オンラインショッピングが普及し、私たちの購買行動がますます多様化する中、小売業の DX 化が進んでいます。小売業に携わる企業が DX を推進すれば、業務の効率化がアップするだけでなく、さまざまな顧客層のニーズを把握しながら、より的確な商品開発やサービスの提供ができるようになります。
しかし、これから実際に DX を推進するにあたって、具体的に何をすべきか不安や悩みを抱える事業者の方もいるのではないでしょうか。本記事では、日本の小売業界における DX の重要性やメリット、注意点、DX を成功に導いた企業事例を踏まえて解説します。
目次
- DX (デジタルトランスフォーメーション) とは
- 小売業界の現状と DX の重要性
- 小売業の DX 施策例
- 小売業者が DX に取り組むメリット
- 小売業者が DX に取り組む際の注意点
- 小売業で DX を成功させた企業事例
- Stripe Terminal でできること
DX (デジタルトランスフォーメーション) とは
ビジネス誌や新聞などを読んでいる際、「DX」という言葉を一度くらいは目にしたことはないでしょうか。DX とは、「デジタル・トランスフォーメーション」の略で、日本語に訳すと「デジタル変革」になります。噛み砕くと、デジタル技術によって人々の生活をより良くさせるための変革を意味します。
近年、EC 市場が盛り上がりを見せるようになり、コロナ禍も重なったことで、人々のライフスタイルは大きく変化し、購買行動にも影響を与えています。こうした変化に対応し、顧客の購買体験を向上させるべく、小売業界において DX 化が注目されるようになっているのです。
DX は単一の用語ですが、多様な概念や取り組みを包含しています。一般的な例としては、サブスクリプション、インターネットバンキング、キャッシュレス決済などがあります。
小売業界の現状と DX の重要性
小売業界を取り巻く現状は、日に日に変化しています。そのため、小売業における DX の推進は不可欠と考えられています。たとえば、先述した人々のライフスタイルの変化にともなう購買行動の多様化をはじめ、「モノ消費」より「コト消費」へと物事に対する価値観に変化が見られるようになっていることからも、DX の重要性がうかがえます。一例としては、DVD を購入する代わりに月額利用料を支払ってストリーミングサービスでコンテンツを視聴するのも、DX の 1 つです。
小売業界の現状については、日本国内人口の減少による人手不足や物価の上昇が、小売業の経営に影響を及ぼしています。東京商工リサーチが 2025 年に発表した全国企業倒産状況調査結果によると、2024 年に倒産した小売業の件数は1,090 件で、前年と比べて 9.7% 増しとなっています。また 2024 年に発表されたデータによると、2023 年は 939 件で 2022 年の 718 件と比べ 30.77% 増しで、年々小売業界の倒産企業が増えていることがわかります。こうした背景から、小売業界が直面する課題を解決し、現状を克服するためにも DX の推進が求められているのです。
なお、小売業界の中では、特にアパレル業界の DX 推進にも関心が高まっており、ユニクロやアダストリアなどのさまざまな企業がアパレル業界の課題への解決に取り組んでいます。たとえば、多くのアパレル企業が抱える課題の 1 つ、人手不足を解消するにあたって、アパレル業界ではオムニチャネルを積極的に導入する企業が増えています。これにより、適切な在庫管理などの業務効率化が実現されています。
小売業の DX 施策例
小売業で実施されている DX 施策例には、主に以下の 2 点が挙げられます。
OMO 戦略
OMO とは実店舗とネットショップを連携することでオンライン・オフラインの垣根を取り払い、サービス全般における利便性の向上を図る戦略です。たとえば、オンラインからの注文商品を実店舗で受け取れる仕組みも OMO 戦略に該当します。このように、OMO はオンライン・オフライン双方の強みを最大限に発揮し、快適で充実したショッピング体験の提供を目的として、さまざまな小売業者によって実施されています。
業務を最適化するシステムの導入・連携
小売業を営むうえで顧客のニーズを十分に把握できていないと、商品が思うように売れず、収益にも影響を及ぼしてしまう恐れがあります。とはいえ、データの収集やニーズの分析を行うにも、人手不足のためなかなか業務が追いつかない状況下では、消費者ニーズに見合う販売戦略を効果的に立てることも困難です。
そこで、小売業者の中には、売上管理や顧客管理業務を最適化するシステムを導入したり、既存のシステムとの連携によって、自社の小売店で抱える課題への対策が講じられています。
たとえば、決済機能と CRM を連携させるのもその 1 つです。CRM とは「顧客関係管理」、すなわち顧客管理機能のことで、顧客との良好な関係の構築・維持・促進を目的としています。CRM を用いると、顧客の属性、検索・購入などの行動履歴データを一元管理することができます。このように、CRM と決済プラットフォームを連携させれば 、売上データと顧客情報の一元化によって業務の効率度のアップが期待できます。それだけでなく、効果的な顧客分析が可能になるため、満足度の高い顧客体験を提供することにもつながるでしょう。
小売業者が DX に取り組むメリット
DX の推進は、小売業者にとって以下のようなメリットがあります。
コスト削減と人手不足の解消
DX の推進によって、小売業のさまざまな業務が簡素化、円滑化されることで、在庫管理や売上管理業務などの業務負担が大幅に軽減できます。これにより店舗スタッフは、より質の高い接客に専念できるほか、少人数体制でも支障なく業務を遂行できるようになるでしょう。また、業務がスムーズに行えるようになれば、企業側からするとコストの削減にもなり、スタッフにとっては過度の残業を課されるといった心身へのストレスも少なくなります。
的確なデータ収集
DX の推進によって的確かつ細かなビッグデータを収集できれば、顧客の属性やニーズに見合った商品開発や効果的なマーケティング戦略が可能になります。また、SNS や EC サイト上でも、消費者ニーズをとらえたライブコマースや情報配信も行えるようになります。このようにして、顧客満足度が向上すれば、集客率も上がり、売上の増加が期待できるでしょう。
このほか、データに基づいてニーズをしっかりと把握したうえで在庫管理や発注業務を行えるようになれば、過剰在庫による廃棄ロスの削減にもつながります。
小売業者が DX に取り組む際の注意点
小売業者が DX に取り組む際におさえておくべき注意点は、以下のとおりです。
DX の目標の明確化とスタッフ・顧客の理解を得る
DX 施策をスムーズに行うには、全スタッフが一丸となり、積極的に取り組む姿勢が求められます。そのためには、現場スタッフが抱える声に耳を傾け、悩みや要望を把握したうえで、業務の効率化や顧客満足度の向上といった DX の目的を明確化する必要があります。
また、現場スタッフからの協力と理解を得るためにもワークショップなどを開催し、DX に関する知識を深める機会を設けるとよいでしょう。このほか、社外の取引先および顧客に対しては、これから実施予定の DX への取り組みについて丁寧に説明し、理解を得ておくことも大切です。
DX に特化した人材育成・確保
DX に特化した人材を育成し、専門部署を立ち上げ、体制を整えておきましょう。
また、現場スタッフへの定期的な研修プログラムを実施することで、DX に関する知識やスキルを習得させ、リテラシーの向上に努めることも大切です。このように、DX の導入にともない教育や研修にも注力しつつ、業務手順に関するマニュアルを整備したうえで、DX による自社の持続的な成長を目指しましょう。
ルールの策定
データの収集方法や保存期間、アクセス権限などに関する明確なルールを定めておきましょう。また、データについては定期的な収集と分析を行い、誤った情報があれば排除する必要があります。
これに加えて、DX 導入後の業務の効率性や成果については、定期的に検証し、改善すべき点が見つかれば業務の見直しを行いましょう。
安全性の確保
膨大なデータを取り扱うにあたって、セキュリティ面を万全にしておくことはとても重要です。そのため、DX 化を実施する際は、データの暗号化やアクセス制御などの情報漏えい防止対策を徹底させましょう。万が一情報が漏えいし、悪意ある第三者によって不正利用されてしまうと、社会的信用が損なわれるだけでなく、顧客に多大な損害を与えてしまいます。したがって、DX の推進にともない安全性を確保するには、導入を検討中のシステムに最新のセキュリティ機能が搭載されているかどうかを事前にしっかりと確認することが大切です。
小売業で DX を成功させた企業事例
ここでは、DX の推進を成功に導いた代表的な企業事例を紹介します。
イオンモール
日本の EC モールの代表格とも言えるイオンモールは、小売業界の中でも積極的に DX に取り組んでいます。イオンモールでは「ヒトの想いを中心としたデジタル改革で新たな価値を生み出します」をキャッチフレーズに、出店地域、出店企業、顧客のそれぞれに対し価値を創造、提供していくことを目指しています。
なお、イオンモールによる DX の取り組みは政府からも認められており、経済産業省によって「DX 認定事業者」に認定されています。
イオンモールが実施している DX の取り組みは以下のとおりです。
*アプリ: * 「イオンモールアプリ」ではアプリの活用履歴・購買情報をもとに、各顧客ごとにカスタマイズされた有益な情報が配信されています。
施設案内ロボット: AI による自動運転技術によってロボットが館内を自動走行し、イオンモールのビジターに施設案内や各専門店の情報を提供しています。
*大型 LED ビジョンによる情報発信: * 画像に映る利用者の動きに合わせて画像がリアルタイムで反応するゲームや、施設内のイベント情報・店舗情報の発信、地震など災害時の緊急避難放送などのサービスを提供しています。また、天候や季節に合わせた各レストランのおすすめメニューなど、旬な情報をデジタルサイネージで配信しています。
タブレットの貸出: 出店する専門店の業務の簡便化を図るため、各店舗に「イオンモールワークス」と呼ばれる業務用タブレットが貸し出されています。これにより、店舗が新規雇用したスタッフについてイオンモール側に届け出る際、タブレットで簡単に届け出が完了できるなど各種事務手続きがペーパーレスで行えます。このほか、売上確認や体調チェック機能なども搭載されていたりと、接客に注力できる環境づくりを支援しています。
ビックカメラ
日本の大手家電量販店のビックカメラは、2022 年に DX 宣言を正式発表し、顧客の「くらし応援企業であること」を目標として掲げています。
ビックカメラの主な DX 施策としては、実店舗と EC の連携による快適でシームレスな顧客体験の提供 (OMO 戦略) はもちろん、そのほかにも DX によるコンタクトセンターの効率化が代表的です。
たとえば、これまではメールの受信があった場合、担当者がオペレータのスキルやレベルに合わせて案件の振り分けが行われていました。現在では、AI にメール内容を学習させることで、オペレーターへの振り分けが自動化されています。このほか、電話による対応については、音声データだけでなく自動でテキスト化されたデータも併せて残せるようになり、手入力にかかる業務負担を軽減させることに成功しています。
ローソン
2015 年以来セミオート発注システムを導入しているローソンは、日本のコンビニ業界の発注予測システムにおいて先頭を行く企業です。この予測システムは、AI の強化学習によってコンビニオーナーの期待と予測に合う予測精度を誇っており、各店舗の売上内容や状況に適したセミオート注文や計画発注を実現させています。これによって、店舗スタッフの発注にかかる業務負担を削減させています。また、毎日納品されるおにぎりや惣菜類といったデイリー商品の値引きのタイミングや、値引率などの推奨機能もシステムに搭載されています。
このほか、ローソンでは自動釣銭機が搭載された POS レジやセルフレジ、スマホレジが着々と浸透しており、レジ業務にかかる労働力の削減や人手不足の解消を実現しています。
Stripe Terminal でできること
Stripe Terminal はユニファイドコマースのためのソリューションです。対面チャネルとオンラインチャネルを統合し、収益拡大を実現させます。新しい支払い方法、シンプルなハードウェア、グローバルな対応、数百の POS とのコマース連携により、理想的な決済環境を構築できます。
Stripe は、Hertz、URBN、Lands’ End、Shopify、Lightspeed、Mindbody などのユニファイドコマースを強化しています。
Stripe Terminal の特徴
ユニファイドコマース: オンラインと対面での決済をグローバルプラットフォームで一元管理します。
グローバル展開: 1 つのシステムと一般的な決済手段で、24 カ国への拡大が可能です。
自社に合った導入: 独自のカスタム POS アプリを開発するか、サードパーティの POS や EC システムを使って既存のテックスタックと連携できます。
シンプルなハードウェア: Stripe 対応のリーダーを注文、管理、監視できます。
Stripe Terminal について詳しくはこちらをご覧ください。今すぐ開始する場合はこちら。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。