今日、EC 市場では新ビジネスが次々と誕生し、EC の在り方はますます多様化しています。現在実店舗のみで商品やサービスを提供している事業者の方でも、今後 EC サイトと実店舗を連携させてビジネスを展開したいと考えている方は多いのではないでしょうか。
特に最近では日本国内にとどまらず、海外の消費者を対象とする越境 EC にも注目が集まるなどグローバル化が加速する中で、各企業で差別化を図るためのさまざまな工夫が見られるようになっています。
では、実際に EC サイトのビジネスモデルにはどのようなものがあるのでしょうか。本記事では、EC サイトの主なビジネスモデルを種類別に紹介し、EC で実践すべき戦略やビジネスの成功ポイント、AI がもたらす EC ビジネスの変革と今後の展望についても解説します。
目次
- EC ビジネスの市場規模
- EC ビジネスモデルの種類
- EC サイトの様式
- 実店舗と EC サイトを構える事業者が実施すべき戦略
- EC サイトでビジネスを成功させるポイント
- AI がもたらす EC ビジネスの変革と今後の展望
- Stripe Checkout でできること
EC ビジネスの市場規模
ここでは、経済産業省の資料を参考にしながら、EC ビジネスの市場規模について見ていきましょう。
同資料によると、2024 年の日本国内における B2C-EC (消費者向け電子商取引) の市場規模は 26.1 兆円で、前年の 24.8 兆円に比べると 5.1% 拡大していることがわかります。また、B2B-EC (企業間電子商取引) の市場規模は、514.4 兆円 にものぼり、前年の 465.2 兆円よりも 10.6% 拡大しています。
次に、B2C-EC と B2B-EC、それぞれの EC 化率については以下のとおりで、いずれの商取引においても EC 化が進んでいます。なお、EC 化率とは、全ての商取引金額 (商取引市場規模) に対する、電子商取引市場規模の割合を意味します。
- B2C-EC: 9.8% (前年比 0.4 ポイント増)
- B2B-EC: 43.1% (前年比 3.1 ポイント増)
このように多くの事業者が EC 市場に参入する傾向にあることからも、EC ビジネスの重要性がうかがえます。
EC ビジネスモデルの種類
EC サイトのビジネスモデルには大きく分けて以下の 4 種類があります。
|
ビジネスモデル |
取引の概要 |
日本の EC サイト事例 |
|---|---|---|
|
B2B (Business to Business) |
企業間で行われる取引 |
アスクル、モノタロウ |
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B2C (Business to Consumer) |
企業と消費者 (個人) 間で行われる取引 |
楽天市場、Yahoo!ショッピング、ヨドバシカメラ |
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C2C (Consumer to Consumer) |
消費者間で行われる取引 |
メルカリ、Yahoo!オークション |
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D2C (Direct-to-Consumer) |
メーカーが自社製造した商品を、仲介業者を挟まずに消費者に直接販売する取引 |
FABRIC TOKYO、オルビス |
上記のように、EC サイトのビジネスモデルは、対象ユーザーが企業あるいは個人かで分けることができます。特に、対象ユーザーが個人となる B2C の EC サイトついては、2020 年以降のコロナ禍による生活の変化にともない、誰でも一度は利用したことがあるかもしれません。
なお、D2C については、B2C と似ているため混同されることがありますが、D2C の場合、取引上で仲介業者が間に入らず、出店料や販売手数料などが発生しない点が B2C との違いとなり、D2C ビジネスモデルの強みでもあります。
EC サイトの様式
EC ビジネスを展開するにあたって、それぞれのビジネスモデルに適した EC サイトを設けることはとても大切です。ここでは、EC サイトの様式について紹介します。
EC モール (モール型 EC サイト)
EC モールとはその名のとおり、多くの店舗がオンラインに集結したモール型のショッピングサイトです。EC モールに出店する場合、あまり知られていない店舗あるいは商品でも、既に知名度のある EC モールによって顧客が集まってくるため、単独でオンラインショップを構えるよりも事業を始めやすく、売上が見込める点がメリットです。
EC モールなら、比較的簡単に販売活動を開始でき、運営側によるサポートを受けられる反面、出店にかかる費用や販売手数料などのランニングコストが高い傾向にあるため、出店に際しては費用対効果を見極める必要があります。
単独ショップ型の EC サイト
EC モールへの出店のように他社サイトに依存するのではなく、自社で単独のオンラインショップを設けて商品やサービスを販売する場合、独自の EC サイトを構築する必要があります。構築に際しては以下の EC プラットフォームを用いたいくつかの方法があります。
- ASP
- インスタント EC
- クラウド EC
- パッケージ
- オープンソース
ASP やインスタント EC を除けば、いずれもデザイン性や自由度が高く、自社ブランドのイメージに見合う EC サイトを構築したい場合に向いているといえるでしょう。
しかし、自社でゼロから EC サイトを構築し完成させるまでには、初期費用をはじめ多くの時間と手間を要するほか、カスタマイズすればするほどに追加費用が膨らむため、EC サイトの運営に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、構築方法については、予算内で運用可能なものを慎重に判断したうえで採用するようにしましょう。
越境 EC (グローバル型 EC サイト)
冒頭でも少し紹介した越境 EC の場合、国を越えて海外に販路を広げて EC ビジネスを行うため、日本国内に限定されない幅広い顧客層の獲得が期待できるでしょう。
注意点としては、国や地域によって、文化や商習慣、好まれる決済手段などが日本と大きく異なる場合があることです。そのため、越境 EC を行う際は、以下のような、進出先となる国や地域に配慮した柔軟な対応が求められます。
- 多言語対応: EC サイトの多言語化によって、日本語を話さないユーザーでもショッピングを楽しめるようにします
- 海外でよく使われる決済手段: 越境 EC に適した決済手段を複数導入し、海外からでもスムーズに支払いが行えるようにします
- 不正防止: グローバルに対応可能な不正利用対策を実施し、サイトの安全性を強化します
実店舗と EC サイトを構える事業者が実施すべき戦略
ここでは、今日において競争が激化している EC ビジネスにおいて、特に実店舗と EC サイトの両方を構える事業者が実践すべき代表的なマーケティング戦略を紹介します。
オムニチャネル
オムニチャネルとは、実店舗、SNS、EC サイトなど、複数の販売チャネルのデータを連携・統合させて、あらゆるチャネルから消費者へのアプローチを行う手法を指します。
たとえば、オムニチャネルによって実店舗と EC サイトの在庫データが一元管理できれば、店舗スタッフはモバイル端末を用いて迅速に在庫確認を行えるようになります。これにより、実店舗で商品の在庫切れが発生したとしても、EC サイトや最寄りの他店舗に在庫がある旨を、店舗を訪問中の顧客に伝えられるほか、他店舗からの取り寄せサービスなどの提供も可能になります。
このように、オムニチャネルでは実店舗と EC サイトの垣根をなくすことを目的としており、これによる顧客体験の向上と販売促進の実現が期待されています。また、成功事例には、無印良品やユニクロなどの大企業が挙げられるように、オムニチャネルはアパレル業界をはじめとするさまざまな企業によって取り入れられています。
OMO 戦略
OMO (Online Merges with Offline) とは、顧客がオンライン (EC サイトやアプリ) とオフライン (実店舗) の境界を意識することなく、快適でシームレスなショッピング体験ができることを目的とするマーケティング戦略です。OMO は日本語で「オンラインとオフラインの融合」と一般的に訳されます。
OMO 戦略によって、オンラインの強みとオフラインの強みを組み合わせ、その相乗効果を最大限に活かすことで、サービス全体の質を高め、顧客満足度や自社の信頼性アップにつなげられます。その結果、より多くの顧客に EC サイトを利用してもらえるようになるでしょう。
EC サイトでビジネスを成功させるポイント
EC サイトのビジネスモデルや実施すべき戦略を理解したところで、EC ビジネスを成功に導くためのポイントもおさえておきましょう。
調査とデータ分析の実施
市場や競合他社の調査とデータ分析を行い、消費者が何を求めているかを理解したうえで戦略を立てていきましょう。また、実行可能かつ効果的な戦略を練るには、自社 EC サイトのターゲット層を見極めたうえで、購買行動データやアンケートなどをもとに、顧客ニーズや悩みについてしっかりと把握することも大切です。
カスタマーエンゲージメントの強化
EC 事業者が顧客との良好な関係を構築すれば、リピーターの増加が期待できます。そのためには、先ほど紹介したオムニチャネルや OMO 戦略などのさまざまなマーケティング手法を実施し、ユーザーとの接点をできるだけ増やしましょう。複数の販売チャネルをユーザーに提供できれば、ユーザーと自社との距離が縮まり、ユーザーの購買意欲も高まります。
また、EC サイトでの買い物中カートに商品を追加したけれど、何らかの理由によってサイトを離脱したユーザーに対しては、カゴ落ちメールも効果的と考えられています。
複数の EC モールへの出店
消費者の中には、単独のサイトより EC モールを好む人もいます。したがって、複数の EC モールへの出店を検討してみるのもよいかもしれません。これにより、積極的な集客活動を行わなくても、EC モールを利用する多くのユーザーに自社ブランドのアプローチができるようになり、より多くの顧客の獲得が期待できます。
利便性の重視
EC サイトの閲覧・検索にはじまり、商品の購入完了までのプロセスがスムーズになるよう、サイトの見やすさ、使いやすさを重視しましょう。
たとえば、パソコンだけでなくスマートフォンからでも、文字や画像が大き過ぎず小さ過ぎず適切に表示されているか、購入ボタンやカートがすぐに見つけられる位置に配置されているかなど、ユーザーが快適に操作できる EC サイトやアプリを構築することが大切です。
これに加えて、複数の EC 決済手段と各ユーザーのライフスタイルに見合う配送方法を導入をしておけば、自社 EC サイトのユーザー体験のさらなる向上につながるでしょう。
アフターフォローの実行
商品の販売後に顧客からの問い合わせがあった場合は、迅速な対応ときめ細やかなサポートを提供するなど、アフターフォローを心がけることがとても大切です。
たとえば、自社 EC サイトで初めて買い物をした人に、今後もリピーターとしてサイトを利用してもらうには、購入完了までのサービスの質だけでなく、その後の対応についても注意が必要です。そのため、何かあった場合には適切に対応できるよう、万全なカスタマーサポート体制を敷いておきましょう。
また、人によるカスタマーサポート以外にも、簡単な質問には早急に回答できるチャットボットを活用したり、よくある質問ページを充実させておくとよいでしょう。
AI がもたらす EC ビジネスの変革と今後の展望
ここ数年で、AI 機能が搭載されたシステムやツールが以前にも増して注目を集めるようになっています。EC ビジネスにおいても、どのようなかたちで AI を取り入れることができるのかが多くの事業者の間で議論されており、大手の EC サイトをはじめとし、さまざまなシーンで AI への取り組みが積極的に行われています。
先ほど解説したチャットボットのような、単純なデジタルインタラクション (ユーザーとシステムの相互作用) については、これまでも多くの EC サイトで採用されてきました。しかし今後は、より重層的で革新的な AI 技術によって、EC ビジネスの変革がさらに進められていくと予想されます。
たとえば最近では、エージェンティックコマース(エージェント型コマース)と呼ばれる、新たなショッピング形態が話題となっています。エージェンティックコマースとは、AI エージェントが顧客の代理として商品検索から購入までを実行する仕組みで、ユーザーは以下のようなプロセスを完全に AI エージェントに委ねることになります。
- 商品の検索
- 商品の決定 (ユーザーへの商品の提案)
- 購入の完了 (ユーザーが承認した場合)
このように、私たちは AI 技術が EC ビジネスの在り方を根本から変える新たな時代に突入しています。しかし、それと同時に AI は決して人に取って代わるものではないということも知っておく必要があります。そのため、エージェンティックコマースにおいて AI エージェントを適切に機能させるには、AI とユーザーとの相互作用をこれまで以上に強化・向上させ、決済などの各種機能を AI に適応させる高精度な構造づくりを行うことが、要といえるでしょう。
Stripe Checkout でできること
Stripe Checkout は、ウェブサイトやアプリで簡単に決済を受け付けられる、完全カスタマイズ可能な構築済みの決済フォームです。
Checkout でできること。
購入率の向上: Checkout の決済フォームはモバイル向けに最適化され、ワンクリックで完了する決済フローが構築されています。顧客は支払い情報を簡単に入力し、再利用できます。
開発時間の短縮: Checkout を自社サイトに直接組み込むか、顧客を Stripe のオンライン決済ページへ誘導します。数行のコードで実行可能です。
セキュリティの向上: Checkout が機密性の高いカードデータを処理し、PCI 準拠を効率化します。
グローバルに拡大: 30 以上の言語に対応する Adaptive Pricing により、100 以上の通貨で価格をローカライズできます。また、購入完了率の向上につながりやすい決済手段を動的に表示します。
高度な機能: サブスクリプションのための Billing、不正利用防止のための Radar など、他の Stripe プロダクトと Checkout を連携できます。
柔軟な管理: 決済手段の保存や購入後のアクション設定など、決済体験を完全にカスタマイズできます。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。