フランスに拠点を置く企業が、フランス語圏の市場以外で事業を展開している場合があります。そのため、貴社の事業でも、フランス語より英語のほうが堪能な企業やクライアントとの提携が必要になるかもしれません。
このような状況では、フランスの法的要件に準拠しているのであれば、書類 (特に請求書) を英語に翻訳できます。英語で請求書を作成できれば、グローバル展開のチャンスをつかむ柔軟性があり準備ができていることを示せます。この記事では、英語話者の顧客に対する請求書を作成する方法について説明します。
この記事の内容
- 英語で請求書の下書きを作成する理由
- 英語の請求書に必要な情報
- 英語の請求書で使用する用語
- 英語の請求書で使用する通貨
- 翻訳した請求書での VAT の計算方法
英語で請求書の下書きを作成する理由
フランス語は 7 大陸のうち 6 大陸で使用されていますが、世界で見るとそれほど一般的に使われている言語ではありません。場合によっては、グローバルビジネスの共通言語である英語のほうがもっと堪能なサプライヤーや顧客もいます。
フランスの企業は、規模の大小を問わず、英語で請求書を発行することを選択できます。英語話者と取引をすることが多い場合、またはフランス語がわからない人が請求書を受け取る場合は、請求書を英語で作成するのが賢明かもしれません。
英語で請求書を発行すると、フランスの企業にとってさまざまなメリットがあります。特に、利便性や国外のクライアントと信頼関係を構築するという点で効果的です。
法令遵守と明瞭さ: 英語を使用することで、国際規範に沿い、フランス語話者でない企業とのコミュニケーションがより明確になります。
国際取引:英語を使用すると、世界中の顧客に対応するのにふさわしいプロ意識を体現し、支払いプロセスのスピードアップにもつながります。
信頼: 請求書が明確だと、ミスを防ぐことができ、国外のクライアントからのロイヤルティも高まります。
また、フランス語話者は 3 億 2,100 万人であるのに対し、第一言語または第二言語として英語を話す人は世界で約 15 億人に上ります。そのため、フランス国外への事業拡大を目指している企業にとって、英語の請求書の作成方法を知っておくと役立ちます。
英語の請求書に必要な情報
英語の請求書には、フランス語の請求書と同じ情報が含まれている必要があります。着手金請求書、プロフォーマインボイス、または支払い済みの請求書を作成する手順に従って作成した後、そのバージョンを英語に翻訳してください。
フランスで有効な請求書を作成するには、販売者の連絡先の詳細を記載する必要があります。
- 名前
- ビジネス名
- 登録番号
- 事業所名簿識別システム (SIREN) 番号
- ビジネスの所在地
また、顧客の情報も記載する必要があります。
- 名前
- ビジネス名
- 請求先住所
請求書には、提供したサービスや販売した商品の詳細と、税抜きの金額も記載する必要があります。付加価値税 (VAT) の課税対象となる企業の場合、請求書には VAT 率、VAT 額、税込みの合計金額が記載されている必要があります。VAT の課税対象とならない企業の場合、請求書には次の注記を含める必要があります。「VAT/service tax not applicable, Art. 293 B of the French Tax Code.」(フランス税法第 293 条 B に基づき VAT およびサービス税免除)これは免除を示します。これらの詳細をすべて英語に翻訳する必要があります。
英語の請求書で使用する用語
英語の請求書は、元となるフランス語の請求書の翻訳版です。名前や日付などの要素は、簡単に翻訳できます。
他の用語には、翻訳がそれほど簡単ではないものもあります。ここでは、英語の請求書を読みやすくするための翻訳をいくつかご紹介します。
フランス語 |
日本語 |
---|---|
Numéro de la facture |
請求書番号 |
Coordonnées du client |
クライアントの詳細 |
Le prix unitaire de la prestation HT |
単価または正味価格 (税抜き価格または VAT 加算前価格) |
Le prix total HT |
小計 (税抜き合計または VAT 加算前合計) |
Le prix total TTC |
合計金額 (税込み合計または VAT 込み合計) |
Total à payer |
合計 |
Type de prestation |
サービスまたは商品の種類 |
Adresse de livraison |
配送先住所 |
TVA non applicable, article 293 B du Code général des impôts |
フランス税法第 293 条 B に基づき、VAT またはサービス税は適用されません |
使用する英語の種類
英語は世界共通語ですが、地域差はあります。
日付形式は、イギリス英語で使用される「日/月」のスタイルとアメリカ英語で一般的な「月/日」の形式が混同されないように、特に注意する必要があります。たとえば、5/3/2025 と書くと、国によって 3 月 5 日または 5 月 3 日と読まれる可能性があります。混乱を避けるために、略さず完全な日付を書くことをお勧めします (「March 5, 2025」など)。
また、ヨーロッパでは VAT は一般的に「value-added tax」または単に「VAT」と呼ばれていることに注意してください。アメリカでは、一般に「tax」または「service tax」と呼ばれます。
それ以外の言葉で、地域によってスペルや用語が異なっていても、通常は請求書に混乱が生じることはありません。
英語の請求書で使用する通貨
言語に関係なく、貴社が選択した通貨で請求書を発行できます。顧客の現地通貨を使用する場合は、相当額をユーロでも記載し、為替レートと換算日も記載する必要があります。この日付は、請求書の発行日に合わせてかまいません。
翻訳した請求書での VAT の計算方法
適用される VAT 率は、販売者と購入者の居住国、販売する商品やサービスの種類など、さまざまな要素によって異なります。
フランス国内の企業と EU 域内の企業との間の取引には、VAT ワンストップショップ (IOSS)を利用する必要があります。適用される VAT 率は、商品またはサービスを使用する国に基づいて決まります。
EU 域外の国との取引では、輸出の場合は通常は VAT が免除されます。VAT が適用されないことを明記するために、次の注記を含めることができます。「VAT not applicable, Art. 293 B of the French Tax Code.」(フランス税法第 293 条 B に基づき VAT 免除)
Stripe Invoicing を利用すると、請求書を簡単に作成して送信できます。このツールでは、通貨の選択、VAT の計算、英語の請求書の取り扱いが可能なので、業務を効率化できます。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。