近年、わたしたちの日常生活におけるスマートフォンの使用用途はより一層多様化しています。たとえば、電車・バスでの通勤中や人と待ち合わせをしている際に、動画や音楽を視聴したり、ゲームを楽しんだりと、アプリを使えばすきま時間を有効活用することができます。
なお、デジタルコンテンツの視聴やアプリゲームのアイテムを購入する際、使用中のアプリ内で決済が行われる場合は、アプリ手数料が発生します。この手数料は、アプリでビジネスを展開する事業者側がアプリプラットフォーム側に支払わなければならないもので、アプリ内での決済 (アプリ内課金) においては必ず発生します。そのため、各事業者は、自社が負担しなければならないアプリ手数料を考慮したうえで、手数料によって収益が圧迫されないような事業運営を図る必要があります。
本記事では、アプリ手数料とは具体的に何か、また、アプリ手数料を回避することできるアプリ外課金や、現在日本で施行されているスマホ新法についても解説します。
目次
- アプリ手数料とは
- アプリ内課金で発生する手数料
- 外部の Web サイトで課金ができるアプリ外課金
- 快適な決済環境をユーザーに提供するために
- Stripe Checkout でできること
アプリ手数料とは
スマートフォンなどのモバイル端末上でアプリを利用しているときに、有料サービスや商品に対し料金を支払うことを「アプリ課金」といいます。このアプリ課金には「アプリ内課金」と「アプリ外課金」の 2 種類があり、アプリ手数料は前者のアプリ内課金において発生します。
アプリ内課金でこのような手数料がかかる理由は、商品やサービスの購入時にアプリプラットフォーム (App Store や Google Play) の決済機能を通じて支払いが行われるためです。つまり、アプリプラットフォーム側が決済手段を提供し、さらに決済業務も代行することから、こうしたサービスへの手数料が設けられているのです。
アプリ内課金で発生する手数料
アプリ手数料は通常、販売額の 15~30% 相当額となります。ここでは App Store とGoogle Play に分けて、それぞれの手数料への対応について見てみましょう。
App Store のアプリ手数料
小規模事業者への配慮
Apple は 2020 年 11 月に「App Store Small Business Program」と呼ばれる新たなプログラムを発表しています。同プログラムの立ち上げにともない 2021 年 1 月以降においては、年間収益が 100 万 US ドル以内の小規模事業者に対し、App Store の手数料率が 15% に引き下げられました (通常は App Store の標準手数料率である 30% が適用されます)。
自動更新サブスクアプリの場合
App Store では、自動更新サブスクリプション (以下、サブスク) アプリを対象に、以下の対応を行っています。
サブスク登録者による最初 1 年間の利用期間: アプリのデベロッパーはそれぞれの請求サイクルで、サブスク価格の 70% から税額を差し引いた金額を受け取る
サブスク登録者による有料サービス利用日数が 1 年分累積された時点: デベロッパーが受け取る純収益率は、サブスク価格の 85% から税額を差し引いた金額に引き上げられる
● 小規模事業者の場合: 有料サービスの利用日数が 1 年分累積されているかどうかにかかわらず、請求サイクルごとにサブスク価格の 85% (該当する税額をこれから差し引いた金額) を受け取ることができる
Google Play のアプリ手数料
Google Play でのアプリ内課金で発生する手数料については、通常、アプリやアイテム価格の 30% に設定されています。しかし、Google でも前述の Apple とほぼ同様の、以下のような対応が施されています。
- デベロッパーの年間収益が 100 万 US ドルまでの場合: 15%
- デベロッパーの年間収益が 100 万 US ドルを超える場合: 30%
- 自動更新される定期購入 (サブスク) の場合: 15%
- デジタルコンテンツなどのデジタル商品やサービスの年間収益が 100 万 US ドルに達するまで: 15% の手数料率が維持される
外部の Web サイトで課金ができるアプリ外課金
アプリ手数料がかかるアプリ内課金に代わって、最近ではアプリ外の決済ページに遷移し、外部の Web サイト上で課金が行えるアプリ外課金が注目を集めています。アプリ外課金の場合、アプリユーザーによる支払いはアプリ内で実行されないため、手数料が発生することはありません。
先ほど解説したように、アプリ内課金で生じる手数料は最大で 30% にもなり得ます。そのため、事業者がこうした高額な手数料を決済ごとに負担する必要があるということになると、その都度売上が圧迫され、資金繰りの悪化にもつながりかねません。一方、アプリ手数料を回避できるアプリ外課金であれば手数料がかからない分、収益アップが見込めます。
このような観点から、今後はアプリ外課金を導入する事業者がさらに増えていくと考えられています。また、アプリ外課金の導入を後押しする動きは、海外だけでなく日本でも見られるようになり、これが次に解説する「スマホ新法」です。
スマホ新法
スマートフォンが、私たちの生活においてなくてはならない必需品となっている中、2024 年 6 月、日本で「スマホソフトウェア競争促進法」(以下、スマホ新法) が可決され、アプリ事業を取り巻く環境整備が着実に進められています。
このスマホ新法においては、スマートフォン分野の競争促進や、特定企業による市場独占の防止対策が講じられています。
アプリ手数料に焦点をあてて説明すると、アプリ内課金以外での支払い、すなわちアプリ外課金を可能にし、アプリプラットフォームによる事業者へのアプリ内課金の強制を禁じるものとしています。これにより、日本ではゲームメーカーなどの多くの事業者がアプリ外課金を積極的に導入し始め、アプリ内課金では実現し得なかったより効果的な収益性の向上が期待されています。
なお、スマホ新法の主な規制内容については、以下の 2 点となっています。同法律ではこれらを基盤として、多様な主体によるイノベーションの活性化を目指しています。
- アプリ内課金強制の禁止
- アプリ内での外部決済リンク設置を制限することの禁止
物理的な商品・外部で提供されるサービスへの支払い
実際に手に取ることができる物理的な商品や、アプリと関係のない外部で提供されるサービスの販売であれば、アプリ内課金ではなく外部サイトでのクレジットカード決済など、アプリ外で提供される決済システムが利用可能です。その一例としては Amazon が挙げられます。Amazon アプリの場合、販売商品はアプリ外部で消費および利用されるモノとなります。そのため、アプリユーザーがこれらを購入する際は、アプリ外でのクレジットカード決済が認められています。
快適な決済環境をユーザーに提供するために
今回はアプリ内課金で発生するアプリ手数料について解説しました。アプリ手数料は、自社アプリを開発・運営する事業者側からすると、利益の圧迫リスクを招くボトルネックとなることから、可能であれば回避したいものです。アプリ外課金はそんな事業者にとっては理想的な解決策といえるでしょう。
アプリ外課金の導入に際しては、アプリに連携した外部サイト上の決済環境を自社で構築するか、決済代行業者を利用する選択肢がありますが、複数の決済手段を導入したい場合は、手間と時間を軽減できる後者を検討してみるとよいかもしれません。決済代行業者であれば、契約業務を代行してもらえるだけでなく、代行サービス内容によっては、購入トレンドの分析、売上高の管理ツールのほか、サービスの運用に必要なノウハウを教えてもらえるなど、充実したサポート体制が整っているため、より心強いといえるでしょう。
Stripe Checkout でできること
Stripe Checkout は、ウェブサイトやアプリで簡単に決済を開始できる完全カスタマイズ可能な事前構築済みの決済フォームです。
Checkout の特徴
購入完了率の向上: Checkout の決済フォームはモバイル向けに最適化され、ワンクリックで完了する決済フローが構築されています。顧客は支払い情報を簡単に入力し、再利用できます。
開発時間を短縮: Checkout を自社サイトに直接組み込むか、顧客を Stripe のオンライン決済ページへ誘導します。数行のコードで実行可能です。
セキュリティの向上: Checkout が機密性の高いクレジットカードデータを処理し、PCI 準拠を効率化します。
グローバルに拡大: Adaptive Pricing で 100 以上の通貨および 30 以上の言語に対応し、各地域に合った決済フォームを提示。購入完了率を向上させる決済手段を動的に表示します。
高度な機能: サブスクリプションのための Billing、不正利用防止のための Radar など、他の Stripe プロダクトと Checkout を連携できます。
柔軟な管理: 決済手段の保存や購入後のアクション設定など、決済体験を完全にカスタマイズできます。
Checkout を活用した決済フローの最適化について、詳しくはこちらをご覧ください。今すぐ開始する場合はこちら。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。