イタリアで有限責任会社 (S.r.l.) を設立する方法

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  1. はじめに
  2. 有限責任会社 (S.r.l.) とは
  3. 有限責任会社 (S.r.l.) にはどのような種類がありますか?
    1. 通常型の有限責任会社 (S.r.l.)
    2. S.r.l.s.
    3. 単一株主の私的有限責任会社 (S.r.l.)
    4. スタートアップ型有限責任会社 (S.r.l.)
    5. 有限責任会社 (S.r.l.) はどのような人が設立できますか?
  4. 他の会社形態と比較した場合の有限責任会社 (S.r.l.) の利点
    1. 個人資産の保護
    2. 銀行や投資家に対する信頼性の向上
    3. 法的および組織運営の柔軟性
    4. 事業継続性の保証
    5. 特定の税制や優遇措置の利用
    6. 投資と新規リソースの誘致のしやすさ
    7. 有限責任会社では何人の従業員を雇用することができますか?
  5. 有限責任会社 (S.r.l.) の設立方法
    1. 事前分析の実施と有限責任会社 (S.r.l.) 形態の選択
    2. 細則および定款の草案
    3. 資本金の払い込み
    4. 公正証書の完成
    5. 商業登記簿への登録
    6. 統合型事業登録手続 (ComUnica)
    7. 認証済みメール (PEC) アドレスの設定
    8. 有限責任会社 (S.r.l.) の当座預金口座の開設
    9. 法人設立後の義務
  6. 支払い管理のためのデジタルソリューション
  7. 有限責任会社 (S.r.l.) の設立にかかる費用
  8. 有限責任会社 (S.r.l.) の納税額
    1. IRES
    2. IRAP
    3. VAT
    4. 配当源泉徴収税
    5. INPS 社会保険料
  9. 海外からイタリアで起業する場合: 有限責任会社 (S.r.l.) の利点

有限責任会社 (S.r.l.) を設立して事業を始めようとお考えですか?このガイドではイタリアで見られる様々な S.r.l. の種類、S.r.l. という法的形態のメリット、S.r.l. 設立の手順、そして事業開始後にかかる費用と税について概要をご説明します。多くの起業家が S.r.l.s を選ぶ理由と規制要件に沿って S.r.l. を設立する方法をご紹介します。

目次

  • 有限責任会社 (S.r.l.) とは
  • 有限責任会社 (S.r.l.) にはどのような種類がありますか?
  • 他の会社形態と比較した場合の有限責任会社 (S.r.l.) の利点
  • 有限責任会社 (S.r.l.) の設立方法
  • 支払い管理のためのデジタルソリューション
  • 有限責任会社 (S.r.l.) の設立にかかる費用
  • 有限責任会社 (S.r.l.) の納税額
  • 海外からイタリアで起業する場合: 有限責任会社 (S.r.l.) の利点

有限責任会社 (S.r.l.) とは

有限責任会社 (S.r.l.) は イタリア民法典第 2462 条~第 2472 条および第 2472条の 2 で定める法人形態です。その主な特徴は有限責任で、株主は出資額の範囲でのみ会社の債務に責任を負うということです。つまり個人資産は保護されます。

法律で定められた S.r.l. の最低資本金は 1 ユーロです。S.r.l. は経営の柔軟性とリスク保護を兼ね備えており、企業を設立しようとする人々に現在最も選ばれているソリューションです。技術革新をもたらすスタートアップにも伝統的な家族事業にも適しています。

有限責任会社 (S.r.l.) にはどのような種類がありますか?

イタリアの有限責任会社 (S.r.l.) には様々な種類があります。それぞれ企業構造、初期資本、経営上の柔軟性という点で様々な要件を満たすように設計されています。

  • 通常型の有限責任会社 (S.r.l.)
  • 簡易型有限責任会社 (S.r.l.s.)
  • 単一株主の私的有限責任会社 (S.r.l.)

有限責任会社 (S.r.l.) を設立する前に、有限責任会社の主な種類を知っておくとよいでしょう。ご自身の事業に最も適したものを選択する際に役立ちます。

通常型の有限責任会社 (S.r.l.)

通常型の S.r.l. は、細則の作成、会社経営、株式譲渡を自由に行えます。通常型の S.r.l. が最も適しているのは、多額の資本を投じ、長期経営計画を持って事業を開始する場合です。また、S.r.l. の中では最も一般的な形態です。

かつては S.r.l. の設立には資本金として最低 1 万ユーロが必要でした。しかし 2013 年以降は、通常型の S.r.l. は資本金 1 ユーロから設立できるようになっています。ただし、設立時に全額を一括で払い込むことが条件となっています。資本金の引き下げは、立法政令第 76/2013 号 によって承認され、法律第 99/2013 号 第 9 条 (15‑ter) に転換され、イタリア民法典第 2463 条 が改正されました。

S.r.l.s.

簡易型有限責任会社 (S.r.l.s.) は、若者の起業を奨励し、低いコストでこの S.r.l.s. の形態を利用できるように設計されています。必要な資本金は 1 ~ 9,999 ユーロです。この S.r.l.s. を設立できるのは個人のみで、法定の標準定款に従うことが義務付けられています。定款の作成に公証人手数料はかからないため、限られた資金で会社を設立したい場合に特に適しています。

単一株主の私的有限責任会社 (S.r.l.)

この形態は、単一の株主が有限責任会社 (S.r.l.) を設立します。資産責任を限定したい専門職や個人事業主が選択することが多い形態です。唯一の制約は、単一株主による経営の場合、設立時に資本金の全額を払い込む必要があることです。

スタートアップ型有限責任会社 (S.r.l.)

これは有限責任会社 (S.r.l.) のもう 1 つの種類ですが、独立した法人形態ではありません。技術革新分野で事業を行う人向けに設計されており、税の一部免除、投資家への優遇措置、経営の簡素化、クラウドファンディングの利用しやすさなど多くの利点があります。商業登録簿の特別セクションに登録するには、研究開発投資、高度人材の雇用、特許の保有などの要件を満たす必要があります。

有限責任会社 (S.r.l.) はどのような人が設立できますか?

行為能力があれば、誰でも S.r.l. の株主になることができます。

  • 法定年齢に達した自然人
  • イタリアあるいは外国の法人で、イタリアの税コードを有し、公証人に提出する有効な書類を備えている場合

ただし、次の 3 つのグループはほとんど除外されます。

  • 行為能力を喪失している者: 自己の事務を管理する能力が全くないと裁判官に判断された個人 (例えば重度の精神障害など) が該当します。この場合、後見人が選任されますが、本人は会社の株式を取得することはできません。
  • 制限能力者: このグループは、日常的な取引を行う能力は持っていますが、株式の引き受けを含む重要な意思決定には保佐人の補助が必要です。これは常習的なアルコール乱用や比較的軽度な疾病など、限定的な事情によるものです。
  • 破産者: 破産手続き中の事業者は、裁判所から復権を得るまで、新たな事業を開始したり、経営したりすることはできません。

他の会社形態と比較した場合の有限責任会社 (S.r.l.) の利点

有限責任会社 (S.r.l.) を設立することにはいくつかの利点があります。これは、有限パートナーシップ (S.a.s.) や普通合資会社 (S.n.c.) のような比較的単純な法人形態にはないメリットで、リスク管理や財務・経営上の利点に関わるものです。事業を成長させることを目的とする経営者にとって特に重要です。

ここでは、有限責任会社 (S.r.l.) の設立が最良の選択となり得る理由をご説明します。

個人資産の保護

有限責任会社 (S.r.l.) では、株主は出資額の範囲でのみ会社の債務に責任を負います。つまり、倒産や債務が発生しても自宅や車、銀行口座などの個人資産を失う心配はありません。それに対してパートナーシップや個人事業では、債権者が個人資産に直接請求できます。有限責任は、特にリスクの高い事業や初期投資の大きい分野で重要な保証となります。

銀行や投資家に対する信頼性の向上

有限責任会社 (S.r.l.) は、年次財務諸表を作成・提出する義務があります。その財政や資産管理の透明性が確保されているのです。これにより、銀行、投資ファンド、ビジネスパートナーからの信頼が高まります。また、法的に安定した有限責任会社を設立することで、銀行融資の獲得、欧州の資金調達、外国資本の誘致もしやすくなります。

法的および組織運営の柔軟性

S.r.l.の強みの一つは、株主のニーズに応じて細則や運営方法を柔軟に設定できることです。株式の分配方法、意思決定における比重、経済的権利のみの株主の設定などを自由に決められます。株式売却時の優先交渉権や、重要決定のルールなどの特別条項を盛り込むこともできます。また、取締役 1 名、複数取締役、取締役会など、運営組織の形も自由に選択できます。このため、有限責任会社 (S.r.l.) は小規模な家族事業から、投資家や運営パートナーを含む大規模事業体まで幅広く対応できます。

事業継続性の保証

パートナーシップの場合、別段の定めがない限り株主が退出すると原則として解散します。しかし有限責任会社 (S.r.l.) は事業を継続しやすい形態です。会社の存続を妨げることなく株式を譲渡することができ、新株主の参入も法的構造の大幅な変更を必要としません。そのため有限責任会社 (S.r.l.) は安定性が高く、長期成長計画にも適しています。

特定の税制や優遇措置の利用

有限責任会社 (S.r.l.) を設立すると、法人向けの優遇税制や税額控除を利用することができます。

  • 知的財産優遇税制 (パテントボックス): 無形資産 (例: 特許、著作権で保護されたソフトウェア、デザイン、モデルなど) の使用から得られる所得の一部を控除できる 優遇税制
  • トランジション 4.0: 設備投資に対する 税額控除
  • 任意の税制透明化制度: 一定の要件を満たすと、二重課税を回避しつつ利益をパートナーに帰属させることができます。

このような利点は、個人事業主やパートナーシップでは享受できません。

投資と新規リソースの誘致のしやすさ

有限責任会社 (S.r.l.) は、株式の一部または全部を簡単かつ規制に沿って譲渡できるため、新規メンバーや投資家の参加に適しています。また、特定の財産権や経営権を持つ特別株式を発行できるため、エンジェル投資家、ベンチャーキャピタル、戦略的パートナーの参入も容易です。この仕組みは、革新的なスタートアップや拡張性のあるプロジェクトとして S.r.l. を立ち上げる場合に特に有効です。

有限責任会社では何人の従業員を雇用することができますか?

法律では従業員数に上限を課していません。団体協約と社会保障義務を遵守する限り、従業員数は 0 人でも数百人でも構いません。

例えばイタリアの EC 部門で最も一般的に使われる契約は 全国労働協約 (National Collective Labor Agreement) ですが、他の団体協約を採用することもできます。なお、従業員数が 15 人を超えると、労働者安全代表 (Workers’ Safety Representative, RLS) の任命、年次リスク評価文書 (Risk Assessment Document, DVR) の作成義務など、追加の規制が適用されます。そのため、最初の雇用から労務コンサルタントと相談しながら有機的な成長計画を立てることが重要です。

有限責任会社 (S.r.l.) の設立方法

イタリアで S.r.l. を設立するには、一連の公的および行政上の手続きを行う必要があります。その中には、該当する公的機関の他、公証人や会計士といった専門家がかかわるものも含まれています (例: 商工会議所、イタリア歳入庁、イタリア社会保障機関 [INPS]、イタリア労働災害保険機関 [INAIL])。

手順を正しく踏むことで、開業の遅れや書類の誤り、税務当局とのトラブルなどを避けることができます。ここでは、企業形態の選択から商業登記簿への登録、さらにその先まで、S.r.l. の設立方法を詳しくご紹介します。

事前分析の実施と有限責任会社 (S.r.l.) 形態の選択

この段階で重要なことは、ビジネスモデルを検討し、財務要件を評価し、S.r.l. の形態 (通常型、単一株主型、簡易型など) を選択することです。柔軟な細則が必要なのか、それとも S.r.l.s 向けの標準テンプレートを利用できるのかを評価します。

細則および定款の草案

通常型または単一株主型の S.r.l を設立するには、定款書類が必要です。この書類には下記の事項を明記する必要があります。

  • 会社名
  • 登録事業所
  • 目的
  • 払込資本金
  • 存続期間
  • 経営体制
  • 利益の分配
  • 株式先買権や承認条項

S.r.l.s. の場合は、行政当局が用意した公式書式を使用することができます。

資本金の払い込み

資本金は追跡可能な支払い方法 (例: 電信送金、出納小切手など) で会社の取締役に直接払い込みます。法人が設立され銀行口座が開設されたら、取締役はそれを会社の口座に送金します。

公正証書の完成

公証人を選び、定款の下書きと株主の本人確認書類を送付します。指定された期日に設立証書に署名します。公証人はその署名を認証し、商業登記簿への提出用ファイルを作成するとともに、仮の税コードを発行します。

商業登記簿への登録

設立証書に署名されてから 30 日以内に、公証人が該当する商工会議所に証書を電子的に提出します。登録日は、会社の法的な設立日となります。経済・行政索引番号 (REA 番号) と付加価値税番号 (VAT 番号) が記載された証明書が商工会議所から発行されます。

統合型事業登録手続 (ComUnica)

ComUnica は、イタリア歳入庁、INPS、INAIL に自動的にデータを送信するシステムです。オンラインサービス (例: F24 納税申告書、tax drawer納付状況証明書 [DURC]) は通常 24 ~ 48 時間以内に発行されます。

認証済みメール (PEC) アドレスの設定

2023 年から、S.r.l. を含めどの法人形態であっても設立時に PEC アドレスが必須となりました。公正証書に署名する前、または署名直後に PEC アドレスを有効にしてください。商工会議所ではこの デジタル・ドミサイル (電子的公式住所) がないと、登録を保留します。

有限責任会社 (S.r.l.) の当座預金口座の開設

S.r.l.の設立後に必要なことは、集金、支払い、税務処理を行うための事業名の当座預金口座を開設することです。従来型の銀行口座を開設することもできますし、柔軟性のあるオンライン口座を開設することもできます。

法人設立後の義務

S.r.l. が設立され商業登記簿に登録されたら次の手順に進みます。以下の手順を正しく完了することで、違約金の発生を回避し、事業を法令に則った形で開始することができます。

  • ワンストップの事業相談センター (SUAP) との連絡: 事業に許認可が必要な場合 (例: コマース、食品のオンライン販売)、SUAP を通じて自治体に認定事業開始通知書 (SCIA) を提出する必要があります。
  • 商標登録 (任意): 会社名やロゴを保護したい場合は、イタリア特許商標庁(UIBM)、または欧州連合知的財産庁 (EUIPO) に登録します。
  • プライバシーおよび一般データ保護規則 (GDPR) のガイドラインに従う: 個人データ (例: 顧客、ユーザー、従業員など) を処理する場合には、プライバシーポリシーを準備し、データ処理のログを保存し、必要に応じてデータ保護担当者 (DPO) を任命します。
  • INPS および INAIL への登録: 自分自身と従業員のために社会保障と保険口座を開設します。取締役が報酬を受け取る場合には、別途 INPS 分離基金制度にも加入する必要があります。
  • 法令により保存が義務付けられた会社記録の作成および維持: 株主名簿、決議の議事録、会計帳簿 (例: 仕訳帳、棚卸台帳) を作成し、保存・維持します。
  • 電子請求の使用: これはほぼすべての種類の S.r.l. に 義務付けられて います。
  • 納税に関する選択: 付加価値税 (VAT) の申告・納付頻度 (例: 月次または四半期ごと)を会計士と相談して決定します。
  • 従業員雇用の要件の遵守: 職業センター、国立社会保障機関 (INPS)、労働災害保険機関 (INAIL) に登録し、統一労働帳簿 を整備します。

支払い管理のためのデジタルソリューション

S.r.l. を開設する場合、商品・サービスの決済方法も検討する必要があります。効率的で安全なデジタルツールを使用することが重要です。Stripe の決済ソリューションは、開業時からお客様をサポートします。

Stripe Payments を利用することで、最も一般的な決済方法に国内、グローバル双方で対応し、簡単かつ安全に決済を受け付けることができます。Stripe Checkout なら、コンバージョンに最適化された支払いフォームを簡単にご自分の E コマースサイトに直接統合することも、顧客を Stripe が管理する安全な決済ページにリダイレクトすることもできます。これにより、誰にとってもスムーズなショッピング体験が可能になります。

一方、決済フォームのデザインや統合を細かく管理したい場合には Stripe Elements が適しています。これは画面の操作部分を細かくカスタマイズできる UI コンポーネントで、安全な決済フォームを作りご自分のウェブページに直接統合することができます。デザインもユーザー体験も柔軟に操作できます。

サブスクリプションや継続課金のある事業の場合、Stripe Billing を利用するとこうした支払いの管理を数分で自動化することができます。これは定額から従量課金まであらゆる料金モデルに対応しています。

有限責任会社 (S.r.l.) の設立にかかる費用

S.r.l. を設立するには様々な初期費用がかかります。その費用は S.r.l. の形態 (通常型、単一株主型、簡易型など) や関わる専門職によって異なります。

項目

通常型の有限責任会社 (S.r.l.)

単一株主の私的有限責任会社 (S.r.l.)

S.r.l.s.

会社設立にかかる公証手数料
(手数料は、細則の複雑さ、株主数、現物出資の有無によって異なる)

1,200 ~ 2,000 ユーロ

1,200 ~ 2,000 ユーロ

0 ユーロ

登録税

200 ユーロ

200 ユーロ

200 ユーロ

管理手数料および印紙税 (概算)

245 ユーロ

245 ユーロ

245 ユーロ

会社帳簿認証手数料

309 ユーロ

309 ユーロ

309 ユーロ

最低資本金

1 ユーロ

1 ユーロ

1 ユーロ

税務または会計コンサルティング

600 ~ 1,200 ユーロ

600 ~ 1,200 ユーロ

600 ~ 1,200 ユーロ

合計額の見積もり (資本金を除く)

2,555 ~ 3,955 ユーロ

2,554 ~ 3,954 ユーロ

1,355 ~ 1,955 ユーロ

有限責任会社 (S.r.l.) の納税額

S.r.l. を設立する際に重要なことは、事業開始後にどのような税や社会保障費を納める義務があるかを理解することです。ここでは、主な税金と拠出金について説明します:

  • イタリア法人所得税 (IRES): 24% または 20%
  • イタリア地域生産活動税 (IRAP): 3.9%
  • _VAT: _ 22%、10%、5%、4%
  • 配当源泉徴収税: 26%
  • INPS 社会保険料: 最低 24%

税と社会保険料の詳細は以下のとおりです。

IRES

IRES は企業の課税所得に対して 24% 課されます。課税所得とは、事業関連の控除対象となる費用、例えば取引先への支払い、人件費、家賃、コンサルティング費用、減価償却費など事業上控除可能な費用を差し引いた後に残る利益のことです。

2025年予算法 では、IRES の税率が 24% から 20% に引き下げられる (IRES ボーナス)ことが規定されています。これは2024年12月31日より後の課税期間にのみ適用され、以下の条件を満たす企業にのみ適用されます。

  • 2024年の利益の少なくとも 80% が無配当リザーブに配分されている場合
  • トランジション 4.0 および トランジション 5.0 プログラムに関連する新たな資本財への投資にそのリザーブの一部を使用し、その投資額がリザーブの 30%、または 2023 年の収益の 24% 以上であること。最低投資額は 2 万ユーロ
  • 正社員数が維持または増加した場合
  • 特定の場合を除き、2024年または2025年に失業手当を申請していないこと

IRAP

IRAP は、政令第 446/1997 号 により導入され、イタリア各州に自立的な財源を確保し、地域経済・社会の発展を推進することを目的としています。IRAP の納税義務があるのは、地域内で財やサービスの生産または交換を目的とする、自律的に組織された事業を継続的に行っている事業者です。2024 年の基準税率は 3.9% ですが、各州は業種や納税者区分ごとに最大 0.92 ポイントまで変更することができます。

VAT

VAT はほとんどの取引に関係します。標準的な VAT 税率 は 22% ですが、特定の商品・サービスには、10%、5%、4% といった軽減税率が適用されます。すべての業種が、ビジネス用の会計規則に則った最適な方法で、月次または四半期ごとに VAT を納付する必要があります。

配当源泉徴収税

利益を株主に分配する場合、配当金には 26% の源泉徴収税が課されます。これは、会社がすでに支払っている IRES に上乗せされます。そのため、多くの事業者が利益をすぐに分配せず、会社内に再投資します。

INPS 社会保険料

INPS 社会保険料についても慎重に検討する必要があります。この金額は、役職や職務内容によって変動します。

株主の種類

INPS 社会保障制度

2025 年のレート

算出の根拠

備考

業務執行パートナー (実務に従事しない)

分離基金制度

26.07%

取締役報酬

固定拠出金なし: 会社 (3分の2) および株主 (3分の1) が F24 納付書で四半期ごとに支払います

商業活動または職人・手工業活動 (例: EC、工房、飲食店) に従事する現業株主

職人・商人基金制度

24.48%

申告された事業所得

固定最低拠出金: 職人の場合は約 4,460.64 ユーロ、商人の場合は約 4,549.70 ユーロ。最低所得 (18,415 ユーロ) を超える所得には定められた料率が適用されます

プロフェッショナルサービス (例: コンサルティング、ソフトウェア) に従事し、社会保障基金に加入していない現業株主

分離基金制度

26.07%

自営業の報酬

固定料率なし: 取締役と同じ料率が適用されます

資金提供のみを行う株主 (取締役や実務者ではない)

INPS 社会保障登録なし

配当にのみ課税: 源泉徴収税 26%

税率や各種手数料は毎年大臣令によって確認、または改定されます。予算を立てる前に必ず最新の金額を確認してください。

S.r.l. 設立後に算出される拠出金について検討する際には、下記のとおり留意すべき点がいくつかあります。

  • 役職の兼任: 取締役でありながら現場で労務に従事する人は、社会保障の加入先として職人・商人基金制度が優先されます (固定額+割合ベースの社会保険料を徴収)。その場合、取締役の報酬もこの基金に含まれ、別の分離基金制度には入りません。
  • 拠出金の上限: 2025 年の職人・商人に対する拠出金の上限は 119,650 ユーロです。このしきい値を超える所得には、割合拠出金は課されません。
  • 税や社会保険拠出金の軽減・免除: 21 歳未満の新規従業員および革新的スタートアップには、一定期間低減税率または部分的な税額控除が適用されます。
  • 単一株主の S.r.l.: 通常の活動を行う場合、単一株主はその活動に対応する社会保障基金制度 (例: 職人・商人基金制度、分離基金制度) に完全に加入します。

S.r.l. の税・拠出金の管理は複雑なので、法令遵守を徹底するために会計士に相談する必要があります。

海外からイタリアで起業する場合: 有限責任会社 (S.r.l.) の利点

海外に居住してイタリア市場に参入する場合、S.r.l. の設立はよい選択肢です。S.r.l. は外国人起業家にも広く利用されています。個人資産が保護され、経営が柔軟にでき、イタリアの経済・税制も利用しやすいためです。

イタリアに居住していなくても、S.r.l. を設立することができます。VAT 番号とイタリアの税コードを取得し、イタリア在住の法定代理人を任命する必要があります。

身分証明書がイタリアで効力を持つように認証・翻訳する必要があります。アポスティーユで認証することができます。このアポスティーユは、公的文書を外国で利用できるようにする認証プロセスを簡略化するためのスタンプです。それにより、ハーグ条約加盟国では領事館での認証手続きを省略することができます。または、母国の在イタリア大使館か領事館に連絡する必要があります。その後、S.r.l. 設立の通常の手続きを行うことができます。

S.r.l. を設立することでイタリアで企業に提供されている税制上の複数の優遇措置を利用できるようになります。その中には、設備投資に対する税額控除が含まれています。さらに、S.r.l. の設立により、イタリアで事業用の銀行口座を開設することができます。そうすることでユーロで決済を管理し、地域の顧客や供給業者と透明性の高い契約を結ぶことができます。

要約すると、海外からイタリアで事業を始めたいと思ったら、S.r.l. を設立することが安定的に事業を行う上でメリットがあるということです。S.r.l. は時間をかけて成長させられる安定した法的形態なのです。

この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。

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