日本のインボイス制度と電子帳簿保存法の関係性とは?

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  1. はじめに
  2. インボイス制度 (適格請求書等保存方式) とは
    1. インボイスへの記載が必要な項目
    2. インボイスは適格請求書発行事業者だけに発行が認められる
  3. 電子帳簿保存法とは
    1. 電子データによる取引関連書類は電子データのままの保存が義務化
    2. 電子帳簿保存法の要件
  4. インボイス制度と電子帳簿保存法の関係性
  5. 電子帳簿保存法に対応したインボイスの保存方法
    1. 紙で取引が行われたインボイスの場合
    2. 電子データで取引が行われたインボイスの場合
  6. インボイス制度と電子帳簿保存法の双方に対応するメリット
  7. インボイスにかかる業務の効率化を目指すために
  8. Stripe Invoicing でできること

2023 年 10 月 1 日、日本でインボイス制度が開始され、その後 2024 年 1 月 1 日、電子帳簿保存法による電子データの保存が完全に義務化されました。

インボイス制度におけるインボイス (正式名称: 適格請求書) は、買い手側事業者仕入税額控除を受けるために必要な書類ですが、このインボイスの保存については電子帳簿保存法に基づいて適切に行わなければなりません。

本記事では、日本のインボイス制度と電子帳簿保存法の関係性について解説し、電子帳簿保存法に対応したインボイスの保存方法や、インボイス制度・電子帳簿保存法の双方に対応するメリットを紹介します。なお、記事内では「適格請求書」と同じ用語として「インボイス」に統一して解説しています。

目次

  • インボイス制度 (適格請求書等保存方式) とは
  • 電子帳簿保存法とは
  • インボイス制度と電子帳簿保存法の関係性
  • 電子帳簿保存法に対応したインボイスの保存方法
  • インボイス制度と電子帳簿保存法の双方に対応するメリット
  • インボイスにかかる業務の効率化を目指すために
  • Stripe Invoicing でできること

インボイス制度 (適格請求書等保存方式) とは

インボイス制度とは、複数の消費税率に対応した仕入税額控除の方式のことで、消費税の課税事業者が納税額を計算する際に対応が求められる制度です。

インボイスへの記載が必要な項目

インボイスの必須記載項目は、インボイス制度開始前まで導入されていた区分記載請求書に比べ、より細かく要件が設定されています。

インボイス制度には、インボイスと同等の効力を持つ「簡易インボイス」もあり、業種によってはこの簡易インボイスで対応することも可能です。それぞれの記載事項については、以下をご覧ください。

適格請求書

適格簡易請求書 (簡易インボイス)

適格請求書発行事業者の氏名または名称_

必要

必要

取引年月日

必要

必要

取引内容 (軽減税率の対象品目である場合はその旨を記載)

必要

必要

交付先 (買い手側) の氏名または名称

必要

不要

適格請求書発行者としての登録番号

必要

必要

税率ごとに区分した合計額や適用税率などの表示

税抜価額または税込価額を税率 (8%・10%) ごとに区分した合計額と適用税率

税抜価額または税込価額を税率ごとに区分した合計額

消費税額または適用税率などの表示

税率ごとに区分してそれぞれ合計した消費税額等

税率ごとに区分してそれぞれ合計した消費税額等、または適用税率

インボイス制度の「インボイス」は、同制度のもとで仕入税額控除を適用するために用いられる証憑書類の総称です。したがって、インボイスは、領収書、レシート、納品書、仕入明細書などで対応することも認められています。

なお、インボイスの書き方には法的な決まりはなく、インボイス制度に対応していれば書式は自由です。しかし、同制度で定める仕入税額控除の適用条件を満たすためには、インボイスを受け取る買い手側に配慮したインボイスのフォーマットを用いることが大切です。

インボイスは適格請求書発行事業者だけに発行が認められる

インボイスは、インボイス制度への登録を事前に済ませている適格請求書発行事業者のみが発行できる書類です。そのため、インボイス制度に未登録の事業者がインボイスを発行することは認められていません。適格請求書発行事業者として登録した事業者は、国税庁のサイトに登録され、インボイス制度の登録番号が付与されます。

なお、インボイス制度への登録については、個人事業主を含む免税事業者も可能となっています。ただし、登録後は自動的に免税事業者から課税事業者になり、以後消費税の納税義務が発生します。そのため、個人事業主がインボイス制度に対応するかどうかについては、慎重に検討する必要があり、登録した場合は納税によって収益が圧迫されないよう注意が必要です。

電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法とは、国税に関する帳簿書類や取引関係書類 (請求書や領収書など) に対し、電子データによる保存方法を定めた法律を指します。電子帳簿保存法は、略して「電帳法」と呼ばれることもあります。

電子データによる取引関連書類は電子データのままの保存が義務化

冒頭でも解説したように、2024 年 1 月 より電子帳簿保存法に基づいて「電子取引」、すなわちメールやクラウド上で電子データとしてやりとりが行われた請求書や領収書については、電子データとしてそのまま保存することが義務化されました。

電子帳簿保存法の要件

電子データを保存するにあたっては、電子帳簿保存法の要件を満たした状態で保存することが大切です。この要件は事業者の規模などによって異なるため、該当する保存要件については、国税庁の特設サイトで事前にしっかりと把握しておくようにしましょう。また、Stripe による電子帳簿保存法に関する記事でも、要件について詳しくご紹介していますので、併せてご参照ください。

インボイス制度と電子帳簿保存法の関係性

インボイス制度と電子帳簿保存法は、互いに異なる制度および法律です。しかし、インボイス制度のもとで取り扱われるインボイスは、電子帳簿保存法の対象となる請求書や領収書などの取引関係書類に該当します。そのため、インボイスについては、電子帳簿保存法への適切な対応が求められているのです。たとえば、先ほど「電子帳簿保存法とは」にて解説したように、電子データとして発行、受領したインボイスの保存については、紙ではなく、電子データのままで保存することが義務付けられています。

このように、電子帳簿保存法は、インボイス制度にも大きな関わりがあります。そのため、電子帳簿保存法に準拠したインボイスのデータ保存については、十分に理解を深めておくことが大切です。もし、電子帳簿保存法に従わず、インボイスの保存が適切でなかった場合、買い手側は仕入税額控除を受けることができなくなります。したがって、売り手と買い手、双方の事業者はインボイス制度への対応だけでなく、電子帳簿保存法に基づく保存を確実に行うようにしましょう。

電子帳簿保存法に対応したインボイスの保存方法

インボイス制度では、インボイスの保存方法に関するルールは特に設けられていません。そのため、インボイス制度だけで考えると、インボイスの保存方法は、紙あるいは電子データのどちらでも構わないと思われる方もいるかもしれません。しかし、先ほど解説したように、インボイスは電子帳簿保存法の対象書類に該当するため、インボイス制度と電子帳簿保存法の双方に準拠する必要があります。

紙で取引が行われたインボイスの場合

もともと紙でやりとりされたインボイスについては、紙のまま保存するか、電子データ化して保存するか、事業者が自由に選べるようになっています。つまり、紙の場合は電子データ化は義務ではなく任意であることから、紙のままで保存しても問題ありません。

一方、事業者が紙のインボイスを電子データで保存したい場合は、電子帳簿保存法上の「スキャナ保存」での対応が可能です。スキャナ保存は、紙で受け取ったインボイスなどの取引関係書類を、国税庁が定める一定の要件のもとでスキャンし、電子データによる保存を認めるものです。

電子データで取引が行われたインボイスの場合

繰り返しになりますが、電子取引が行われたインボイスは、電子データのまま保存することが義務付けられています。これは、電子データの送信者、受信者のどちら側に対しても、電子データのままでの保存が求められることを意味します。

電子取引には主に以下のようなものが挙げられます。これらはすべて電子帳簿保存法の対象となるため、自社が行う取引が以下に該当するかどうか、確認しておきましょう。

  • 書類の電子メールへの添付
  • ウェブサイトからのファイルダウンロード
  • クラウド上で取引された書類
  • カード類 (クレジットカードの利用明細データや IC カードの支払いデータなど)
  • DVD などの記録媒体に保存されたデータ
  • EDI 取引 (電子データ交換。企業間、組織間でビジネスに関する書類を電子的・自動的にやり取りする仕組み)

インボイス制度と電子帳簿保存法の双方に対応するメリット

インボイス制度と電子帳簿保存法への対応を同時に行うということは、わかりやすくいうと、インボイスにかかる業務を電子データに切り替えることになります。

先ほど「電子帳簿保存法に対応したインボイスの保存方法」で解説したように、インボイスは、もともと紙ベースでやり取りされていた書類でも、電子データによる保管が任意で可能となっています。これは、これまで紙で対応していた多くの事業者にとって、ペーパーレスに切り替えてバックオフィスを改善するのに、またとない機会といえるでしょう。

インボイス制度と電子帳簿保存法はそれぞれ違うものですが、どちらもインボイスに関わりのある法制度です。そのため、各事業者が導入している会計システムは、双方に対応可能なものがほとんどです。

電子データを取り扱う際は、電子帳簿保存法の要件を満たす必要がありますが、インボイスにかかる業務をすべて電子化・一元化すれば、インボイスの発行と保存に加え、事業運用、データ管理、会計作業がより短時間で効率的に行えるようになるでしょう。

たとえば、インボイスのやり取りを電子データに切り替えると、以下のような問題の解決につながります。

  • インボイス作成業務の自動化によって、書き損じや記入漏れなどのヒューマンエラーを防止できる
  • 個別でなく 2 つの法制度に同時に一括対応すれば、インボイスにかかる手間や時間の負担を軽減できる
  • 電子データでの保存に統一することで紙・電子データによる複数の保存方法の混在を防止できる

このように、インボイス制度と電子帳簿保存法の双方に対応可能なシステムを導入すれば、事業全体の生産性や効率性を向上させることができるのです。

インボイスにかかる業務の効率化を目指すために

今回はインボイス制度と電子帳簿保存法との関係性について解説しました。

現行のインボイス制度と電子帳簿保存法の双方に準拠するには、インボイスを発行する売り手側と、それを受け取る買い手側、両者による適切な対応が求められます。特に、インボイスを作成し、買い手側に送付しなければならない売り手側は、書類の発行から保存までがスムーズに行えるよう、インボイス制度と電子帳簿保存法に同時に対応可能なシステムを導入し、態勢を整えておくことがとても大切です。

なお、インボイスの作成に際しては、消費税の自動計算機能や会計ソフトのように、作業を最適化できるオンラインツールが大変便利なため、導入の検討をおすすめします。インボイス制度と電子帳簿保存法にはインボイスに関わるさまざまな要件が定められており、事業者はこれら 2 つの法制度への事前準備を行う必要がありますが、一旦システムを導入し、準備が整えば、以後スムーズに会計業務が行えるようになるでしょう。

Stripe Invoicing でできること

Stripe が提供する Stripe Invoicing は、インボイス制度と電子帳簿保存法の両制度に対応し、自動生成機能によるインボイスの発行と保存を適切に行うことができます。また、売掛金の管理、支払いの回収、取引の照合の自動化など、請求業務に関わるあらゆる機能が備わっているため、よりスムーズで効率的なバックオフィスの改善を図ることができます。

Stripe Invoicing は、請求書の作成から支払い回収まで、売掛金プロセスをシンプルにします。単発請求でも継続請求でも、Stripe はビジネスが支払いを受けるまでの時間を短縮し、業務の効率化をサポートします。

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この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。

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