納税申告書への対応は、ビジネスを運営する上で重要な要素です。納税申告書への対応を適切に行うと、政府の規制や税法を遵守した状態が維持されるため、罰則や監査といった法的な影響を回避し、税務当局から高い評価を得ることができます。2022 会計年度にアメリカの企業が納付した法人所得税は 4,247 億ドルに上ります。
納税申告書は、企業の財務状況を詳細に把握できるものであり、計画やリソース配分にも役立ちます。企業はこれらの納税申告書を使用して、収益源、支出の傾向、納税義務の発生見込みを把握できます。そのため、財務実績が向上し、長期的な事業計画の指針になります。
以下では、納税申告書の種類と、これらの申告書を管理するためのベストプラクティスについて説明します。
この記事の内容
- 法人の納税申告書の種類
- 所得税申告書
- 雇用税申告書
- 予定納税申告書
- 自営業者税申告書
- 物品税に関する書類
- 企業が納税申告書を管理する際のベストプラクティス
法人の納税申告書の種類
IRS は、企業の所在地、事業形態、業務、財務活動に応じてさまざまな納税申告書を提出することを義務付けています。ここでは、さまざまなタイプの企業に義務付けられている一般的な申告書をいくつか紹介します。
所得税申告書
スケジュール C (フォーム1040): 個人事業主やメンバーが 1 名の有限責任会社 (LLC) は、スケジュール C (事業の利益または損失) を使用して、事業の収入と費用を申告します。この申告書は、個人の納税申告書 (フォーム1040) の一部として提出します。
フォーム 1065: パートナーシップは、フォーム 1065 (アメリカのパートナーシップ所得税申告書) を使用して、年間所得、控除、利益、損失を申告します。パートナーシップは所得税を納付せず、その代わりに、利益と損失はパートナーにパススルー (転嫁) され、パートナーが各自の納税申告書で自己の分の利益と損失を申告します。
フォーム 1120: 所有者とは別個の法的主体である C 株式会社は、フォーム 1120 (アメリカの法人所得税申告書) を使用して所得を申告し、法人所得税を計算します。
フォーム 1120-S: S 株式会社では、連邦税法上、企業の所得、損失、所得控除、税額控除が株主にパススルーされます。フォーム 1120-S (アメリカの S 株式会社所得税申告書) を使用して申告します。
雇用税申告書
フォーム 941: 雇用主の四半期連邦税申告書であるフォーム 941 は、従業員の賃金から源泉徴収した連邦所得税、および社会保障税とメディケア税の雇用主負担を申告するために使用します。
フォーム 940: 雇用主の年次連邦失業保険税 (FUTA) 申告書であるフォーム 940 は、失業保険税を連邦政府に申告して納付するために使用します。
フォーム W-2: 源泉徴収票であるフォーム W-2 は従業員に提供されるものであり、年間の給与額と、給与から源泉徴収された税金の詳細が記載されています。
フォーム W-3: 雇用主はフォーム W-3 (源泉徴収集計票) を使用して、フォーム W-2 の写しを社会保障局 (SSA) に送信します。
情報申告書
フォーム 1099-NEC: 非従業員報酬申告書であるフォーム 1099-NEC は、独立請負業者、フリーランサー、またはその他の自営業者に支払った 600 ドル以上の非従業員報酬を申告するために使用します。
フォーム 1099-MISC: 雑収入申告書であるフォーム 1099-MISC は、家賃、ロイヤリティ、賞金、賞品などの雑収入を申告するために使用します。
フォーム 1096: アメリカの情報申告書の年間要約および送付状であるフォーム 1096 は、さまざまな種類の 1099 納税申告書を要約して IRS に送信するために使用します。
その他の納税申告書
所得税申告書
所得税申告書は、企業の収益、控除額、納税額を申告するために使用します。使用するフォームは、事業形態によって異なります。
個人事業主とメンバーが 1 人の LLC
個人事業主やメンバーが 1 人 LLC は、個人のフォーム 1040 に添付するフォーム「スケジュール C」を提出します。これは、事業の収入と費用を申告する主な手段です。
構成要素
収入: 総収入または総売上高、売上返品と売上値引、売上原価。
経費: 広告費、車やトラックの経費、減価償却費、保険、法務および専門サービス、事務所費、家賃またはリース、消耗品、税金およびライセンス料、旅費、飲食費、接待交際費、光熱費などの控除可能な事業経費。
純損益: 事業の純利益 (または純損失)。フォーム 1040 で申告する個人の総所得に含まれます。
パートナーシップ
パートナーシップはフォーム 1065 を提出して、その年のパートナーシップの財務実績の概要を申告します。
構成要素
収入: 事業活動による総収入と、利息、配当、キャピタルゲインなどのその他の収入源。
控除: 営業費用、減価償却費、パートナーへの保証支払い金など、許容される控除。
各パートナーは、パートナーシップの収入、所得控除、税額控除、その他の項目に対する自身の割り当て分を報告する「スケジュール K-1」も受け取ります。この情報は、パートナーが個人所得税申告書を提出するために使用します。
C 株式会社
C 株式会社は、フォーム 1120 を提出して所得を申告し、課税所得を計算して、納税額を決定します。
構成要素
収入: 事業運営、投資、その他の収入源による収入。
控除: 給与、家賃、減価償却費、利息など控除対象経費。
税額控除: 対象となる税額控除。これにより、全体的な納税額を減らすことができます。
S 株式会社
S 株式会社は、フォーム 1120-S を提出して所得を申告し、含み益または超過受動的投資収入に対する納税額を計算します。構成要素はフォーム 1120 と同様ですが、S 株式会社に特有の違いもあります。パートナーシップと同様に、各株主は、株式会社の収入、所得控除、税額控除、その他の項目に対する自身の割り当て分の詳細が記載された「スケジュール K-1」も受け取ります。
雇用税申告書
雇用税申告書は、雇用主が従業員の賃金と福利厚生に関連する税金を正確に申告して納付するために使用します。これらのフォームには、連邦所得税の源泉徴収、社会保障税、メディケア税、連邦失業保険税も含まれます。
フォーム 941
フォーム 941 は、四半期ごとに IRS に次の情報を申告するために使用します。
従業員の賃金から源泉徴収した連邦所得税
社会保障税とメディケア税の雇用主と従業員の負担分
高所得者から源泉徴収した追加のメディケア税
このフォームは四半期ごとに提出します。通常は四半期末の翌月末までです。構成要素としては、支払った賃金の総額、源泉徴収した所得税の合計、課税対象の社会保障拠出賃金とメディケア拠出賃金、未払いの社会保障税とメディケア税、および傷病手当金、チップ、団体定期生命保険の調整が含まれます。
フォーム 940
フォーム 940 は、受給資格を持つ労働者への失業保険給付の資金源となる FUTA 税の申告と納付に使用します。このフォームは毎年提出します。通常は翌年の 1 月 31 日が提出期限です。構成要素には、その年に支払った賃金の総額、FUTA 納税額 (課税対象賃金の一定割合として計算)、FUTA 税に対して控除可能な州の失業保険税が含まれます。
フォーム W-2
フォーム W-2 は各従業員と SSA に提供されるものです。従業員の年間の給与額と、源泉徴収された税金の詳細が記載されています。このフォームは、毎年 (翌年 1 月 31 日までに) 従業員に対して発行されます。構成要素には、従業員の個人情報 (氏名、住所、社会保障番号)、雇用主の情報、受け取った賃金の総額、源泉徴収された連邦所得税、源泉徴収された社会保障税とメディケア税のほか、該当する場合は源泉徴収された州税と地方税も含まれます。
フォーム W-3
フォーム W-3 は、すべての W-2 フォームを要約して SSA に送信するために使用します。このフォームは、毎年 (翌年 1 月 31 日まで)、すべての W-2 フォームの「コピー A」とともに提出します。構成要素には、雇用主の情報、提出する W-2 フォームの総数、および W-2 フォームで申告した賃金の総額、税金、その他の報酬が含まれます。
その他の雇用形態
予定納税申告書
多くの場合、企業は年間を通じて予定納税する必要があります。これは、通常の所得税の源泉徴収の対象とならない場合に特に当てはまるケースです。予定納税することによって、企業は正しい税額を期限内に納付できるため、過少納付で処罰を受ける可能性を回避できます。
企業が予定納税する必要のある税額は、その年の予定収入、所得控除、税額控除によって異なります。予定納税額を計算する方法としては、主に次の 2 つがあります。
前年度納税額ベース: 前年の納税額に基づいて予定納税するという最も簡単な方法です。
年換算所得分割法: この方法はより複雑ですが、企業の収入が年間を通じて変動する場合は助けになります。この方法では、各期間に獲得した実際の収入に基づいて予定納税額を計算します。
フォーム 1040-ES
フォーム 1040-ES (個人の予定納税) は、個人事業主、パートナーシップのパートナー、および S 株式会社の株主が予定納税額を計算して納付するために使用するフォームです。このフォームは、個人がその年の予定納税額を推定し、四半期ごとに IRS に納付するのに役立ちます。通常は四半期ごとに提出し、期限は 4 月 15 日、6 月 15 日、9 月 15 日、翌年の 1 月 15 日です。
構成要素
予定納税ワークシート: 収入、所得控除、税額控除を考慮した計算プロセスをユーザーに案内します。
納付書: 四半期ごとの予定納税に使用するために含まれています。
フォーム 1120-W
フォーム 1120-W (C 株式会社の予定納税) は、C 株式会社が予定納税額を計算して納付するためのフォームです。フォーム 1040-ES に似ていますが、法人税計算用に調整されており、フォーム 1040-ES と同じ期限で四半期ごとに提出します。
構成要素
予定納税ワークシート: 企業が予測される所得と控除に基づいて納税額を推定するのに役立ちます。
納付書: 四半期ごとの予定納税に使用するために含まれています。
予定納税が期限内に行われなかった場合や納付額が不足している場合は、IRS から罰則が課されます。
自営業者税申告書
自営業者税申告書は、フリーランサー、独立請負業者、個人事業主、パートナーシップのパートナーなど、自営業を営む個人に特化したものです。これらのフォームは、主に社会保障税とメディケア税に焦点を当てて、自営業者が負う固有の納税義務を扱います。
スケジュール SE (フォーム 1040)
スケジュール SE (フォーム 1040) (自営業者税) は、自営業者税を計算して申告するために使用します。これによって、自営業の収入に課せられる社会保障税とメディケア税の額が決定されます。この税金は、従来の被雇用者に対する雇用主と被雇用者の拠出金の合計額に相当します。このフォームは、フォーム 1040 個人所得税申告書とともに毎年提出します。自営業の純利益が 400 ドル以上のすべての個人が提出する必要があります。
構成要素
自営業による純利益: 個人事業主の場合はスケジュール C、パートナーの場合はスケジュール K-1 に基づいて計算されます。
自営業者税の 2 分の 1 の控除: この控除は、自営業者が社会保障税とメディケア税の雇用主と被雇用者両方の部分を支払っていることを相殺する効果があります。
自営業者税の計算: このフォームでは、純利益と適用される税率に基づいて税金を計算する手順を説明します。
スケジュール C (フォーム 1040)
スケジュール C (フォーム 1040、事業の利益または損失) は、自営業の純利益を決定するものです。個人事業主はこのフォームを使用して、事業活動の収入と費用を申告します。このフォームは、フォーム 1040 個人所得税申告書とともに毎年提出します。
構成要素
総収入または総売上高: 事業によって生み出された総収入。
売上原価: 販売した商品の生産または取得に関連する直接費。
経費: 広告費、家賃、消耗品、光熱費などの控除可能な事業費。
その他の考慮事項
予定納税額: 他のビジネスと同様に、場合によっては自営業者も、過少納付の罰則を回避するために年間を通じて予定納税する必要があります。その対象には、所得税と自営業者税が含まれます。
自営業者健康保険控除: 自営業者は、自分自身、配偶者、および扶養家族の健康保険の保険料を控除できます。
物品税に関する書類
物品税は、特定の商品、サービス、活動に対して課税されます。これらの税金は、課税品目の性質に応じて、製造業者、小売業者、輸入業者、または顧客が納付します。IRS は企業に、物品税に関連するすべての取引の正確な記録を残し、申告書の提出日または税金納付日から少なくとも 3 年間、これらの記録を保持することを義務付けています。物品税申告書を期限内に提出しなかった場合や、物品税の納付額を正確に申告しなかった場合は、罰金や延滞金が課せられる可能性があります。
フォーム 720
フォーム 720 (四半期次連邦物品税申告書) は、企業がほとんどの連邦物品税を申告して納付するために使用する主なフォームです。このフォームは、四半期ごとに物品税の納付額を計算して申告するために使用します。通常は四半期末の翌月末までに提出します。連邦物品税の対象となる商品またはサービスを製造、販売、使用する企業がこのフォームを使用する必要があります。
主な構成要素
パート I: 燃料税、環境汚染物質税、航空輸送税、特定の通信サービス税など、さまざまな物品税をカバーします。
パートII: 大型トラックの高速道路使用税など、1 回限りの税金を申告します。
スケジュール A: 物品税納付額の詳細な内訳を提供します。
その他の物品税申告書
フォーム 2290: 総重量が 55,000 ポンド以上の車両の場合は、重量車両使用税申告書であるフォーム 2290 を毎年提出します。
フォーム 8849: 物品税還付請求書であるフォーム 8849 は、過払いの物品税の還付を請求するために使用します。
場合によっては、物品税の計算を立証するために、企業が追加の記録を保持する必要があります。これには、請求書、領収書、生産記録、輸出入文書などが含まれます。
企業が納税申告書を管理する際のベストプラクティス
企業の納税申告書の管理に役立つベストプラクティスをご紹介します。
テクノロジーを使う: ビジネスの規模と業種に合わせた会計ソフトウェアを活用します。このテクノロジーによって、データ入力の自動化、現行法に基づいた税金計算、金融取引の正確かつリアルタイムでの記録が可能になります。先進的なシステムで税務申告サービスを導入できるため、エラーが発生するリスクや手動入力に費やす時間を削減できます。
税務カレンダーを作成する: 税務カレンダーがあると、さまざまな納税申告書とその期限、準備開始日、確認期間、各申告書に必要なアクションを把握できます。これらの重要な日付にアラートを設定して、見落としがないようにします。
詳細な記録を保持する: すべての取引、領収書、以前の納税申告書、関連する財務書類を網羅した記録を整理して保管します。暗号化と使いやすい検索機能に対応したデジタルストレージソリューションを利用することで、機密情報を保護し、納税申告の準備と監査対策のプロセスをシンプルにすることができます。
自社の義務を理解する: 事業形態や業種に関連する納税申告書について、常に最新情報を把握します。たとえば、連邦と州の要件のほか、物品税、雇用税、ビジネスに影響を与える可能性のあるその他の特殊税の納税義務が発生する可能性などです。
税理士に相談する: 業界やビジネスに詳しい税理士に依頼することを検討してください。定期的に相談することで、複雑な税務状況への対応方法、税務ポジションの改善、利用可能な税制上の優遇措置や控除に関するアドバイスを受けることができます。法律やビジネス環境の変化に応じて戦略を調整するために、納税申告時だけでなく、年間を通じて積極的に関係を深める必要があります。
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