売掛金 (AR) は、クレジットで商品やサービスを購入した利用者が事業者に支払うべき金額です。AR は未払いの請求書のスナップショットであり、提供後に支払われていない対価を表します。プロジェクトの完了後にクライアントに請求書を送信する場合、クライアントが請求書に対して支払いを行うまで、クライアントが支払うべき金額は売掛金と見なされます。
以下では、売掛金が資産に分類される理由、売掛金が流動資産である理由、売掛金を管理するためのヒントについて説明します。
この記事の内容
- 売掛金が資産に分類される理由
- 売掛金が企業の貸借対照表におよぼす影響
- 売掛金が流動資産である理由
- 売掛金が負債になる可能性
- 売掛金管理のヒント
- Stripe にできること
売掛金が資産に分類される理由
資産とは、事業者が所有する経済的価値を持つもので、現在または将来の財務の健全性に貢献できるものを指します。売掛金は、企業に入ってくる現金を表すため、資産です。
会計上、AR は流動資産として計上され、1 年以内の現金化が見込まれます。流動資産は、当面の支払い義務を果たし、事業運営に資金提供するために事業者の手元にある資産を表します。このカテゴリーには、現金、在庫、および短期投資も含まれます。
売掛金が企業の貸借対照表におよぼす影響
売掛金は、貸借対照表の流動資産の部に属し、通常は上部に表示されます。総資産が増え、売掛金が増えると、帳簿上の事業の価値も上がります。逆に、利用者が支払わなければ資産は減少します。
貸借対照表は、ある時点で事業者が所有しているもの (資産) と支払うべきもの (負債) のスナップショットです。売掛金の数値が健全であれば、売上と利用者の需要が好調であることを示しています。これに対して、AR が大きくなりすぎると、回収の問題や、支払い条件が緩すぎることを示唆する可能性があります。資産価値の多くが直接的な現金ではなく未払いの請求書に縛られていると、貸借対照表が健全に見えても、請求書の支払いや成長に向けた資金提供に苦労する可能性があります。
売掛金が流動資産である理由
流動性は、資産をどれだけ短期間で簡単に現金化できるかを指します。現金は最も流動性の高い資産であり、換金作業は不要です。売掛金は現金ほど流動性はありませんが、短期間で現金化することが期待されるため、流動資産です。AR の流動性が高ければ高いほど、キャッシュフローを維持し、経費を賄い、事業に再投資しやすくなります。
AR の流動性は、次のような要因に左右されます。
支払い条件: 支払い期間が短いほど (NET 90 (90 日以内に支払い) ではなく、NET 30 (30 [日]以内に支払い) など)、現金をすぐに利用できるようになります。
利用者の信頼性: 確実な支払い履歴を持つ利用者は、支払い履歴が少なかったり履歴がない利用者よりも信頼性が高くなります。
回収方法: 先を見越したフォローアップと強力な請求プロセスは、期日どおりに支払いを受ける可能性を高めます。
売掛金が負債になる可能性
売掛金は定義上は資産ですが、特定の状況では負債になる可能性があります。ここでは、AR が企業にとってどのように問題になり得るかを説明します。
未払いの請求書: 利用者が支払うべき金額を支払わなければ、AR は現金化されません。回収不能金に変わり、利益と資産を減らします。
キャッシュフローへの負荷: 収益の多くが AR に縛られていると、キャッシュフローの問題が発生する可能性があります。運用コストの充当、給与の支払い、成長機会の活用に苦労する場合があります。
回収費用: 期日を過ぎた支払いの追跡には、債権回収業者に依頼する場合でも、従業員が業務中にフォローアップする場合でも、時間と費用がかかります。
売掛金管理のヒント
売掛金を適切に管理することは、事業の流動性と財務状況に大きな違いをもたらす可能性があります。
支払い条件を戦略的に
標準的な NET 30 の支払い条件をデフォルトにするのは簡単です。ですが、NET 30 (30 日以内に支払い) は貴社のニーズに合っているでしょうか。利用者の支払いを常に待っている場合は、期間を短縮することを検討してください。NET 15 (15 日以内に支払い) を試すか、特定のクライアントに前払いを求めます。期間を短くすることでより良いサービスを提供できるようになる理由を、わかりやすい言葉で利用者に説明します。
請求書の支払いを簡単にする
請求書のデザインが不十分な場合、支払いが遅れる可能性があります。請求書は明確で実用的なものでなければなりません。未払い額の内訳、期日、支払い手順を含めるようにします。ソフトウェアを使用して「今すぐ支払う」ボタンや QR コードを埋め込むことを検討してください。利用者が店舗で会計するのと同じくらい、請求書の支払いも簡単に行えるようにします。
AR を毎週確認する
AR に関する問題は、月末まで確認を待っていると長引いて悪化する可能性があります。未払いの請求書を毎週確認して、支払いの問題が急増する前にすぐに対処できるようにします。
利用者との個人的な関係性を築く
利用者と友好的な関係を維持することで、支払いが遅れているときに率直に伝えやすくなります。リマインドメールを自動送信するだけよりも、個人的なメールや電話は効果的です。
早期支払いインセンティブを提供する
リマインドメールを送信して利用者が期日どおりに支払うことを願うのではなく、早めに支払う理由を与えます。たとえば、「10 日以内に支払うと、次回の請求書が 2% 割引になります」などです。少額の割引を提供することで、何週間も待たずに済むだけでなく、適時性を高く評価していることを利用者に示すことができます。
リスクの高い利用者との取引をやめることを恐れない
すべてのクライアントが価値をもたらすわけではありません。継続して支払いが遅れる利用者がいる場合は、関係を断ち切れるようにしましょう。事業の財務の健全性を守ることが最優先事項です。クライアントの支払い行動が危険信号を発したときは、自分の直感を信じてください。
ソフトウェアを活用して会計業務をスムーズにする
手動の AR 追跡は、より多くのエラーを生み出し、貴重な時間を浪費する可能性があります。会計ツールや請求書発行ツールを使用して、支払いを自動的に記録し、リマインドメールを送信し、期限切れの請求書に印をつけます。自動化は適切な判断に取って代わるものではありませんが、事業を運営する上でより重要で困難な部分に時間と労力を確保できるようになります。
支払いを受けられない事態に備える
すべての請求書が支払われるわけではありません。クライアントが廃業する場合も、支払いを拒否する場合も、請求書プロセスでは制御できない部分があります。このような場合に対処するために、収益のごく一部を「不測の事態に備えた」資金として取っておき、財政を混乱させないようにします。
Stripe にできること
Stripe は、企業の売掛金プロセスの管理に役立つさまざまなソリューションを提供しています。Stripe Invoicing を使用すると、スムーズな請求書作成機能を使用して利用者に請求書を素早く送信し、銀行振込を含むさまざまな決済手段を受け入れることで、利用者にスピーディーな支払いを促すことができます。Stripe は、利用者ごとに一意の仮想銀行口座情報を提供することで、企業が利用者からの銀行振込を安全に受け付けやすくし、企業の口座情報の機密性を保ちます。
Stripe の自動化機能では、請求書を利用者にメールで送信したり、取引を実行したり、支払いと請求書を照合することもできます。これにより、入金の照合と回収に伴う手作業が削減されます。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。