インボイスと請求書は帳簿の貸借対照に役立つだけではありません。組織のあらゆる面に関わり、クライアントや顧客との関係にも影響を与えます。インボイスと請求書を活用することで、クライアントや顧客の行動把握、プロセスの効率化、データを用いた戦略の伝達が可能になります。
世界の電子インボイス業界は年間 20% 以上の成長が見込まれており、2027 年までに 247 億ドルに達すると予想されています。これは、グローバル経済におけるインボイスの重要性を裏付けるものです。請求書・インボイス業務に対し、十分な検討と情報に基づいて取り組むことで、支払いの高速化、財務安定性の向上、信頼の向上、クライアント・顧客との建設的な関係の促進を実現することができます。
以下では、請求書とインボイスの違い、請求書とインボイスの併用方法、請求書・インボイスに関する Stripe の活用についてご説明します。
この記事の内容
- インボイスとは
- 請求書とは
- インボイスと請求書の違い
- インボイスと請求書に関するベストプラクティス
- Stripe がサポートできること
世界のビジネスリーダーを対象とした最近の調査によると、柔軟性に欠ける請求システムが原因で売上を失ったことがある企業は、38% にのぼります。請求システムを最適化して収益成長を加速させる方法については、請求システムが成長の妨げとなっていませんか? レポートをご覧ください。
インボイスとは
インボイスとは、提供される商品やサービスと併せて価格・料金、数量、支払い条件を記載した明細書であり、売り手から顧客に発行されるものです。インボイスの主な特徴は次のとおりです。
目的: インボイスは主に事業者間 (B2B) 取引で使用されます。多くの場合、商品・サービスの提供後に売り手が発行します。
内容: インボイスには通常、提供される製品・サービスの明細と併せて複数の項目と合計金額が記載されます。そのほか、売り手と顧客の連絡先情報、インボイス番号、発行日、支払い条件 (NET30 (30 日以内に支払う) など) といった情報も記載されます。多くの場合、インボイスには利用可能な決済手段が明記されています。
機能: インボイスは、支払いの請求だけでなく、会計管理上も重要な役割を果たしています。売上の追跡、在庫管理、売掛金の記録にも役立ちます。また、事業者が法的要件や税務要件を満たすための取引証明としても使われます。
請求書とは
請求書とは、提供される商品やサービスに対する支払いを直ちに要請する目的で発行される書類です。請求書の主な特徴は次のとおりです。
目的: 請求書は主に事業者・消費者間 (B2C) 取引で使用されます。請求書は直接的な支払い依頼であり、主に小売業での支払いや、顧客に直接提供されるサービスで使用されます。
内容: 請求書には通常、連絡先情報、提供される商品やサービスの概要、合計金額が記載されており、支払い期限が記載されている場合もあります。
機能: 請求書の主な役割は、取引で支払うべき金額を顧客に知らせることです。
インボイスと請求書の違い
インボイスと請求書はどちらも商取引で支払いを請求する目的で使用される書類ですが、目的がわずかに異なるほか、使用される場面も異なります。
相違点
使用される場面: インボイスは通常、関係性が継続し、詳細な記録管理が重要となる B2B 取引で使用されます。B2C の場面では請求書の方が広く使われています。B2C 取引には即時性があり、B2B 取引程の詳細は求められません。飲食店や自動車整備士から受け取る請求書を想像してみましょう。
詳細度: インボイスには通常、支払い条件やクライアントの詳細など、会計や法的目的で必要な情報が記載されています。一般に、請求書はインボイスよりもシンプルで、顧客に支払うべき金額を通知するために必要な情報だけが記載されています。
支払い条件: 多くの場合、インボイスには支払い条件が記載されています。請求書の場合は、支払い期限が請求書の受領時か、インボイスよりも短期間であることが多いです。
類似点
目的: どちらも商品やサービスの支払いを請求する書類です。
財務追跡: どちらの書類も重要な財務取引記録であり、収支の追跡に役立ちます。
併用: 事業者によっては記録管理のために請求書に続けてインボイスを発行する場合があります。こうした併用は、保険や税務上の目的のため、即時サービス (医療機関の予約など) の後で詳細が記載されたインボイスを発行するといった場面で行われます。
インボイスと請求書は事業者の財務と経営のさまざまな側面に関わるため、どちらも正確な財務追跡と記録管理を実現するために重要です。
インボイスと請求書に関するベストプラクティス
財務プロセスの微調整には、請求書とインボイスの発行について理解しておく必要があります。ベストプラクティスを採用することで、バックオフィスの雑務だった請求およびインボイス発行業務が資産へと変わります。次のようなベストプラクティスを実践することで、正確性の向上、効率化、顧客の支払い体験を向上させることができます。
追跡の自動化: インボイスを送付し、ステータスを追跡する高度なソフトウェアを導入します。未払い、支払い済み、期限超過のインボイスをひと目で確認できるようになります。リアルタイムの追跡が可能になることで、支払いの遅延にすばやく対応できます。同様に, 自動請求システムは支払いの回収や追跡に活用できます。
インボイス発行サイクルカスタマイズ: 画一的なやり方を用いるのではなく、クライアントの希望やプロジェクトの種類に応じてインボイス発行業務を調整します。長期のプロジェクトではマイルストーンベースのインボイス発行を検討しましょう。マイルストーンを用いる場合、プロジェクトの終了時に一括で請求を行うのではなく、プロジェクトの区切りごとにインボイスを発行します。これにより、定期的なキャッシュフローを確保できます。
動的なインボイス発行: クライアントや業務の種類に応じてインボイスを調整できます。このためクライアントの希望や業界標準に関する情報に基づいて、レイアウト、詳細度、使用言語を変更できるようになります。
高度な支払い条件: 受領後 30 日以内の支払いを求める NET30 のような標準的な支払い条件に代えて、早期の支払いに対する割引の適用や延滞手数料の導入などを検討します。これにより、スピーディーな支払いを促し、支払いの遅延に対する補償を確保することができます。
電子インボイスの検証: テクノロジーを活用して、インボイスとクライアントの発注書や契約書との整合性を確保します。このプロセスを自動化することで、不審請求の申請や、不一致に起因する支払いの遅延を減らすことができます。
直接の連絡手段: 請求書やインボイスに関する問い合わせを直接受け付ける連絡手段を設けます。この例としては、専用のメールアドレスを用意したり、インボイスや請求書の確認や財務チームへの連絡が可能なクライアント向けポータルサイトを開設したりといった方法が挙げられます。
定期的なインボイス監査: インボイス発行業務のプロセスを定期的に見直して、支払いの遅延や不審請求の申請に発生パターンがないかを明らかにします。このデータを基にして、インボイスのレイアウト変更やフォローアッププロセスの変更など、業務内容の改善を図ります。
データ分析: データ分析を使用して、支払いパターンやクライアントの行動を把握します。それらの知見を活用することで、インボイスの送付に最適なタイミング、最も効果的なフォローアップ戦略、各クライアントに適用する支払い条件の策定方法、受付を可能にする決済手段について、十分な情報に基づく判断が可能になります。
キャッシュフローの将来計画: インボイスや請求書のデータを活用してキャッシュフローを予測します。将来計画では、支払いが発生すると思われる時期を分析し、それに応じて現金不足を避けられるように支出計画を策定することが必要になります。
他の業務システムとの連携: インボイス・請求書システムが顧客関係管理 (CRM) システムや統合基幹業務 (ERP) システムといった他の業務ソフトウェアとシームレスに連携できるようにします。業務全体でデータの流れが円滑になり、手入力やミスを減らすことができます。
フォローアップのカスタマイズ: クライアントや状況に応じてフォローアップメッセージをカスタマイズします。クライアントの履歴や自社との関係を考慮してメッセージをカスタマイズすることで、画一的なリマインダーメールよりも効果的なメッセージを作成できます。
クライアントの教育: 誤解が原因で支払いの遅延が発生する場合があります。取引開始時、クライアントに対してインボイス・請求書プロセスに関する情報提供を行います。前もってしっかりと情報提供を行うことで、後々の問題の発生を防止できます。
Stripe がサポートできること
Stripe Billing と Stripe Invoicing は、柔軟性のある総合的な企業向けのインボイス・請求書管理ソリューションです。インボイス作成の自動化から高度なレポート作成機能まで、事業者が抱える多様なニーズに対応します。Stripe のソリューションは、財務効率化、一貫性のある顧客とのコミュニケーションの維持、財務記録管理義務の順守状況の検証に活用できます。
ここでは、それらの業務を Stripe のソリューションがどのようにサポートできるかについてご紹介します。
Stripe Billing
インボイスの自動作成: Stripe Billing を利用することで、インボイスの作成を効率化できます。これにより、顧客ごとに設定した請求条件に基づいてインボイスを自動生成できるようになります。手動でインボイスを作成するための管理業務を削減できるため、顧客基盤の大きい事業者や請求書の構成が複雑な事業者には特に有用な機能です。
柔軟な請求スケジュール: 自社のビジネスモデルに適した多様な請求スケジュールを設定できます。1 回限りの請求でも、継続サブスクリプションでも、従量制の請求 (サービスの使用状況に応じて課金する方法) でも、Stripe Billing では多様な請求スケジュールを簡単に処理できます。こうした柔軟性は、幅広いサービスを提供している場合や顧客基盤が多様な場合には特に重要です。
インボイスのカスタマイズとブランディング: Stripe では、ロゴやブランドカラーといったブランディング要素を追加して、インボイスをカスタマイズできます。また、インボイスのレイアウトや記載情報もカスタマイズできるため、顧客への十分な情報伝達を確保しながら、ブランドアイデンティティを表現することが可能になります。
高度なレポート作成機能: 詳細なレポート作成機能を備えており、請求書やインボイスの業務を追跡することができます。たとえば、獲得・未獲得収益の数値をリアルタイムで確認して自社の財務状況を監視できます。
既存システムとの連携: Stripe のアプリケーションプログラミングインターフェイス (API) を利用することで、既存の CRM システム、ERP システム、会計システムとの連携が可能になります。このため、Stripe を通じて生成したインボイスを自社の主要会計システムに自動で記録でき、一貫性のある一元的な記録管理を行うことができます。
Stripe Invoicing
請求プロセスの効率化: Stripe Invoicing を利用すると、インボイスの送付および管理のプロセスがシンプルになります。インボイスを簡単に作成して、顧客のメールアドレスに送信することができます。
支払い条件: 期日など、インボイスに記載する条件を個別に設定できます。Stripe Invoicing を利用することで、各条件を対象となる顧客に確実に通知できます。これにより、顧客の期待に応え、透明性を高め、クライアントからの信頼を育み、適時な支払いを促すことが可能です。
オンライン決済との連携: Stripe を介して送付されるインボイスには、直接使用できる支払いリンクが記載されます。顧客は各自が選択した決済手段を使ってインボイスの支払いをオンラインで行うことができます。これにより、プロセスが事業者と顧客の双方にとって簡単で便利なものになります。
複数通貨と言語への対応: 顧客基盤が全世界に拡がる事業者のため、Stripe Invoicing は複数通貨および言語での請求に対応しています。この機能により、その地域に応じた決済体験を各地の顧客に提供できます。
支払いのリマインドメールの自動送信: Stripe Invoicing では、期日間近の支払いや期日を超過した支払いを顧客に知らせるリマインドメールを自動送信でき、支払いの追跡に伴う手作業を減らすことができます。
記録管理と法令遵守: Stripe を通じて送付したインボイスはすべて保存され、将来も簡単に参照することができるため、法令遵守や監査プロセスに利用することができます。
請求書およびインボイス作成業務に Stripe をどのように活用できるかについてご確認ください。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。