近年、D2C (Direct-to-Consumer: 消費者直接取引)というビジネスモデルが、日本も含め世界的に脚光を浴びています。D2C とは、その名の通り、百貨店やスーパーマーケット、Eコマースモール (Amazonや楽天など) といった小売業者を経由する従来の経路を選定せず、企業が顧客と直接取引するビジネスモデルです。中間業者を排除することで、収益性が向上し、ユニークなブランドのマーケティングや顧客体験が可能になります。そのため、D2C はさまざまな事業形態に幅広くアピールすることができます。
この記事では、日本で D2C ビジネスを始める方法について、メリットとデメリットを含めて説明します。また、このビジネスモデルに最適な商品の種類や、日本における D2C ビジネスの成功事例についてもご紹介します。
目次
- D2C とは
- D2C のメリット
- D2C のデメリット
- D2C ビジネスでよくある商品
- D2C の企業事例
- D2C 事業の始め方
- D2C 事業の EC サイトを構築できるプラットフォーム
- D2C 事業を成功させるポイント
- D2C の基盤となるシステムと安全性
D2C とは
近年、注目度の高い D2C ですが、その意味はご存じでしょうか。D2C (ディーツーシー) とは、Direct to Consumer (ダイレクト・ツー・コンシューマー) を略したもので、製造業者が消費者に直接商品やサービスを販売するビジネスモデルを意味します。また、D to C と表されることもあります。
D2C では、メーカーは E コマースサイト、ソーシャルメディア、または実店舗を通じて顧客と直接関わります。マーケティングから販売まで、すべてメーカーが行います。実店舗を運営する D2C ビジネスもあれば、E コマースサイトを運営する D2C ビジネスもあり、両方を行う D2C ビジネスもあります。
B2C との違い
似たようなビジネスモデルに B2B (Business to Consumer) モデルがあります。B2C は、ビジネスが顧客に製品やサービスを提供するダイレクトマーケティングの一形態であり、D2C と多くの類似点があります。
しかし、D2C と B2C には 1 つ重要な違いがあります。B2C はビジネスと顧客の取引が在住ですが、従来の B2C モデルでは小売業者や流通業者が仲介するのが一般的でした。その結果、製品が最終的に顧客の手元に届くまでに、複数の仲介業者を経由することになります。これに対し、D2C モデルでは仲介者を排除し、メーカーが顧客に直接製品をマーケティング販売します。
D2C のメリット
以下は、日本の事業主が D2C ビジネスモデルに魅力を感じる主な理由です。
高い利益率を確保
D2C の最も明白な利点は、高い利益率を確保できること。卸売業者や小売業者、E コマースモール を利用する代わりに、メーカーはオンラインまたは店舗で顧客に直接販売します。これにより、流通コストとマージンを削減することができます。さらに、D2C ビジネスは、E コマースモールで一般的な価格競争に巻き込まれるリスクが少ない。これにより、安定した利益を得やすくなります。
柔軟な運営が可能
D2C ビジネスモデルでは、ビジネスが独自の価格とマーケティング戦略を設定することができます。これにより、D2B ビジネスは利益を確保しながら競争力のある価格を設定することができます。対照的に、従来の小売業モデルでは、仲介業者がマージンを上乗せするため、価格は通常上昇します。
さらに、E コマースモールや同様のプラットフォームには、ビジネスが従わなければならないマーケティングに関する規制や制限があります。D2C モデルは、ビジネスがメッセージやストーリーを顧客に直接届けることを可能にします。
スピーディーな事業展開
D2B ビジネスは、デジタルマーケティングを活用することで、マーケットの変化に迅速に対応することができます。顧客との取引が直接発生するため、顧客データを徴収し、顧客ニーズの傾向を分析することがリアルタイムで可能です。つまり、パーソナライズされた広告の実施や、トレンドに合わせた商品やサービスの適応型が可能なのです。
D2C のデメリット
D2B ビジネスには多くのメリットがあります。しかし、所有者が考慮すべきデメリットもあります。
全業務を自社で負担
D2C モデルでは、ビジネスが顧客と直接取引するため、すべてのオペレーションはビジネスの責任となります。つまり、製品の製造、在庫管理、配送、顧客サービス、マーケティングなどを自社で行う必要があります。したがって、D2B ビジネスは従来のビジネスよりも運営上の負担が大きくなる可能性があります。
ブランド認知の確立に時間がかかる
D2C ビジネスは、中間業者を介さずに顧客に直接商品を販売するため、E コマースモールや販促イベントの集客力に頼ることができません。マーケティングはすべて社内で行わなければならず、ブランドの認知を確立するには時間がかかります。
また、ビジネスの認知度を高めるのにも時間がかかります。新規の D2B ビジネスは、広告戦略やキャンペーン施策に多くのリソースを割く必要があるでしょう。その結果、顧客の獲得に時間がかかり、イニシャルコストが増加する可能性があります。
セキュリティ管理の負担とリスク
D2C ビジネスでは、顧客や支払いのデータを自社で管理する必要があるため、厳重なセキュリティ対策が重要であり、しっかりと実施する必要があります。これには、個人情報やクレジットカード情報への不正アクセスを防ぐ対策も含まれます。万が一データ漏洩が発生した場合、ブランドの評判が低下する大きなリスクがあり、法務責任を問われる可能性もあります。D2B ビジネスは強固なセキュリティ対策を確保し、セキュリティ問題が発生した場合は慎重に対応する必要があります。
D2C ビジネスでよくある商品
D2C ビジネスでよく販売されている商品には消費者との直接的な関係が築きやすい次のような商品が多く見られます。
- コスメ・ヘアケア
- サプリメント・プロテイン
- 食品
- アパレル・ファッション
- PC 関連
D2C のビジネスモデルは、実店舗で見つけることが難しい項目に適しています。また、顧客が他の選択肢と比較したい項目にも適しています。例えば、実店舗で特定のサプリメントを見つけるのは、通路に多くの類似商品が並んでいるため難しいかもしれません。しかし、D2CのEコマースサイトでは、顧客は商品を検索してすぐに見つけることができます。また、類似商品の価格や品質を簡単に比較することもできます。
D2C の企業事例
それでは、日本ではどのような企業が D2C のビジネスモデルで成功しているか具体的な例を見てみましょう。
Medulla
Medulla は顧客の髪質に合わせたカスタムシャンプーやトリートメントを開発。同ビジネスは、ソーシャルメディア・マーケティングを活用して製品の認知度を高め、若年層の顧客に広くアピールしています。サブスクリプションを通じて顧客の継続的な利用を促すことで、会社は顧客生涯価値 (LTV) を向上させています。
Valx (バルクス)
伝説のボディビルダーであり、パワーリフティング選手でもある山本義徳氏が経営するプロテインサプリメントブランド。国内外での数々の大会で主張が認められた山本氏のビジネス名は、ブランド認知度を高め、注目を集めることになりました。このビジネスは、気軽にジムに通う顧客から、本格的な格闘家や有名人まで、幅広い顧客を対象としています。
10YC (テンワイシー)
10YC は、シンプルで丈夫なデザインで 10 年着られる服を作っています。このビジネスでは注文生産システムを採用しているため、無駄な在庫を抱える必要がありません。その結果、この会社は高品質の服をリーズナブルな価格で提供することができるのです。
D2C 事業の始め方
D2B ビジネスを成功させるには、プランの開発が重要です。日本で D2C ビジネスを始めるには、以下のステップを踏むことをお勧めします:
- 事業計画の立案
- 商品の生産
- 人気の支払い方法に対応した EC サイトを作成する
- 製品の販売促進と販売を行う
事業計画の立案
市場調査はどんなビジネスにとっても重要です。市場規模や競合など、業種を十分に把握するようにしましょう。そうすることで、ビジネスの方向性が明確になります。ブランドの魅力を高めるために、ターゲット層をできるだけ具体的に定義しましょう。
あなたのビジネスを他と差別化するためには、ブランドのコンセプトを明確に伝え、アピールすることが大切です。なぜこの商品が必要なのか、その理由を説明する文章でビジネスの理念を強化しましょう。
商品の生産
ビジネスプランを策定したら、いよいよ製品の開発と製造に取りかかります。品質、コスト、生産能力を考慮し、協力できる製造パートナーを選びます。最終製品は、試作、テスト、改良を繰り返しながら開発します。この処理する過程で、製品のパッケージやデザインも決定します。
人気の支払い方法に対応した EC サイトを作成する
E コマースサイトは通常、D2C ビジネスの主要な販売チャネルです。そのため、ビジネスでは直感的でユーザーフレンドリーな E コマースサイトを持つことが重要です。顧客にとって使いやすく、かつブランドのコンセプトをアピールできるウェブサイトをデザインすることが重要です。
ウェブサイトをデザインする最初のステップは、E コマースサイトを構築するためにどのプラットフォームを使用するかを決めることです。次に、実際のサイトのデザインを決めます。日本では多くの人がスマートフォンでオンラインショッピングをするため、E コマースサイトはレスポンシブでモバイルフレンドリーなものにしましょう。
また、発送システムや支払い処理も準備する必要があります。クレジットカード、キャッシュレス支払い、携帯キャリア請求書、銀行振込、コンビニ支払いなど、一般的な支払い方法をできるだけ多く取り入れるようにしましょう。
製品のマーケティングを行う
D2C は仲介業者を介さず顧客と直接取引するため、販売開始後もマーケティング戦略が重要です。ソーシャルメディアと広告を組み合わせて、ブランドの認知度を高めましょう。
D2C 事業の EC サイトを構築できるプラットフォーム
それでは、D2C 事業の EC サイトを構築するためのプラットフォームにはどのようなものがあるのかを見ていきます。
Shopify (ショッピファイ)
このEコマースプラットフォームは世界中で広く利用されており、日本でも急速に人気が高まっています。設定が簡単で、デザインの自由度も高いのが特徴です。そのため、ブランドのフィロソフィーを簡単に表現することができます。また、Shopifyはアドバンスマーケティングや分析ツールを備えており、販売促進に役立ちます。
BASE (ベイス)
BASE の標準料金体系では、企業は初期費用や月額料金なしでEコマースサイトを開設することができます。BASE は、特に個人事業主や小規模な D2C ブランドに人気があり、その理由は簡単に始められるからです。パソコンでもスマートフォンでも、ノーコードでEコマースサイトが作れます。
Makeshop (メイクショップ)
Makeshop は、企業のビジネスモデルに合わせたEコマースサイトを構築するための様々な機能を提供する日本の会社です。初期費用や月額料金はかかりますが、売上に対する手数料などは一切かかりません。売上が増えれば増えるほど、利益も増えていきます。また、Makeshop ではEコマースサイトの運営だけでなく、マーケティングや販売管理にも対応しています。そのため、大規模なEコマースサイトの運営にも適しています。
Stores (ストアーズ)
シンプルで使いやすい保管は、オンラインショップを簡単に立ち上げることができます。このプラットフォームは無料プランも提供しており、初めてEコマースサイトを構築するビジネス所有者の障壁を低くしています。提供されているテンプレートは編集が簡単なので、ハイパーテキストマークアップ言語 (HTML) やカスケーディングスタイルシート (CSS) などのコーディングの特別な知識がなくても、直感的にデザインをカスタマイズすることができます。
Wix (ウィックス)
Wix は 900 以上の無料テンプレートを提供しており、すべてのテンプレートを簡単にカスタマイズすることができます。アドバンスデザイン機能と AI テクノロジーを導入しているため、ビジネスはウェブサイトを素早く作成することができます。また、検索エンジン最適化 (SEO) 機能もあり、サイトを洗練させ、検索順位を向上させることができます。
カラーミーショップ
この日本のプラットフォームは、E コマースストアを運営するためのすべての重要な機能を提供しています。350 以上の機能とカスタマイズオプションが含まれており、あなたのビジネスの成長をサポートします。カラーミーショップを利用するもう一つの利点は、サーバーやドメインを別々に登録することなく、オンラインストアと同じドメインに WordPress を設定できることです。
D2C 事業を成功させるポイント
D2C ビジネスの成功の鍵は、顧客と直接連結することです。単に製品を販売するだけでなく、ブランディングや顧客体験を向上させるためのイニシアチブをとることが重要です。その方法をご紹介します。
自社だけのブランドストーリー
あなたのビジネスを競合他社と差別化する最善の方法は、独自の価値観や考え方を顧客に伝え、共有することです。ビジネス哲学を説明したり、製品開発に至った具体的なプロセスを共有することで、あなたのブランドを大切に思うファンを生み出すことができます。
マーケティング戦略
SEO 対策や SNS 広告など、デジタルマーケティングを活用し、サイトへの検索流入を増やす努力をしましょう。
運営の効率化
ビジネスに合わせてカスタマイズされたプラットフォームを導入することで、在庫管理や注文管理を自動化することができます。また、ワークフローのレビュー、チーム体制の強化、マーケティング戦略のバランス調整、顧客体験の向上など、安定した経営とビジネス拡大に努めることができます。
Stripe の D2C ビジネス向けサービス (日本向け)
D2C ビジネスを成功させるためには、商品開発から販売戦略、デジタルマーケティング、運用体制に至るまで、あらゆる側面を効果的に管理することが重要です。その中でも、適切な支払い方法の選択と強固なセキュリティ対策は、顧客の信頼を築く上で特に重要です。
Stripe は、Payment Card Industry Data Security Standard (PCI DSS) の 要件に完全に準拠し、高度なセキュリティを維持するため、独立した PCI 認定評価機関による厳格な監査を毎年受けています。Stripe Payments、クレジットカード、Apple Pay や PayPal などのキャッシュレス決済、コンビニ決済、配送業者請求書、銀行振込など、D2C ビジネスに適したさまざまな支払い方法に対応しています。また、取引処理と収益管理を簡素化するツール群も提供しており、ビジネス状況を改善し、シームレスな日常業務をサポートします。
Stripe をご利用いただくと、支払い処理を簡素化し、運用コストを削減することができます。柔軟な支払いオプションを提供することで、顧客の利便性を高め、売上を最大化できます。
D2C ビジネスの支払いエクスペリエンスの向上をお考えなら、Stripe までお気軽にお問い合わせください。お客様のニーズに合わせた最適なお支払いをご提案いたします。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。