「三角取引」という言葉は、それぞれ異なる EU 加盟国に拠点を置く 3 つの企業が関与する商業活動を指し、商品が 2 番目の国を経由せずに最初の国から 3 番目の国に直接移動するのがこの取引の特徴です。
異なる EU 加盟国の付加価値税 (VAT) 課税企業がこの取引を行う場合、EU の規制に基づくシンプルな VAT 税制の恩恵を受けます。この税制の目的は、仲介業者を目的地の加盟国の納税義務から解放することにあります。本記事では、この種の取引に係る VAT の免除とその要件について解説します。
本記事の内容
- 三角取引の説明
- 三角取引の参加者
- 三角取引の請求処理
- フランス企業の VAT 申告
- 三角取引における VAT の納付
三角取引の説明
EU 域内三角取引とは、EU 域内の VAT 課税対象企業間で行われる取引を指します。この取引は、ある企業が別の EU 加盟国の企業に商品を販売すると開始されます。2 番目の企業は、その商品をさらに別の EU 加盟国の企業に又売りします。そうすると、1 番目の企業は少なくとも 1 つの EU 加盟国を経由して、3 番目の会社に商品を直接出荷したものと見なすことができます。
以前までは、このような取り決めに対する VAT の報告と納付の義務も複雑なものでした。ですが状況は好転し、指令 2006/112/EC 第 141 条 (2006 年 11 月 28 日施行) により、税務当局がこの取引に課税しやすくするための措置が導入されました。
この措置のおかげで、仲介業者はこのような商業活動に対する VAT を免除されるようになりました。実際の VAT 納税義務は、取引全体ではなく、商品の配送先、具体的には最終顧客の域内取得に対してのみ課されます。
三角取引の参加者
関係するすべての当事者は、それぞれの EU 加盟国で VAT 登録を済ませておく必要があります。
売り手
売り手またはサプライヤーは、EU 加盟国に拠点を置き、別の EU 加盟国の顧客に商品を販売する事業者を指します。売り手は、サードパーティーを通じて買い手または最終顧客に商品を直接出荷します。
仲介業者
2 番目の EU 加盟国に所在する仲介業者は、売り手から商品を買い付け、3 番目の EU 企業に又売りを行います。三角取引では、商品が仲介業者の場所を物理的に通過することはありません。
買い手
買い手は、仲介業者から商品を購入する最終顧客です。三角取引の原則は、売り手が買い手に直接商品を引き渡す場合にのみ適用されます。
たとえば、フランス企業が 10 トンのチーズをドイツ企業に販売し、ドイツ企業がイタリア企業に又売りすると仮定します。この場合、フランス企業は、ドイツを完全に迂回してフランスからイタリアに直接チーズを出荷することになります。このシナリオでは、イタリア企業が域内取得に係る VAT を納付する責任を負います。
三角取引の請求処理
三角取引の利点は、取引に関係する企業の VAT 納税義務が簡素化されることです。
売り手と仲介業者は税抜きの請求書を発行する義務を負います。取引では VAT が免除されるため、売り手は仲介業者に税抜き価格で請求します。同様に、この取引は三角取引として認定されるため、仲介業者は最終購入者に VAT なしの請求書を発行します。
請求書には、以下のいずれかの文言を含めて、VAT 免税を明確に表明する必要があります。
- 「一般税法第 262 条第 1 項に基づき VAT 免除」(フランス固有の法律)
- 「改正指令 2006/112/EC 第 138 条に基づく免除」(該当する欧州指令への言及)
また請求書には、関係する各企業の EU 域内 VAT 番号を明記する必要があります。
フランス企業の VAT 申告
最初の売り手は、VAT 確定申告の際、域内供給を課税対象外として申告する必要があります。この申告により免税措置が正当化され、EU 域内での商品移動が追跡しやすくなります。
仲介業者は域内取得の報告書に加え、域内供給の申告書を提出する必要があります。
最後に、最終顧客は VAT 申告で EU 域内での商品の取得を報告します。
フランスの企業は、売り手、仲介業者、最終顧客のいずれであっても、適切な申告書 (月次申告の場合は Form CA3、年次申告の場合は Form CA12) に取引の情報を記載して VAT 申告を行う必要があります。
三角取引における VAT の納付
すべての条件を満たしている場合、最終顧客は、加盟国での域内取得に係る VAT を納付する責任を負います。買い手は、自国で適用される税率を適用しなければなりません。
三角取引の他の参加者は、VAT の徴収義務を免除されます。詳細については、財政公表 (BOFiP) を参照してください。
Stripe Tax があれば、フランスの VAT 課税対象企業は、申告期限内に課税額を申告して VAT を納付することもできます。Stripe Tax は、三角取引に伴う複雑な VAT 規制に準拠しながら、企業がコアビジネスに集中することを可能にします。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。