電子請求書は、取引の詳細 (購入品、代金、支払い期日など) が記載されたデジタル文書です。手作業による処理が必要な紙の請求書とは異なり、電子請求書は多くの場合、メールまたは特殊なソフトウェアを通じて、売り手と買い手の間ですばやくやり取りできるように設計されています。
電子請求書を処理する場合、使用する形式によって、情報の構造、共有方法、およびソフトウェアやプラットフォームで簡単に処理できるかどうかが決まります。この形式は、特定の業界や政府機関と取引している場合、法令遵守の要件にも影響を与える可能性があります。適切な形式の選択は、取引先や取引のルールによって異なります。
以下では、一般的な電子請求書の形式、特定の形式を使用するタイミング、および規制がそれらにどのように影響するかについて解説します。
目次
- 電子請求書と通常の請求書の違い
- 一般的な電子請求書の形式
- 特定の形式を使用するケース
- 特定の電子請求書形式を使用している業界
- 規制が電子請求書の形式に与える影響
- Stripe Invoicing でできること
電子請求書と通常の請求書の違い
通常の請求書は通常、紙の文書または企業が顧客に電子メールで送信する PDF の形をとります。多くの場合、手作業で記入、印刷、処理する必要があります。電子請求書は、最初から最後までデジタルで処理されます。この請求書は、システムが自動的に理解して処理できる構造化された形式で作成されます。また、最小限の介入で売り手のシステムから買い手のシステムに直接受け渡すことが可能です。
一般的な電子請求書の形式
電子請求書にはいくつか形式がありますが、それぞれシステムが請求情報を読みやすく、処理しやすく、そしてやり取りしやすくなるように設計されています。ここでは、最も一般的な形式についてご紹介します。
拡張マークアップ言語 (XML)
XMLは、電子請求書で最も広く使用されている形式の 1 つです。コンピューターが処理しやすいだけでなく、人間が判読するのも容易な形式です。XML は高度にカスタマイズ可能で、複雑な取引にも適しているため、多くの政府や業界で XML が使用されています。
ユニバーサルビジネス言語 (UBL)
UBL は、XML をベースとし、請求書などのビジネスドキュメント用に設計された特定用途の形式です。ヨーロッパを中心に国際的に使用されており、多くの国で電子請求規格として認められています。
行政、商業、運輸のための電子データ交換 (EDIFACT)
EDIFACT は古くからある形式ですが、成長企業をはじめ、配送業や小売業などの業界で特に広く使用されています。これは、広範な電子データ交換 (EDI) システムの一部であり、さまざまな種類のビジネスデータを交換できるように設計されています。
データ埋め込み型 PDF
基本的な PDF は技術的には電子請求書ではありませんが、一部のPDFには、電子システムが読み取れる形式 (XML など) の埋め込みデータが含まれています。このハイブリッド形式は、従来の請求書から完全なデジタル請求書に移行する企業でよく使用されています。
汎欧州オンライン公共調達 (PEPPOL) BIS 請求書
PEPPOL は、電子請求書とデータ交換をサポートする安全なネットワークであり、PEPPOL BIS 請求書はそのネットワークで使用される形式です。PEPPOL はヨーロッパが起源であり、その後、オーストラリア、ニュージーランド、アラブ首長国連邦、およびアジア全域の国々に拡大していきました。
独自形式
一部の企業や業界では、システムに合わせてカスタマイズされた独自の形式を使用しています。これらはクローズドネットワーク内ではうまく機能しますが、他のシステムで処理するには変換ツールを必要とすることがよくあります。
特定の形式を使用するケース
電子請求書の形式を選択するときは、ビジネスのニーズ、使用しているシステム、および従う必要のある規制を考慮してください。適切な形式を選ぶことにより、取引が円滑になり、エラーが減り、法務および業界標準への法令遵守が保証されます。ここでは、電子請求書のそれぞれの形式がどのような場面で使用されるかについて詳しくご紹介します。
XML
システム間でやり取りする場合、柔軟性と互換性が必要です。XML は適応性が高く、さまざまな取引を処理する企業や国際的に事業を展開している企業に適しています。
UBL
ヨーロッパで活動しているか、国際的な電子請求基準に準拠している企業に適しています。UBL は、EU 内の政府契約や越境取引に関与している場合に特に有用です。このような状況では、UBL が要件となるケースがよくあります。
EDIFACT
小売、物流、製造など、大量かつ大規模な取引を扱う業界で使用されます。EDIFACT は、会社がすでに EDI システムを使用して取引先とデータを交換している場合に最適です。これは、自動化されたプロセスを確立している企業にとって信頼できる選択肢です。
データ埋め込み型 PDF
紙の請求書または通常のデジタル請求書から、完全な電子請求書に移行している企業にとって最適な形式です。この形式は、人間が読みやすく、自動データ抽出も可能なため、中間的な選択肢になり得ます。また、取引パートナーが完全に構造化された電子請求の準備ができていない場合にも役立ちます。
PEPPOL BIS 請求書
公共機関と取引する場合や、PEPPOL ネットワークを通じて請求書を送信する必要がある場合に使用されます。PEPPOL BIS 請求書は、国境を越えて請求書を受け渡すことに特化した、標準化された安全な方法です。
独自形式
特定の業種や標準化された内部システムを持つサプライチェーンなど、クローズドネットワーク内で事業を展開している企業が使用しています。内部プロセスは容易になりますが、外部パートナーと提携してコンバーターを確保しなければならない場合があります。
特定の電子請求書形式を使用している業界
業界が異なれば、固有のニーズ、取引量、規制環境に応じて特定の電子請求書形式を使用しています。たとえば、小売業や物流などの取引量の多いセクターでは、大量のデータを適切に処理できる形式が好まれる傾向がある一方、政府機関は法令遵守のために UBL や PEPPOL BIS 請求書などのあらかじめ義務付けられた形式をよく使用しています。
ここでは、業界ごとに一般的に使用されている形式を詳しく見ていきます。
小売・消費財
小売業者や消費財企業は、多くの場合、大量の取引と複数のサプライヤーを管理しています。EDIFACT は、大規模なデータ交換を処理できるため、長年にわたって人気があります。XML は、その適応性と最新のシステムとの連携のしやすさから注目を集めています。
製造
製造業者は、複雑なサプライチェーンを管理し、調達プロセスを自動化するために、EDIFACT を頻繁に使用しています。独自形式は、緊密に統合されたサプライヤーネットワーク内でも一般的に使用されています。
物流・輸送
物流は、出荷情報や通関書類などのデータに依存しています。EDIFACT は広く使用されている形式であり、UBL は越境取引に、特にヨーロッパなどの地域で使用されています。
官公庁・公共機関
多くの場合、政府機関は商品やサービスを提供する企業に対して特定の電子請求書形式の使用を義務付けています。UBL はヨーロッパで必須とされているケースが多く、PEPPOL BIS 請求書は多くの国で公共調達の電子請求における標準的なフレームワークになっています。
ヘルスケア
医療用品、医療機器、医療サービスの請求書には、XML、Health Level 7 (HL7)、または医療システム用にカスタマイズされた独自の形式がよく使用されます。これらの形式は、厳しい規制に準拠しながら正確なデータ処理を保証します。
金融・保険
金融および保険セクターは、正確性、セキュリティ、および法令遵守を確保するために、XML や UBL などの構造化された形式を優先して使用しています。また、金融機関どうしでの取引では ISO (国際標準化機構) 20022 も使用されています。
テクノロジー・ソフトウェア
テクノロジー企業は、XML や JSON (JavaScript Object Notation) などの柔軟で最新の形式を電子請求に採用することがよくあります。これらの形式はクラウドベースのシステムや API (アプリケーションプログラミングインターフェイス) とうまく連携するためです。
エネルギー・公益事業
エネルギープロバイダーや公益事業会社は、多くの場合、EDIFACT を使用して、大規模な顧客ベースやサプライチェーン全体の請求処理を管理しています。XML は比較的新しい、より適応性の高いシステム向けに使用されています。
卸売・流通
卸売業者は EDIFACT を使用して大量注文を処理し、小規模な流通業者は XML またはハイブリッド PDF 形式を使用して多様な顧客ニーズに対応しているケースがよく見られます。
規制が電子請求書の形式に与える影響
政府や業界は、請求書のフォーマットに関する特定のルールを定めています。多くの国で電子請求書の規制が導入されており、今後数年以内にさらに多くの規制が適用されると予想されています。これらのルールは、多くの場合、非居住事業者にも適用されます。
2025 年、EU はシステムの近代化に重点を置いた新しい税法パッケージを採択しました。とりわけ、この法律では、域内の電子請求書を EU 標準の機械読み取り可能な形式で提出することが義務付けられています。イギリスでは、2029 年以降、すべての VAT 登録事業者に対して、B2B (企業間取引) および B2G (企業対政府取引) の電子請求書の提出が義務付けられます。
数年前に電子請求書の義務化を開始した国もあります。ベトナムでは、2022 年から企業に電子請求書の発行が義務付けられています。中南米の多くの国々はそれよりもさらに先行しており、メキシコでは 2011 年に電子請求書義務化の第 1 段階を導入し、2014 年にはほぼすべての取引に拡大しています。
請求書がこれらのルールに準拠していない場合、請求書は拒否され、さらに罰則まで科せられる可能性があります。またこれにより、顧客からの支払いが遅くなる事態も生じ得ます。法令遵守を確保するために、以下の対策を講じてください。
規則の最新情報を把握する: 規制は国や業種によって異なり、頻繁に変更されるため、変更についての情報は常に入手するよう心がけてください。
柔軟なソフトウェアへの投資: 優れた請求書作成ソフトウェアは、さまざまな形式を処理し、ルールが変更されたときに適応できます。
必要であれば助けを求める: 税理士や法令遵守の専門家と協力することで、時間と手間を省くことができます。
ここでは、規制が電子請求書の形式に与える影響について説明します。
使用形式に関する規則
一部の地域では、政府が企業に特定の電子請求書形式の使用を義務付けています。以下はその例です。
公共セクターのクライアントと取引しているヨーロッパ企業は、UBL や PEPPOL BIS 請求書がよく求められます。
ラテンアメリカでは、ブラジルなどの国には独自の XML ベースの形式があり、税務システムに直接結びついています。
請求書と税制の関連付け
現在、多くの国では、税務報告制度の一環として電子請求書が使用されています。つまり、請求書の形式は、政府のシステムが処理できるものと一致している必要があります。以下はその例です。
インドでは、企業は請求書を JSON 形式で作成し、物品サービス税 (GST) プラットフォームに直接アップロードできるようにする必要があります。
イタリアでは、企業は FatturaPA 形式で請求書を作成し、政府の交換システムに報告する必要があります。
国際貿易の簡素化
国境を越えてビジネスを行っている場合、規制により、国際的に互換性のある形式を使用することが求められる場合があります。UBL や PEPPOL BIS 請求書は、国をまたいだ請求書のやり取りを容易にするように設計されています。
業種固有の規則
特定の業界は他の業界よりも厳しく規制されているため、従うべき特定の形式がある場合があります。以下はその例です。
ヘルスケア業界では、セキュリティを強化するために請求書を HL7 形式で作成する必要がある場合があります。
物流業界では、通関や配送にかかる煩雑な手続きを処理するため、請求書は EDIFACT 標準に従って作成されることがよくあります。
監査と追跡の容易化
多くの場合、政府は請求書に具体的な情報を含めることを望んでいます。これにより、支払いの追跡、エラーの発見、不正利用の特定などが可能になります。XML や UBL などの形式は内容が詳細で、かつ検索も簡単なため、この用途にうまく適合します。
セキュリティ機能の組み込み
一部の規制では、請求書が本物であることを確認するために追加のセキュリティが要求されます。たとえば、PEPPOL BIS 請求書にはデジタル署名を含めることができます。
Stripe Invoicing でできること
Stripe Invoicing は、請求書の作成から支払い回収までの売掛金 (AR) プロセスを簡素化します。単発請求でも継続課金でも、Stripe は事業者がより早く支払いを受け、業務を効率化できるようサポートします。
- 売掛金処理の自動化: コーディング不要で、プロフェッショナルな請求書を簡単に作成、カスタマイズ、送信できます。Stripe は請求書のステータスを自動で追跡し、支払いリマインダーの送信や返金処理も行うため、キャッシュフローの把握が容易になります。
- キャッシュフローの改善: 統合されたグローバル決済、自動リマインダー、AI を活用した督促ツールにより、売掛金回収日数 (DSO) を短縮し、より早く入金を得られます。
- 顧客体験の向上: 25 以上の言語、135 以上の通貨、100 以上の決済手段をサポートする最新の決済体験を提供します。請求書へのアクセスは簡単で、セルフサービスのカスタマーポータルから支払うことも可能です。
- バックオフィスの負担軽減: 数分で請求書を作成し、自動リマインダーや Stripe オンライン請求書支払いページにより、回収業務にかかる時間を削減します。
- 既存システムとの連携: Stripe Invoicing は、主要な会計ソフトや ERP (企業資源計画) ソフトと連携し、システム間の同期を保ちながら手入力を減らします。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。