販売額申告書: ドイツにおける申告義務

Tax
Tax

Stripe Tax では、一度の導入で世界中の支払いに対する税金の計算、徴収、レポート作成をご利用いただけます。登録が必要な場所を把握した上で適切な税額を自動徴収し、申告のために必要なレポートも作成することができます。

もっと知る 
  1. はじめに
  2. 販売額申告書とは
  3. 販売額申告書の目的
  4. 販売額申告書に記載する必要がある売上
  5. 販売額申告書の申告義務を負う対象者
  6. 販売額申告書の作成方法
    1. ELSTER での販売額申告書の作成
  7. 販売額申告書の申告期限
  8. 記入ミス、提出の遅れ、未申告があった場合の影響

他のヨーロッパ諸国に商品やサービスを販売している事業者は、販売額申告書を使用して越境販売額を申告する必要があります。この記事では、販売額申告書の概要と作成方法について説明します。また、申告が必要な対象者と商品、申告期限、義務に違反した場合に科せられる罰則についても説明します。

この記事の内容

  • 販売額申告書とは
  • 販売額申告書の目的
  • 販売額申告書に記載する必要がある売上
  • 販売額申告書の申告義務を負う対象者
  • 販売額申告書の作成方法
  • 販売額申告書の申告期限
  • 記入ミス、提出の遅れ、未申告があった場合の影響

販売額申告書とは

販売額申告書とは、事業者が EU 域内の販売額を申告するために税務署に提出する申告書です。この定期的な申告に基づいて、EU 加盟国の税務署は国境を越えた商品供給とサービス提供に対して適切に課税されていることを確認できます。販売額申告書の法的根拠は、ドイツ VAT 法 (UStG) 第 18a 条にあります。

販売額申告書の目的

販売額申告書は EU 域内の付加価値税 (VAT) 管理規定における重要な部分です。この制度は、1992 年から 1993 年に EU 域内の国境が開放され欧州域内市場が実現した際に、EU 加盟国の税収を確保するために導入されたものです。それ以来、商品の越境販売は域内供給として、またサービスの越境販売は域内サービスとして扱われるようになりました。これらの法的手段によって EU 域内の取引が合理化されます。

受取人の国で VAT を課税することで手続きが合理化されるため、請求書を発行する事業者の事務負担が大幅に軽減されます。なぜなら、この規則がないと、事業者は他の EU 加盟国のそれぞれで税務署に VAT を支払う必要があるからです。供給側事業者は域内サービスや域内供給の一環として、VAT 非課税の請求書を発行できます。受取側事業者は、自国内の所轄税務署に VAT を納付します。域内販売はすべて販売額申告書に記載し、自国の所轄税務署に送付して税務調査を受ける必要があります。

販売額申告書に記載する必要がある売上

販売額申告書には、事業者が他の EU 加盟国に販売し、なおかつドイツで VAT が課されないすべての商品とサービスを記載する必要があります。具体的には、以下のようなものが含まれます。

  • 域内供給: UStG 第 18a 条第 1 項および第 6 項に従い、事業者間での商品とサービスの越境供給を表します。
  • その他の域内サービス: UStG 第 3a 条第 2 項に従い、事業者が他の EU 加盟国に提供するサービスを表します。
  • 域内三角取引: UStG 第 25b 条第 2 項に従い、異なる EU 加盟国に所在する 3 社間の連鎖取引を表します。

販売額申告書の申告義務を負う対象者

販売額申告書は次の対象者が作成する必要があります。

  • UStG 第 2 条第 1 項の定義に該当する事業者
  • UStG 第 2 条第 2 項第 2 号の定義に該当する非独立法人 (子会社)
  • 同一単価が適用される農業者および林業者

原則として、域内販売を行っているすべての事業者に申告義務があります。また、フリーランスや自営業者も対象に含まれます。ただし、UStG 第 19 条第 1 項の定義に該当する小規模事業者は対象から除外されます。小規模事業者は税務署に VAT を納付する必要がないため、小規模事業者の請求書に VAT は記載されず、請求もされません。そのため、販売額申告書の申告義務の対象には含まれません。

販売額申告書の作成方法

販売額申告書は電子的手段によってのみ作成し、送信します。ドイツでは、ELSTER ポータルまたは BZSt オンラインポータルを使用して申告できます。そのためには、ユーザーがそれぞれのポータルに登録する必要があります。

詳しくは ELSTER をご覧ください。

ELSTER での販売額申告書の作成

ELSTER ポータルを使用する場合、簡単な手順で販売額申告書を作成できます。

  1. 自社の VAT 納税者番号を入力します。
  2. 申告期間 (年、月または四半期) を選択します。
  3. 「Next (次へ)」をクリックします。
  4. 自社のデータ (名前、住所、電話番号) を入力します。
  5. 「Next (次へ)」をクリックします。
  6. 域内で商品またはサービスを受け取った事業者の VAT 納税者番号と販売額を入力します。複数の事業者が該当する場合、行を追加して、各行にそれぞれの VAT 納税者番号と販売額を追加できます。
  7. 入力したデータに漏れがなく正しいことを確認します。
  8. 販売額申告書を送信します。

販売額申告書は VAT の事前申告書と一緒に提出されます。

注: 域内販売は VAT の事前申告書にも記載する必要があるため、両方の申告書の詳細が一致している必要があります。

販売額申告書の申告期限

販売額申告書の申告期間は、通常は各四半期です。これはすべての域内供給と域内三角取引に適用されます。域内サービスでも申告期間は各四半期ですが、対象の 3 カ月間の当該サービスの金額が 50,000 ユーロを超えない場合に限ります。販売額がこの金額を超える場合は、域内サービスについて毎月申告する必要があります。

VAT の事前申告書を毎月提出している場合でも、四半期ごとに提出している場合でも、販売額申告書は必ず申告期間の翌月 25 日までに提出する必要があります。当該申告期間に域内販売がなかった場合、税務署に販売額申告書を提出する必要はありません。

UStG 第 18 条第 2 項の規定による「年次納付者」には別の条項が適用され、VAT 申告書を提出せずに税務署に予納する必要がある事業者は、販売額申告書を年に 1 回提出するだけで済みます。その場合、申告期限は申告期間の翌月 25 日です。ただし、次の条件を満たしている必要があります。

  • 事業者の前年と当年のすべての供給とその他のサービスの合計額が 200,000 ユーロを超えていない。
  • 事業者の前年と当年の域内販売額の合計が 15,000 ユーロを超えていない。
  • 商品の供給の中に、外国の VAT 納税者番号を持つ事業者への新車自動車の提供が含まれていない (UStG 第 1b 条第 2 項および第 3 項)。

記入ミス、提出の遅れ、未申告があった場合の影響

販売額申告書に記入ミスや記入漏れがあった場合は訂正権を行使することができます。ミスが発覚した日から 1 カ月以内であれば、ミスを訂正して販売額申告書を修正することが認められています。ELSTER ポータルでは、最初のステップで申告に使用した「Recapitulative statement (販売額申告書)」フォームで訂正を入力できます。訂正が必要な申告期間ごとに個別に訂正申告書を提出する必要があります。そのために、「Selection (選択)」ページでは「Corrected statement (訂正申告書)」フィールド (コード 03) が選択されています。当初の販売額申告書で正しく申告していた情報は、訂正申告書でまた記載する必要はありません。

提出が遅れた場合は税務署から連絡があり、できるだけ早く販売額申告書を提出するよう求められます。この要求に速やかに応じられなかった場合、最大 2,500 ユーロの延滞税と、最大 5,000 ユーロの過料が課せられる可能性があります。販売額申告書を期限内に提出しなかった場合、法令違反となります (UStG 第 26a 条)。また、販売額申告書に不正確な情報や不完全な情報を意図的に記載した場合も、法令違反となります。販売額申告書の訂正の提出は、法律に基づいて強制執行されることがあります (UStG 第 18a 条第 11 項第 1 号第 1 文とドイツ税法 (AO) 第 328 条以降を参照)。その場合、事業者は 25,000 ユーロの罰金を支払うことになる可能性があります。

販売額申告書のデータについて、EU 加盟国の税務当局から自動的な手段で随時問い合わせを受ける可能性があります。データの根拠についての疑いを晴らせない場合、各税務当局は情報を別途要求して、所轄官庁から追加情報を入手する権利を有します。ドイツでは、「Bundeszentralamt für Steuern (連邦中央税務局)」にその管轄権があります。

域内販売に適用されるすべての法規制を遵守するために、事業者は請求書の作成と課税に細心の注意を払う必要があります。専門的なサポートも役立つでしょう。たとえば、Stripe Tax を利用すると、すべての取引に対する税務処理を自動化し、正しい税額を自動的に請求できます。Stripe のサービスについて、詳細は Stripe 営業チームにお問い合わせください。

この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。

今すぐ始めましょう

アカウントを作成し、支払いの受け付けを開始しましょう。契約や、銀行情報の提出などの手続きは不要です。貴社ビジネスに合わせたカスタムパッケージのご提案については、営業担当にお問い合わせください。
Tax

Tax

登録が必要な場所を把握して、適切な税額を自動徴収できるほか、申告書の申請に必要なレポートにアクセスできます。

Tax のドキュメント

ローコードまたはノーコードの実装機能を利用して、消費税 / 売上税、VAT、GST の収集とレポート作成を自動化することができます。