中小企業向け VAT ガイド

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Stripe Tax では、一度の導入で世界中の支払いに対する税金の計算、徴収、レポート作成をご利用いただけます。登録が必要な場所を把握した上で適切な税額を自動徴収し、申告のために必要なレポートも作成することができます。

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  1. はじめに
  2. VAT の中小企業への影響
  3. 利用可能な VAT スキーム
  4. VAT の登録方法: ステップバイステップガイド
    1. 登録が必要か確認する
    2. 必要な情報を集める
    3. 適切な VAT スキームを選択する
    4. オンラインで登録する
    5. 申請書を提出する
    6. VAT 登録証明書を受け取る
    7. VAT 請求書と記録管理の実装
    8. 最初の VAT 申告書を提出して支払いを行う
  5. VAT 申告書の作成方法と提出方法
    1. VAT 納税額を計算する
    2. VAT 申告フォームに記入する
    3. エラーがないかチェックする
    4. オンラインで VAT 申告書を提出する
    5. VAT を支払う
  6. VAT の検査と監査への対応方法

付加価値税 (VAT) は、生産から流通まで、価値が付加される各段階で商品やサービスに適用される消費税です。イギリスを含む 170 か国以上が、VAT を採用しています。最終顧客への最終販売時にのみ徴収される売上税とは異なり、VAT はサプライチェーン全体で徴収されます。

イギリスの中小企業経営者にとっては、VAT とは大変なものだと思われるかもしれません。スタートアップを立ち上げる場合でも、成長中の企業を管理する場合でも、VAT とは何か、どのように機能するか、事業者にとってどのような意味があるかを理解することが重要です。

この記事の内容

  • VAT の中小企業への影響
  • 利用可能な VAT スキーム
  • VAT の登録方法: ステップバイステップガイド
  • VAT 申告書の作成方法と提出方法
  • VAT の検査と監査への対応方法

VAT の中小企業への影響

中小企業の場合、キャッシュフローや価格設定から日常業務まで、VAT はさまざまな面に影響を与える可能性があります。VAT が事業者におよぼす影響は次のとおりです。

  • 事業者は、売上請求書で VAT を請求し、場合によっては顧客から支払いを受け取る前に政府に支払う必要があります。利益率が低かったり、支払い期間が長かったりする中小企業は、キャッシュフローのギャップを埋めるための計画を、立てる必要があるかもしれません。

  • 企業は、すべての販売と購入の詳細な記録を保持し、定期的に VAT 申告書を提出し、税法の変更について常に情報を入手する必要があります。これは、小規模なチームでは処理が大変な場合があります。一部の企業では、会計ソフトウェアや外部業者を利用してすべてを管理する必要があります。

  • 年間の課税対象売上が一定のしきい値を下回る中小企業は、VAT に登録するかどうかを選択できます。これは、価格戦略と全般的な財務に影響を与える可能性があります。価格に VAT を付加すると、商品やサービスの顧客にとっては価格が上昇するため、売上に悪影響が出る可能性があります。ただし、VAT 登録済みの事業者は、経費に対する VAT の還付を受けることができるため、一部のコストのバランスを取ることができます。

利用可能な VAT スキーム

VAT に関わる義務をより効果的に管理できる VAT スキームがいくつかあり、どれを利用できるかは事業者の規模や業種によって異なります。最も一般的な VAT スキームを、以下でご紹介します。

  • 標準 VAT: 大多数の事業者の既定スキームです。支払いを受け取ったかサプライヤーに支払ったかに関わらず、請求書の日付に基づいて売上に対する VAT を支払い、購買に対する VAT 還付を求めます。

  • 定額スキーム: 売上高が 150,000 ポンド以下の中小企業向けに設計されています。取引のたびに VAT を計算するのではなく、総売上高の一定割合を支払います。この VAT の額は業界によって異なります。企業は購買時の VAT の還付請求はできませんが (特定の資本資産を除く)、このスキームによりプロセスがシンプルになり、事務の負担が減ります。

  • 現金主義会計スキーム: 企業が顧客から支払いを受け取ったときにのみ VAT を支払い、サプライヤーに支払うときにのみ VAT 還付を請求するスキームです。これにより、支払い受け取り前に VAT を支払うという問題が起こらないため、キャッシュフローの管理が容易になります。

  • 年次会計スキーム: 四半期ごとではなく、年に 1 回だけ VAT 申告書を提出します。推定年間 VAT 納入額に基づき 1 回前払いを行い、差額を年末に調整します。このスキームを利用すると、予算や計画を立てやすくなりますが、売上高が変動する事業者には適さない場合があります。

  • 利幅スキーム: 販売価格の全額ではなく、購買価格と販売価格の差額 (利幅) に基づいて、VAT を計算します。これにより、支払うべき VAT を大幅に減らすことができますが、記録を厳密に管理しなければなりません。

  • 小売業スキーム: 小売業向けのスキームであり、VAT を計算するプロセスがシンプルになります。POS スキーム、配分スキーム、直接計算スキームなど、いくつかのタイプがあります。それぞれが、タイプの異なる小売業に適合するように設計されています。これらのスキームにより、個々の販売ごとに VAT を追跡するのではなく、VAT を一度に計算できます。

VAT の登録方法: ステップバイステップガイド

VAT の登録方法は次のとおりです。

登録が必要か確認する

まず、VAT に登録する必要があるかどうかを判断します。イギリスでは、過去 12 か月間のビジネスの課税対象売上高が 90,000 ポンドを超える場合、または今後 30 日以内にそれを超えることが予想される場合に、登録が義務付けられています。ほとんどの課税対象商品またはサービスの VAT 率が 0% の場合、登録が免除される可能性があります。売上高がしきい値を下回っている場合でも、自発的に登録することを選択可能です。他の VAT 登録済みの事業者と提携している場合、自発的な登録によりメリットが得られる可能性があります。

必要な情報を集める

登録プロセスを開始する前に、事業のあらゆる詳細を 1 か所に集めます。必要な情報は、事業形態 (個人事業主、パートナーシップ、有限会社など) によって異なりますが、どの事業形態でも必要なものは以下のとおりです。

  • 銀行口座の詳細

  • 年間売上高

  • 納税者番号 (UTR) または国民保険番号

  • 自己評価申告

適切な VAT スキームを選択する

貴社に最も適した VAT スキームを決定します。オプションには、定額スキーム、現金主義会計スキーム、年次会計スキームがあります。どのスキームが適切かは、事業形態、規模、キャッシュフローのニーズによって異なります。各オプションを調べて、最もメリットを得られるオプションを選択しましょう。

オンラインで登録する

イギリスでは、政府の税務ポータル経由でオンライン VAT 登録プロセスを利用できます。ログインするか、アカウントがまだない場合はアカウントを作成します。オンライン VAT 登録フォームに必要事項を入力し、必要な事業および財務の詳細を入力します。

申請書を提出する

必要な情報をすべて入力したら、入力済みの申請書が正確であるか慎重に確認してから、提出してください。申請が送信されたことを知らせる確認メールが届きます。

VAT 登録証明書を受け取る

申請が処理されると、30 営業日以内に VAT 登録証明書が届きます。証明書には、VAT 登録番号と登録日が記載されており、最初の VAT 申告書を提出するべき時期の詳細が記載されています。

VAT 請求書と記録管理の実装

事業を登録したら、すべての請求書に VAT 番号を記載し、請求された VAT と支払った VAT を含め、すべての販売と購買の詳細な記録を保持する必要があります。また、正確な VAT 申告書を提出し、罰則を回避するため、適切な記録を保持する必要があります。記録には以下を含めてください。

  • すべての売上と収入 (請求した VAT を含む)

  • すべての購買と費用 (支払った VAT を含む)

  • 輸出入品の VAT

  • 調整、割引、返金

このプロセスをシンプルにするには、VAT の法令遵守をサポートする会計ソフトウェアの使用を検討してください。

最初の VAT 申告書を提出して支払いを行う

登録後、定期的に VAT 申告書 (通常は四半期ごと) を提出し、政府に VAT を支払う必要があります。罰金や利息を避けるため、これらの申告書と支払いは期限内に提出してください。VAT 登録証明書に記載されている期限に注意してください。

VAT 申告書の作成方法と提出方法

登録が完了したら、VAT 申告書を作成して提出します。その方法は次のとおりです。

VAT 納税額を計算する

VAT 申告書には、税務当局に支払うべき VAT の金額 (売上 VAT) から、事業経費に対して還付請求できる VAT (仕入 VAT) を差し引いた金額が表示されます。この差額が VAT 納税額です。売上 VAT が仕入 VAT を上回る場合は、差額を税務当局に支払う必要があります。仕入 VAT の方が高い場合は、還付を受けられると思われます。

VAT 申告フォームに記入する

イギリス歳入関税庁 (HMRC) のオンラインポータルにログインして、イギリスの VAT 申告書にアクセスします。通常、このフォームでは次の情報を入力する必要があります。

  • 売上と購買の合計 (VAT を除く)

  • 売上 VAT (売上に対して請求した VAT)

  • 仕入 VAT (購買時に支払った VAT)

  • VAT の調整または修正

フォームの指示に従い、各セクションに慎重に入力してください。数値が、その VAT 期間に保管した記録と一致していることを確認します。

エラーがないかチェックする

VAT 申告書に、数字の入力誤り、計算の誤り、情報の欠落など、よくある間違いがないか再確認してください。正しい VAT 税率を使用していることと、すべての数値が正確であることを確認してください。エラーがあると、罰則の対象になったり、申告の処理が遅れたりする可能性があります。

オンラインで VAT 申告書を提出する

VAT 申告書に入力して確認したら、HMRC ポータルからオンラインで提出します。提出後、VAT 申告書が正常に提出されたことを伝える確認メールが届きます。記録のため、この通知を保管してください。

VAT を支払う

VAT を支払う義務がある場合は、期日までにその金額を支払います。ほとんどの税務当局は、口座振替、銀行振込、クレジットカードなど、いくつかの支払いオプションを用意しています。支払いが遅れると、利息や罰金が発生する可能性があります。還付の対象である場合は通常、申告の審査が済み次第、自動的に処理されます。

VAT の検査と監査への対応方法

十分な準備ができていれば、VAT の検査と監査には簡単に対応することができます。管理方法は次のとおりです。

  • 整理整頓と法令遵守を維持する: すべての販売、購入、VAT 申告書、請求書、領収書の完全かつ正確な記録を保管します。VAT 申告書が正確であることを確認し、必ず期限内に提出してください。必要に応じて会計ソフトウェアを使用して、記録を整理しアクセス可能な状態にしておきます。

  • 監査の範囲を把握する: VAT 検査または監査が予定されているとの通知を受けたら、税務当局が審査するとみられる内容を確認します。具体的には、特定の期間、取引タイプ、VAT 還付方法などです。関連書類を収集し、それに応じて準備します。

  • 事前に記録を確認する: 監査の前に、VAT 記録の内部レビューを実施して、すべてが適切であることを確認してください。修正が必要な不一致やエラーがないかチェックします。問題を見つけたら、すぐに対処し、異常について説明する準備を整えます。

  • 協力し、明瞭なコミュニケーションをとる: 監査中は、要求された情報と書類を速やかに提供してください。コミュニケーションの透明性と明瞭さを保ちます。説明や追加情報の要求に対応します。

  • 必要に応じて専門家に助けを求める: VAT 記録や監査プロセスについて不明な点がある場合は、税理士または会計士に相談することを検討してください。準備のサポート、検査中における専門家のガイダンス、税務当局とのコミュニケーションの面から支援してもらえます。

  • 結果に速やかに対処する: 監査後、必要な調整や罰則といった、フィードバックや調査結果が、税務当局から伝えられる場合があります。問題があれば速やかに対処して、さらなる影響を回避し、推奨される変更を実施して今後の VAT 関連の法令遵守を改善します。

この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。

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