売上維持率 (NRR): NRR の概要と SaaS ビジネスでの NRR の重要性

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  1. はじめに
  2. 売上維持率の概要
  3. 売上維持率の計算方法
  4. 売上維持率と総収入維持率
  5. 売上維持率ベンチマーク
  6. 良好な売上維持率とは
  7. SaaS ビジネスにとって売上維持率が重要な理由
  8. Stripe Billing を使用した売上維持

ビジネスの売上について理解するには、毎月、最終的な収益を確認する以上のことが求められます。ほとんどの企業は、会社の業績を把握し、将来の成長を予測するために、さまざまな売上指標を監視して評価する必要があります。ビジネスの健全性を評価し、インサイトに基づいて行動を起こすという企業の能力は、計測する指標として企業が選んだ具体的な指標によって大きく左右されます。

顧客維持は、SaaS ビジネスにとって常に最重要課題です。そして、それには十分な理由があります。顧客維持率が 5% 改善すれば、企業の収益性が 25 ~ 95% 向上する可能性があります。新規顧客の獲得コストは、多くの場合、既存顧客の維持コストの 5 ~ 25 倍です。2021 年の SaaS 市場規模は約 1,460 億ドルと推定され、2023 年までに 1,950 億ドルに拡大すると予想されています。顧客維持戦略を洗練する機会を見出した SaaS ビジネスは、大きな成長を遂げる可能性があります。そこで、売上維持率 (NRR) が重要になるわけです。

ここでは、企業が、NRR の概要、計算方法、SaaS の顧客維持と成長戦略にとって NRR が重要な理由について知っておくべきことをご紹介します。

この記事の内容

  • 売上維持率の概要
  • 売上維持率の計算方法
  • 売上維持率と総収入維持率
  • 売上維持率ベンチマーク
  • 良好な売上維持率とは
  • SaaS ビジネスにとって売上維持率が重要な理由
  • Stripe Billing を使用した売上維持

売上維持率の概要

売上維持率 (NRR) は、既存顧客からの売上を一定期間にわたって維持する企業の能力を評価する指標です。NRR は、アップセルや拡張による売上の変化と、顧客の解約による売上の損失の影響を受けるため、総収入維持率 (GRR) や顧客維持率よりも包括的な指標です。

売上維持率の計算方法

NRR は、一定期間の期末の既存顧客からの純増売上を、同じ顧客からの期首の売上で除算することで計算されます。NRR では、複数の原因 (新規顧客、値上げ、アップセル、拡張) による経常収益の変化と、期間中に解約またはダウングレードした顧客からの売上の損失を考慮します。

NRR を計算するには、まず、特定の期間に既存顧客によって生み出された売上を求める必要があります。この売上に、同期間に獲得した新規顧客からの売上は含まれません。この売上は、「純経常収益」と呼ばれます。また、その期間の開始時点までに、同じ既存顧客によって生み出されていた売上 (これを「基本経常収益」と呼びます) も求める必要があります。

NRR の計算式は次のとおりです。

NRR = (純経常収益額 - 顧客解約による月間経常収益 (MRR) の損失額- ダウングレードによる MRR の損失額 + アップグレードによる売上額) / (基本経常収益額) x 100

たとえば、ある企業の 1 月初めの既存顧客からの経常収益が 10 万ドルで、1 月末の同じ顧客からの経常収益が 12 万ドルであったとします。その間に、この会社は顧客の解約により 5,000 ドルの MRR を損失し、ダウングレードにより 2,000 ドルの MRR を損失しましたが、アップグレード (アップセル、クロスセル、拡張) により 8,000 ドルを獲得しました。1 月の NRR は以下のように計算できます。

NRR = ($120,000 - $5,000 - $2,000 + $8,000) / $100,000 x 100
NRR = $121,000 / $100,000 x 100
NRR = 121%

NRR は、企業のビジネスモデルやインサイトが必要な内容に応じて、月次、四半期、年次ベースで計算できます。たとえば、企業は特定の市場、顧客セグメント、キャンペーン、季節についての NRR を計算できます。

売上維持率と総収入維持率

売上維持率と総収入維持率 (GRR) は、どちらも企業の経時的な売上増加を計測し、顧客維持戦略の有効性を分析するための指標です。

しかし、両者は計算方法が異なり、ビジネスの健全性について異なる情報を提供します。NRR の計算のほうが包括的で、アップセル、クロスセル、拡張などのアップグレードによる新たな売上を含みますが、GRR を計測するときにはこの種の売上は除外されます。GRR では、既存顧客からの売上の維持または損失のみを考慮します。

GRR は、ある期間の終わりまでに生み出された総売上を、その期間の最初に同じ顧客から得た売上で割ることによって計算されます。

GRR の計算式は次のとおりです。

GRR = (純経常収益額 - 顧客解約による MRR の損失額- ダウングレードによる MRR の損失額) / 基本経常収益額 x 100

NRR と異なり、GRR にはアップグレードに対する顧客の支出が含まれないため、解約がゼロでダウングレードがない場合でも、GRR が 100% を超えることはありません。

どちらの指標にも長所と短所があり、どちらも実用的です。NRR のほうが、アップセルやクロスセルの努力を含め、より全体的に売上増加を把握できますが、既存顧客の間で売上を伸ばす努力が特に成功している企業では、顧客維持の問題が隠れてしまうことがあります。その場合、NRR が高くても顧客を失っている可能性があります。

一方、GRR は、より鮮明に MRR の損失を示すことで顧客維持の問題を明確にします。さらに、GRR は経常収益モデルと非経常収益モデルの両方を持つ企業にも役立ちます。これは、GRR では、企業がどれほど顧客維持に成功し、全体的な収益を経時的に増加させているかが包括的に示されるためです。

売上維持率ベンチマーク

NRR ベンチマークは、企業が自社の業績を同業他社と比較するために使用できる、一連の業界基準で構成されています。これらのベンチマークは、業界によって大きく異なります。NRR ベンチマークは通常、同じ業界の企業またはビジネスモデルが似ている企業のデータに基づいており、「良好」または「平均的」な NRR と見なされるものを表すベンチマークを提供するために使用されます。

SaaS 企業の経時的な顧客維持と成長傾向についての理解を深めるには、現在の NRR をその企業の過去の NRR や業界のベンチマークと比較します。

良好な売上維持率とは

NRR ベンチマークは業界やビジネスのステージによって異なりますが、一般的に NRR が 100% 以上であれば、健全なレベルの顧客維持率と売上増加を意味します。

さまざまな NRR のレベルが SaaS ビジネスについて何を意味しているかを簡単に以下に示します。

  • 100% 超
    100% を超える NRR 率は、そのビジネスが既存顧客のほとんどまたはすべてを維持し、アップセルや拡張による売上を伸ばしていることを示唆しています。

  • 80 ~ 100%
    80 ~ 100% の NRR 率は、通常、そのビジネスがほとんどの顧客を維持していることを意味しますが、売上がそれほど伸びていない可能性があります。NRR がこの範囲にある場合、企業は解約率顧客生涯価値 (LTV) を調査して、NRR が低い理由が、顧客のカート離脱にあるのか、既存顧客にアップセルやクロスセルを効果的に行えなかったことにあるのかを確認する必要があるでしょう。

  • 80% 未満
    80% 未満の NRR 率は、一般的に低いと見なされる値であり、企業が顧客維持に苦戦している可能性が高く、顧客維持努力の改善に注力することが必要な可能性を示唆しています。

NRR が 100% 未満でも健全と見なされる企業もあります。企業が、既存顧客を失うのを上回るペースで新規顧客を獲得しているような非常に高い成長段階にある場合、全体としては売上増加につながることがあります。

また、すべての既存顧客を維持できていなくても、NRR が 100% 以上になる企業もあります。

次に、そのようなケースをいくつか紹介します。

  • 値上げ
    企業が製品やサービスの価格を引き上げると、一部の顧客を失ったとしても、既存顧客からの売上が増加することがあります。たとえば、ある企業に毎月 100 ドルを支払う顧客が 10 人いる場合、その価格を毎月 120 ドルに値上げして、顧客を 1 人失ったとしても、残りの 9 人の顧客からの純収入の合計は増加することになります。

  • アップセル
    既存顧客に対する、より高価格の製品やサービスへのアップセルに成功した場合、一部の顧客を失ったとしても、売上が増加することがあります。たとえば、ある企業に基本サービスに対して毎月 100 ドルを支払う顧客が 10 人いる場合、そのうち 5 人を月額 200 ドルのプレミアムサービスにアップセルすると、アップグレードしなかった顧客を 4 人失ったとしても、残りの 6 人の顧客からの純収入の合計は増加することになります。

  • より高い売上が見込める新規顧客の獲得
    企業が、失った顧客よりも高い売上を見込める新規顧客を獲得した場合、一部の既存顧客を失ったとしても、売上維持率が上昇することがあります。たとえば、毎月 100 ドルを支払う顧客を 5 人失っても、毎月 500 ドルを支払う顧客を 2 人獲得した場合、顧客を失っても売上維持率は上昇することになります。

このようなシナリオがあるため、NRR は、他の指標と一緒に確認して、より正確に全体像を把握する必要があります。高い NRR は好ましい指標であることがほとんどですが、それでも顧客維持に問題が発生している可能性はあります。報告期間の期末に良好な NRR が確認された場合であっても、うまくいっている点と改善できる点を具体的に知ることは有益です。

SaaS ビジネスにとって売上維持率が重要な理由

売上指標を見ることで、売上をどこで得て、どこで失っているかを確認できます。SaaS ビジネスの場合、売上指標は、主要な市場セグメントで成功または失敗している製品やサービスの特定、マーケティング、セールス、ユーザー獲得ファネルで効率的に機能していない段階の把握、予算や支出の計画に利用できます。

SaaS ビジネスにとって NRR が重要な売上指標になるいくつかの理由を次に説明します。

  • 顧客維持努力の有効性を計測できる
    NRR が低いことは、その企業が顧客維持に苦戦していて、顧客エンゲージメントと顧客満足度の改善を必要としている可能性があることを示唆しています。

  • 将来の成長の可能性が示唆される
    NRR は多くの場合、解約率や LTV などの他の指標と組み合わせて使用され、企業の業績、健全性、成長の見込みをより全体的に把握するのに役立ちます。

  • 問題を早期に特定できる
    NRR では、売上業績を経時的に確認できるので、問題を早期に特定するのに役立ちます。サブスクリプションベースのビジネスは、顧客維持の問題を早期に特定することにより、将来の大幅な売上減を防ぐことができます。

  • 企業全体の業績を評価できる
    NRR が高いことは、企業が顧客維持に成功し、アップセルや拡張によって売上を伸ばしているだけでなく、顧客に気に入ってもらえる体験と製品を提供していることを示しています。

Stripe Billing を使用した売上維持

NRR を理解したら、企業はインサイトを行動に移す必要があります。これを実現するには、Stripe Billing などのエンドツーエンドの顧客売上管理ソリューションが最適です。

Stripe Billing では、顧客のコホート別に売上維持率を示すチャートを利用できます。さらに、Stripe Billing は、他にも顧客の決済、アップセル、解約、および売上に関する重要な指標を幅広く追跡します。これは、高成長の SaaS プラットフォームがより多くの売上を獲得し、新たな製品やビジネスモデルを立ち上げ、グローバルに継続支払いを受け入れるのに役立ちます。

Stripe Billing は、企業が売上維持率を向上するのに役立つ機能も提供しています。

  • 柔軟な請求プラン
    Stripe Billing では、無料トライアル、割引、日割り計算など、柔軟な請求プランを作成できます。これにより、企業は顧客のニーズに合ったプランを作成できます。

  • 自動決済
    Stripe Billing は自動決済をサポートしています。つまり、企業は毎回手作業で決済処理を行うことなく、定期的に顧客に請求できます。これにより、顧客への請求が期日どおりに行われるので、顧客離れにつながる請求の問題を減らすことができます。

  • 再試行ロジック
    決済の失敗は、SaaS ビジネスにとって顧客離れの最大の理由の 1 つです。Stripe Billing には、失敗した決済を自動的に再試行し、請求に関する問題を企業に通知する再試行ロジックが組み込まれています。これは、請求に関する問題に企業が迅速に対処し、決済の失敗による売上の損失を最小限に抑えるのに役立ちます。

  • 顧客管理
    Stripe Billing を使用すると、1 つのダッシュボードですべての顧客情報を表示および管理できます。これには、請求先住所、サブスクリプションプラン、支払い履歴などの情報が含まれます。このダッシュボードは、企業が請求に関する問題を迅速に検出して対処するのに役立ちます。

Stripe Billing は、経常収益とサブスクリプションを簡単に管理し、請求プロセスを自動化するツールを企業に提供します。これにより、顧客離れにつながる請求の問題を減らし、売上維持率を向上できます。詳細については、こちらを参照してください。

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