通常、法人の設立には申請手数料などのコストがかかります。しかし、利用可能なリソースを用いることで、起業家は設立コストを最小限に抑えることや相殺することが可能になります。アメリカの中小企業の事業主は開業 1 年間で平均 4 万ドルを費やしているため、可能な限りコストを削減することが重要です。
この記事では、費用を最小限に抑えながら法人設立プロセスを完了するための実践的な方法をご説明します。
この記事の内容
- 法人設立の要件
- 法人形態の種類と選択方法
- 法人設立にかかるコスト
- コストを抑えて法人を設立する方法
法人設立の要件
法人設立の具体的な要件と手数料は場所や事業体の種類によって異なります。一般に、法人を設立するには以下の手順を経る必要があります。
ビジネス名の決定: 命名に関する規制に準拠しており、使用可能な名称を付けます。
設立地の選定: 法人を設立したいアメリカの地域を決定します。たとえば、本社が所在する州やビジネスに有利な商事法が制定されている州が候補となります。
法人形態の選択:C 株式会社、S 株式会社、ベネフィットコーポレーション (B コープ)、有限責任会社 (LLC) から希望する法人形態を決定します。法人形態によって法律上と税務上の違いがあります。
登録代理人の指名: 登録代理人とは、設立企業の設立地に住所を有し、設立企業に代わって法的文書や公文書を受け取る個人または事業体を指します。
会社定款の提出: 必要書類を作成し、適切な省庁に提出します。必要書類には通常、ビジネス名、目的、登録代理人、授権株式数 (該当する場合) に関する情報を記載します。
内規の作成: 内規とは、会議の開催、役員の選任、意思決定など、企業経営について定めた社内規則を指します。LLC の場合、内規の作成は必須ではありません。
雇用主識別番号の取得: EIN は連邦の納税者番号で、ビジネス用銀行口座の開設、納税申告、従業員の雇用の際に必要です。
必要な免許と許可の取得: 業界や場所によっては、営業を行うのに特定の免許や許可が必要になる場合があります。
法人形態の種類と選択方法
選択する法人形態によって、日常業務、納税、個人の責任など、経営のさまざまな面が異なります。主な法人形態の種類と、ビジネスニーズに応じて適切な法人形態を選ぶ方法についてご説明します。
個人事業主
最もシンプルな事業体の種類です。個人事業主の場合、1 人の人物が事業体のすべての利益と負債について責任を負うことになります。個人事業主は簡単に設立できます。事業主が完全な支配権を有する一方で、事業主がビジネスの財務上の義務をすべて負うため、一定のリスクを伴います。個人事業主は、小規模でリスクの低いビジネスの場合や、正式に法人を立ち上げる前にビジネス構想を検証する場合に最適な法人形態です。
パートナーシップ
パートナーシップには、無限責任組合 (GP)、有限責任組合 (LP)、有限責任事業組合 (LLP) の 3 種類があります。パートナーシップは簡単に設立できます。複数の事業主が出資するため、通常は個人事業主よりも利用可能な資本が多くなります。ビジネスについてパートナーが共同で責任を負い、ビジネスの負債について個人が責任を負う可能性があります。パートナーシップは、複数の個人がビジネスに関与する場合や、法律事務所や会計事務所などの職業集団の場合に最適な法人形態です。
無限責任組合 (GP): 無限責任パートナーだけで構成される法人形態で、無限責任組合員は経営と義務について等しく責任を負います。
有限責任組合 (LP): 無限責任パートナーと有限責任パートナーの両方が存在します。有限責任パートナーは、日常的なビジネス上の意思決定と義務に対する支配権が大幅に制限されます。
有限責任事業組合 (LLP): 各パートナーは個人の責任が制限されます。弁護士や会計士などの専門家が採用することが多い法人形態です。
株式会社
株式会社には主に C 株式会社と S 株式会社の 2 種類があります。株式会社には有限責任保護が伴い、株主の個人資産がビジネス上の義務によって脅かされることはありません。他の法人形態よりも設立コストがかかるうえ、厳格な規制と法人税率が適用されます。株式会社は、「株式公開」を目指す大企業を設立する場合や、責任の制限を求めながら個人レベルでの課税を希望する中小企業 (S 株式会社) を設立する場合に最適な法人形態です。
C 株式会社: 株主が所有者となる独立した法人。C 株式会社の場合、ビジネスによる行為と負債に関する法的責任は株主ではなく法人に帰属します。
S 株式会社: C 株式会社に似ていますが、連邦税制上、利益、損失、減額、控除が株主に転嫁されます。
有限責任会社 (LLC)
所有者、パートナー、株主が個人の責任を制限しつつ、パートナーシップと同じ税制上のメリットと柔軟性のメリットを得ることができる、混成型の法人形態です。有限責任会社は、C 株式会社のような二重課税のない、有限責任が適用されますが、個人事業主やパートナーシップよりも設立が難しくなります。有限責任会社は、柔軟性を求めながら株式会社よりも簡易的な、リスクが中程度のビジネスに最適な法人形態です。
適切な法人形態の選択
ニーズに最適な法人形態を判断する際は、以下の要素を考慮します。
責任: ビジネスに大きな財務リスクを伴う場合は、LLC や株式会社などの責任制限保護がある法人形態を検討します。
税制上の影響: 個人事業主、パートナーシップ、S 株式会社はパススルー課税が適用されます。C 株式会社は二重課税の対象となります。
将来の目標: 多額の外部資本の調達を予定している場合や株式公開を目指している場合は、株式会社が最適かもしれません。
コストと管理負担: 株式会社や LLC などの複雑な法人形態ほど、必要な書類や固定費が多くなります。コストが心配な場合は、個人事業主やパートナーシップなどのシンプルな事業体を選ぶことが望ましいかもしれません。
法人設立にかかるコスト
法人の設立には、少なくとも申請手数料と登録代理人への報酬が必要です。正確な手数料は以下の要素によって異なります。
設立地: 申請手数料と要件は州によって異なります。
事業体の種類: C 株式会社の設立コストは、S 株式会社や LLC.と異なる可能性があります。事業体の種類によって申請手数料や固定費が異なります。
他のサービス: 法人設立プロセスのサポートを受けるために弁護士を雇ったり、オンラインの法務サービスを利用したりする場合、そのための費用が総コストに加算されます。
任意のコスト: 法人の設立にあたって他の特定サービスを利用する場合、別にコストがかかります。設立に伴う任意のコストの例としては、ビジネス名の予約などが挙げられます。
コストを抑えて法人を設立する方法
無料で法人を設立することは不可能ですが、以下の手順によってコストを削減できます。
DIY: 法人設立プロセスを自分で行うことで弁護士費用が不要になります。多くの地方政府が法人設立プロセスに役立つオンラインのリソースやフォームを提供しています。たとえば、州務長官のウェブサイトでは手順書や必要な書類を入手できます。
自分自身が登録代理人を務める: 有料の登録代理人サービスを利用せず、自分自身 (または、他の社員) を登録代理人に指定できます。その人物が法人を代表して法務文書や公文書を受領する責任を負います。また、通常の営業時間中に対応可能なうえ、法人の設立地に住所を有していなければなりません。
無料リソースや無料トライアルの利用: 一部のオンラインプラットフォームでは、法人設立に役立つ無料または安価のリソースを提供しています。また、会社定款などの必要書類のテンプレートを配布しているプラットフォームもあります。オンライン法務サービスの中には、法人設立サービスの無料トライアルが利用できる場合があります。ただし、無料トライアルを検討する場合は自動更新やキャンセルポリシーをよく確認してください。
無料の LLC 設立サービスの利用: 企業によっては無料の LLC 設立サービスを提供しています。ただし、多くの場合、条件やアップセルが適用されます。利用する場合は、細則をしっかりと確認してください。
DIY で行う場合や自分自身が登録代理人を務める場合でも、申請手数料を支払う必要があります (金額は場合によって異なります)。そのほか、ビジネスを継続するには固定費 (例: 事業免許税、年次報告) がかかることに注意してください。法人設立コストの削減を図るかどうかを検討する際は、削減できるコストと、プロセスの DIY に要する時間と労力、さらにはミスが発生する潜在的リスクを比較してください。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。