使用量ベースの料金体系は従量課金制モデルです。つまり、定額料金ではなく、実際の使用量 (ストレージ容量、ストリーミング時間など) に基づいて料金が請求されます。この料金体系ではコストと価値のつい愛を取りやすく、また柔軟性にも優れているため、一般にクラウドコンピューティング、サービスとしてのソフトウェア(SaaS)、公益事業など利用されています。この料金体系モデルは、これらの業界をはじめさまざまな業界の企業が規模を拡大するうえで役立ちます。たとえば、世界のクラウドコンピューティング市場は 2023 年の時点で 6,023 億 1,000 万米ドルの価値があると推定されており、2024 年から 2030 年にかけて年間 21.2% での成長が予測されています。
以下では、使用量ベースの料金体系の仕組み、その長所と短所、そして Stripe がお客様のビジネスでこの料金体系を導入する際にどのように役立つかを説明します。
この記事の内容
- 使用量ベースの料金体系の仕組み
- 使用量ベースの料金体系のメリット
- 使用量ベースの料金体系の課題
- 使用量ベースの料金体系に役立つ Stripe の機能
使用量ベースの料金体系の仕組み
使用量ベースの料金体系では、定額料金ではなく使用した分の料金を支払います。請求システムは顧客の使用量をリアルタイムで追跡し、顧客に対して定期的に (例:毎週、毎月) 請求します。顧客は実際の使用量のみに対して料金を支払います。この料金体系モデルでは次のいずれかの構造を利用できます。
トランザクション単位: すべてのアクションに課金します。たとえば、スワイプあたりのクレジットカード処理手数料や、送信テキストあたりのショートメッセージサービス(SMS)サービス料金などがあります。
リソース単位: 料金は使用量に応じて増加します。たとえば、クラウドストレージのギガバイト単位の課金や、サーバーレスコンピューティングの機能拡張ごとの課金などがあります。
時間ベース: 料金はアクティブな使用時間に応じて決まります。たとえば、クラウドホスティングの秒単位、分単位、または時間単位での課金などがあります。
リアルタイムの追跡は、使用量ベースの料金体系の重要な要素です。企業は請求額を確認する必要があり、顧客は支出額を管理できる必要があります。多くのサービスでは使用量ダッシュボード、アラート、または利用限度が提供されており、顧客は継続的に状況を把握できます。この料金体系モデルが成功すると、コストの透明性を保ちながらユーザーに柔軟性をもたらすことができます。
使用量ベースの料金体系のメリット
使用量ベースの料金体系では、企業の請求方法や顧客の支払い方法を大きく変えることができます。これにより、企業と顧客の間に、よりバランスの取れた透明性の高い関係を築くことができます。この料金体系が機能する理由は次のとおりです。
導入のハードルが低い
このモデルでは、顧客が大きな契約に縛られることや、高い初期料金を支払うことなく、小規模に始めて必要に応じて拡張できます。このため、スタートアップ、小規模なチーム、慎重な購入者が、多額の費用を心配することなくサービスを簡単に試すことができます。
コストと価値が一致する
定額料金では多くの場合、顧客が未使用の容量に対して過大に支払うことや、人為的な上限にすぐに達してしまうことがあります。顧客が実際の使用量に基づいて支払うようにすることで、支払う料金とサービスから受け取る価値がより一致した状態になります。
よりスマートな利用を促進
すべてのアクションにコストがかかる場合、顧客はサービスの使い方をより意識して考えるようになります。これにより無駄が減り、リソース配分が効率化され、場合によっては全体的なパフォーマンスが向上します。
簡単に拡大縮小できる
需要が変動する企業は、自社のニーズに常に合致するとは限らない定額プランを購入する必要はありません。企業は季節的な繁忙期や予期しない成長に対処しているかどうかにかかわらず、使用した分だけを支払うため、無駄な支出や過剰な購入はありません。
成長を自然に促進
このモデルを使用する企業は、その収益を新規登録だけでなく、既存の顧客の使用量にも依存するため、収益を拡大できます。実質的な価値を提供する製品の場合、時間の経過とともに顧客の使用量が増加する可能性があり、これが自然に拡大へとつながります。
より透明性の高い関係を構築
この料金体系は使用量に基づいているため、顧客は明確に追跡できることを期待しています。このことから、企業はより優れたダッシュボード、使用量アラート、リアルタイムの請求の可視化を提供するようになり、顧客は状況を把握できいていると感じるようになります。
使用量ベースの料金体系の課題
使用量ベースの料金体系は、企業と顧客のいずれにも課題をもたらすこともあります。ここでは、そのような課題をいくつかご紹介します。
売上の一貫性が見込めない
定額制モデルでは、企業は毎月の収入を正確に把握できます。これは、使用量ベースの料金体系には当てはまりません。季節性、経済の変化、予測不可能な需要などによって顧客の使用量が変動する場合、収益も変動します。これにより、予測と財務計画が困難になる可能性があります。
予想外のコスト
顧客にとっては、使用した分だけ支払うことは理想的に聞こえるかもしれません。ただし、使用量がピークに達するときには請求額が予想よりも高くなる可能性があります。顧客が使用量を明確に把握できていないと、予算編成が難しくなる可能性があります。コストの上昇に顧客がショックを受けた場合、顧客は代替ソリューションを探すことになるかもしれません。
複雑な料金体系と請求
シンプルな月額料金は分かりやすい料金体系です。ただし使用量ベースの料金体系は、特に単位が不明瞭な場合や、レベルによって料金が変わる場合は、把握することが難しくなる可能性があります。企業は、透明性が高く直感的な方法で料金的体系を構成すると同時に、請求システムで最小単位までのすべての使用量を追跡できるようにする必要があります。
プロバイダーと顧客のためのリアルタイム追跡
プロバイダーは正しく請求するためにリアルタイムのデータ追跡を必要としており、顧客は支出を管理するためにリアルタイムのデータ追跡を必要としています。追跡に時間がかかっていたり、不正確であったり、使いにくいダッシュボードで分かりにくかったりすると、顧客は請求書を信用せず、企業は不審請求の申し立てや苦情を受ける可能性が高くなります。
支出に対する意識
定額のサブスクリプション料金は予測可能なため、顧客はこのような料金についてはあまり考えないかもしれません。しかし、すべてのアクションにコストがかかる場合、顧客は自分が何に対して料金を支払っているかをより意識するようになります。支払い額が多すぎると感じ始めると、使用量を減らすか、他のソリューションを探すことになります。企業は、自社が提供する価値を積極的にアピールする必要があります。
キャンセルのしやすさ
毎月のサブスクリプションでは、時間の確約が必要です。ただし、従量課金制の料金体系では、顧客はキャンセルが容易であるか、妥当であると感じることがあります。サービスが不要になった場合やコストがかさみ始めた場合には、顧客は使用量を減らすことや、プロバイダーを切り替えることが簡単にできます。このため、企業は顧客維持戦略に投資する必要があります。
顧客の獲得と維持
サブスクリプションモデルでは、ビジネスは新規顧客の登録によって収益を増やします。使用量ベースの料金体系では、売上増加は、新規顧客の獲得と既存顧客の使用量増加の促進の両方によって実現します。このため、企業は、従来とは思考様式を変え、顧客に圧力を感じさせることなく、料金インセンティブ、顧客教育、エンゲージメントを提供できなければなりません。
使用量ベースの料金体系に役立つ Stripe の機能
Stripe で使用量の追跡から顧客への請求までのすべての処理を行うことで、使用量ベースの料金体系の導入が容易になります。製品の使用量に基づいて請求する場合に、Stripe がどのように役立つかを以下で説明します。
使用量の追跡と自動請求
すべてのアプリケーション プログラミング インターフェイス (API) コール、データ (ギガバイト単位)、またはトランザクションをログに記録する独自のシステムを構築する代わりに、そのデータを Stripe に送信できます。Stripe により料金設定ルールに基づいて料金が計算され、それに応じて顧客に請求されるため、この作業を手動で行う必要はありません。
さまざまな料金体系に対応
企業によって請求方法は異なります。Stripe の柔軟性により、次のようなさまざまなモデルに対応できます。
従量課金制: 企業は、使用されたアクション、リクエスト、または単位ごとに顧客に請求します。
数量ベースの料金体系: 使用量の増加に伴って料金が下がります。
段階制料金: さまざまな料金レベルにそれぞれ異なる使用量しきい値が設定されています。
カスタムモデル: 異なるアプローチを組み合わせたモデルです。
Stripe は、サブスクリプション料金体系と使用量ベースの料金体系を組み合わせたハイブリッドモデル (例: 定額の月額料金に使用量ベースの料金 を追加したモデル) を処理することもできます。
請求と支払い処理
Stripe は、実際の使用量に基づいて請求書を生成するため、顧客は明確で正確な請求書を受け取ります。自動支払いを有効にする場合、Stripe はバックグラウンドで支払いを処理します。これにより、支払いの遅延や手作業によるフォローアップを最小限に抑えることができます。
リアルタイムの可視性
Stripe ダッシュボードを使用して、収益の傾向、顧客の使用パターン、潜在的な解約リスクを簡単に確認できます。一方、顧客は各自の支出をリアルタイムで追跡できるため、不審請求の申し立てや予想外の料金の発生を減らすことができます。
使用量アラート
予想外に高額な請求があると、顧客はすぐに失望する可能性があります。Stripe では、使用量アラートを作成して、特定の制限に達する前に顧客に通知することができます。これにより顧客は各自の支出を監視でき、苦情 (最悪の場合はキャンセル) を回避できます。
グローバル決済と法令遵守の簡素化
複数の国に顧客がいる場合、Stripe で通貨換算、税金計算、支払いに関する規制への対処が行われます。つまり、クロスボーダー請求に関する運用上の課題に時間を費やすことなく、グローバルに拡大できます。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。