ビジネスアプリを立ち上げるということは、潜在的な顧客に、スマートフォン、タブレット、ノートパソコンを通じて自社ブランドを発見してもらい、交流の機会を提供することを意味します。アプリは、予約サービスの処理、商品の販売、決済の受け付けなど、ユーザーの特定のビジョンに合ったまったく異なる機能を実行できます。2024 年第 4 四半期において、アメリカの小売サイト訪問数の 4 分の 3 以上がスマートフォンのアクセスで占められていることからも、アプリを提供することで顧客ベースにより良いサービスが提供できることは間違いありません。

簡単な予約機能を必要とする歯科医院を運営している場合でも、外出先でデジタル決済を受け付けたい小売店を運営している場合でも、アプリを開発するときにはまず、アプリが会社と顧客にとってどのようにプラスに働くかを考える必要があります。

本記事では、ビジョンを商品化する方法、ビジネスアプリが重要視される理由、ビジネスアプリの計画と設計の方法、マーケティングと一般的な課題への対処方法、これらに対する Stripe のサポートについてご紹介します。

この記事の内容

• ビジネスアプリの概要と作成メリット
  
• 求められるビジネスアプリの種類
  
• ビジネスアプリの計画・設計方法
  
• Stripe とビジネスアプリの連携方法
  
• ビジネスアプリの立ち上げにおける課題
  
• ビジネスアプリのマーケティング方法
  

ビジネスアプリの概要と作成メリット

ビジネスアプリは、企業の主目標に結びつく特定の用途のために開発されるソフトウェアです。具体的なケースとしては、クライアントとのアポイントメントをスケジュールする必要がある場合や、より直接的な方法で製品を販売したい場合などが挙げられます。アプリは、機能が整ったコマースプラットフォームのような大規模なものから、顧客が予約をスケジュールするためのインターフェイスといった小規模なものまでさまざまです。重要なのは、アプリが使命を成し遂げ、リーチする必要のある人々と会社をつなげられることです。

アプリを作るという決断は、多くの場合、標準的なウェブサイトやオンラインフォームでは対応できない方法で顧客にサービスを提供する機会を見つけたときに始まります。コーヒー豆を販売しているのであれば、買い物客にスマートフォンからアクセスできる簡略化されたサブスクリプションサービスを提供したいと思いつくかもしれません。また、デイスパの場合は、空き状況を素早く表示し、自動リマインダーを設定するためのスケジューリングソリューションが必要になることがあるかもしれません。ビジネスに特化したアプリを構築するということは、顧客にとってより直接的で特別感のあるデジタル商品を提供することを意味します。

また、アプリは長期的な戦略の一部にもなり得ます。すでに Web サイトを所有している場合でも、アプリによって提供されるユーザー体験はサイトのものとは異なり、モバイルレイアウトを好む利用者にとってより身近に感じられる機能を提供できる可能性があります。アプリは、Web ブラウザーよりも高速に特定のプロセスを実行することもできます。たとえば、家庭教師サービスを運営している場合、アプリによってスケジュール管理、支払い、進捗状況の追跡をすべて 1 カ所で処理できるようにななるため、生徒や家庭教師はコンピューターのタブを操作するよりも便利だと感じる可能性があります。

企業がアプリを作るもう一つの理由は、市場で見つかるギャップの存在です。返品の管理、ストアクレジットの適用、備品の再注文など、より迅速な方法はないかと顧客から繰り返し尋ねられていると、そのような気づきを得るかもしれません。適切に構築されたアプリでそのギャップを解消できれば、自社をリピートする強い理由をユーザーに与えられます。

求められるビジネスアプリの種類

どの業界にも独自のニーズがありますが、いくつかのアプリは、特定のセグメントにおいて魅力的なソリューションであることが証明されています。

スケジューリングおよび予約

サービスベースの企業では、手動による往復操作をはさむことなく予定を処理できる方法が必要になるときがあります。空き状況の表示、予約の確認、自動リマインダーの送信を実行できるアプリは、スタッフとクライアントのスケジュール管理に役立ちます。

E コマース

従来のオンラインストアにはウェブサイトからアクセスできますが、多くのブランドがアプリベースの販売に移行しています。モバイルアプリの方が迅速にプロセスを処理できることも珍しくなく、他にもプッシュ通知やロイヤルティプログラムなどの機能を追加して、顧客に新製品に関する情報を提供したりすることもできます。

支払いと請求

決済アプリ (または請求処理アプリ) により、企業はクレジットカードやデジタルウォレットなどの方法で支払いを受け付けることができます。また、専用アプリであれば、返金機能が実装されていたり、サブスクリプション商品の継続支払いを管理したりすることもでき、メールフォームや不格好なゲートウェイを使いこなすよりも簡単にアクティビティを実行することが可能です。

プロジェクト管理

一部の中小企業は、社内のタスクをより効果的に管理するためにアプリを作成しています。これらのタスクには、プロジェクトの追跡、作業時間の記録、請求書の作成などが含まれます。多くのプラットフォームでこれらの機能は利用できますが、社内アプリは特定のプロセスに合わせてカスタマイズすることができます。

カスタマーサポート

スムーズなコミュニケーション (ライブチャット、トラブルチケットの発行など) を容易にするアプリは、顧客の質問に対応するのに役立ちます。特に、大量の問い合わせを処理し、迅速に対応する必要がある場合などにはうってつけです。

ある業界では重宝されているような機能でも、別の業界になると意味をなさなかったり、そもそも不要であったりすることがあります。優先すべきは、顧客や社内チームの真のニーズを理解することです。ターゲットを絞ったアプリは、たちまち全社戦略における貴重な戦力となる可能性があります。

ビジネスアプリの計画・設計方法

この項目では、アプリを立ち上げるためのステップバイステップガイドをご紹介します。

主目標の特定

顧客が数回タップするだけで商品を購入できるようにする、従業員がどこからでも在庫を簡単に追跡できるようにするなど、主目標を特定することからプロセスを開始します。

必要機能のブレインストーミング

スケジューリング、支払いの回収、商品ギャラリーの閲覧など、アプリが実行する必要のあるコアタスクについて考えます。たとえば、小規模なベーカリーの場合、価格付きのメニュー表示、シンプルなオンライン注文ポータル、迅速な支払いプロセスが必須機能として挙げられるかもしれません。顧客に対してアンケートを実施したり、どの機能が最も役に立つかをスタッフに尋ねたりすることを検討してみてください。

ワイヤーフレームのスケッチ

ワイヤーフレームとは、アプリのビジュアルデザインを大まかにレイアウトすることを意味します。この場合、ボタンのボックス、テキストのプレースホルダー、各画面の動作を説明する小さな箇条書きなどをデザインに用いることができます。これらのスケッチは、プロ仕様にする必要はありません。あるセクションから別のセクションにどのように移動するかをユーザーに伝えられればそれで構いません。ペンと紙、あるいは手短にモックアップを作成するためのソフトウェアを使って、一度デザインを練ってみてください。

プラットフォームの選択

アプリは iOS、Android、またはその両方でサポートする予定ですか？スマートフォンおよびデスクトップのブラウザーで実行されるウェブアプリも、それぞれ仕様が異なります。プラットフォームごとに必要なコーディング言語やツールキットも異なり、これらの要素は開発パス (または社内開発者) に影響を与えます。顧客が長時間とどまっている場所を確認しておくと、開発計画がスムーズに進みます。ほかにも、顧客の 80% が Android を使用しているなどの情報がある場合、意思決定に反映させることができます。

予算とタイムラインの見積もり

アプリの構築には、ほとんどの作業を自分で処理する場合でも費用がかかります。コストには、開発者の給与のほか、デザインサービス、サーバーホスティング、アプリストアの手数料、継続的なメンテナンス費が含まれたりします。タイムラインを設定しておくと、立ち上げ日を何度も遅らせるというフラストレーションはある程度回避可能です。プロジェクトを細分化し、それぞれの作業に目標完了日を設定するようにしましょう。

プロトタイプの作成

開発を開始する前に、プロトタイプの作成を検討してください。理想なのは、ナビゲーションと画面レイアウトをテストできる対話型のモックアッです。プロトタイプは、時間と費用をかけてコーディングする前に、不便なワークフローやわかりにくい指示をあぶり出してくれることがよくあります。納得いくまで改善を積み重ね、時が来たらフルビルドへと移行しましょう。

Stripe とビジネスアプリの連携方法

Stripe は、安全で柔軟性が高く、容易に実装できる方法で、企業がアプリ内決済を管理できるようサポートしています。その仕様を以下にご紹介します。

決済アプリの場合

商品の販売、手数料の徴収、サブスクリプションの管理のいずれを行う場合でも、Stripe のアプリケーション・プログラミング・インターフェイス (API) を使用すれば、決済機能を直接アプリに埋め込むことができます。つまり、顧客はプラットフォームを離れることなく決済を完了できるようになり、決済体験が自ずと洗練されます。たとえば、フィットネスアプリの場合、Stripe を通じてクラスの予約や月額会費の請求をアプリ内で処理することが可能になります。

サブスクリプションモデルの場合

Stripe Billing は継続支払いを処理するためのソリューションです。Billing は特に、アプリがサブスクリプションモデルのビジネス (食事宅配サービス、ソフトウェアプログラムなど) に関わるものである場合に重用します。また、支払いスケジュールの決定、トライアル期間の提供、さらには顧客がプランを変更した場合のアップグレードやダウングレードのサポートにも対応しています。

セキュリティを必要とするアプリの場合

アプリが顧客から支払い情報を収集する場合、セキュリティ面は妥協できません。Stripe は機密データをトークン化して、アプリが未加工のカード番号を保存しないように処理することができます。これにより、リスクが軽減されるほか、PCI データセキュリティ基準 (PCI DSS) などの規制への準拠が簡素化されます。

拡張予定のあるアプリの場合

小規模のアプリから始めて今後拡張を予定している場合でも、Stripe のインフラは決済量の増加に簡単に対応できます。これは、繁忙期に対応する場合や、海外展開するような場合に特に有効です。

Stripe がビジネスアプリに適している理由

決済の連携は、アプリ開発において最も難しい要素の 1 つとされています。Stripe では、決済関連のあらゆる機能をゼロから構築する必要がないよう、手間のかかる作業を処理できるフルスイートを用意しています。ビジネスアプリを構築している場合は、スケジューリング、在庫管理、顧客とのやり取りなどのコア機能に集中できます。

ビジネスアプリの立ち上げにおける課題

実際のプロジェクトには、しばしば課題が伴います。バグ、要件の変化、ユーザーアカウントの登録など、すべてが困難な作業に感じられるかもしれません。ここでは、それらに関する一般的なハードルと、対処方法についての推奨事項をいくつかご紹介します。

ユーザーの獲得と維持

アプリがどれほど素晴らしくても、顧客にダウンロードしてもらい、使い続けてもらうというのは難しい問題です。この解決策の 1 つとして、アプリの価値の強調が挙げられます。「お気に入りのコーヒーを数秒で注文」や「電話をかけずに 24 時間予約可能」など、わかりやすい導入メリットを提示します。一度アプリを試した顧客には、少額のインセンティブやタイムリーな最新情報を提供して興味を引き続けるといったことも可能です。具体的には、新機能、関連する更新や情報、または限定特典などを提供することができるでしょう。

技術的なバグ

どのアプリにも技術的な問題は発生します。これらを最小限に抑える最善の方法は、プロセスの早い段階でテストを行うことです。ベータテスターの少人数グループ (友人、家族、忠実な顧客など) を招待して、アプリをテスト評価してもらいましょう。フィードバックを記録し、アプリの公開前に問題を修正します。リリース後もユーザーレポートは引き続き監視するようにしてください。バグにフラグを立てた顧客にすばやく対応することで、不満を抱えているユーザーを忠実なユーザーに変えることができます。

セキュリティとデータ保護

アプリで個人データを収集する場合は、機密情報の暗号化、強力な認証方法を使用した上で、現地のプライバシー規則にも従う必要があります。決済データは特に機密性が高いため、Stripe などのサービスを使用することは、法令遵守を維持するためのスマートな方法となり得ます。それでも、新しいガイドラインや法律は常に見直すことをお勧めします。

アプリストアのルール

Apple App Store または Google Play でアプリを公開する場合は、特定の要件に従わなければなりません。この要件には、コンテンツ、アプリ内購入、またはユーザーのプライバシーに関するガイドラインが含まれる場合があります。アプリを提出する前に、これらの規約にはよく目を通すようにしてください。ちょっとした見落としでも却下される可能性は十分はあり、時間とコストをさらに費やしかねません。

継続的なメンテナンス

アプリの立ち上げは最初のステップにすぎません。バグを修正したり、新機能を追加したりするために、更新プログラムを随時ロールアウトする必要があります。レビューやサポートチャネルからフィードバックを収集し、ユーザーの問題に対処する更新に優先順位を付けます。

予期せぬ障壁はどのタイミングでも発生するため、柔軟な体制の維持を心がけましょう。当初の計画がうまくいっていない場合は、遠慮なく方針を変更してください。最終目標を意識し続けることで、途中で詳細を変更しても順調に計画を進められるようになります。

ビジネスアプリのマーケティング方法

適切なオーディエンスにリーチするための戦略がなければ、優れたアプリでさえ見過ごされてしまう可能性があります。幸いなことに、口コミを広める方法はたくさんあります。予算を必要とするものや、クリエイティブさを重視しているものなど、その種類もさまざまです。

既存顧客の活用

すでに常連客がいる場合は、アプリを立ち上げたことを知らせましょう。ウェブサイトにバナーを表示したり、新機能を紹介するメールにメリットを箇条書きで記載するとわかりやすく伝えられます。「すぐに注文」、「設定の保存」、「外出先でタスクをスケジュール」などの宣伝コピーを用いてみましょう。

ソーシャルメディアへの働きかけ

ソーシャルプラットフォームは強力なマーケティングツールになり得ます。プラットフォームを通じて、アプリのスクリーンショット、簡易デモ、チームの人間味あふれる一面を垣間見れる開発現場の動画などを共有することも可能です。予算に余裕がある場合は、アプリの主要メリットをアピールするターゲット広告も試してみてください。視覚に訴えるショートプロモーションは、視聴者をすぐに引き付けることができます。

インフルエンサー / パートナーとのコラボレーション

業界の専門家や地元の組織とつながりを持っている場合は、アプリについて言及してもらえるかどうかを尋ねてみてください。その分野で影響力を持つ人からの率直なレビューは、利用への好奇心を掻き立てます。新しい顧客を確保するのに必ずしも大物著名人は必要なく、地元のブロガーや中小企業のパートナーでも、会社が必要としている潜在顧客を抱えている可能性があります。

アプリストアの最適化

アプリを主要ストアにアップロードするときは、説明、キーワード、スクリーンショットに細心の注意を払ってください。アプリの目的を明確にする簡潔な説明は、ダウンロード数の増加に一役買います。また大々的な画像は、インストール後の様子を視覚的にイメージするのに役立ちます。

継続的な交流

アプリがダウンロードされ始めたら、その勢いをキープすることに専念しましょう。プッシュ通知は、控えめに活用するのが効果的です。アップデートや新機能を顧客に共有できますが、通知の頻度が多いとかえって悪印象を与えます。また、忠実な顧客に報酬を与える方法を考えてみましょう。特別セール、新商品の早期提供、誕生日割引などの個人的な特典はその好例です。アプリが真にユーザーのニーズを解決するものであれば、口コミは最良のプロモーション手段になります。

マーケティングは、リリースの初週だけ行えばいいものではありません。マーケティングは、継続的に優先事項としてあり続けなければならないものです。販促活動を通して、アプリがスマートフォンにインストールしておくだけの価値があることを着実に訴えることができます。常に積極的に行動し、フィードバックに対応し、何が顧客に響くかを見極めながら戦術を適応させていきましょう。