (ボーナス、インセンティブなど) を正確に見積もり、それを獲得できるかどうかの確率に基づいて収益認識を調整します。

経費認識プロセスの標準化とレビュー

  • 賃料、公共料金、給与などの定期的に発生する費用を見越計上するプロセスを標準化して、エラーを減らし、適時の認識を確実にします。

  • 偶発債務 (訴訟の可能性、保証請求など) を評価する手順を確立します。可能性の高い債務を計上し、潜在的な債務を財務諸表の脚注で開示します。

  • 貸倒金 (償却が必要な未収残高) や保証費用などの見越計上額の見積もりを定期的に見直します。過去のデータと現在の傾向を反映して、精度を高めます。

内部統制と文書化の強化

  • 取引の承認、記録、勘定の照合の責任を分離します。これにより、エラーや不正の発生リスクを下げることができます。

  • 見積もりや仕訳入力を含め、発生主義会計のプロセスを定期的に見直すことで、誤りを修正できます。

  • 透明性を確保し、監査に備えるために、発生主義会計のポリシー、手順、計算のすべてを詳細に文書化して保管します。

テクノロジーとデータを活用して精度を高める

  • 発生主義会計機能が充実した会計ソフトウェアを使えば、計算の自動化、見越し計上の追跡、正確なレポートの作成ができます。

  • データアナリティクスを活用すれば、収益と費用の傾向を分析し、異常を特定して、予測の精度を向上させることができます。

Stripe Revenue Recognition の活用方法

Stripe Revenue Recognition は、監査、月末決算、レポート作成などを含む発生主義会計を効率化し、より正確かつ効率的に決算処理を行えるようにします。収益レポートを自動化して設定し、ASC 606 や IFRS 15 への準拠に対応できるよう支援します。

Revenue Recognition は、次のことに役立ちます。

  • 収益をより包括的に把握: ダッシュボードで、Stripe のすべての取引と条件を確認し、Stripe 以外のデータをインポートできます。

  • 収益レポートを自動化: エンジニアリングリソースがなくても、そのまま使える会計レポートを生成できます。

  • ビジネスに合わせてカスタマイズ: 自社の会計慣行に沿って、収益認識のためのカスタムルールを作成し、自動化できます。

  • リアルタイムで監査: 収益額をその根拠となる顧客や取引まで追跡して、監査に備えることができます。

Revenue Recognition が国際的な会計基準への準拠にどのように役立つかについて詳しくはこちらをご覧ください。または、今すぐ始めることもできます。

この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。

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