フランスのマージン VAT について知っておくべきこと: 計算方法、申請、申告

  1. はじめに
  2. マージン VAT とは
  3. マージン VAT を利用できる対象者
    1. 適用除外
  4. マージン VAT と通常の VAT の違い
  5. マージン VAT の計算方法
    1. 個別の計算方法
    2. 合算による計算方法
  6. マージン VAT の申告方法
  7. マージン VAT を含む請求書の作成方法

ご自身のビジネスでは、転売を目的として中古品を購入していますか?宅地販売を目的としているでしょうか?そのようなビジネスの場合、マージン付加価値税 (VAT) を利用できる可能性があります。この記事では、マージン VAT の仕組み (申請基準、適用除外、計算式など) や、注意が必要なマージン VAT の請求・申告ルールについて説明します。

この記事の内容

  • マージン VAT とは
  • マージン VAT を利用できる対象者
  • マージン VAT と通常の VAT の違い
  • マージン VAT の計算方法
  • マージン VAT の申告方法
  • マージン VAT を含む請求書の作成方法

マージン VAT とは

マージン VAT は、2007 年から施行されている特別な VAT 課税方式であり、EU 加盟国の課税再販業者に適用されます。この課税方式の目的は、過去に購入した商品の販売時に VAT の支払いが重複しないようにすることです。

マージン VAT を利用できる対象者

マージン VAT のメリットを得るには、取引が一定の条件を満たす必要があります。まず、商品の販売者が、中古品、中古車、美術品、収集品、骨董品を売買する取引業者など、課税再販業者であることです。また、商品の修理、修復、修正が一切行われていないこと (つまり、全く手が加えられていないこと) も必須の条件です。最後に、課税再販業者がこの特別な課税方式のメリットを得るには、VAT の納税義務のない相手 (VAT の適用対象外の個人または零細企業) から購入した商品であることが条件となります。

この課税方式は、既存建物や宅地の販売、旅行代理店やツアーオペレーターによる一部の取引など、不動産取引を行う個人および企業にも適用されます。

適用除外

以下の取引は、マージン VAT の適用から完全に除外されます。

  • 納品時に相手に VAT を支払って購入した商品の転売
  • 無料で入手した商品の転売または輸入品の転売
  • VAT の納税義務を負う域内の交換により購入した商品の転売

マージン VAT と通常の VAT の違い

マージン VAT は、再販業者の年間売上ではなく利ざやに基づいて計算されるという点で、通常の VAT とは異なります。言い換えると、マージン VAT は、あらゆる税金を含む購入価格と再販売価格の差額にのみ適用されるということです。

マージン VAT の計算方法

マージン VAT は、内税の再販売価格、内税の購入価格、適用される VAT 税率をもとに計算されます。適用される VAT 税率には、以下の段階があります。

  • 特別軽減税率: 2.1%
  • 軽減税率: 5.5%
  • 中間税率: 10%
  • 標準税率: 20%

マージン VAT を計算し、計上するには、個別の計算方法と合算による計算方法があります。計算方法は、再販売時点で入手可能なデータによって決まります。

個別の計算方法

個別の計算方法では、個々の取引ごとにマージンを計算します。

個別のマージン VAT の計算式は以下のとおりです。

[(内税の再販売価格 - 内税の購入価格) x VAT 税率] ÷ (1 + VAT 税率)

たとえば、もともと 500 ユーロ (内税) で購入したコートを 1,000 ユーロ (内税) で転売した場合に、標準税率 20% で VAT が課されるとします。計算式に基づくと、マージン VAT は以下のとおり 83.33 ユーロとなります。

[(1,000 ユーロ - 500 ユーロ) x 20%] ÷ (1 + 20%)
(500 x 0.20) ÷ 1.2 = 83.33 ユーロ

合算による計算方法

一方、合算による計算方法では、所定の期間中 (選択した課税方式に応じて、1 年、3 カ月、または 1 カ月) の合計金額に対する純利益を計算します。この計算方法は、課税再販業者で個々の商品の正確な購入価格がわからない場合に用いられます。また、合算により、望ましくない数値 (損失など) を埋め合わせることも可能です。

合算によるマージン VAT の計算式は以下のとおりです。

[(内税の再販売価格の合計 - 内税の購入価格の合計) x VAT 税率] ÷ (1 + VAT 税率)

たとえば、再販業者がコートを 500 ユーロ (内税) で購入し、1,000 ユーロ (内税) で販売した後、さらにブーツを 100 ユーロ (内税) で購入し、225 ユーロ (内税) で販売するとします。販売ごとに 20 % の税率を用いると、合算によるマージン VAT の支払い額は、以下のとおり 104.17 ユーロとなります。

[[(1,000 ユーロ + 225 ユーロ) - (500 ユーロ + 100 ユーロ)] x 20%] ÷ (1 + 20%)
[(1,225 ユーロ - 600 ユーロ) x 0.2] ÷ 1.2
(625 ユーロ x 0.2) ÷ 1.2 = 104.17 ユーロ

マージン VAT の申告方法

課税再販業者は、売上の利幅に対して徴収される VAT を申告しなければなりません。税務監査官に利幅を示す裏付けとして、正確な原価勘定を記録しておく必要があります。なお、マージン VAT を適用した場合、VAT の申告時に控除を受けることはできません。

申告の頻度は、課税方式と、1 年間に徴収する VAT の金額によって決まります。

  • 年 1 回 (簡易課税方式)
  • 年間の VAT が 4,000 ユーロ未満である場合、四半期ごと (標準課税方式)
  • 年間の VAT が 4,000 ユーロを上回る場合、毎月 (標準課税方式)

各方式の詳細については、VAT の申告に関する記事をお読みください。

年次で VAT をオンライン申告する場合は、Cerfa no. 3517-S-SD フォームを使用します。前会計年度に基づいて、2 回の分割払いで納税する必要があります。月次および四半期ごとの申告の場合は、Cerfa no. 3310-CA3-SD フォームまたは Cerfa CA3 フォームを使用します。

注: 再販売価格の合計が購入価格の合計を下回っている場合は、次の VAT 申告期まで待つことができます。

マージン VAT を含む請求書の作成方法

マージン VAT を利用する再販売については、請求書に VAT を表示せずに内税価格で記載しなければなりません。ただし、計算方法 (個別または合算) およびマージン方式の適用について、請求書に「一般税法 (CGI) 第 297 条および理事会指令 2006/112/EC」と明示する必要があります。

再販売商品と販売の種類も記載する必要があります。たとえば、「個人販売者方式 - 中古品」、「個人販売者方式 - 美術品」、「個人販売者方式 - 収集品」のように記載します。

その他に関しては、マージン VAT を含む請求書に必要な情報は、通常の VAT を含む請求書と同じです。法令を遵守した請求書を作成する方法については、請求書に必須の情報および自営業を営む個人の請求書作成ルールに関する記事をお読みください。

また、フランス当局が提供するモデル請求書も参照することができます。その他、請求書作成を最適化し、コードを 1 行も書かずに会計処理を自動化する Stripe Invoicing などの高機能のソリューションにより、請求システムを簡略化することも可能です。Stripe による請求書タスクの管理方法の詳細については、当社の担当部署にお問い合わせください

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