アメリカで事業を営んでいる方にとっては、雇用者識別番号 (EIN) の重要性はよくご存じのことかと思います。ライセンスや許可証などの事業書類は定期的に更新する必要があるため、経験の浅いビジネスオーナーはよく「EIN に有効期限はあるのか」という問題に直面します。会社経営に伴う事務手続きやコンプライアンスに追われていると、こうした管理上の細かいことがわからなくなりがちです。
手短に言うと、EIN に有効期限はありません。一度割り当てられると、永久に会社に存続します。ただし、特定のシナリオ、特に会社に大きな変更を加えるような場合においては、EIN の更新または新しい番号の申請が必要になることがあります。これらについて抑えておくべきことを本記事でご紹介します。
本記事の内容
- EIN とは?EIN が企業に必要な理由
- EIN の有効期限
- EIN を有効に維持する方法
- 会社の EIN が不明な場合
- 新しい EIN が必要になる場面
- EIN に関連付けられている会社情報を更新する方法
EIN とは?EIN が企業に必要な理由
EIN は、税務目的で企業を識別するためにアメリカ内国歳入庁 (IRS) が発行する一意の 9 桁の番号で、会社の社会保障番号のようなものです。事業用銀行口座の開設、納税申告、従業員の雇用といった事業活動に用いられます。
株式会社または組合の設立を計画している場合は EIN が必要です。個人事業主の場合であっても、EIN は個人と会社の財務を分けて管理するのに便利です。また、Keogh 退職金制度を設定する場合や、非営利団体に関与している場合にも必要となります。
EIN の有効期限
まず、EIN に有効期限はありません。IRS が EIN を発行すると、その EIN は会社に永久に存続し、将来にわたって会社に関連付けられます。会社の形態や所有権が変更された場合でも、IRS が特に新しい EIN の取得を要請 (個人事業主から株式会社への転換など) しない限り、EIN は同じ番号で維持されます。
EIN を有効に維持する方法
EIN を有効な状態で保つために特別なことをする必要はありません。しかし、事業税の支払いや申告要件に従うなど、IRS の規制を遵守する必要があります。
この項目では、会社が果たすべき義務をいくつか例示します。
確定申告書の提出:個人事業主、株式会社、組合、有限責任会社 (LLC) のいずれであっても、連邦税申告書は毎年提出しなければなりません。これを怠った場合、IRS が EIN に活動停止やコンプライアンス違反のフラグを立てる可能性があります。
給与税の申告:会社に従業員がいる場合は、給与税を申告し、適切なフォーム (Form 940 や Form 941 など) を期限内に提出する必要があります。これを怠ると、罰則が科せられたり、EIN ステータスに問題が生じたりします。
州の最新要件の遵守:一部の州では、会社形態に応じて年次報告書またはフランチャイズ税の申告が必要です。期限内に申告を済ませることで、会社を良好な状態に保つことができます。
会社情報の更新:会社の名称、住所、所有構造に変更があった場合は、IRS に通知して記録を最新の状態に更新するよう依頼してください。これにより、混乱や申告の遅延を防ぐことができます。
会社の EIN が不明な場合
EIN が不明になった場合でも、簡単に再取得できるのでご安心ください。IRS は会社の EIN 記録を管理しており、いくつかの方法で再取得できます。
手持ちの書類を確認する:EIN を記載したことのある納税申告書、事業用銀行口座の書類、その他の記録に目を通します。多くの場合、納税申告書や IRS の公式文書に EIN が記載されています。
IRS に連絡する:記録に EIN が見当たらない場合は、IRS 事業税・特別税専用ダイヤル (1-800-829-4933) に電話して問い合わせることもできます。電話で会社に関する識別情報 (名前、住所、事業種目など) を答え、身分確認を終えた後、IRS から EIN が提供されます。
IRS のコンファメーションレターを確認する:最初に EIN を申請する際、IRS からコンファメーションレターが郵送または電子メールで送られてきます。手許にレターがまだある場合は、そこから番号を確認できます。
EIN が不明な場合でもステータスに影響はありませんが、納税申告や番号を必要とするその他の義務を果たすには、EIN の再取得が不可欠です。
新しい EIN が必要になる場面
会社の名称や所在地を変更しても新しい EIN の取得は必要ありませんが、会社の形態や所有権に変更があった場合は新しい番号が必要になることがあります。変更を行う際は、正しいプロセスに従って処理できるよう IRS または会計士に確認することをお勧めします。
IRS が新しい EIN の取得を要請する状況として、主に以下のようなケースが挙げられます。
会社形態の変化:個人事業主から株式会社、または組合から LLC への転換など、会社が別の会社形態に切り替わる場合は新しい EIN が必要になります。これは、形態ごとに個別の法人として扱われるためです。
所有権の変更:会社の所有権が大幅に変更された場合、または所有権全部が新しい権利者に譲渡された場合は、通常、新しい EIN が必要になります。
株式会社の設立:新しく株式会社を設立する場合は、個人事業主や組合からの切り替えであっても、新しい EIN が必要になります。
破産の申請:会社が破産を申請し、組織再編を行った場合には、新しい EIN が必要になることがあります。
事業の承継:既存の事業を継承し、個人事業主として運営を行う場合は、新しい EIN が必要になります。
EIN に関連付けられている会社情報を更新する方法
会社の EIN に関連付けられている情報を更新するには、IRS に通知する必要があります。電話番号やメールアドレスの更新といった軽微な変更は、次回の納税申告書で報告するか、IRS 事業税・特別税専用ダイヤル (1-800-829-4933) を通じて報告したので構いません。会社名、住所、所有構造の変更など、大きな変更があった場合は直ちに IRS に通知してください。
各シナリオに対処する方法を以下にご紹介します。
会社名の変更
個人事業主または単独経営の LLC の場合は、会社名を変更する旨を記載した書簡を IRS に送ることで変更できます。書簡には、会社の EIN、旧会社名 (ある場合)、新しい会社名を記載します。事業主または権限を持つ者の署名を確認したら、納税申告先の IRS 事務所に送付してください。
株式会社を運営している場合は確定申告書 (Form 1120)、組合を運営している場合は Form 1065 を通じて会社名の変更を報告できます。年度の半ばに変更が生じた場合は、執行役員または組合員が署名した書簡を IRS に送付してください。
住所、所有権、責任者の変更
会社の移転、所有権の変更、新しい責任者 (会社の財務・税務担当者) の決定があった場合は、60 日以内に Form 8822-B を提出して IRS に通知する必要があります。これらの変更は、フォームの説明に記載されている IRS 事務所に郵送することで簡単に処理できます。次回の納税申告で住所を更新することもできますが、IRS は会社宛ての郵便物が正しい住所に届けられるよう、60 日以内に通知することを推奨しています。
会社形態の変更
会社形態を変更する場合 (個人事業主から株式会社への切り替えなど) は、新しい EIN が必要になる可能性があります。新しい番号を取得する必要がない場合は、新形態の会社で納税申告を行う際に変更を報告してください。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。