今日、日本国内から海外の消費者向けに EC ビジネスを展開する「越境 EC」が多くの事業者から注目を集めています。越境 EC で販路を拡大するには、進出先の国や地域の消費者ニーズに適したサイト環境の構築が不可欠です。
国境を越えた販売には、日本国内向けの販売とは異なる特有の課題が存在します。そのため、海外販売に対応した最適な越境 EC カートの選定こそが、ビジネスの成否を分ける鍵となります。
本記事では、越境 EC カートの種類や選定基準、決済時のカゴ落ち防止対策についてわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 越境 EC カートとは、海外販売に必要な機能を備えた EC サイト構築システムのこと
- 越境 EC カートにはいくつかの種類があり、越境 EC に特化した専用カートから、国内・海外双方に対応可能なものまである
- 最適なカートを選ぶには、ターゲット国の決済・言語・通貨対応に加え、費用対効果や将来的な拡張性を考慮する必要がある
- 決済時のカゴ落ち対策には、ワンクリック決済の導入などが有効であり、顧客体験とコンバージョン率の向上に直結する
- Stripe Checkout なら、30 以上の言語と 135 種類以上の通貨に対応し、EC サイトの決済環境の最適化と効率化を図ることができる
越境 EC カートとは
越境 EC カートとは、海外の消費者がネットショップで商品を購入できるようにするための、越境 EC に対応したサイト構築システム (ショッピングカート) のことです。多言語、多通貨、国際配送、税計算といった海外販売に特化した機能を備えている点が特徴です。
越境 EC カートは国内向けの EC カートとは異なり、国境を越えた取引にともなうさまざまな課題を解決します。
越境 EC を行うには、Amazon などのモールに出品する方法に加え、自社で独自のサイトを構築する方法もあります。自社サイトを構築する場合は、外部企業が提供する既存のカートシステムを利用するか、ゼロからシステムを構築する「フルスクラッチ」の 2 つの選択肢があります。
なお、海外販売に向けた自社 EC サイトの構築には、プログラミング技術だけでなく、進出先の国の商習慣や法規制などに関する専門知識が求められます。そのため、顧客管理や商品登録、決済処理といった必須機能に加え、越境 EC に必要な機能を備えたカートシステムの利用が一般的に推奨されています。
越境 EC と EC の違い
日本国内向けの EC が単一の言語、通貨、法規制で完結するのに対し、越境 EC は「国境を越えて商品を販売する」という性質上、異なる言語や通貨、決済手段、物流、税制への対応を必要とします。
つまり、国内消費者を対象とするのが通常の EC であるのに対し、海外顧客の獲得を目指すのが越境 EC です。
越境 EC カートの種類
ここでは、越境 EC で用いられる主なカートの種類を紹介します。
越境 EC にも対応可能な国内消費者向けのカート
国内向けオンラインショップを越境 EC にも対応可能にし、海外の消費者が支障なく利用できるようにするカートです。
既にサイトが構築済みで既存の機能をそのまま利用できるため、導入難易度が低い点がメリットです。その一方、利用可能な機能が限られることから、本格的に越境 EC に乗り出す場合は機能不足を感じる場面も多くなり、越境 EC に特化した外部サービスを検討する必要があります。
越境 EC に特化した専用カート
多言語、多通貨、多様な決済手段を網羅し、海外販売向けに最適化されたカートです。顧客側への多言語の表示だけでなく、サイト運用側の管理画面も多言語に対応していることが多いため、現地スタッフが事業に加わる場合、連携業務をスムーズに行えます。
国・地域に特化した越境 EC カート
英語圏だけでなく、中国、韓国、タイなどの特定の国や地域に向けて開発された越境 EC カートです。
利用可能な言語や決済手段、配送方法がその国や地域に特化しているため、ターゲット国を絞って事業を展開したい場合に適しています。
海外の EC モール
自社で越境 EC サイトを構築せず、進出先の国の EC モールに出店する方法です。手軽に越境 EC を始めることが可能な一方、現地 EC モール運営企業との契約や法的な合意が必要であり、サイトの自由度は低くなります。
越境 EC 市場の拡大とカート選びの重要性
顧客体験を最適化できる信頼性の高いカートの選定は、単なる効率化を超え、越境 EC ビジネスの成功を左右する戦略そのものです。
経済産業省の調査からもわかるように、越境 EC の市場規模は着実に成長しています。2025 年から 2034 年の年間平均成長率は約 23.1% と推計され、2034 年には市場規模が 6.72 兆 US ドルに達すると予測されており、今後も市場の拡大が見込まれています。
特に中国やアメリカなど、越境 EC が活発な海外市場において、日本の商品をストレスなく購入できるサイト環境を整えることは不可欠です。たとえ海外の消費者に自社商品を気に入ってもらえたとしても、「サイトの安全性に不安がある」、「利用したい決済手段がない」、「言語対応が不十分」といった理由で信頼性や利便性が低いと判断されれば、カゴ落ちを招いてしまいます。
越境 EC カートの選定基準
越境 EC カートは、以下の視点で選定することが重要です。
ターゲット国の決済手段に対応しているか
越境 EC を通して海外の消費者に商品を販売する場合、その国や地域でよく利用されている決済手段に対応する必要があります。
現地の消費者が安心して支払いを行えるようにするには、クレジットカード決済はもちろん、現地で好まれるデジタルウォレットなど、多様な決済手段の導入が可能かどうかを事前に確認しておきましょう。
国際配送・関税の自動計算と提示が可能か
越境 EC における送料や関税の不透明さはカゴ落ちの大きな要因です。そのため、決済前にこれらを自動計算し、正確な料金を提示できる機能を備えていることが重要です。
なお、EC サイトにもよりますが、越境 EC のような個人輸入の場合、貨物に同梱されたインボイスをもとに税関にて関税を算出するケースも多く、購入時の合計請求金額に関税が含まれていないことがあります。この場合、後日商品が配達される際に、配達員が関税を回収します。
したがって、決済時に関税を徴収しない仕組みのカートを用いる際は、代わりに決済画面のわかりやすい位置に注意事項を記載しておくことで、「関税について知らされていなかった」といったトラブルを未然に防ぐことができます。
多言語・多通貨の対応が可能か
越境 EC を行ううえでは、EC サイトが多言語や多通貨に対応可能であることも非常に重要です。
多言語化にあたっては、単なる機械翻訳ではなく、現地の文化や商習慣に適した表示が必要です。したがって、商品情報や配送方法など、海外販売における必須情報が現地の消費者にしっかりと伝わるよう、精度の高い翻訳機能が備わっている EC カートを選ぶことをおすすめします。これにより、自社商品に対する信頼度と好感度が向上します。
さらに、現地通貨で価格をスムーズに表示できれば、顧客に安心感を与えることができ、コンバージョン率の向上も期待できます。
初期費用・運用費用は事業規模に見合っているか
越境 EC カートには初期費用のほか、月額利用料などの固定費、決済手数料などがかかります。そのため、自社の予算と事業規模を考慮したうえで費用対効果を見極めることが大切です。
また、カートにかかる費用のみを重視するのではなく、将来的な拡張性を総合的に判断し、必要に応じて機能のアップグレードが可能なカートを検討することも重要です。これにより、事業のスケールアップに柔軟に対応した持続可能な EC 基盤を構築することができます。
ショッピングカートの型ごとに異なる特徴を理解する
以下の表のように、カートシステムには ASP (アプリケーション・サービス・プロバイダ) 型やクラウド型など、EC プラットフォームとしてさまざまな型があります。そのため、それぞれに異なる機能や費用などの特徴を考慮したうえで、自社に適したものを選ぶことが大切です。
|
型 |
特徴 |
カスタマイズ性 |
費用 |
|---|---|---|---|
|
ASP 型 |
クラウド上でソフトウェア機能を提供する形式で、インターネット経由でさまざまな機能が利用可能 |
低め |
低め |
|
クラウド型 |
ASP と同じく、クラウド上のソフトウェアを用いる形式である一方、ASP 型よりカスタマイズ性が高い |
高め |
高め |
|
パッケージ型 |
カートの運用に必要な機能がひと通り揃っており、パッケージングされたシステム |
高め |
高め |
|
オープンソース型 |
無償で公開されているライセンス費用のかからないソースコードを活用し、サイト構築や運用を行えるシステム |
高め |
低め |
越境 EC において決済時のカゴ落ちを防ぐ方法
カゴ落ちの原因は多岐にわたりますが、越境 EC では言語や通貨の違い、馴染みのない出荷元への懸念に加え、決済時のストレスが重なることでカゴ落ちが起こりやすい傾向にあります。ここでは決済時に発生するカゴ落ちに焦点をあて、事業者ができる防止方法を 1 つひとつ見てみましょう。
ワンクリック購入の導入
複雑な決済プロセスは顧客の購入意欲を低下させる要因の 1 つです。ワンクリック購入機能が搭載されたカートなら、購入プロセスの最適化につながり、購入にかかる時間の大幅な短縮が実現できます。
顧客に寄り添った送料設定
ネットショッピングでは、商品代金以外にも送料が発生します。そのため、カート内で高額な送料が提示された場合、購入を踏みとどまる顧客も少なくありません。
この課題の解決策としては、一定金額以上の購入で送料を無料にする、あるいは、重量・数量にかかわらず送料を一律にするなど、柔軟な送料規定の設定が推奨されます。また、EC サイト上のわかりやすい位置に送料規定を明示しておけば、購入前の疑問や不安を取り除き、スムーズな決済へと導くことができます。
ゲストとして利用できるようにする
アカウントを作成せずにゲスト購入が可能なサイトであれば、顧客は初めて利用する海外サイトでも心理的なプレッシャーを感じることなく購入に踏み切ることができます。
また、購入後は、サイトの再利用を促すため、入力済み情報を活用した自動登録への案内や、購入完了画面での割引クーポンの提供といった工夫を講じることも重要です。
複数の決済手段に対応する
海外顧客が支払い完了の一歩手前まで手続きを進めたにもかかわらず、利用可能な決済手段がないために購入を断念してしまうと、事業者は貴重な収益を逃すことになります。
そのため、越境 EC で求められる決済手段をターゲット国別に事前調査し、現地の消費者が希望する決済手段をできるだけ多く用意しておくことが大切です。たとえば、中国への越境 EC の場合、WeChat Pay や Alipay、銀聯 (UnionPay) などの決済手段が利用可能であることが理想的です。
Stripe Checkout でできること
Stripe Checkout は、ウェブサイトやアプリで簡単に決済を開始できる完全カスタマイズ可能な事前構築済みの決済フォームです。
Checkout の特徴
購入完了率の向上: Checkout の決済フォームはモバイル向けに最適化され、ワンクリックで完了する決済フローが構築されています。顧客は支払い情報を簡単に入力し、再利用できます。
開発時間を短縮: Checkout を自社サイトに直接組み込むか、顧客を Stripe のオンライン決済ページへ誘導します。数行のコードで実行可能です。
セキュリティの向上: Checkout が機密性の高いクレジットカードデータを処理し、PCI 準拠を効率化します。
グローバルに拡大: Adaptive Pricing で 100 以上の通貨および 30 以上の言語に対応し、各地域に合った決済フォームを提示。購入完了率を向上させる決済手段を動的に表示します。
高度な機能: サブスクリプションのための Billing、不正利用防止のための Radar など、他の Stripe プロダクトと Checkout を連携できます。
柔軟な管理: 決済手段の保存や購入後のアクション設定など、決済体験を完全にカスタマイズできます。
Checkout を活用した決済フローの最適化について、詳しくはこちらをご覧ください。今すぐ開始する場合はこちら。
越境 EC カートに関するよくある質問
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。