越境 EC の始め方とは?日本での構築方法や流れを解説

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  1. はじめに
  2. 越境 EC の現状と将来性
  3. 越境 EC の始め方 (事業モデル)
    1. 日本国内にオリジナルの B2C-EC サイトを構築
    2. 日本国内の海外に対応した B2C-EC モールに出店
    3. 進出先の国の C2C-EC または B2C-EC モールに出店
    4. 保税倉庫を活用し進出先の EC モールに出店・出品
    5. 一般貿易業務を介して進出先の EC モールにて販売
    6. 進出先の国でオリジナルの B2C-EC サイトを構築
    7. 商品選びと海外市場の調査
    8. 関税や海外発送に関する規定を把握しておく
  4. 越境 EC を成功させるための注意点
    1. 戦略・ビジネスモデル
    2. 法制度、言語、習慣・文化的価値観
    3. 物流・顧客対応
    4. 税関
    5. 決済環境
  5. 事前準備を整えて越境 EC ビジネスを目指そう

顧客層の拡大を見込める越境 EC は、今日、新たな市場として注目を集めています。日本においても幅広い販売機会の獲得を目的として、採用し始める事業者が増えています。

しかし、越境 EC については、興味はあるけれどどのようにして始めればよいかわからないと思われる方もいます。

本記事では、越境 EC の始め方について、現状や将来性、注意点などを踏まえながら解説します。

目次

  • 越境 EC の現状と将来性
  • 越境 EC の始め方 (事業モデル)
  • 越境 EC ビジネスの流れ
  • 越境 EC を成功させるための注意点
  • 事前準備を整えて越境 EC ビジネスを目指そう

越境 EC の現状と将来性

インターネットやスマートフォン、SNS がより一般化し、多くの人々が気軽に EC サイトを活用できるようになった現在、越境 EC は世界各地の消費者によって利用されています。越境 EC の普及には、消費者の海外製品に対する関心が深まっていることも背景にあります。

日本では、コロナ禍の影響もあり、現状として越境 EC は年々拡大しており、将来的にも大幅な市場の拡大が期待されています。

コロナ禍では、外出自粛による「おうち時間」が増えたことで、より多くの人が越境 EC サイトを利用するようになりました。コロナ禍以前は、実店舗から買い物をしていた人でも、このように自宅から買い物をすることが習慣化したことや、海外の製品でも気軽に購入できる点が消費者のニーズにマッチし、越境 EC の需要がより高まったと考えられています。また、コロナ禍の終息後、自由に外出できるようになった現在も、消費者の海外製品に対する関心や購買欲求は高く、利便性に優れた越境 EC サイトは成長の一途を辿っています。

経済産業省の『令和 5 年度 電子商取引に関する市場調査 報告書』では、世界の EC 市場の現状として、2023 年度の国別 B2C 市場シェアランキングについて、以下の結果が示されています。同資料によると、特に中国とアメリカの市場規模が大きいことがわかります。

  • 1 位: 中国 (51.3%)
  • 2 位: アメリカ (19.5%)
  • 3 位: イギリス (3.6%)
  • 4 位: 日本 (3.4%)
  • 5 位: 韓国 (2.1%)

さらに同資料では、世界の越境 EC の市場規模は、2030 年には 7 兆 9380 億 US ドルにまで拡大すると予測されています。

越境 EC の始め方 (事業モデル)

今後のさらなる成長が期待される越境 EC ですが、実際のところ越境 EC をどのようにして始めればよいか、どんな方法があるか、以下に 6 つの事業モデルをご紹介します。

日本国内にオリジナルの B2C-EC サイトを構築

日本国内にて越境 EC を立ち上げる場合、もともとある日本語の自社 EC サイトを、複数の言語にて対応可能にすることで、日本語がわからない海外の消費者でも問題なく利用できるようになります。

越境 EC 向けのオリジナルサイトを構築するには、フルスクラッチ (既存のシステムを一切使用しない方法) で自社サイトの開発をするか、外部の越境 EC 向け支援サービスを利用する方法があります。

日本国内の海外に対応した B2C-EC モールに出店

2 つ目は、日本国内にあり、かつ越境 EC にも対応可能な EC モールへ出店する事業モデルになります。この事業モデルは、本章にてご紹介する 6 つの中でも最も難易度が低いため、初心者の方が海外顧客の獲得を目指す際には最適な方法といえるでしょう。

もともと日本国内の顧客を対象に、オンラインショップを出店している場合は、その延長線上に海外の消費者向けのページを用意して、サービスを提供することができます。特に複雑な工程もなく、「海外販売機能」の申し込みを行えば、出店している既存の EC モールを通して海外向けのビジネスを開始できるため、越境 EC としてはハードルが低いことが特徴的です。

また EC モールによっては、海外販売機能の申し込みが完了した際、海外版の商品ページを機械翻訳にて自動生成できる機能が搭載されている場合もあるほか、 EC モールが所有する海外専用サイトにも出店される機会があるなど、 自社商品の販売機会を海外に向けて幅広く設けてもらえるケースもあります。

進出先の国の C2C-EC または B2C-EC モールに出店

3 つ目は、進出を希望する国にある EC モールなどで出店または出品する事業モデルになります。出店、出品においては現地の EC モール運営事業者とのやり取りや、現地法人と法的に合意したうえで契約を結ぶことが必須なため、越境 EC を始める方法としてはハードルが高くなります。したがって、海外法人との事業に不慣れな場合は、代行会社によるサービスを利用するケースが主流です。

保税倉庫を活用し進出先の EC モールに出店・出品

保税倉庫とは、保税に該当する商品について、一時的な保管を目的とする倉庫を指します。通常、海外から輸送される商品には関税 (輸入税) が課されますが、この関税を一時的に保留し、通関業務が完了するまでの保留期間は関税の徴収が留保される (支払わなくてよい) 商品などが保税倉庫に保管されます。なお、保税区として指定される地域は通常、港湾および空港付近となっています。

この場合、事業者は、保税倉庫に商品を前もって輸送のうえ保管し、輸送先の国に居住する消費者より注文を受けた時点で、保税倉庫から商品を配送する事業モデルとなります。したがって、一般的な越境 EC のように、日本国内からの直接配送ではなく、進出先の国からの発送となるため、消費者の輸送料金の負担が軽減されるだけでなく、注文から配達完了までの期間が短くなることが特徴的です。

一般貿易業務を介して進出先の EC モールにて販売

この事業モデルでは、一般貿易と同じように、日本国内の輸出者と進出先となる相手国の輸入者との間で貿易業務を行い、進出先の EC モールなどで商品を販売します。つまり、商品は一般貿易業務を経由しながら、販売媒体として 現地の EC モールなどを用いる形式となります。

進出先の国でオリジナルの B2C-EC サイトを構築

最後に 6 つ目は、進出先の国で自社サイトを構築する事業モデルです。

この事業モデルの場合、既に自社の商品が海外で十分に認知されており、EC サイトの構築や運営に関するノウハウに加え、海外での事業展開に適した人材が揃っていれば実行しやすいかもしれません。ただし、進出先の海外で自社サイトをゼロから構築し運営するには、技術面と多言語に優れた人材などの大幅なリソースを要するため、資金的にも余裕のある事業者が採用することが多い事業モデルとなります。

また、EC サイト関連の法律や規則に関してはすべて現地に合わせて手続きを踏む必要があるほか、現地顧客の集客に向けたマーケティング活動も必要となるなど、越境 EC としては最もハードルが高い事業モデルといえるでしょう。

越境 EC ビジネスの流れ

越境 EC を始めるにあたり、流れとして事前にやっておくべきことについてもおさえておきましょう。

商品選びと海外市場の調査

日本国内で売れている商品が必ずしも海外で同じように人気が出るとは限りません。国や地域によっては、日本とは気候や人々の習慣も異なることから、消費者のニーズは様々です。そのため、販売商品を選ぶ前に、まずどのような商品が進出先の現地で売れているのか、事前に対象国の市場調査を行うことが、越境 EC において重要な要素となります。

また、事業者は、EC 市場規模の大きい国を対象に越境 EC 事業を展開すれば、他の国と比べて、より高い利益を生み出せるチャンスが広がります。そのため、先ほど「越境 EC の現状と将来性」にて解説したように、EC の市場規模が特に大きい中国とアメリカが、自社の越境 EC の販売対象国である場合は、この 2 つの国の消費者ニーズをしっかりと把握しておくことがとても大切です。

次に詳しく説明しますが、注意点としては、進出先の国の法律では、使用が禁止されている原材料が商品に含まれていたり、販売が許可されていない商品もあるため、事前の調査を十分に行って、後で法規則に反することのないようにしましょう。

関税や海外発送に関する規定を把握しておく

越境 EC が国内専用の EC モールや EC サイトと異なる点は、なんといっても、越境 EC が関税、海外への発送のほか、上述した進出先となる販売対象国での法規制に関わってくるということです。

使用が禁止されているものは、そもそも輸入すら許可されないことがほとんどです。そのため、進出先の国の輸出入に関する詳細については、JETRO の『輸出入に関する基本的な制度』にて確認しておきましょう。

このほか、海外への発送が可能かどうかを確認したい場合、日本郵便の『国際郵便として送れないもの』を参考にするとよいでしょう。

また、もう 1 つ重要な点として、海外発送に際しては、関税に関する知識を深めておくことも大切です。そのため、税関の『主な商品の関税率の目安』に掲載されている、個人輸入者の関心が高いと思われる代表的品目の関税率について、事前に把握しておくようにしてください。

越境 EC を成功させるための注意点

以下に、越境 EC に関する注意点について項目別にまとめました。越境 EC ビジネスを始める前には、これらの注意点についてしっかりとチェックするようにしましょう。

戦略・ビジネスモデル

  • プロダクト戦略 (製品戦略):

    • 市場や顧客ニーズに基づいた商品・サービスを提供するのか、または、自社のビジョンや理念に根差した商品を提供するか
  • チャネル戦略 (流通戦略):

    • 商品・サービスの販売および提供に際し、購入した消費者の手元に届くまでに要する購入媒体、経路の確立ができているか
  • マーケティング戦略:

    • 海外の EC 市場のトレンドや動向、競合他社についての分析ができているか
    • ビジネスの認知度向上に結びつく施策を策定し、売上につながる要素を見定めているか
  • 体制の整備:

    • 越境 EC 市場に参入するにあたり、社内体制が十分に整っているか、または特定の専門分野 (エンジニアなど) を外部に任せる場合は、円滑な関係が構築されているか
  • 収支管理:

    • 資金調達の手段が確保できているか
    • 資金繰りの管理はできているか
  • 価格戦略:

    • 販売対象国の消費者ニーズや市場に合わせた価格で販売するか、または、同じ価格をキープするか
  • 為替の変動によるリスク:

    • 世界情勢や政治によって大きく為替が変動することで、売上にも影響が生じるリスクを理解しているか

法制度、言語、習慣・文化的価値観

  • 認証の取得:

    • 進出先の国における商品販売に関わる認証や許可を得ているか
      商品の原材料や原産国の表示があるか
  • 法律・制度への対応:

    • 現地の法制度への対応は万全にできているか
    • 裁判・法律の適用や管轄は現地か、第三国となるのか
  • 複数言語への対応:

    • 現地の消費者が理解できるレベルに翻訳されたサービスを提供できるか
  • 異なる商習慣・文化的価値観などへの柔軟な対応:

    • 各進出先の国の商習慣、文化背景が日本とは異なることを十分に理解し、対応できているか

物流・顧客対応

  • 事業モデル: 

    • 物流面を考慮したうえで自社に見合った事業モデルを選択しているか
      進出先の国での在庫管理となるか、日本からの直送で対応するか
  • 品質管理:

    • 物流センターの衛生・空調管理、商品の品質管理ができているか
  • 輸送コストの把握:

    • 輸送コストについて把握し、物流全般にかかるサービスとコストのバランスを見極めたうえで最適化できているか
  • 配達完了までの所要日数:

    • 顧客への配達完了までにかかる時間を縮小できるか
  • 返品交換時などの対応:

    • 注文のキャンセル、返品交換についてしっかりと対応できているか
  • 顧客トラブルへの対策:

    • 購入者とのトラブルが生じた場合の対策や業務マニュアルが整っているか

税関

  • 禁止物品の把握:

    • 各国で定める輸入禁止の物品について確認済みであるか
  • 通関対応の不均一性の把握:

    • その都度の通関時の対応にバラツキがある場合、自社側でそれを把握し、万が一の配送の遅延などに備えられているか
  • 不正対策:

    • 仕入元が取引先事業者 (自社) にとって良かれと思い、自社が実際に支払った商品価格より価格を低くした、虚偽の価格を請求書 (インボイス) に記載すると、自社の知らぬうちに通関時にアンダーバリューが発生してしまう可能性があります。そのため、仕入元からこうした要請があったとしても、必ず断るようにしましょう。

アンダーバリュー = 輸入時に、実際の商品価格よりも価格を低くして税関に申告することで、関税を安く抑える不正取引

決済環境

  • 決済手段:

    • 利便性に優れた多様な決済手段が提供されているか
  • 決済時のセキュリティ対策:

    • クレジットカードの不正利用を防止するための対策を徹底しているか
  • 為替の変換:

    • 日本円から外貨への変換サービスや、進出先の国の通貨に対応しているか

なお、Stripe プロダクトのひとつ、Connect では、複数の取引先との支払いを効率的に管理することができ、売上の分配、手数料の徴収、国際的な取引対応など、多くの機能を提供しています。そのため、ショップ (出店者・出品者)、顧客 (商品の購入者) など、複数の当事者が関わる自社 EC サイトやマーケットプレイスを開設および運営するにあたり、決済機能の強化と決済フローの簡易化を目指す方は、Connect を導入することで、よりスムーズで効率的な事業展開を図ることができます。

事前準備を整えて越境 EC ビジネスを目指そう

今回は越境 EC の始め方について、事業モデルや事前に知っておくべき注意点などについて解説しました。越境 EC は、国内市場という枠を超え、海外に向けたビジネス拡大の可能性を秘めています。特に日本の事業者にとっては、今日のインバウンド市場の拡大により、訪日外国人の商品リピーターの増加も期待できるため、日本ならではのブランドとしての強みを活かしながら、自社商品を世界へ発信できるチャンスとなり得るかもしれません。

自社が海外対象のビジネスを展開するにあたって、越境 EC サイトをゼロから構築するには、越境 EC におけるノウハウが必要となるほか、技術面と多言語に優れた人材が揃っていることが重要ポイントとなります。そのため、初心者の方は、まず海外にも対応可能な日本国内の EC モールを利用しながら、海外販売の動向を注視してみるとよいでしょう。

そして、自社で越境 EC への参入を検討中の方は、前章にて解説したように、物流や顧客対応、税関対応、決済環境の準備など、越境 EC を成功させるための注意点について、ひとつひとつおさえておくことが大切です。

この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。

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