日本のインボイス制度による海外取引への影響とは?

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  1. はじめに
  2. インボイス制度は海外事業者との取引にも影響する?
    1. 影響を受けない取引
    2. 影響を受ける取引
  3. ケース別に見る海外取引上におけるインボイス制度への対応
    1. 取引場所が国内の場合
    2. 海外事業者の輸入手続きについて日本国内の事業者が代行する場合
    3. 輸入申告名義人と実質的輸入者が異なる場合
  4. 取引の前に海外事業者に確認すべき事項
    1. 消費税の課税事業者か免税事業者か
    2. インボイス制度に登録済みか
  5. 海外で実施されているインボイス制度
  6. 国内・海外取引に関わらずインボイス制度を理解し態勢を整えよう
  7. Stripe Invoicing でできること

2023 年 10 月 1 日から日本でインボイス制度が導入され、各事業者には同制度に準拠した適格請求書の交付・保存が求められるようになりました。これにより、今日の日本では国内取引はもちろんのこと、日本と海外の間で行われる取引でもインボイス制度に対応しなければならないケースが考えられます。

そのため、インボイス制度によって海外取引はどうなるのかと懸念されている事業者の方も多いのではないでしょうか。本記事では、消費税の仕入税額控除に関わるインボイス制度が海外取引に与える影響とは何か、事業者が事前に理解しておくべき確認事項について解説します。

目次

  • インボイス制度は海外事業者との取引にも影響する?
  • ケース別に見る海外取引上におけるインボイス制度への対応
  • 取引の前に海外事業者に確認すべき事項
  • 海外で実施されているインボイス制度
  • 国内・海外取引に関わらずインボイス制度を理解し態勢を整えよう
  • Stripe Invoicing でできること

インボイス制度は海外事業者との取引にも影響する?

インボイス制度による影響が及ぶ可能性のある取引は、日本で消費税の納税義務が発生する取引です。ここではまず、影響を受ける海外事業者との取引と、影響を受けない海外事業者との取引に分けて解説します。

影響を受けない取引

輸入業者が行う輸入取引

輸入業者が行う海外から日本国内への輸入取引については、インボイス制度による直接的な影響はありません。これは、輸入業者が海外から到着した品物に対し、税関へ輸入消費税を納税する際、輸入許可通知書が発行されるからです。この輸入許可通知書には、インボイス制度で定める適格請求書と同等の効力が認められています。そのため、輸入業者は海外に拠点を置く輸出業者に適格請求書を求める必要もなく、輸入許可通知書を用いて輸入時に支払った輸入消費税の仕入税額控除を受けることができます。

国外で取引された品物の輸入

国外で行われる輸入取引にインボイス制度の規定が及ぶことはありません。インボイス制度はあくまで日本の消費税に関係のある国内取引および上述した輸入取引が課税対象となるため、海外で行われた商品やサービス購入などの取引は日本の消費税適用の管轄外となる取引となります。

影響を受ける取引

日本国内に恒久的施設 (PE) を置く海外事業者との取引

恒久的施設とは、簡単にいうと事業を行う一定の場所などを意味します。英語では「Permanent Establishment」といい、一般的に略して PE と呼ばれることもあります。また、本記事内でも「PE」に統一して解説します。インボイス制度による影響があるのは、日本国内に PE を持つ海外事業者になります。日本国内に支店や工場などの PE を有する海外事業者の場合、国内において多くの事業者とのさまざまな B2B 取引が行われるため、課税事業者として日本での納税義務が生じます。したがって、このようなケースにおいて海外事業者が仕入税額控除を適用するためには、適格請求書を受け取る必要があるほか、海外事業者側も取引相手に対し、適格請求書を発行する必要性が出てきます。

PE がなくても消費税の課税対象となる海外事業者との取引

一方、日本国内に PE を持たない海外事業者であったとしても、インボイス制度への対応が求められるケースもあります。そのため、PE の有無だけで判断しないよう注意しましょう。

日本の国税庁によると、以下のような海外事業者については、PE がなくても日本国内で取引が行われる場合、課税事業者として届け出る必要があり、消費税の課税対象となります。

  • 出資金や資本金の額が 1,000 万円以上の法人

  • 基準期間 (個人は前々年、法人は前々事業年度) の国内における課税売上高が 1,000 万円を超える

  • 特定期間 (個人は前年の 1 月 1 日から 6 月 30 日まで、法人の場合は原則として前事業年度開始から 6 カ月) の課税売上が 1,000 万円を超える

取引の具体例としては、PE のない海外事業者が、日本国内の事業者から商品を仕入れ、別の日本国内の事業者に商品を販売した場合が挙げられます。

したがって、日本の事業者が上記の項目に該当する海外事業者と取引を行う際は、後々確実に仕入税額控除を受けられるようにするためにも、その海外事業者が消費税の課税対象か、且つインボイス制度の登録番号を所有する適格請求書発行事業者であるかどうかを事前に確認しておく必要があるといえます。詳しくは、後ほど本記事内の「取引の前に海外事業者に確認すべき事項」にて解説します。

ケース別に見る海外取引上におけるインボイス制度への対応

取引場所が国内の場合

前章の解説でもおわかりのとおり、取引が行われる場所が日本国内の場合、国内取引に該当するため消費税が課税されます。したがって、日本国内で海外事業者から品物を仕入れる買い手は、売り手の海外事業者から適格請求書を発行してもらう必要があります。

一方、先ほど解説したように、輸入業者が海外から輸入する品物に対して仕入税額控除を適用するにあたっては、輸入許可通知書が発行されるため、適格請求書は不要となります。

海外事業者の輸入手続きについて日本国内の事業者が代行する場合

日本国内に PE を持たない海外事業者 A 社の商品を輸入および購入したい消費者がいたとします。この場合、 A 社は PE がないため、A 社でカバーできる日本国内での物流ルートの確保や運用には限りがあります。このような場合、A 社に代わって、日本国内の代行業者の B 社が輸入手続きから商品の保管を担うことになります。

このケースでは、商品の販売自体はあくまで A 社と消費者の間でのやり取りとなります。そのため、商品の所有権は基本的には A 社ですが、A 社と消費者の間で売買が成立したことで、B 社の倉庫で保管されている商品の所有権は A 社から B 社へと一時的に移転します。これによって、B 社が A 社に代わって商品代金や消費税を消費者から受領することで、最終的に消費者へと所有権が移転し、取引が完了する流れになります。

なお、商品の所有権は、上述した一時的な所有権の移転時を除いて、輸入時および保管中も A 社のままとなることから、A 社には輸入申告義務や輸入時にかかる消費税の納付義務が発生します (手続きは B 社が代行)。また、B 社には、所有権の移転時の A 社との間で行われる仕入れ取引においては、一般的な国内での仕入れと同様の消費税が課税されます。

このように、商品の輸入者で所有権があるのは A 社で、商品を管理し、商品の出荷時点で一時的に所有権を有するのは B 社という点が複雑ではありますが、ここでの重要ポイントは、A 社が免税事業者か課税事業者かによって、B 社が仕入税額控除を適用するための対応が異なるという点です。

海外事業者 A 社が免税事業者の場合

A 社が免税事業者の場合、B 社との間で行われる国内取引に対しては A 社側の納税義務は発生しません。ただしこの場合も、A 社から B 社への商品の仕入れについては国内取引として、消費税の課税仕入れに該当します。

A 社は免税事業者となるため、適格請求書を発行することができませんが、B 社は A 社からの仕入れ額、すなわち支払対価の額をもとに消費税額を計算し、その消費税額分について仕入税額控除を適用することができます。

海外事業者 A 社が課税事業者の場合

A 社が課税事業者の場合、B 社は通関業社であると同時に A 社の納税管理人としての位置付けになります。A 社には課税事業者として、商品が保管されている B 社の国内倉庫所在地での納税義務が発生します。たとえば、B 社が A 社から商品を仕入れる際、この取引は国内取引となるため A 社は B 社から消費税を回収します。こうして A 社が回収する消費税は、納税対象になります。

こうした B 社・A 社間の取引において、商品販売にかかる消費税や輸入にかかる消費税は仕入税額控除の対象となります。そのため、B 社が仕入時に支払った消費税の仕入税額控除を受けるには、A 社から適格請求書を発行してもらう必要があります。

輸入申告名義人と実質的輸入者が異なる場合

繰り返しになりますが、輸入取引では品物の引渡しを受ける事業者は、輸入許可通知書を用いて仕入税額控除を適用することができます。つまりこの場合、「引渡しを受ける事業者 = 輸入申告名義人」という認識となり、輸入許可通知書には「輸入申告名義人」の名称が記載されます。

しかし、輸入許可通知書に記されている「輸入申告名義人」と「実質的輸入者」が異なる場合、仕入税額控除を適用できるのは輸入申告名義人のみで、実質的輸入者は控除の対象外となります。

たとえば、海外事業者 A 社と国内事業者 D 社が直接売買契約を結んでいるとします。D 社は日本国内の輸入代行業者 C 社に輸入手続きを代行してもらう場合、C 社が「輸入申告名義人」として輸入取引を行い、後ほど C 社から D 社に代行手数料と消費税を請求する流れになります。この場合、結果的に輸入にかかる消費税を負担しているのは「実質的輸入者」の D 社ではあるものの、「輸入申告名義人」は自社ではなく C 社であることから、自社は仕入税額控除を受けられません。

取引の前に海外事業者に確認すべき事項

ここまでで、インボイス制度との関わりが生じ得る海外事業者との取引について、ひと通り解説したところで、海外取引をスムーズに行うためのチェックポイントについてまとめて見てみましょう。

消費税の課税事業者か免税事業者か

「PE がなくても消費税の課税対象となる海外事業者との取引」で解説したように、取引を行う先方が海外事業者であったとしても、消費税の納税義務のある課税事業者に当てはまる場合があります。

課税事業者か免税事業者と取引を行うかで、インボイス制度への対応は変わってくるため、海外事業者との取引を検討中の事業者は、あらかじめ先方に確認するようにしましょう。

インボイス制度に登録済みか

インボイス制度に登録済みの適格請求書発行事業者かどうかを確認することも大切です。

というのも、課税事業者だからといって、必ずしも適格請求書発行事業者であるとは限らないからです。仕入税額控除の観点からすると取引先との便宜を図るため、インボイス制度については事実上ほとんどの課税事業者が登録済みではありますが、インボイス制度への登録そのものに対する法的義務はなく任意となります。

特に海外事業者の場合、日本の消費税の課税対象であったとしても、適格請求書発行事業者ではない可能性も考えられます。適格請求書の発行は、事前にインボイス制度に登録済みの適格請求書発行事業者のみに認められています。そのため、もし売り手側となる海外事業者が適格請求書発行事業者でない場合は、買い手側は適格請求書を売り手側から発行してもらえず、仕入税額控除を受けられなくなります。

仕入税額控除が適用できないと、取引が大きければ大きいほど収益の圧迫にもなりかねません。したがって、海外事業者との取引においても、国内間の取引同様にインボイス制度への登録依頼または交渉の必要性が出てくることを理解しておきましょう。

海外で実施されているインボイス制度

世界各国でも、ヨーロッパやアジア諸国などで広く用いられている付加価値税 (VAT) に対するインボイス制度が導入されています。

財務省による 2025 年度の資料によると、各国のインボイス制度については、以下のように日本と共通している点が見られます。

  • 仕入税額控除に関する取引の内容を適格請求書および帳簿に記載し、保存する必要がある
  • 免税事業者からの仕入れに対する控除は原則として認められない

また、日本のインボイス制度のもとで発行される適格請求書が電子帳簿保存法に対応する必要があるように、海外諸国でも適格請求書の電子データによる取り扱いが進んでいます。ヨーロッパの主要国では、ドイツにおける電子請求書の義務化イタリア企業を対象とする電子請求書の義務化が、その代表例といえるでしょう。

インボイス制度は各国において要件などがそれぞれに多少異なる点はありますが、日本の事業者が海外事業者との取引を行う際には、各国のインボイス制度に基づく先方の仕入税額控除の適用にも影響を与える可能性があるため、十分に理解を深めておくようにしましょう。

国内・海外取引に関わらずインボイス制度を理解し態勢を整えよう

今回は日本のインボイス制度による海外取引への影響について、具体的にどのような海外取引がインボイス制度に関わる可能性があるのかや、ケース別に見る海外取引上でのインボイス制度への対応について解説しました。

現行のインボイス制度のもとで事業者が問題なく仕入税額控除を受けるには、売り手側と買い手側、双方による適切な対応が求められます。特に、インボイス制度に準じた適格請求書を作成しなければならない売り手側については、書類の交付と保存がスムーズに行えるよう、インボイス制度に対応可能な環境を整えておくことがとても大切です。

たとえば、消費税の自動計算機能や会計ソフトのような、請求書作成作業の最適化を後押しするオンラインツールなら経理業務において大変便利なため、導入を検討してみるのもよいかもしれません。

日本のインボイス制度には仕入税額控除に関するさまざまな要件があり、国内での取引においても、インボイス制度開始後の免税事業者との取引や、経過措置などについて理解しておく必要がありますが、事前に態勢を万全にしておくことで、以後、より適切にインボイス制度に対応できるようになるでしょう。

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