財務レポートは、一定期間 (通常は四半期または 1 年) にわたる企業の財務状況を詳しくそのまま表したものです。貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書からの重要なデータがまとめられており、企業への入金 / からの出金の詳細が分かります。利益と損失の反映であり、企業がどれだけ効率的に運営されているかが分かり、考えられる軌道を読み取れます。財務レポートにより、投資家、マネージャー、規制当局は、企業の財務の健全性についての理解を深めることができます。また、ビジネス上の意思決定と戦略的計画を導くのに役立ちます。たとえば、アメリカのほとんどの州の民間企業および公共事業は、年次レポートを地元の州務長官に提出するよう義務付けられてます。
以下では、財務レポートに含まれる内容、財務レポートが企業にとって重要である理由、財務レポートの作成方法について説明します。
この記事の内容
- 財務レポートに含まれる内容
- 財務レポートが企業にとって重要である理由
- 財務レポートの作成方法
財務レポートに含まれる内容
総括的な財務レポートには多くの場合、次のような内容が記載されています。
貸借対照表: 貸借対照表は財政状態計算書とも呼ばれ、特定の時点での企業の資産、負債、および資本を一覧表示したものです。企業が所有する資産と負っている債務、および株主が保有する利益が示されます。
損益計算書: 収支計算書と呼ばれることもある損益計算書は、特定の期間における会社の収益、費用、および損益を示したものです。企業の運営とその収益性に関するインサイトが得られます。
キャッシュフロー計算書: キャッシュフロー計算書は、社内の現金の流入と流出を詳細に示したものです。これらを運営、投資、財務の各活動へとセグメント化します。ビジネスの流動性と全体的な財務の柔軟性を理解するために重要です。
株主持分変動計算書 資本計算書とも呼ばれる株主持分変動計算書は、レポート期間を通じて資本の変更を追跡するものです。これらの変更には、純利益、配当金の支払い、および株式の発行または買い戻しが含まれます。
財務諸表注記: 財務諸表注記には、財務諸表に関する備考や詳細が記載されており、企業の会計方針、不測の事態、リスク管理慣行、その他の重要な財務情報に関するインサイトが得られます。
経営成績の分析 (MD&A): MD&A 自体は財務諸表ではありませんが、財務決算や事業に影響を与えるその他の要因に関する、経営陣の視点が記されています。市場の状況、財務上のコミットメント、予想される将来の業績に関する説明が含まれる場合があります。
財務レポートが企業にとって重要である理由
ここでは、財務レポートが企業にとって重要である理由をご紹介します。
透明性と説明責任: 財務レポートは、企業の財務状況が公正明瞭であることを保証し、投資家 、債権者、その他の利害関係者の間で信頼を維持するのに役立ちます。これらのレポートにより、企業はその財務慣行と結果についての説明責任を負います。
戦略的意思決定: 経営陣は、これらのレポートからのデータを使用して、事業の拡大、コストの削減、新しいプロジェクトへの投資など、情報に基づいた意思決定を行います。マネージャーは、オプションを評価し相応の戦略を立てるのに必要なインサイトを、財務レポートから得られます。
業績評価: 財務諸表により、企業は財務の健全性と運用の有効性を経時的に評価できます。現在のレポートを以前のレポートと比較すると、トレンドを特定し、成長を追跡し、業績が低下している可能性がある分野を管理するのに役立ちます。
法令遵守: 企業は、会計基準や規制を遵守するために、財務レポートを常に把握する必要があります。これらのレポートを関係当局に提出し、上場企業の場合は、法定義務を果たすために公開する必要があります。
投資誘致: 総括的な財務レポートで、企業の収益性と安定性を示すことで、投資家を引き付けることができます。企業への投資や貸付のリスクおよび潜在的なリターンを評価するのに投資家や債権者が使用する、必要情報が記載されています。
信用機会: 銀行やその他の貸付機関は、融資申請を審査する際に、財務諸表を使用して企業の信用力を評価します。レポートに財務の健全性が示されていれば、より有利な融資条件と与信枠につながる可能性があります。
予算編成と予測: 財務レポートは、企業の予算編成と財務予測を行うのに役立ちます。お金がどこから来てどこに行くのかを理解することで、将来の支出と投資をより適切に計画できます。
財務レポートの作成方法
ここでは、財務レポートを作成するためのステップを順を追って説明します。
財務データを収集する
レポート期間中のすべての財務情報を収集します。これには、売上請求書、発注書、経費領収書、銀行取引明細書、給与記録などの取引のほか、資産、負債、資本勘定の期首・期末会計残高が含まれます。これらの残高を補足文書と照合して、正確であるよう徹底させます。
レポートフレームワークを選択する
従う会計基準と作成するレポートの種類 (年次、四半期ごとなど) を決定します。一般に公正妥当と認められる会計原則(GAAP) はアメリカで最も一般的なフレームワークですが、他の多くの国では国際財務報告基準(IFRS) が使用されています。対象ユーザーと規制要件を考慮に入れて、これらのオプションを選択してください。
コア財務諸表を作成する
諸表の次の構成要素を準備します。
貸借対照表: 四半期末や年度末などの特定の時点における資産 (現金、売掛金など)、負債 (買掛金、ローン買掛金など)、および資本 (普通株式、利益剰余金など) を一覧表示します。会計式 (資産 = 負債 + 資本) が成り立つことを確認し、資産と負債を流動 (1 年以内に現金化または返済される予定) または非流動に分類します。
損益計算書: レポート期間中の収益 (売上、サービス収益など) と費用 (売上原価、給与、家賃、光熱費など) を計算します。発生主義会計を使用して、現金の受領または支払いの時期に関係なく、同じ期間の収益と費用を照合します。売上総利益、営業利益、純利益を分かりやすい形式で示します。
キャッシュフロー計算書: 営業活動 (顧客から受け取った現金、サプライヤーや従業員に支払った現金など)、投資活動 (有形固定資産の購入や売却など)、財務活動 (債務の発行や返済、株式の発行や買戻しなど) によるキャッシュフローを分析します。期末現金残高を貸借対照表と照合し、直接法または間接法を使用して営業キャッシュフローを提示します。
株主持分変動計算書: 純利益、所有者からの拠出、所有者による引き出し、その他の包括利益 (投資の未実現損益など) によって資本がどのように変化したかを示します。各持分勘定の期首残高と期末残高を提示し、その変化を説明します。
財務諸表注記: 会計方針 (減価償却方法、在庫評価など)、主要なイベント (買収、訴訟など)、不測の事態 (潜在的な負債など)、および主な諸表では明らかではないその他の関連する詳細を説明します。これらの注記は簡潔に記載します。また必ず、関連する財務諸表の項目と相互参照させてください。
MD&A を起草する
企業の財務実績、主要なトレンド (収益や費用の変化など)、リスク (競争、経済状況など)、および将来の見通し (新製品、拡張計画など) に関する経営陣の視点を提示します。会社の流動性 (短期的な義務を果たす能力)、資本資源 (長期投資に資金を提供する能力)、および業績 (収益性) について説明します。MD&A では平易な言葉を使用し、専門用語を避け、幅広い読者にとって読みやすいものにします。
追加の構成要素を検討する
ニーズや報告主体に応じて、次のものを含めることもできます。
監査報告書: 財務諸表の公正性に関する第三者評価
サステナビリティレポート: 企業の環境・社会・ガバナンス (ESG) 取り組みに関する情報
ガバナンスレポート: 会社の取締役会、経営陣、コーポレートガバナンスの実践に関する詳細
株主への書簡: 会社の業績と将来の計画をまとめた CEO または会長からのメッセージ
確認し検証する
すべての計算、データ、および情報が正確であることを確認します。レポートが会計基準および規制要件に準拠していることを確認します。エラーや矛盾がないか、他の誰かにレポートを精査してもらいます。
形式を整え提示する
レポートは明確で簡潔な形式で整理し、必要に応じて表、チャート、グラフを使用します。目次、ページ番号、見出しでレポートを構成し、専門性にふさわしいフォントとレイアウトを選択します。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。