零細企業における付加価値税 (VAT) の徴収義務、個人事業主に対する VAT の課税基準、基本的な VAT 免除の概要など、本記事ではフランスの零細企業と VAT に関するよくある質問を取り上げます。また、通常の VAT 免除 (登録企業から VAT の納付・徴収義務を免除する税制) を受ける自営業者のメリット、デメリット、責任に関する情報もこちらでご覧いただけます。

本記事の内容

• VAT とは？
  
• 零細企業に対する VAT の適用
  
• VAT 免除の適用基準
  
• VAT 免除に伴う義務
  
• VAT 免除のメリットとデメリット
  
• VAT 免除の適用基準を超えた場合の対処法
  
• 自営業者として VAT を申告する方法
  

VAT とは？

VAT とは、いわゆる間接消費税のことです。顧客は、VAT の徴収義務を負う企業から商品またはサービスを購入するときに VAT を支払います。

VAT 登録企業はすべて仲介人として機能しており、あらゆる税金を含めた価格を顧客に請求することで、州の VAT を徴収します。売上から徴収した VAT は、確定申告を通じて州に納付することが義務付けられています。

フランスの VAT 税率の違い

適用される VAT 税率は、売上の種類によって異なります。フランスでは、以下の 4 つの VAT 税率が設けられています。

• 標準税率の 20% (ほとんどの商品・サービスに適用)
  
• 中間税率の 10% (主に加工済み食品や中古住宅に適用)
  
• 軽減税率の 5.5% (未調理食品、ガス・電気、再生可能エネルギーに適用)
  
• 超軽減 (特別) 税率の 2.1% (医薬品および血液製剤 (社会保障による補助あり)、精肉および惣菜、新聞・雑誌類に適用)
  

フランスの VAT 税率の種類については、こちらの記事で詳細をご覧いただけます。

零細企業に対する VAT の適用

一般的に、零細企業 (個人事業主) は、通常の VAT 免除制度の対象であれば、VAT を請求したり納付したりする必要はありません。ただし、基本的な免税限度額を超える場合や、制度から離脱することを選択した場合は、VAT の納付義務が生じる可能性があります。

VAT 免除の適用基準

零細企業は、前年度と当年度の税抜き売上 (HT) が税務当局が設定した上限額内に収まれば、通常の VAT 免除の対象として認められます。税務当局は 3 年ごとに基準額を更新しています。2023 年から 2025 年までに適用される基準額を以下にまとめました。基準額は、企業が活動を行うセクターごとに異なります。

リベラルな専門職ビジネス、または工芸品や商業サービスを提供する企業 (弁護士を除く) は、以下の基準額を超えてはなりません。

• 前年度の売上高が 36,800 ユーロ
  
• 今年度の売上高が 39,100 ユーロ
  

商業または宿泊業を営む企業は、以下を超えてはなりません。

• 前年度の売上高が 91,900 ユーロ
  
• 今年度の売上高が 101,000 ユーロ
  

弁護士、作家、実演家の収益は、以下を超えてはなりません。

• 前年度の収益が 47,600 ユーロ
  
• 今年度の収益が 58,600 ユーロ
  

規制されていない活動の場合、基準額は次のように引き下げられます。

• 前年度の収益が 19,600 ユーロ
  
• 今年度の収益が 23,700 ユーロ
  

通常の VAT 免税制度に伴う義務

フランス一般税法 (CGI、または「code général des impôts」) の第 293 条 B は、通常の VAT 免除制度の対象となるすべての自営業者に対し、請求書に「CGI 第 293 条 B により VAT 非適用」と記載することを義務付けています。このステートメントは、請求書に VAT が含まれていないことを示す文言であり、後から VAT が控除または請求されないことを顧客に表明する意味を持ちます。零細企業がこのステートメントを記載しない場合、税金の再算定の対象となる可能性があります。詳しくは、自営業者および零細企業向けの VAT 免除に関する記事をご覧ください。

VAT 免除のメリットとデメリット

自営業者の場合、VAT 免除により会計業務の負担が軽減されます。零細企業の場合は、VAT を徴収したり、税務当局に納付したりする必要がなくなり、申告も免除されます。請求と支払いに VAT が伴わないため、良好な利益率を維持しながら、競合他社よりも低価格で商品・サービスを提供できます。

ただし、通常の VAT 免除制度には重大な欠点があります。免除を適用する企業は、事業経費から VAT を控除できません。自営業者が多額の購入や投資を行う必要がある場合、特に起業時には高額の VAT 控除が受けられません。

VAT 免除の適用基準を超えた場合の対処法

零細企業は、通常の免除基準額を超えた月の初日から VAT の納付を開始しなければなりません。法人税税事務所 (SIE、または「service des impôts des entreprises」) から域内 VAT 番号を取得した後、売上に VAT を課し、会社の VAT 額を税務当局に報告する必要があります。

企業が VAT を申告する頻度は、選択した税評価制度 (簡易または通常の税評価制度) によって異なります。これらの制度により、企業は事業取得時に VAT を控除できるようになるほか、VAT クレジットの恩恵を受けることができます。

基準額を超えた後に零細企業が取引に対して VAT を課さない場合は、その月の売上に対する修正請求書を発行する必要があります。

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自営業者として VAT を申告する方法

簡易税評価制度の対象となる自営業者は、オンラインの cerfa フォーム n°3517-S-SD を使用して VAT の確定申告を完了する必要があります。通常の税評価制度を選択する自営業者は、cerfa フォーム n°3310-CA3-SD または cerfa CA3 を使用して月次および四半期の申告を行います。詳しくは、VAT の納税申告の記事をご覧ください。