企業は毎年、1099-NEC 納税申告書を、その年に 600 ドル以上を支払った非従業員に対して発行しなければなりません。この一見単純に見えるプロセスが、重大な問題を引き起こす可能性があります。これは特に、規則違反に対する IRS の罰則が相当重いためです。IRS によると、同庁が事業所得税申告者に課した民事制裁金は 1 年で 29 億ドルにもなります。この金額は税務申告を誤って行うことに伴う財務上のリスクを痛感させるものです。
企業は、1099-NEC 納税申告書の全容を理解することで、自信を持って正しく納税義務を果たすための盤石な基盤を築くことができます。この申告書をいつどのように使用するかは、基本的な要件だけでなく、多くの詳細情報や例外事項の影響を受けます。ここでは、1099-NEC 納税申告書の意味合いと、企業が効果的に納税義務を果たすうえで役立つ情報について詳しく説明します。
この記事の内容
- 1099-NEC 納税申告書とは
- 非従業員報酬とは
- 1099-NEC 納税申告書の用途
- 誰が 1099-NEC 納税申告書を提出する必要があるか
- 1099-NEC 納税申告書に必要な情報
- 1099-NEC 納税申告書発行の基準額
- 1099-NEC 納税申告書を自身の納税申告書に記載する方法
- 1099-NEC 納税申告書の情報の修正方法
- 違反に対する罰則
- Stripe によるサポート
1099-NEC 納税申告書とは
1099-NEC はアメリカ合衆国内国歳入庁 (IRS) によって使用される申告書で、NEC は「Nonemployee Compensation」の略です。 2020 年に導入されたこの申告書は、1099-MISC 納税申告書の Box 7 に代わるもので、非従業員報酬を報告するために使用されます。
非従業員報酬とは
非従業員報酬は、支払人の従業員ではない個人が提供したサービスの対価として、支払人から支払われる報酬のことを指します。これは支払人の取引またはビジネスの過程で行われます。一般的には、企業が独立請負業者、フリーランサー、その他の個人事業主に支払った金銭を指します。
ここでは非従業員報酬の例をいくつかご紹介します。
独立請負業者、フリーランサー、コンサルタント、その他の個人事業主など、従業員以外のサービス提供者に支払われる手数料
取締役会メンバーの労務に対する支払い
従業員以外の営業担当者に支払われたコミッションで、返済義務があるがその年に返済されなかったもの
弁護士への法務サービスに対する支払い
非従業員報酬には、家賃 (1099-MISC 納税申告書で報告) や従業員への賃金 (W-2 納税申告書で報告) など、別の申告書が使用されるタイプの支払いは含まれないことに注意してください。
非従業員報酬の受取人は一般的には個人事業主と見なされ、自営業税が課され、これが社会保障税と医療保障税をカバーします。このような個人は、これらの税金やその他支払うべき税金をカバーするために、1 年を通して予定納税を行う必要があります。
1099-NEC 納税申告書の用途
1099-NEC 納税申告書は主に、独立請負業者、フリーランサー、その他の個人事業主などの非従業員に対する 600 ドル以上の支払いを、企業が申告するときに使用されます。たとえば、コンテンツ作成のためにフリーランスのライターを雇い、1 年間に 600 ドル以上を支払った企業は、その支払いを 1099-NEC 納税申告書で申告することになります。
1099-NEC は、ビジネス上の支払いにのみ使用され、個人的な支払いには使用されません。支払いを受けた個人または法人は、この情報を使って自身の所得税申告を行います。1099-NEC を受け取った場合、その支払いは税金が源泉徴収されていないため、所得税と自営業税は自身で支払う必要があることを理解しておくことが重要です。
誰が 1099-NEC 納税申告書を必要とするか
課税年度中に非従業員から提供されたサービスへの対価として 600 ドル以上を支払った企業はすべて、1099-NEC 納税申告書を提出する必要があります。この非従業員には、多くの場合、独立請負業者、フリーランサー、コンサルタントなどが含まれます。同様に、支払いを受けた個人または法人にも、収入の記録として 1099-NEC 納税申告書が必要になります。
ここでは 1099-NEC 納税申告書を必要とする関係者について詳しく説明します。
企業
非従業員への支払いが年間 600 ドル以上になる場合、1099-NEC 納税申告書に記入する必要があります。この申告書は支払いの記録であり、事業税の申告に必要です。この申告書のコピーを非従業員に送ります。また、コピーは IRS にも提出する必要があります。1099-NEC 納税申告書に正確に記入できるように、該当する支払いを 1 年にわたって記録しておくことが重要です。非従業員
年間 600 ドル以上を企業から受け取った、独立請負業者、フリーランサー、コンサルタントなどの非従業員には、1099-NEC 納税申告書がその企業から届くはずです。この 1099-NEC 納税申告書は、非従業員が企業から得た収入を証明するもので、確定申告のときはこの収入を申告する必要があります。通常、非従業員の報酬から税金が源泉徴収されることはないため、所得税や自営業税を支払う可能性がある場合は、その分の予算を確保しておくことが重要です。
1099-NEC 納税申告書は、通常、支払いを行った企業側の責任で記入され、非従業員と IRS にそのコピーが送られます。ただし、1099-NEC 納税申告書が届かなくても、600 ドル以上の収入を得ている非従業員は、確定申告でその収入を申告する責任があります。
1099-NEC 納税申告書に必要な情報
1099-NEC 納税申告書には、支払人 (通常は企業) と受取人 (非従業員または独立請負業者) の両方の情報がいくつか必要です。必要とされる主な情報は以下のとおりです。
支払人の情報: 支払人の氏名、住所、納税者番号 (TIN) (個人事業主の場合は社会保障番号 (SSN)、その他の企業の場合は雇用者識別番号 (EIN)) など。
受取人の情報: 受取人の氏名、住所、TIN (SSN または EIN) など。
非従業員の報酬総額: 課税年度中に企業が受取人に支払った非従業員の報酬総額 (Box 1)。税控除前の総額である必要があります。
源泉徴収された連邦所得税: 非従業員報酬 (Box 4) から源泉徴収された連邦所得税がある場合は、このボックスで申告します。ただし、一般的に、非従業員報酬から連邦所得税が源泉徴収されることはないため、このケースはあまり発生しません。
州の情報: 州税が源泉徴収されている場合、支払人は、州納税者番号、受取人の州、源泉徴収された州所得税の金額を含める必要もあります。
このプロセスを容易にするために、1 年を通して正確な記録を取っておくことが非常に重要です。また、支払い先のすべての非従業員に、記入済み W-9 納税申告書をリクエストする必要があります。この申告書によって、納税者番号とその他必要な情報を確認します。
1099-NEC 納税申告書発行の基準額
1099-NEC 納税申告書発行の基準額は 600 ドルです。つまり、企業は、非従業員から提供されたサービスの対価として課税年度中に 600 ドル以上を支払った場合、その個人または法人に対して 1099-NEC 納税申告書を発行する必要があります。
課税年度中に企業が特定の非従業員に支払った金額が 600 ドル未満であれば、その個人または法人に対して 1099-NEC を発行する必要はありません。ただし、収入を受けた側は、通常、確定申告でその収入を申告する必要があります。
特に注意する必要があるのは、この 600 ドルという基準額は、個人または法人ごとに適用されるという点です。企業がその年に支払う非従業員報酬の総額に適用されるものではありません。たとえば、ある企業が 3 つの異なる請負業者それぞれに 500 ドルを支払った場合、支払い総額は 600 ドルを超えますが、どの請負業者に対しても 1099-NEC 納税申告書を発行する必要はありません。
1099-NEC 納税申告書を自身の納税申告書に記載する方法
1099-NEC 納税申告書を受け取った理由が非従業員報酬による収入である場合、連邦税申告でこの収入の申告が必要である点を理解しておくことが重要です。これは複雑なプロセスなので、その手順を明確に理解しておく必要があります。以下は、このプロセスを進めるための全般的なガイドです。
スケジュール C
個人事業主、独立請負業者、個人の自営業者の場合、通常、1099-NEC の収入は、「スケジュール C、事業所得または損失」で申告します。1099-NEC の Box 1 の合計額を、スケジュール C の 1 行目に記入してください。自営業税
非従業員報酬の金額も自営業税の対象となり、これが社会保障税と医療保障税をカバーします。この金額を計算するには、「スケジュール SE、自営業税」に記入する必要があります。結果はフォーム 1040 に記載されます。予定納税
申告時に 1,000 ドル以上の負担が見込まれる自営業者は、通常、1 年を通して予定納税を行う必要があります。これには所得税と自営業税が含まれています。これらの支払いを計算し、納税を行うためには 1040-ES 納税申告書 (個人向け予定納税) を利用します。州税
州によっては、州税申告で 1099-NEC の収入を申告しなければならない場合もあります。経費
スケジュール C で、非従業員報酬を得るためにかかった事業経費を差し引くことができます。これにより課税所得が少なくなる場合があります。経費には、消耗品費、旅費交通費、ホームオフィス費、その他業務に必要な費用が含まれます。
税金に関する問題は複雑で、状況によって必要な書類やプロセスが異なる場合があることに留意してください。税務専門家に相談して、正確な情報とアドバイスを確実に得ることをお勧めします。
1099-NEC 納税申告書の情報の修正方法
すでに IRS に提出した 1099-NEC 納税申告書の情報を修正するには、修正した申告書を提出する必要があります。ここではその方法をご紹介します。
新しい 1099-NEC 納税申告書を入手する: この申告書は、IRS のウェブサイトから入手するか、IRS に連絡して取り寄せてください。申告書はスキャン可能である必要があるため、ウェブからのコピーを印刷するだけではいけません。IRS の公式の申告書を使用する必要があります。
申告書に正しい情報を記入する: 申告書に正しい情報を記入します。ご自身の TIN、受取人の TIN、非従業員報酬額が正しく記入されていることを確認してください。
[CORRECTED] ボックスにチェックを入れる: 新しい 1099-NEC 納税申告書の上部に [CORRECTED] ボックスがあります。 このボックスにチェックを入れて、この申告書が修正版であることを IRS にわかるようにしてください。
修正した申告書を受取人と IRS に送る: 修正した 1099-NEC を非従業員報酬の受取人に送る必要があります。この修正した申告書は、IRS にも送る必要があります。1099-NEC を電子的に IRS に提出した場合は、修正版も電子的に提出しなければなりません。
1096 納税申告書を修正する: 1096 納税申告書は、1099 納税申告書のサマリー申告書で、1099 申告書と一緒に IRS に送る必要があります。1096 納税申告書で申告した合計額が、1099-NEC の誤りの影響を受けた場合は、1096 納税申告書を修正して再送する必要もあります。
上記のステップは全般的なガイドです。正確なプロセスは状況によって異なる場合があります。納税申告書の誤りは深刻な影響を及ぼすことがあります。誤りの修正方法についてわからない点がある場合は、税務専門家に相談してください。IRS から罰則が科されるのを避けるためにも、誤りは気付いたらすぐに修正することが重要です。
違反に対する罰則
正しい 1099-NEC 納税申告書を適時提出しなかった場合、IRS から罰金が科される可能性があります。罰金は違反の重大度によって異なり、金額にも幅があります。違反は「申告忘れ」と「意図的な無視」の 2 つのカテゴリーに大きく分類されます。
申告忘れ
正しい 1099-NEC を合理的な理由なく期限までに提出しなかった場合、罰金の対象となることがあります。罰金の金額は、正しい申告書をいつ提出したかによって決まります。罰金の概要は以下のとおりです。
- 提出期限から 30 日以内に正しいものを提出した場合、罰金額は 1 件あたり 50 ドルで、年間 19 万 4,500 ドル (大企業は 55 万 6,500 ドル) を上限とします。
- 提出期限から 30 日が経過した後、8 月 1 日までに正しいものを提出した場合、罰金額は 1 件あたり 110 ドルで、年間 55 万 6,500 ドル (大企業は 166 万 9,500 ドル) を上限とします。
- 8 月 1 日以降に提出した場合、または必要書類を提出しなかった場合、罰金額は 1 件あたり 280 ドルで、年間 113 万 500 ドル (大企業は 339 万 2,000 ドル) を上限とします。
意図的な無視
正しい 1099-NEC を適時提出する義務を、企業が意図的に無視したと IRS が判断した場合は、1 件あたり 560 ドル以上 (上限なし) の罰金が科されます。
この罰金は、1099-NEC が正しく提出されていない事例ごとに適用されます。このため、提出していない 1099-NEC 納税申告書が複数ある企業には、多額の罰金が科される可能性があります。連邦からの罰則に加えて、正しい 1099-NEC 納税申告書を提出しなかったことに対して、州が罰則を科す場合もあります。
Stripe によるサポート
Stripe Tax では、売上税の計算と徴収や納税申告書の作成を自動的に行うことができるため、企業の負担が軽減されます。Stripe Tax を使用すれば、あらゆる規模の企業が自信を持って納税義務を果たし、罰則が科されるのを避けることができます。
ここでは、Stripe Tax がビジネスにどのように役に立つのかを簡単にご紹介します。
税額計算の自動化
Stripe Tax では、商品、企業の所在地、顧客の所在地に応じて、ビジネスの税率をリアルタイムで自動計算できます。この機能は主に売上税や付加価値税 (VAT) のために作られたものですが、企業が非従業員に対して支払っている金額を追跡するのにも役立ちます。この金額は、1099-NEC に準拠するために把握する必要があります。データの収集と確認
請負業者から正しい情報 (TIN など) を収集する作業は複雑になる場合があります。Stripe Tax はこのプロセスを自動化する機能を備えており、支払いプロセス中に、TIN、住所、その他必要なデータが収集され、確認が行われます。申告書の作成と提出
1099-NEC に準拠するうえで重要なのは、申告書を作成し送信することです。Stripe Tax を使用すると、収集した支払いデータに基づいて申告書を作成し、それを請負業者に直接送信できるだけでなく、IRS に提出することも可能です。記録管理
正確な記録を残しておくことは、監査に備えるためにも、自身のビジネスを管理するうえでも重要です。こうした記録の管理に役立つのが Stripe Tax であり、非従業員への支払いや発行した納税申告書に関するすべての情報を追跡することができます。
1099-NEC 納税申告書の申告要件をよく理解し、Stripe Tax などのツールを活用すれば、税金や規制への対応を大幅に簡素化できます。そして、税規制に関する情報を常に最新に保つことで、企業は日々の業務と将来に向けた計画に専念することができます。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。