今日、情報技術の飛躍的な発展とインターネットの普及とともに、 EC モールを含むさまざまな EC サイト事業が盛り上がりを見せています。また、日本では海外の消費者を対象とする越境 EC の市場規模が拡大する中で、より多くの客層を視野に入れた多様な EC の決済手段の導入が進んでおり、消費者を取り巻く決済環境はますます快適になっています。
こうした背景のもと、近年の日本においては EC 事業者間の競争が激しくなるにつれ、多くの事業者が深刻な課題として直面しているのが、カゴ落ちです。事業者がカゴ落ちによる機会損失を防ぐためには、カゴ落ち発生の原因を解明したうえで、適切な対策を講じる必要があります。
このカゴ落ちを防ぐ最も代表的な対策の一つに「カゴ落ちメール」があります。サイトを離脱したユーザーにカゴ落ちメールを送信し、ユーザーが商品を再検討できる機会を提供すれば、事業者側としては売上につながる可能性が期待できます。本記事では、日本の EC 事業者が知っておくべきカゴ落ちメールの基礎知識として例文を紹介するほか、成功ポイントやカゴ落ちメールの導入手順についても解説します。
目次
- カゴ落ちメールとは
- カゴ落ちメールへの期待
- カゴ落ちの原因
- カゴ落ちメールの例文
- カゴ落ちメールを成功させるポイント
- カゴ落ちメールの導入手順
- カゴ落ちメールだけでなく充実した決済環境づくりを
- Stripe Checkout でできること
カゴ落ちメールとは
オンラインショッピングを利用したことがある方なら誰でも、商品をカートに追加したものの、そのままの状態にして購入に至らなかった経験があるのではないでしょうか。カゴ落ちメールとはその名の通り、こうしたカゴ落ちの発生を回避することを目的として、カートに商品を入れたままのユーザー宛てに EC 事業者側が送信するメールを指します。
したがって、カゴ落ちメールは、メールを用いて商品の購入が完了していないことをユーザーに通知することで、自社 EC サイトの再訪およびカート内の確認を促し、最終的な購入完了につなげる取り組みということになります。
EC サイトで商品を購入するユーザーの多くは、「欲しい」と思った商品をとりあえずカートに追加しておく傾向にあります。これは、今すぐ購入する意思がなくても、「その他の商品もカートに追加してから購入したい」、「欲しいけれどもう少し検討してから購入を決めたい」と、購買行動を一旦保留にすることがあるためです。
カゴ落ちメールはこのようなユーザーに対し、カート内に商品が残っていることをリマインドし、ユーザーの購入意欲を再度湧き起こす役割を担っているのです。
カゴ落ちメールへの期待
前述したようにカゴ落ちメールには、サイトを離脱したユーザーに対し、サイトへの再訪と購入意欲を促す効果があります。というのも、カードに商品を追加したということは、その商品に対して相応の興味を持っていると考えられるため、事業者側としても売上につなげる可能性が期待できます。
株式会社イー・エージェンシーが実施した 2024 年の調査では、カゴ落ち防止メールの配信効果について、以下のような調査結果を公表しています。
- カゴ落ちメールの開封率: 約 43% 以上
- クリック率: 約 9.8%
- コンバージョン率: 約 2.4%
- カゴ落ちユーザーの平均リカバリー率の平均回収率: 1.5%
上記のデータによると、カゴ落ちメールの開封率は 43.4% で、多くのユーザーが受信したメールを開封していることがわかります。カゴ落ちメールの場合、一般的なメルマガと比べ、より個人に特化した内容となるため、メールの開封率やクリック率が高いと考えられます。
また、同社調べでは、1.5% のカゴ落ちユーザーの平均リカバリー率が、サイトあたり月間約 127 万円のリカバリー価値に相当するとしており、カゴ落ち対策が大きな効果をもたらしていることが明らかといえるでしょう。
カゴ落ちの原因
カゴ落ちの原因は、ユーザーによって実にさまざまですが、主な原因としては以下のような点が挙げられます。
- 普段使っている決済手段がない
- クレジットカード情報の入力に抵抗がある
- 合計金額が予想よりも高くなった
- アカウント登録をしなければ購入できない
- 購入手続き中にエラーが生じる
- 購入完了までの手続きに手間がかかる
- 配送に時間がかかる
- 返品交換などのカスタマーサポート情報が不明瞭瞭
- なんとなく気になったのでカートに追加しただけ
また、上記のほかにも3D セキュアによってカゴ落ちが発生することがあります。特に 2025 年 3 月末以降は、加盟店に対し 3D セキュアの導入が義務化されていることから、各 EC 事業者は 3D セキュアに特化したカゴ落ち対策を講じる必要があります。
カゴ落ちメールの例文
カゴ落ちメールの例文には大きく分けて、リマインドタイプとサポートタイプがあります。一つひとつ見ていきましょう。なお、括弧内はユーザーの名前や商品名などを適宜入力します。
リマインドタイプ
リマインドとは、相手に対して物事を思い出させることを意味します。たとえば、会議の予定をクラウドベースのカレンダーに入力しておくと、「明日〇月〇日午前 9 時より会議あり」との自動通知がユーザーのパソコンやスマートフォンの画面上に表示されるのもリマインドです。
以下に挙げた例文以外にもさまざまな言い回しが考えられますが、リマインドタイプのカゴ落ちメールはおおむねこのようなスタイルです。
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リマインドタイプ |
記載例 |
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件名 |
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本文 |
[顧客名] 様 [EC サイト名] をお選びいただきありがとうございます。 お客様のカート内に商品が残っております。お買い忘れの商品はございませんか? [商品名] [顧客名] 様、以下のリンクから注文を完了できます。在庫には限りがありますので、お早めにご確認ください。 すでにご購入いただいている場合でも、このメールが送信される可能性がありますのでご注意ください。ご不明な点がございましたら、顧客サポートセンターまでお気軽にお問い合わせください。 |
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本文に記載すべきその他の情報 |
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サポートタイプ
サポートタイプの場合、リマインドタイプとは主旨が異なり、カート内に商品が残っていることを思い出してもらうというよりも、購入に関する「ユーザーの悩み」に寄り添うかたちで購入意欲を向上させることを目的としています。
カゴ落ちの原因にも共通することですが、ユーザーの悩みには、商品価格や送料、サイトの使いやすさといったさまざまなものが挙げられます。サポートタイプは、こうしたユーザーが抱えるなにかしらの悩みを和らげつつ、購入につなげるために用いられます。
サポートタイプのカゴ落ちメールを作成する際は、以下に挙げるような件名や本文が活用できます。
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リマインドタイプ |
記載例 |
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件名 |
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本文 |
[顧客名] 様 [EC サイト名] をお選びいただきありがとうございます。 現時点におきまして以下の商品のご注文が完了されておりませんが、購入に関してお困りの点はございませんか? [商品名] ご購入の手順や送料、配送などについてご不明点がございましたら、以下の FAQ ページをご覧いただくか、カスタマーサポートセンターまでお気軽にお問い合わせください。なお、すでにご購入済みの場合にも、本メールが送信されることがございますのでご了承のほどお願い申し上げます。 |
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本文に記載すべきその他の情報 |
サポートタイプの場合もリマインドタイプと同じように、先ほど紹介した「カート情報」、「人気商品・おすすめの商品情報」、「連絡先」などを忘れずに記載しましょう。また、サポートタイプではこのほかにも、以下の記載が必要です。 なお、「FAQ」は、「ヘルプセンター」、「お問い合わせ」、「ご利用ガイド」「カスタマーサービス」など、EC サイトによって表現がさまざまに異なります。いずれの場合も、必ず案内先のリンクや CTA ボタンをメール内に表示させておくことが大切です。 |
カゴ落ちメールを成功させるポイント
ここでは、カゴ落ちメールの効果を高めるためのポイントをいくつか紹介します。
メールを送信するタイミング
カゴ落ちメールを送信するタイミングについては、あまりに早過ぎたり逆に遅過ぎたりすると効果がない可能性があります。たとえば、カートに商品が追加されてから数カ月が過ぎてカゴ落ちメールを送信したとしても、既にユーザーの興味が薄れてしまっていたり、他の店舗で購入済みの場合も考えられます。
また、カートに追加後 30 分足らずであれば、たとえサイトを離脱した場合でも購入意欲は十分にある可能性が高く、カゴ落ちメールを送ったところで効果は期待できないかもしれません。
注意ポイントとしては、何度もカゴ落ちメールを送信することで、ユーザーを不快にさせないことです。カゴ落ちメールの数はできるだけ少ない方がよいので、タイミングについては十分考慮したうえで送信を実行することがのぞましいといえるでしょう。なお、すべてのユーザーに対して確実に効果があるとは限りませんが、カゴ落ちメールを送信するタイミングの目安は通常、カゴ落ち発生より 1〜2 時間後、24 時間後、7 日後の 3 回と考えられています。
また、以下のように、カゴ落ちメールを送信するタイミングとその他のイベントの時期が重なる場合は、カゴ落ちメールの内容をシーンごとに適宜使い分けるのも、効果的といえるでしょう。
- カートに追加したままの商品が後日値下がりした場合の例文: 「カート内の商品が値下がりしました」
- カートへの追加後にセールが開催し、一時的に商品価格が安くなった場合の例文: 「只今全品 20%OFF セール開催中につきカート内の商品がお買い得です!」
- カート内に追加した商品在庫が少なくなった場合の例文: 「カート内の商品の在庫が残り少なくなっています」
メールのデザイン性・インパクト
受信したメールの件名にインパクトがないと、メールが開封される確率が下がり、未開封のまま削除される恐れがあります。また、メール本文に絵文字や画像が一切なかったり、メールのデザイン性が乏しかったりすると読みづらくなり、購買意欲の向上にはつながらないかもしれません。そのため、件名についてはカゴ落ちメールの意図をはっきり明記し、本文には商品画像はもちろんのこと、テキストや CTA ボタンを見やすく配置するなど、視覚的なアプローチを心がけましょう。
また、前述した商品の値下げやセール情報をカゴ落ちメールに取り入れる場合は、件名を一目見ただけでわかる表現にするなどの工夫をしましょう。
メールを送信する頻度
似たようなカゴ落ちメールが頻繁に届くと、迷惑メールとしてブロックされたり、メルマガの登録を解除されてしまうなど、裏目に出てしまう可能性があります。そのため、メールを送信する頻度については、ユーザーの購入意欲を損なわないように十分注意しましょう。
今後、配信メールを一切受け取ってもらえない状況を避けるためには、先ほど解説した送信のタイミングを重視して計画を立て、多くても 3 回までに抑えることが大切です。また、ユーザー側でメルマガの配信頻度を変更できるよう、メルマガの設定機能を備えておくことも回避策の一つといえるでしょう。
カゴ落ちメールの導入手順
カゴ落ちメールを実装するまでの一般的な手順は以下のとおりです。
- 送信するターゲットの設定:
ターゲットとは、2 時間後、24 時間後など、カゴ落ちが発生するタイミングのことで、あらかじめターゲットとして設定しておいたカゴ落ち後の経過時間にメールが送信される仕組みとなります。 - メールテンプレートの作成:
メールの件名および本文の作成と、画像や CTA ボタンの組み込みを行います。また、視覚的アプローチを図るために、メールのデザインやレイアウトもこの段階で実施します。 - テストの実施:
完成したメールをユーザーに送信する前にテストを実施し、画像が正しく表示されテキストが文字化けしないことを確認します。CTA ボタンや 商品の URL については、テスト段階で実際にクリックして、問題なく該当ページに移動するかも確認しましょう。 - 自動送信の設定:
カゴ落ち発生から一定時間が経過したユーザーに対し、自動的にメールが送信されるよう設定します。 - 効果の測定と改善:
カゴ落ちメールのクリック率や購入率などの効果を測定し、必要に応じて送信のタイミング、メールの件名や本文を変更するなどの改善を加えます。
カゴ落ちメールだけでなく充実した決済環境づくりを
カゴ落ち対策を実施する際には、本記事内にて紹介したカゴ落ちの原因をしっかりと把握してから、それぞれの原因に応じた取り組みを行うことが大切です。そのため、カゴ落ちメールを送信するだけではなく、自社 EC サイトの根本に着目し、どのようにすればより多くのユーザーに自社 EC サイトを使ってもらえるようになるかを調査しましょう。 中でも原因としてよくあるのが、決済手段の選択肢が少なかったためにカゴ落ちが生じてしまうケースです。
たとえば、ユーザーがオンラインショップで商品を購入しようとする際に、決済画面にて利用したい決済手段が見つからなかったために購入を断念する状況が多発している場合、自社 EC サイトで提供している決済手段を見直す必要があるといえるでしょう。幅広い客層にサイトを利用してもらえるようにするには、クレジットカード決済以外にも、コンビニ決済などの多様なオンライン決済を取り入れ、決済環境を充実させる必要があります。また、クレジットカードについては、Visa や Mastercard にとどまらず JCB や アメリカン・エキスプレス、銀聯 など、より多くのカードブランドを利用可能にしておくことも、ユーザー側のサイト利用価値の向上につながるでしょう。
Stripe Checkout でできること
Stripe Checkout は、ウェブサイトやアプリで簡単に決済を受け付けられる、完全カスタマイズ可能な構築済みの決済フォームです。
Checkout でできること。
購入率の向上: Checkout の決済フォームはモバイル向けに最適化され、ワンクリックで完了する決済フローが構築されています。顧客は支払い情報を簡単に入力し、再利用できます。
開発時間の短縮: Checkout を自社サイトに直接組み込むか、顧客を Stripe のオンライン決済ページへ誘導します。数行のコードで実行可能です。
セキュリティの向上: Checkout が機密性の高いカードデータを処理し、PCI 準拠を効率化します。
グローバルに拡大: 30 以上の言語に対応する Adaptive Pricing により、100 以上の通貨で価格をローカライズできます。また、購入完了率の向上につながりやすい決済手段を動的に表示します。
高度な機能: サブスクリプションのための Billing、不正利用防止のための Radar など、他の Stripe プロダクトと Checkout を連携できます。
柔軟な管理: 決済手段の保存や購入後のアクション設定など、決済体験を完全にカスタマイズできます。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。