海外取引では消費税の取り扱いや英語の請求書の作成など、国内取引とは異なるさまざまな対応が必要となります。プロフォーマインボイスもそのうちの 1 つであり、日本の事業者が国際貿易を行ううえで欠かせない重要書類です。
一見すると一般的な請求書のように見えるプロフォーマインボイスですが、この書類は正式な契約や代金請求に先駆けて、売り手・買い手の双方が取引内容をすり合わせるための「仮送り状」として重要な役割を果たします。
本記事では、海外取引を行う日本の事業者が知っておくべきプロフォーマインボイスの基礎知識をわかりやすく解説し、コマーシャルインボイスとの違いや記載項目も紹介します。
この記事でわかること
- プロフォーマインボイスとは、海外事業者と貿易取引を行う前に取り交わされる仮送り状で、見積書として機能する
- プロフォーマインボイスは、発行のタイミングや用途がコマーシャルインボイスと異なる
- プロフォーマインボイスの書き方に決まりはないが、品目の詳細や単価、支払条件などの明記が必要
- Stripe Invoicing なら、多言語・多通貨に対応しているほか、自動生成機能による請求書の発行や、データ管理を適切に行うことができるため、請求書業務の効率化を実現可能
プロフォーマインボイスとは
プロフォーマインボイスは、英語で「Proforma Invoice (または Pro Forma Invoice)」と書き、日本語では「仮送り状」や「見積書」と訳されます。また、メールでのやり取りや書類の件名など、実務上では英語表記「Proforma Invoice」の頭文字をとって「P/I」と略して記載するのが一般的です。
プロフォーマインボイスは、貿易を含む海外取引において、正式な売買契約の締結に先立ち、輸出者である売り手が輸入者である買い手に対して発行する書類です。その名の通り「仮の (Proforma) 書類」であり、取引の初期段階において価格、数量、仕様、配送条件など、取引条件の詳細を買い手に提示し、双方で取引内容を確認、合意するための見積書として機能します。
したがって、プロフォーマインボイスを受け取ったからといって、代金の支払い義務が即座に発生するわけではありません。
プロフォーマインボイスが注目される背景
日本では近年、越境 EC に乗り出す EC 事業者や D2C ブランド企業が急速に増えています。特にアメリカや中国、東南アジアを対象とする越境 EC の市場規模が拡大する中で、国ごとに異なる法規制や通関手続きに関する専門知識など、海外取引で求められる実務の基本をおさえておくことの重要性が、これらの事業者間で高まっています。
たとえば、越境 EC における関税や消費税などの税金については、各国の税法に準拠したうえで、正しい数字を領収書や請求書に記載することが、売り手側に求められます。
これに加え、海外取引を行うにあたっては、プロフォーマインボイスが必要となるケースが増えています。プロフォーマインボイスがあれば、貿易のような国と国をまたぐ複雑な海外取引でも、「適切なプロセスを経て取引が進められていること」を証明しやすく、各種業務をスムーズに遂行できるようになります。
こうした背景から、プロフォーマインボイスは貿易をはじめとする海外取引の必須アイテムとして、多くの事業者から注目を集めています。
プロフォーマインボイスを用いる主なケース
プロフォーマインボイスは、具体的にどのような場合に必要となるのでしょうか。以下に主なケースを紹介します。
出荷前に支払い手続きが必要な場合
貿易取引には、以下のような前払いの支払条件が存在します。
- 現金前払い (CIA): 「CIA」は「Cash in Advance」の略語で、商品の出荷またはサービスの提供前に買い手が売り手に代金を支払う条件です。「Advance Payment」と同じ意味で使われることがよくあります。
- 電信送金前払い (T/T in Advance): 「T/T」とは「電信送金 (Telegraphic Transfer)」のことで、電信送金前払いとは、売り手が商品を出荷する前に、買い手が銀行間の電子ネットワークを通じて代金を事前に支払う条件を指します。
- 信用状決済 (L/C 決済): 「L/C」とは「Letter of Credit」の略で、日本語では「信用状 (銀行が代金の支払いを保証する書類)」と呼ばれます。つまり、L/C 決済とは、売り手と買い手の間に銀行が入って取引が行われる支払条件を意味します。
なお、後ほど解説する正式なインボイス (コマーシャルインボイス) は、すべての取引条件が決定した後で作成されます。そのため、正式なインボイスの発行は商品の出荷前後となるケースがほとんどです。
しかし、上記の支払条件の場合はいずれも、売り手が商品を出荷する前に、買い手は支払いを完了させなければなりません。これは、L/C 決済であっても同様で、取引の初期段階において買い手側は、銀行へ L/C の発行などの支払いにかかる手続きを済ませておく必要があります。
これらの支払条件に対応するには、正式なインボイスを発行する時期よりも早い段階で、これに代わる「支払いを行うことの根拠書類」が必要となります。そこで、こうしたケースにおいて、正式なインボイスであるコマーシャルインボイスの代替書類としてプロフォーマインボイスが役に立ちます。
輸入許可証の取得
貿易取引を行う際、一部の国では取り扱う品目によって、輸入許可制度にともなう輸入許可証が必要になる場合があります。こうした場合、輸入者である買い手は、国から輸入許可証を取得するためにプロフォーマインボイスを提出します。
プロフォーマインボイスは買い手側からすると、国外の事業者 (売り手) との取引がある事実を自国に証明する証拠書類として有効です。
無償の品物を送る場合
商品の無料サンプルや、ギフト、不良品の返品など、代金の請求が発生しない品物でも、海外に貨物を送る場合はインボイスが必要となります。
正式なインボイスであるコマーシャルインボイスには本来、「確定した売買契約に基づく請求書」としての役割があります。そのため、売り手・買い手双方の最終的な合意に基づく商品価格や支払条件などの記載が必須となりますが、代金の請求をともなわない輸出入においては、コマーシャルインボイスに該当する書類を発行することができません。
このような場合、コマーシャルインボイスに代わって、プロフォーマインボイスを用いることになります。
注意点としては、プロフォーマインボイスで代用する場合でも、金額の記載欄には「0 円」と記すことは認められません。「無料」とはあくまで「請求代金が発生しない」という考え方で、品物自体の価値を「0 円」とすることはできないためです。
したがって、こうした無償の品物を送る際は、品物本来の値段、または値段相当と思われる市場価格を記載し、「No commercial value/Value for customs purpose only (商取引のない無償貨物/通関目的として価格を記載)」と追記します。
プロフォーマインボイスとインボイスの違いは何ですか?
プロフォーマインボイスとコマーシャルインボイス (商業送り状) は、よく混同されることがありますが、この 2 つには明確な違いがあります。ここでは、以下の観点から整理し、具体的な相違点を解説します。また、貿易取引における「インボイス」とは、一般的にコマーシャルインボイスを指します。
発行するタイミング
プロフォーマインボイスとコマーシャルインボイスでは、発行するタイミングが異なります。プロフォーマインボイスは、コマーシャルインボイスの発行に先駆けてやり取りされる書類で、「仮送り状」および「見積書」として機能します。
一方、コマーシャルインボイスは、プロフォーマインボイスの内容をもとにして作成される正式なインボイスであり、商品を実際に発送するときに発行されます。また、記載内容は正式な合意に基づいているため、発行後に変更することはできません。
法的効力と用途の違い
コマーシャルインボイスは、輸出入時の税関申告や関税計算の基礎となる書類です。また、取引条件の詳細が明記されているため、国際取引の契約証拠としても扱われるだけでなく、買い手への代金支払い請求の根拠として法的効力を持つ書類です。
つまり、コマーシャルインボイスは、税関や銀行への提出、買い手への代金請求など、正式なインボイスとしての役割をすべて担うものであり、他の書類と重複しない単一の書類となります。
一方、プロフォーマインボイスは、見積もりや取引情報の先行取得を目的とする仮の書類となるため、出荷の際のみに正式に発行されるコマーシャルインボイスのような法的な請求効力はありません。
その他のインボイスの種類
貿易実務におけるインボイスには、プロフォーマインボイスやコマーシャルインボイスのほかにも、以下のような種類が存在します。
シッピングインボイス (Shipping invoice)
シッピングインボイスとは、出荷内容を確認するための納品書や、配送に関する情報共有を目的とする配送指示書の役割を持つ書類です。
カスタムズインボイス (Customs invoice)
カスタムズインボイスとは、税関手続き用のインボイスを指します。基本的にはコマーシャルインボイスを提出すれば問題ありませんが、一部の国ではカスタムズインボイスの提出が必要な場合があります。
プロフォーマインボイスの記載項目
プロフォーマインボイスの書き方には法的な決まりがないため、自由な書式で作成しても問題ありません。しかし、取引先との誤解を防ぐためには、各項目をわかりやすく正確に記載することがとても大切です。
ここでは、実務上必須となる記載項目を紹介します。なお、プロフォーマインボイスはコマーシャルインボイスに先立って作成される書類であるため、基本的な記載内容はコマーシャルインボイスに準じます。
- 書類のタイトル: プロフォーマインボイスであることが一目でわかるよう「PROFORMA INVOICE」と明記
- 発行年月日 (Date): プロフォーマインボイスを発行した日付
- 書類番号 (No.): 書類管理の効率化を目的とするプロフォーマインボイスの番号
- 輸出者情報 (Shipper): 輸出者の名称、住所、電話番号などの連絡先
- 輸入者情報 (Messrs.): 輸入者の名称、住所、電話番号などの連絡先
- 届け先 (Consignee): 荷受人の名称、住所、電話番号などの連絡先
- 出港日 (Shipment): 出港予定日
- 入港地・国 (Destination): 入港する都市名・国名
- 商品詳細 (Description): 品物の正式名称、材質、成分、重量 (例: g、ml)
- 数量 (Quantity): 商品の個数・単位 (例: bottle、case)
- 単価 (Unit Price): 販売価格 (有償提供の場合)、または市場価格 (無償提供の場合) を取引に使用する通貨で表示 (例: USD)
- 品目別合計金額 (Amount): 品目ごとの合計金額を取引に使用する通貨で表示
- 合計金額 (Grand Total): 全体の合計金額を取引に使用する通貨で表示
- 支払条件: T/T in Advance などの前払いや支払期限などの条件
- 貿易条件 (Trade Terms): 運送費や保険料の負担区分など輸出者・輸入者間で取り決めた取引条件
- 有効期限 (Validity): プロフォーマインボイスの有効期限
- サイン (Signature): 担当者名とサイン
Stripe Invoicing でできること
Stripe Invoicing は、請求書の作成から支払い回収まで、売掛金プロセスをシンプルにします。単発請求でも継続請求でも、Stripe はビジネスが支払いを受けるまでの時間を短縮し、業務の効率化をサポートします。
売掛金処理の自動化: コーディング不要のプロフェッショナルな請求書を簡単に作成、カスタマイズ、送信。Stripe は請求書のステータスを自動で追跡し、支払いリマインダーの送信や返金処理も行うため、キャッシュフローの管理がスムーズになります。
キャッシュフローを改善: 統合されたグローバル決済、自動リマインダー、AI を活用した督促ツールにより、売掛金回収期間を短縮し、より早く入金を得られます。
顧客体験の向上: 25 以上の言語、135 以上の通貨、100 以上の決済手段をサポートする最先端の決済体験を提供。請求書へのアクセスは簡単で、セルフサービスのカスタマーポータルから支払うこともできます。
バックオフィスの負担軽減: 数分で請求書を作成し、自動リマインダーや Stripe が提供するオンライン請求書決済ページで回収にかかる時間を削減します。
既存システムとの接続: Stripe Invoicing は、主要な会計ソフトや ERP (企業資源計画) ソフトと接続でき、システム間の同期を保ちつつデータの手入力を減らします。
Stripe では、売掛金プロセスの簡素化を支援しています。詳しくはこちらをご覧ください。今すぐ開始する場合はこちら。
プロフォーマインボイスに関するよくある質問
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。