「未払いの請求書」とは、売り手が発行した請求書のうち、買い手がまだ支払っていない請求書を指します。これは、提供された商品またはサービスの代価として顧客が支払うべき金額の未払い額を表し、全額の支払いを受領するまでは「未払い」と見なされます。
請求書の期日を過ぎても支払われていない場合は、支払いのリマインドメールや債権回収へのエスカレーションなどのフォローアップアクションが必要になります。2022 年の調査によると、半数以上の企業で支払いのフォローアップに毎週 4 時間以上を費やしていることがわかりました。未払いの請求書を適切に追跡して管理することで、適時に行われる支払いを増やし、回収に関連する管理上の負担を軽減できます。
この記事では、未払いの請求書の管理と追跡の方法、未払いを極力減らす方法、および財務諸表への記載方法について説明します。
この記事の内容
- 未払いの請求書の管理および追跡方法
- 未払いの請求書が過剰にある場合のリスク
- 未払いの請求書を極力減らすための明確な支払い条件の設定方法
- 未払いの請求書のリマインドメールを自動化する方法
- 未払いの請求書の回収作業をエスカレーションするタイミングと方法
- 財務諸表に未払いの請求書を記載する方法
未払いの請求書の管理および追跡方法
未払いの請求書の追跡は、企業の財務管理における重要な部分です。Stripe Invoicingなどのツールを使用することで、請求書の追跡をはるかに簡単にすることができます。その方法をご紹介します。
Stripe ダッシュボード
Stripe ダッシュボードには、すべての請求書の概要が表示され、そのステータスが下書き、未払い、支払い済み、期限切れのいずれであるかも示されるため、フォローアップが必要なものを特定することができます。
自動リマインドメール
顧客に未払いの請求書があるかを追跡する作業は時間がかかり、厄介にもなります。Stripe では、これに備えて支払いの自動リマインドメールを導入することができます。これは、顧客に気付かせるための丁寧な自動アクションあり、時間と労力をかけずに支払い遅延を減らすことができます。
Smart Retries
また、Stripe を使用すると、支払いの失敗の処理も簡単になります。自動回収と Smart Retries を使用すると、当初の支払いが失敗した場合に、スケジュールを微調整しながら支払いの回収を再試行します。これにより、手作業による介入ができる限り少なくして支払いをより早く受けられる可能性が上がります。
レポート機能
Stripe のレポートツールは、請求業務を追跡します。売上債権回転日数 (DSO) などの指標の使用や、支払いの成功率の調査により、請求プロセスの実効性を把握できます。こうした分析を利用することで、傾向の把握、慢性的な遅延顧客の特定、請求実務の改善を行い、未払いの請求書を最小限に抑えることができます。
未払いの請求書が過剰にある場合のリスク
未払いの請求書が過剰にあると、財務が不安定になり、日常業務に影響が及ぶことがあります。主なリスクの一部をご紹介します。
キャッシュフローの不足: 顧客が期限内に支払わないと、給与、サプライヤーへの支払い、家賃、その他の営業費など、自社の費用を賄うために必要な流動性が失われる可能性があります。
外部資金への依存度: 未払いの請求書がたまっている企業の多くは、信用供与枠や短期ローンなどの外部融資に頼らざるを得ません。これにより、利息や手数料の支払いが生じ、コストが増加して利益率の低下を招く場合があります。
計画策定と予算編成に対する障害: 未払いの請求書が多すぎると、財務予測の確実性が低下します。入金の時点、あるいは入金されるかが不明になることで、新規スタッフの採用、在庫の拡大、設備の向上などに自信を持って投資判断を下すことが難しくなります。
不良債権リスクの増大: 未払いの請求書が累積すればするほど、支払いが行われず、いわゆる不良債権になる確率が高くなります。支払いに時間がかかる顧客は、その顧客自身が金銭的な問題に直面している可能性があり、最終的に債務不履行に陥るリスクが増加します。
ベンダーとの関係の緊張: ベンダーへの支払いが期日までにできないと、支払い条件の変更、アカウントの保留、さらには取引拒否をベンダーから受ける場合があります。有利な条件や望ましいベンダーを失うと、サプライチェーンが混乱し、事業にさらなる問題が発生しかねません。
事業における信用の毀損: 債権者への支払いが遅れると、企業の信用格付けが損なわれる可能性があります。クレジットスコアが低くなると、将来の資金調達能力に制限が課せられたり、与信評価を受けた際に条件が厳しくなったりする可能性があります。
事業の混乱: 未払いの請求書が過剰にあると、老朽化した機器の交換、成長機会への投資、給与の支払いなどの重要なタスクを遅らさざるを得なくなることがあります。このような混乱は、業務の質、従業員の士気、顧客満足度に影響を与えることになります。
機会の逸失: サプライヤーからの一括割引、新しい市場への参入、有能な新入社員の雇用などのチャンスが訪れたとき、それをつかむには手持ち資金が必要です。資金の大部分が未払いの請求書に縛られている場合、これらの機会を逃し、事業の成長機会が阻害される可能性があります。
これらのリスクを回避するには、請求書の速やかな送付、支払い条件の事前通知、自動リマインドメール、積極的なフォローアップコミュニケーションなど、しっかりとした請求書管理戦術を採用します。このためには自動請求システムを活用することができます。
未払いの請求書を極力減らすための明確な支払い条件の設定方法
未払いの請求書を減らし、支払いを滞りなく受け取るには、明確な支払い条件を設定します。その方法は次のとおりです。
具体的な期日を定義する: 「即時払い」などの曖昧な表現は避けてください。代わりに、特定の期日を記載してください。
早期支払いにインセンティブを提供する: 請求書が 10 日以内に支払われた場合に 2% オフになる「2/10 Net 30 (支払いは 30 日以内。10 日以内の支払いの場合 2% 割引)」などの少額割引でスピーディーな支払いを奨励します。
延滞料を通知する: 支払いが遅れた場合のペナルティを前もって知らせておきます。これにより、遅延を抑止できます。
詳細な請求書を送付する: 金額、期日、支払い方法など、必要な詳細をすべて記載して、請求書をわかりやすくします。
柔軟な支払いオプションを提供する: Automated Clearing House (ACH) やクレジットカードなど、複数の支払いオプションを含めます。これにより、顧客の支払いにかかわる負担を減らすことができます。
条件を書面にする: 支払い条件を前もって契約や合意の書面に記載しておきます。
請求書を速やかに送付する: 作業が完了したらすぐに請求書を送り、支払いプロセスを開始します。
連絡をパーソナライズする: 請求書には、「いつもありがとうございます。速やかにお支払いをお待ちしております。今後も「お客様第一」のサービスに努める所存でございます。どうぞよろしくお願いいたします」など、タイムリーな支払いを促す丁寧なリマインドメールを追加します。
未払いの請求書のリマインドメールを自動化する方法
Stripe で未払いの請求書のリマインドメールを自動化すると、手動によるフォローアップ作業を減らし、支払いの適時性を高めることができます。その方法は次のとおりです。
Stripe ダッシュボードにログインします。
右上隅にある歯車のアイコンをクリックして、「設定」に移動します。
「Billing」セクションで、「Invoicing」をクリックします。
「高度な請求処理機能の管理」セクションが表示されるまで下にスクロールします。
「1 回限りの請求書が支払わなかった場合にリマインドメールを送信」オプションをオンに切り替えます。
「リマインドメールを追加」をクリックして、新しいリマインドメールを作成します。期日前の設定日、期日当日、または未払いの場合は期日後に送信できます。複数のリマインドメールを作成することで、自社の基準に対応できます。
必要に応じてリマインドメールの内容をカスタマイズするか、Stripe のデフォルトのリマインドメールを使用します。
リマインドメールのスケジュールと内容を確認できたら、「保存」をクリックします。
未払いの請求書の回収作業をエスカレーションするタイミングと方法
状況によっては、未払いの請求書の回収作業のエスカレーションが必要になります。次に該当する場合は、エスカレーション作業を開始することをお勧めします。
請求書の支払期日超過 30 日を超えている
複数のリマインドメールに回答がない
顧客が合意した支払いスケジュールを守らない
自動リマインドメールから、電話やパーソナライズされたメールなどの直接的な連絡に切り替えて、エスカレーションプロセスを開始します。毅然としながら親身な態度で、相手の状況を理解していることを示すと同時に、未払いの残高を解決する必要があることを強調します。顧客が経済的に苦しい状況にある場合は、条件の変更や分割払いのプランを提示して、支払いを確実に受け取れるようにしながら、善意を示します。
最初のエスカレーション作業が失敗した場合は、支払いの期限 (通常は 7 〜 10 日) が記載された正式な書面を送付します。回収業者の介入など、不払いによる影響を明確に記載してください。速やかな支払いを促すために、適用される延滞料や利息を繰り返し記載します。
請求書の期限を 60 日以上経過したら、回収業者の依頼を検討してください。ただし、回収された金額から一定の割合が回収業者に支払われることになります。法的措置は、多額の未払い残高に対する最終手段となりますが、これは、他のすべての方法を試し尽くした場合に備えた手段であるとお考えください。エスカレーションを段階的に行うことで、可能な限りクライアントとの関係を維持します。
財務諸表に未払いの請求書を記載する方法
未払いの請求書は、数種類の財務諸表に記載されます。記録方法は次のとおりです。
貸借対照表
未払いの請求書は、貸借対照表の売掛金 (AR) に記録されます。AR は、顧客が支払うべきもの、すなわち基本的にすべての未払いの請求書が反映されます。不良債権になりそうな請求書を計上するには、ここで貸倒引当金を設定します。この見積もりは AR の減少として記載され、回収が期待できる現金の金額をより現実的に把握できます。
売掛金年齢表
展望をより詳細に表示するには、請求書の期日超過 (30 日、60 日、90 日超など) で AR を分類する売掛金年齢表を使用します。これにより、キャッシュフローのリスクを検出し、期限内に支払いを受けられる見込みがどの程度あるかを示すことができます。
損益計算書
未払いの請求書からの収益は、商品またはサービスの納入後に認識されるため、損益計算書に記録されます。これは発生主義会計の原則に従うもので、手元にあるかどうかではなく、稼得したときに記録されるものです。
注意事項
多額の AR が期日超過やリスクがある状態にある場合は、財務諸表注記で開示します。これにより、利害関係者は潜在的な流動性の問題について常に情報を得ることができます。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。