EC プラットフォームとは?種類や日本の事例を紹介

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  1. はじめに
  2. EC プラットフォームとは
  3. EC プラットフォームの種類・特徴
    1. モール型
    2. ASP (アプリケーション・サービス・プロバイダ)
    3. インスタント EC
    4. クラウド EC
    5. パッケージ
    6. オープンソース
  4. EC プラットフォームを利用しない構築方法 (フルスクラッチ)
  5. EC プラットフォームを選ぶ際のポイント
    1. サポート体制
    2. 搭載機能の充実度
    3. 費用対効果
  6. EC プラットフォームについてよくある質問
    1. EC モールと EC サイトの違いは何ですか?
    2. 日本の大手 EC サイトにはどのようなものがありますか?

EC プラットフォームとは、EC サイトの構築と運営に必要となる基盤のシステムやソフトウェアを指します。EC プラットフォームにはさまざまな種類があり、特徴がそれぞれ異なります。したがって、事業者が EC サイトを立ち上げる際は、自社ブランド、販売商品との適合性や将来的なビジネスの視野を考慮しながら EC プラットフォームを選択する必要があります。

本記事では、日本における EC プラットフォームに関する基礎知識について、種類や特徴、EC プラットフォームを選ぶ際に知っておくべきポイントなどを踏まえながら解説します。

目次

  • EC プラットフォームとは
  • EC プラットフォームの種類・特徴
  • EC プラットフォームを利用しない構築方法 (フルスクラッチ)
  • EC プラットフォームを選ぶ際のポイント
  • EC プラットフォームについてよくある質問

EC プラットフォームとは

冒頭にて解説したように、EC プラットフォームとは EC サイトの構築において欠かせないもので、ベースともいえるソフトウェアまたはシステムを指します。事業者は、この EC プラットフォームの種類の中から、自社 EC サイトの規模や内容に最適なものを選ぶ必要があります。

一般的に、日本でビジネスを展開する EC サイト運営事業者には、丁寧で質の高いカスタマーサービスや、スピーディかつ曜日・時間帯指定が可能な配送サービスなど、利用客に寄り添うビジネスモデルが求められます。ひいては、きめ細やかな対応を特に重視する日本の消費者に対し、信頼できる EC サイトとサービスを提供するには、EC サイトの構成について念入りに計画を立てておく必要があります。このように、EC プラットフォームについては、選ぶ際に必ず下調べを行い、それぞれの特徴について十分に理解したうえで日本市場と消費者のニーズに適した EC サイトを構築することが大切です。

なお、EC サイトに関する用語として、マーケットプレイスという言葉をよく耳にしますが、プラットフォームとの違いについては、『マーケットプレイスとプラットフォーム: 両者の違い』をご参照ください。

EC プラットフォームの種類には、「EC モール」、「ASP (アプリケーション・サービス・プロバイダー)」、「インスタント EC」、「クラウド EC」、「オープンソース」、「パッケージ」と大きく分けて 6 種類あります。加えて、「フルスクラッチ」と呼ばれる EC プラットフォームを利用しない EC サイトの構築方法もあります。これについては、後ほど本記事内にてご紹介します。

EC プラットフォームの種類・特徴

ここでは、6 種類ある EC プラットフォームの特徴を詳しく解説します。EC プラットフォームを活用して効率的に EC サイトを構築するためには、種類ごとに異なる特徴や機能、コストを考慮したうえで、自社に合ったものを選ぶとよいでしょう。

EC プラットフォームの種類 - EC プラットフォームには「EC モール」、「ASP (アプリケーション・サービス・プロバイダ)」、「インスタント EC」、「クラウド EC」、「オープンソース」、「パッケージ」と大きく分けて 6 種類あります。EC サイトの構築にかかる初期費用や月額費用、自由度については、種類によって異なります。

注: 上記の初期費用、月額費用はあくまで目安となり各 EC プラットフォームによって異なるため、料金の詳細については必ず各社の料金プランをお確かめください。

モール型

モール型は、EC モールとも呼ばれ、オンラインで構成されたモール形式のサイトに多数の企業や店舗が集合している EC プラットフォームです。事業者は既存の EC モールを活用するため、販売活動に至るまでの時間が短く、高い集客率をほこる大手の EC モールなら、多くの消費者が買い物を目的に EC モールを訪問するため、集客に多大な労力をかける必要もなく、初心者にとってハードルが低いことが特徴です。

ただし既存の EC モールに自社のオンラインショップが加わるということは、EC モール側で定める規格に沿って販売を行う必要があります。つまり、機能やデザインについてはカスタマイズできないため、自社ショップのイメージやブランド価値をアピールしにくく、EC モール上に共存する競合他社との差別化を図ることが難しい場合があります。

ASP (アプリケーション・サービス・プロバイダ)

ASP (アプリケーション・サービス・プロバイダ) は、クラウド上でソフトウェア機能を提供する形式で、インターネット経由でさまざまな機能が利用できる EC プラットフォームです。購入や決済などのショッピングカートに関する機能が中心となっており、ASP カート、ショッピングカート ASP、ASP 型カートシステムとも呼ばれます。

ASP の場合、 ショッピングカート機能に加え、商品の管理機能などオンラインショップの構築と運営に必要な EC サイト向けの豊富な機能とサービスが備えられています。EC サイトの専門知識がある程度求められる ASP ですが、ASP を利用することで機能の改善やメンテナンス、システムアップデートを自社で行う必要がないほか、時間を節約できるだけでなく、メンテナンスにかかる費用や人材コストを抑えることができます。そのため、事業者は自社ですべてを担う必要がなく、手順さえ踏めば比較的簡単に EC サイトにてショップを構えることができます。

ただし、構築がスムーズにできる分、カスタマイズ性は高くない場合があるため、デザイン面での自由度に満足できないケースがあります。また、月額費用や手数料がかかるため、売上と比較して損益のバランスを十分に考慮して判断することが大切です。

インスタント EC

インスタント EC は ASP の一種で、登録料や月額料金が無料なものが多く、ASP と比べると専門知識がなくてもより手軽に EC サイトの開設とショップの運営が可能な EC プラットフォームです。

特徴としては、初期費用が抑えられ、アカウントを作成すれば誰にでもすぐに始められるため、EC サイトについてそれほど詳しくない初心者の方に向いていると言えるでしょう。

ただし、インスタント EC の場合、専門知識なしに誰でも採用できる反面、機能やデザインのカスタマイズ性が低く、自社ブランドをアピールしたい事業者にとっては、自由がきかないため、利用に際して物足りなさを感じる可能性があります。また、カスタマーサポートなどについては、対応がメールに限られていることも多く、手厚いカスタマーサポート体制を必要とする事業者には不向きかもしれません。

クラウド EC

クラウド EC は ASP と同じく、クラウド上のソフトウェアを用いる EC プラットフォームで、EC サイトの構築や運用はクラウド上で実行されます。

クラウド EC は ASP と比べ、デザインや機能の拡張性により優れており、その分コストが高くなることが特徴的です。(後ほどご紹介するパッケージよりはコストがかからないものが多いため、ASP とパッケージとの中間的な位置付けとなります。)

また、サーバーについても、自社で構築する必要はなく、自動アップデートによる最新のシステムや追加機能を利用できるほか、システムの活用方法や運用に関するアドバイスなど手厚いカスタマーサポートを受けることが可能です。

一方、クラウド EC では、ASP よりもカスタマイズ性に優れてはいるものの、自社ブランドに合わせたカスタマイズにはそれなりの時間がかかるため、EC サイトの構築完了までにより多くの時間を要することがあります。そのため、スピーディに導入と立ち上げを済ませたい場合、クラウド EC は適切な選択肢ではないかもしれません。

パッケージ

パッケージとは、EC サイトの構築や運営に必要な機能がひと通り揃ってパッケージングされている EC プラットフォームです。充実度の高いパッケージ化されたシステムを用いることで、ゼロから EC サイトを構築する必要がなく、EC サイトの機能やデザインを要件に合わせて自由にカスタマイズすることができます。

パッケージ型の構築方法では、自社のサーバーにパッケージをインストールすることで利用を開始できます。パッケージの場合、構築をはじめ、運営や管理に関する手厚いサポート体制が整っています。徹底したセキュリティ対策を実施するものが多く、万が一の事態が発生したとしても、早急にサポートを受けられるなど、信頼性と安全性が高いことが特徴です。

ただし、パッケージはカスタマイズが強みの EC プラットフォームであるため、構築に伴う多大な初期費用がかかるほか、サーバーの環境整備コストや構築後のセキュリティ対策費を含むランニングコスト、追加で新機能を搭載するための費用などが発生します。このほか、開発に際してカスタマイズやテスト作業を行う必要があり、導入が完了するまでには数ヶ月ほどの時間がかかる可能性もあります。

オープンソース

オープンソースとは、その言葉どおり無償で公開されている、ライセンス費用のかからないソースコードで、これをベースにして自社でカスタマイズを行う EC サイト構築方法です。つまり、自ら直接コードに触れ、調整しながら EC サイトをデザインするため、コストが抑えられるほか、自社のニーズやブランドに沿って自由にカスタマイズしながら EC サイトを構築することができます。

ただし、オープンソースにはコードに関する高度な専門知識とプログラミングスキルが求められます。したがって、オープンソースそのものにコストがかからない一方で、社内で IT に特化した人材が必要となり、外部に委託する場合は、コストがさらに膨らむ可能性があります。

また、オープンソースをインストールするためのサーバーの準備やセキュリティホールへの対応も自社で管理および実行する必要があり、社内であらゆる業務への責任を持つことになるため、万が一のトラブルや障害に対応できるよう、徹底した運用体制を確立しておくことが重要です。もし体制を万全に整えることが難しい場合は、十分なセキュリティ対策やサポートを利用できる EC プラットフォームを選ぶようにしましょう。

EC プラットフォームを利用しない構築方法 (フルスクラッチ)

前章にて EC プラットフォームについて各種類ごとにご紹介しましたが、ここでは EC プラットフォームを利用せずに、EC サイトをゼロから構築する「フルスクラッチ」について解説します。

フルスクラッチとは、既存のものを使用せず、ゼロから完全オリジナルなものを自社で開発および作成することを指します。もともとは、オリジナル作品を生み出すことを指す和製英語で、今日の日本ではシステムやアプリケーションの開発に関する用語となっており、EC サイトの構築方法に関する用語としても使われています。

フルスクラッチの場合、土台となる既存の枠組みやテンプレート、ソースコードなどを使うことなく、サーバーなどのインフラも自社で準備しなければなりません。また、開発時の初期費用だけで数千万に及び、月額費用についても数十万円規模となるため、EC プラットフォームの利用に比べ、EC サイトの構築方法としては最も多くの費用と時間を要します。

フルスクラッチは、自社特有のビジネスモデルと、自社プライベートブランドや商品に合うようカスタマイズされた EC サイトの構築を目的としているため、他方からの多様なシステムをあえて必要としない事業者によって取り入れられる方法です。したがって、EC サイトの設計、構築、運用すべてをオリジナルで行うにあたり、社内のエンジニアチームや外部の協力会社との強固な連携体制を敷いておく必要があります。

このように、フルスクラッチは構築にも運用にも多大なコストと時間がかかるため、年商数十億円を超える EC サイトの運営を目指す大規模事業者が採用する構築方法として知られています。

EC プラットフォームを選ぶ際のポイント

EC プラットフォームを選ぶ際は、以下のポイントをおさえておきましょう。これらの点について総合的に判断して、自社のビジネスに見合う EC プラットフォームを選び、成功への第一歩を目指すことが大切です。

サポート体制

重要なポイントとしては、まず、EC サイトの管理や運営に関する知識やスキルに応じて、EC プラットフォーム上で適格なサポートを提供してくれるかどうかです。したがって、予期せぬトラブルや問題が発生した際、迅速なサポートを受けられる体制が整っているかどうか、EC プラットフォームを選ぶ前に調べておくことがとても大切です。

たとえば、何か障害が発生したときや、売上に効果的な広告運用について相談したい場合に、メール以外にもライブチャットや電話によって直接対応してもらえるかどうかなど、サポートの質も確認しておくとよいでしょう。

搭載機能の充実度

EC サイトを運営するにあたって、まずは自社でどのような機能が必要になるかを明確にしておき、それらの機能が EC プラットフォームに備わっているかどうか確認したうえで選ぶようにしましょう。

一例としては、アプリ決済を含む複数の決済手段が導入可能であることも重要ポイントです。総務省 情報通信白書令和 6 年版 インフォグラフィックによると、日本におけるモバイル端末の保有率は 97% (スマートフォンは 90%) に達しました。こうした状況のもと、近年は EC サイトでの決済時に PayPay などのアプリ決済がより一般的となっており、スマートフォンの利便性を特に高めています。そのため、EC サイトの構築に際しては顧客のニーズを考慮した決済手段を提供できることも大切と言えるでしょう。

コンビニ決済やクレジットカード決済をはじめとする、多数の決済手段に対応可能な Stripe では、オンライン決済に関わる様々な機能やサービスを提供しています。

たとえば、ショップ (出店者・出品者)、顧客 (商品の購入者) など、複数の当事者が関わる自社プラットフォームやマーケットプレイスを開設および運営するにあたり、決済機能の強化と決済フローの簡易化を目指す方は、Stripe Connect を用いることで、よりスムーズで効率的に EC サイトの事業展開を図ることができます。これに加え、同機能では、プラットフォーム上で行われる顧客からの支払いについても、その一部を販売手数料として自動で振り分けるなど、複数の当事者間の売上を適切に分割することが可能です。

費用対効果

EC プラットフォームの利用に際しては、さまざまなコストがかかります。そのため、構築時にかかる初期費用だけでなく、後々の月額料金や販売手数料などのランニングコストが予算内であるかどうかを事前に視野に入れておき、EC プラットフォームが提供する機能がコストに見合っているかどうか、十分に確認しておくことが大切です。

事業者が中長期的なビジョンを持たずに、無計画のまま EC プラットフォームを選択したことで、EC サイトの運営に悪影響が出たり、将来追加したい新機能の利用ができなくなるような結果とならないよう、予算内で運用可能かつ事業規模やブランドイメージに沿った EC プラットフォームを選ぶようにしてください。

なお、個人事業主や企業が初めて EC サイトを立ち上げてオンラインショップに新規参入する場合、どれほどの利益を出せるかを正確に予想することは難しいかもしれません。そのため、この場合はまず無料で利用可能な EC プラットフォームから始めてみるとよいでしょう。

EC プラットフォームについてよくある質問

EC プラットフォームについて一通り解説したところで、以下に EC プラットフォームに関するよくある質問をご紹介します。

EC モールと EC サイトの違いは何ですか?

本記事内の「EC プラットフォームの種類・特徴」でも解説しましたが、EC モールとは、実店舗のモールと同じように、複数の企業や店舗が多く集まり、サイト訪問者を対象に自社商品を販売する形態となります。

一方、固有のドメインを取得し自社で運用する形態が EC サイトです。EC モール、EC サイトにはそれぞれメリット・デメリットがあります。詳しくは、『EC モール (モール型 EC サイト) とは?種類・特徴を解説』をご参照ください。

日本の大手 EC サイトにはどのようなものがありますか?

日本の EC サイトの代表例としては、家電だけでなく日用雑貨やおもちゃなど多様な商品を取り揃えるヨドバシカメラの「ヨドバシ.com」 や、家具や調理器具、寝具などの生活雑貨を取り扱うニトリホールディングスの「ニトリネット」があります。いずれも実店舗を構える企業でもあり、オンラインショッピングが一般的な現在では、実店舗同様に人気を集めています。また、アプリからのショッピングも可能です。

この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。

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