売上原価 (COGS) は、企業が特定の期間に販売する商品を製造または購入するために負担する総費用です。これには、原材料費、人件費、直接製造間接費など、自社が販売する商品の製造または購入に直接関連するすべての経費が含まれます。

COGS は売上総利益を計算するうえで重要であり、COGS が低いほど、より多くの利益を得ることができます。以下では、COGS の計算について企業が知っておくべきこと、この数字に含まれるもの、および企業が重要な意思決定を下すために COGS をどのように使用できるかについて説明します。

この記事の内容

• COGS が会計で重要である理由
  
• COGS に含まれる経費
  
• COGS から除外される項目
  
• COGS の計算方法
  
• 棚卸資産評価が COGS に与える影響
  
• 企業の COGS プロセスの管理に役立つ Stripe の機能
  
• COGS が税金に与える影響
  

COGS が会計で重要である理由

COGS は、企業の収益性と財務の健全性に影響を与える会計の重要な要素です。その仕組みは次のとおりです。

• 売上総利益の計算: 売上総利益 は、収益から COGS を差し引いて求められます。COGS を正確に読み取らなければ、自社の費用をカバーしたり、在庫を購入したりした後の収益を確実に把握することはできません。

• 税務管理: COGS は控除対象経費であり、課税所得を減らします。COGS を正確に計算することで、深刻な結果につながる可能性がある、税金の過払いや過少申告を防ぐことができます。

• 価格戦略の策定: COGS を知ることで、より効果的な価格設定が可能になります。COGS が販売価格に対して高い場合、利益率が縮小したり、損失を出したりする可能性があります。これらの数値を把握することで、自社の費用をカバーしながら、価格競争力を維持することができます。

• 在庫の管理: COGS と在庫は深い関係にあります。COGS は、企業のリソースが在庫過剰になっているのか、在庫不足になっているのか、無駄になっているのかを反映します。それを追跡することで、企業は非効率性を特定して排除できます。

• 計画の策定: 企業は COGS を使用して経費を予測し、予算編成 を決定し、事業拡大が実行可能かどうかを評価します。

COGS に含まれる経費

企業が販売する商品の製造または購入に直接関連する費用のみが COGS に含まれます。一般的に含まれるものは次のとおりです。

• 原材料費: これは、商品の製造に使用される材料の費用です。

• 直接人件費: これは、製造に直接関与する従業員 (商品を組み立てる工場労働者など) の賃金です。

• 直接製造間接費: これは、製造で発生する直接費です。例としては、電気や水道などの工場の公共料金や在庫の保管費などがあります。

• 運送費および運賃: これは、再販用の原材料や商品を自社の施設に輸送するための費用です。

• 完成品費 (小売業者 / 卸売業者向け): これは、再販用の商品の購入価格です。

COGS から除外される項目

特定の費用は、販売する商品の製造や取得に直接関係しないため、COGS から除外されます。手短に言うと、除外される経費は通常、損益計算書の営業費、または販売 / 一般管理 (SG&A) 費に分類されます。通常、COGS にカウントされない項目の種類は次のとおりです。

管理費

• 事務スタッフ (人事、経理、管理職など) の給与

• 製造に使用されない事務用品

マーケティング費

• 広告キャンペーン

• 営業チームの給与と歩合

• 販促資料および展示会

一般的な業務間接費

• 企業オフィスの家賃またはリース料

• 製造に関係のない公共料金 (オフィスの電気代など)

• コンピューター、プリンター、家具などのオフィス機器の減価償却費

流通費

• 顧客への完成品の出荷または納品
  

研究開発 (R&D)

• 新商品の開発または既存の商品の改善に関連する費用

• プロトタイピングとユーザーテストの費用

その他の間接費

• 製造や生産に特に関連しない保険契約

• ビジネスローン の利息

• 弁護士およびコンサルティング料

COGS の計算方法

COGS の計算式は次のとおりです。

COGS = 期首在庫 + 期間中の購入 - 期末在庫

COGS を計算するには、まず期首在庫を割り出します。これは、会計期間の開始時に手元にあった在庫の評価額であり、前期の貸借対照表で確認できます。

次に、期間中の購入を合計します。原材料費、運賃、運送費など、販売用の在庫の取得に要したすべての費用と、商品の販売準備に直接関連する追加費用を含めます。

期間の終了時に、実地棚卸ソフトウェアまたは在庫管理ソフトウェアで手元に残っている在庫の評価額を計算します。期首在庫と購入からこの数値を差し引いて COGS を求めます。

計算例

• 期首在庫: $20,000

• 期間中の購入: $50,000

• 期末在庫: $15,000

COGS = $20,000 + $50,000 - $15,000 = $55,000

棚卸資産評価が COGS に与える影響

COGS を計算する際には、販売可能な 商品 の合計から期末在庫を差し引きます。ただし、期末在庫評価額の割り出し方は、使用する方法によって異なります。ここでは、在庫評価に広く使用されている 3 つの方法を紹介します。

LIFO

後入れ先出し (LIFO) では、最新の在庫を最初に販売することを前提としています。価格が上昇すると、直近の費用の高い商品が最初に販売されるため、LIFO によって COGS が上昇します。これにより、純利益は減少しますが、課税所得は減少する可能性があります。

LIFO は、費用が継続的に上昇する市場で税務戦略として使用されます。国際会計基準 (IFRS) では認められていないため、アメリカと日本でのみ使用 されています。S&P 500 に含まれる アメリカ企業の約 15% が LIFO 法を使用しています。

FIFO

先入れ先出し (FIFO) では、最も古い在庫が最初に販売されることを前提としています。費用が上昇すると、FIFO 評価では、安価で古い在庫が最初に「使い果たされる」ため、COGS が下がります。純利益も増加しますが、貸借対照表にはより価値の高い在庫が残ります。

FIFO は、貸借対照表に棚卸評価額をより適切に反映する方法ですが、税制面でそれほど有利な方法ではありません。

WAC

加重平均コスト (WAC) は、時間の経過に伴う在庫費用を平均化したものです。この方法では、価格変動を考慮して COGS と利益を緩やかにします。個々の在庫商品の費用を簡単に追跡できないビジネスに最適です。

在庫の評価方法は、COGS の数値、利益の計算、および外部から見た自社の健全性に直接影響します。たとえば、FIFO ではインフレ時に利益を多く見せることができますが、在庫入れ替えのための真の費用が反映されない可能性があります。棚卸資産評価方法の選択は、税額の抑制、報告された利益の最大化、費用の管理など、ビジネスの優先事項を反映します。評価方法を選択する際には、一貫性を保つ必要があります。明確な理由を示さずに方法を変更すると、監査人や 投資家 から警戒される可能性があります。

企業の COGS プロセスの管理に役立つ Stripe の機能

Stripe は COGS を直接計算しませんが、原材料の支払い、売上の追跡、サプライヤーとの関係維持など、COGS に密接に関連するプロセスを企業が管理するのに役立ちます。ここでは、Stripe がどのように企業の役に立つのかをご紹介します。

• _リアルタイムの収益追跡: _ Stripe は売上データに関する詳細なインサイトを提供します。トレンドをリアルタイムで追跡することで、企業は在庫と製造スケジュールをより適切に管理し、COGS が収益にどう影響するのかをより明確に理解できます。

• 自動決済: Stripe の自動入金により、サプライヤーやベンダーへの支払いが簡単になります。Stripe Connect などのツールを使用して、企業は継続支払いを処理するためのワークフローを設定できます。これにより、サプライヤーとの関係が改善され、製造のためのリソースの安定した流れが確保されます。

• 在庫の連携: Stripe は、QuickBooks、Xero、NetSuite などの会計および在庫管理ソフトウェアと連携できます。データを同期して、在庫費用と製造費用を売上と比較し、COGS をより正確に計算できます。

• 請求書管理: Stripe Billing は、継続請求ベースのサブスクリプションモデルまたは消費ベースのモデル (ソフトウェア、メンバーシップ、従量課金商品など) を使用する企業の請求書発行を自動化します。期限内の正確な請求書発行により、すべての売上と製造関連費用をより適切に把握できます。

• グローバルな販売サポート: Stripe は国際決済をサポートしており、企業が複数の通貨で収益と費用を管理できるよう支援します。Stripe は、グローバルなベンダーやクライアントを持つ企業の国際決済と通貨換算を簡素化します。

• 価格戦略のための分析: Stripe の分析ツールは、顧客の購買行動に関する詳細なインサイトを提供します。これにより、企業は費用に基づいてより競争力のある商品の価格設定を行い、利益率の高い商品の新たなトレンドを特定して、製造および在庫管理戦略に役立てることができます。

• 利益を守るための不正利用防止: 不正取引 は運営費を増加させ、利益を削ります。Stripe の不正防止ツールは、チャージバックや在庫の損失によって COGS が膨らまないよう、これらのリスクを最小限に抑えるのに役立ちます。

COGS が税金に与える影響

COGS は、売上総利益を計算するために収益から差し引かれる主要な事業経費であり、課税所得と全体的な仮受消費税に直接影響します。その内訳は次のとおりです。

• 売上総利益 = 総収益 - COGS

• 課税所得 = 売上総利益 - 営業費用*

COGS が高いほど、課税所得が少なくなるため、通常は納税額が少なくなります。逆に、COGS が低いと課税所得が増加し、税額が高くなる可能性があります。COGS を正しく控除するには、次のことを行う必要があります。

• 在庫、特に期首残高と期末残高を細心の注意を払って追跡する

• 商品の製造または取得に直接関連するすべての費用を含める

• まだ販売されていない在庫を適切に計上する

COGS は事業税と密接に関連しているため、ミスや不一致があると 監査人 や税務当局に注目される可能性があります。人為的に税金を下げるために COGS を過大に計上することは非倫理的であり、違法です。税法を確実に遵守するには、一貫した棚卸資産評価方法を使用し、製造費と購入費の詳細な記録を保持し、常に一般に公正妥当と認められた会計原則 (GAAP) または IFRS の基準に沿って COGS を計算する必要があります。