会社名・商号 (ビジネス名) は、覚えやすく、響きがよく、事業内容が世界中の人々にすぐに伝わるものでなければなりません。それは、顧客、投資家、採用候補者にとって最初に触れる情報であり、何年にもわたって日常的に読み書きし、声に出すことになるものです。
事業に最適な名前を見つけることは大変な作業です。多くの創業者や経営陣は、命名の専門家に協力を求めてきました。新たな企業が適切なビジネス名を見つけるのを支援する、マイクロビジネスも誕生しています。命名プロセスは、単にすべての利害関係者が気に入る名前を見つけるというものではありません。適切な名前とは、誰もが魅力を感じ、他の事業者がまだ採用していない名前です。
では、あるビジネス名の権利を他の事業者がすでに所有していないかどうかを確認するには、どうすればよいでしょうか。ここでは、事業の命名について知っておくべきことと、候補にあがった名前を使用できるかどうかを確認する方法をご紹介します。
この記事の内容
- 商号の使用可否を確認すべき理由
- 商号が登記されているかを調査する方法
- 使いたい商号がすでに登記されていた場合にできること
商号の使用可否を確認すべき理由
他と重複しない商号を選ぶための考慮事項は、法律面と実務面の両方にあります。ここでは、ビジネス名を決定する前に、それが使用可能かどうかを確認しなければならない理由に触れておきましょう。
アメリカの州法で義務付けられている
この要件については、議論の余地はほぼありません。新たに事業を立ち上げる場合は既存の法人と同一の名前を選択できず、多少異なるだけの名前も選択できないことは、各州法に定められています。たとえば、同じ州に「Big Al's Balloons」という商号がすでに登記されている場合、「Big Al's Balloon Supplies」という新たな企業を登記することはできません。著作権侵害のリスク
他者の著作権を侵害する名前を使用して、事業を法的に登記または運営しようとした場合、訴訟を提起される恐れがあります。その後、ビジネス名を変更せざるを得ないことで生じる財務コストや物流コストも考慮しなければなりません。ビジネス名の変更に伴って生じるマーケティングコストを考えてみてください。名刺、ドメイン名、パンフレット、看板、ソーシャルメディアアカウント名、その他の販促資料のすべてに、製造コストと人件費が発生します。すなわち、すでに商標登録されていた名前の使用を停止しなければならない場合、発生し得る損失は膨大です。ブランドの差別化
ブランディングの領域で、長く尊重されているルールがあります。自社ブランドが他社のものと混同されるリスクを冒してまで、選択する価値がある名前は存在しないということです。最適なビジネス名とは、事業の運営者のことがすぐに思い浮かぶ名前であり、その運営者のことのみが想起される名前です。完璧なビジネス名となるのは、他のビジネス名、特に自社と同じ市場分野で事業を展開している事業者のものと類似していない名前です。
最適なビジネス名を選ぶ方法について、詳細はこちらをご覧ください。
商号がすでに登記されているかを調査する方法
商号を選ぶプロセスに着手すると、参照できる網羅的なビジネス名のリストが 1 つもないことにすぐ気づくはずです。選ぼうとする名前と重複している商号がないかどうかを確認するためには、数カ所で調査を実施しなければなりません。
アメリカ国内の事業者の場合は、企業登記と商標に関する州および連邦のデータベースを確認する
検討しているビジネス名の権利を他の法人がすでに所有していないかどうか、検索して確認できる大規模なデータベースは多数あります。
- アメリカ特許商標庁 (USPTO)
- Trademark Electronic Search System (TESS)
- ICANN のドメイン名登録データ検索サービス
- 州務長官事務所 (自社の所在地がある州で確認)
アメリカ国外の事業者の場合は、現地の登記簿を確認する
ほとんどの国は、法人について、いずれもほぼ同様の登記簿を運用しています。世界の登記簿の一覧については、こちらをご覧ください。
事業者が使用しているその他の名前を確認する
事業者は、正式に登記されている法人名以外の名前を使用していることも少なくありません。これらの名前は屋号 (DBA) と呼ばれます。 ビジネス名の候補について調査する際は、法人名に加えて DBA も調査することをお勧めします。DBA の登記と使用について規定している地域法は、予定している企業登記の場所によって異なることがあります。事業者が名前を正式に登記していない場合であっても、その名前を一定の期間にわたって使用していれば、法的に有効な権利があると見なされる可能性があります。
インターネットで検索する
使用できるすべてのデータベースを地道に検索したとしても、単純なインターネット検索の代替とすることはできません。業種や市場によって、徹底的な検索と言っても状況がそれぞれ多少異なる場合もありますが、以下のいくつかのソースはほとんどの検索で助力になります。
Google
どのようなインターネット検索であっても、ここが事実上の出発点となることは間違いありません。Yelp
特定の地域で事業を立ち上げようとする場合に、その地域で事業を展開している事業者について有益な情報を得られます。さらに重要な点として、それらの事業者が使用している消費者向けの通称も表示されます。LinkedIn
LinkedIn ではビジネスプロファイルを手軽に作成できるため、DBA を使用している事業者を探す有用なツールです。Crunchbase
Crunchbase はスタートアップの資金調達情報を創業の初期段階から報告するため、スタートアップや、スタートアップが使用している名前を知る場所として申し分ありません。これらの情報は、インターネットや正式な登記簿など、その他の場所にはまだ掲載されていない場合もあります。
使いたい商号がすでに登記されていた場合にできること
特定の会社名・商号の採用を諦めざるを得ない状況としては、以下の 3 つがあります。
- 州にある別の法人が、当該の名前で、または候補として選択した名前の承認が下りないほどに似た名前で、すでに正式に登記されている。
- 当該の名前について他者が商標権を保有しているため、商標の所有者が実際には商標を使用していない場合であっても、その名前を使用するうえで支障が生じる可能性がある。
- 当該の名前で正式に登記されている法人はないものの、別の事業者が当該の名前で運営している事業が、当該の名前について判例法上の権利が付与される程度の実績をもつ。
上のいずれかの状況に当てはまる場合、対処の方法は 2 つあります。別の名前を選ぶか、名前の権利を所有している当事者から権利の取得を試みることです。2 番目の方法を採用する場合は、その事業者に直接連絡し、名前の買収を効果的に提案して、当該の州の州務長官事務所で所有権を移転します。
または、当該の名前を自社の事業で使用できるようにするための使用許諾契約について交渉することも考えられますが、名前の所有権は元の所有者が引き続き保持することになります。この場合、名前の使用に関して、手数料または権利使用料を所有者に支払わなければならない可能性があります。この方法では、手続きが複雑になったり、法律家の支援を受けて契約を適切に起草・締結しなければならなくなったりすることもあります。したがって、別の当事者によってすでに使用されているビジネス名の使用に関して何らかの判断を下す前に、選択肢を慎重に検討し、法律の専門家の助言を得ることが重要です。
Stripe によるサポート
Stripe Atlas では、法人化と会社設立をサポートします。このため、顧客への請求、チームの雇用、資金の調達をいち早く行うことができます。
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Stripe Atlas による申請
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Atlas は申請を審査し、1 営業日以内にデラウェア州に会社の設立の書類を提出します。Atlas による申請にはすべて、デラウェア州における 24 時間体制での優先処理サービスが含まれ、追加手数料なしでご利用いただけます。Atlas は会社の設立と最初の1 年間の登記代理人サービス (州のコンプライアンス要件) に 500 ドルを請求し、その後は登記代理人の継続料として毎年 100 ドルを請求します。
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この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。