情報通信技術が飛躍的に発展し、取引におけるグローバル化が加速する今日、日本でも電子取引の普及が着々と進んでいます。電子取引の場合、請求書のような取引関係書類は紙の文書ではなく、 ペーパーレス化、すなわち電子データ化された書類によってやり取りされます。
請求書のペーパーレス化には、紙で対応する場合と比べ、郵送や手渡しする手間のほか、コストが軽減できるといったメリットがあり、バックオフィスの改善を目指す多くの事業者からの注目を集めています。
本記事では、請求書のペーパーレス化が進む背景をはじめ、メリットやデメリットなどを踏まえて解説します。
目次
- 請求書のペーパーレス化とは
- 請求書のペーパーレス化が進む背景
- 請求書をペーパーレス化する方法
- 請求書をペーパーレス化するメリット
- 請求書をペーパーレス化するデメリット
- 請求書のペーパーレス化に際してやっておくべきこと
- Stripe Invoicing でできること
請求書のペーパーレス化とは
「ペーパーレス」とは、英語の「Paperless」をカタカナ表記した言葉で、日本語に訳すと「紙を使わない」または「紙の使用をなくす」という意味になります。つまり、取引上での「ペーパーレス化」とは、紙に代わって電子データを用いたやり取りによって、業務の効率化やコスト削減を図ることを指します。請求書のペーパーレス化の一例としては、決済代行業者のサービスを通じて利用できる Web 請求書管理システムが挙げられます。事業者がこれらのシステムを採用した場合、書類の作成だけでなく、送付や保存までを 1 つのシステム上で一元的に行うことができます。
なお、ペーパーレス化はビジネスシーンのみならず、私たちの日常生活にも浸透しています。たとえば、スマートフォンやタブレットからの閲覧が可能な電子書籍や電子雑誌、電子新聞をはじめ、最近ではスタジアムでのスポーツ観戦やコンサートの入場券、公共交通機関の乗車券などについてもペーパーレス化が普及しています。
請求書のペーパーレス化が進む背景
テレワークの普及
請求書のペーパーレス化が進む背景の 1 つに、テレワークの普及が挙げられます。これにより、利便性の高い電子取引がより重視されるようになり、リモートでも一連作業がスピーディーに完結できる請求書のペーパーレス化にも注目が集められているのです。
電子帳簿保存法への対応
日本では 2024 年 1 月より、電子的にやり取りされた取引関係書類については電子データのままで保存することが、電子帳簿保存法で義務付けられています。そのため、請求書のペーパーレス化を実施している事業者は、紙で印刷せず電子データとしてそのままの状態で保存を行う必要があります。また、同法律の保存要件を満たしていれば、紙ベースで授受された請求書でも、電子データ化して保存することが認められています (スキャナ保存)。
このように、現行の電子帳簿保存法によって、より一層ペーパーレス化が推奨されていることも背景の 1 つに挙げられます。
インボイス制度への対応
2023 年 10 月に開始された日本のインボイス制度では、適格請求書の発行と保存について、従来の区分記載請求書よりもさらに細かな記載要件が定められているため、事業者は十分に注意しながら対応する必要があります。
適格請求書は紙で対応することが可能で、郵送や手渡しでの授受も認められています。しかし、手書き、あるいはパソコンでゼロから紙ベースで適格請求書を作成する場合、業務負担が増え、書き損じや記入漏れが生じる可能性があります。そこで、こうしたリスクを回避し、作業をより効率化させることを目的として、ペーパーレス化に踏み切る事業者が増えているのです。
請求書をペーパーレス化する方法
請求書をペーパーレス化するには、主に以下の 2 つの方法があります。
表計算ソフトを活用
たとえば、エクセルのような表計算ソフトを利用することで、請求書を作成することができます。また、オンラインで無償でダウンロードできるテンプレートを活用すれば、コスト負担を抑えつつペーパーレス化を進めることができるでしょう。ただし、表計算ソフトの場合、項目や数値の入力を含むマニュアル作業が必須となるため、ある程度の手間と時間がかかります。また、万が一ではあるものの、パソコンの手作業によるミスが発生し得ることもあらかじめ理解しておく必要があるでしょう。
システムを導入
こちらは、請求書自動生成システムなどの専用システムを導入し、請求書発行から保存までの業務フローをすべて 1 つのシステム上で行う方法です。この方法の場合、請求書の作成業務は自動化されるため、上述したようなマニュアル作業にかかる負担を軽減でき、入力ミスを防ぐことができます。また、システム上ですべての業務を一本化できることから、より簡単にペーパーレス化を実施できるでしょう。
請求書をペーパーレス化するメリット
コスト削減につながる
請求書を紙ベースで取り扱う場合、作成や送付に手間がかかるだけでなく、用紙代や封筒代、インク代、送料、さらに、これらの業務を行う人材へのコストを要します。一方、請求書をペーパーレス化すれば、こうした料金は発生しません。
なお、ペーパーレス化によるコスト削減は、請求書だけでなく領収書についても同じことがいえます。特に、紙の領収書の場合、売上金額が税抜きで 5 万円以上になると、売上金額に応じた収入印紙の貼付と消印が国税庁によって義務付けられています。しかし、メールやクラウドシステムによって電子的に交付されたものについては、収入印紙は不要となります (パソコンで作成したものを印刷し、紙で取引先に交付する場合は収入印紙が必要です)。
このように、請求書や領収書などの取引関係書類をペーパーレス化することで、紙代や送料、さらに印紙税にかかるコストの削減が実現可能になります。
請求書管理が容易になる
紙の請求書の場合、請求書の枚数が増えるほどファイリング作業への負担が大きくなるため、管理業務が煩雑になりがちです。また、請求書の保管スペースも必要となるほか、過去の請求書を確認したい際は、膨大なファイルの中から探さなければならず、体力的な負担が生じるケースもあります。さらに、紙の劣化によって可読性が損なわれたり、紛失するリスクもあるでしょう。
しかし、請求書をペーパーレス化すれば、ファイリングする必要はなくなり、省スペースを実現できます。また、請求書の劣化や紛失を心配することなく、閲覧が必要な際にはいつでも検索機能を用いてスピーディーに探し出すことができます。
テレワークや在宅勤務にも最適
テレワークや在宅勤務の場合に請求書を紙ベースでやり取りすると、余計な手間と時間がかかってしまいます。しかし、ペーパーレスに切り替えることで、在宅勤務でも、インターネットさえつながっていればパソコンで簡単に請求書業務を進められます。
修正や再発行への即日対応が可能
請求書の修正または再発行の必要がある際、紙の請求書の場合、請求書の写しを探し出す作業に始まり、取引先から請求書を回収したり、請求書の破棄を依頼する連絡をしなければなりません。また、再発行した請求書は、改めて郵送や手渡しのために足を運ぶ必要があります。一方、メールやクラウドサービスのようにペーパーレスに対応していれば、急ぎの場合でも即日の修正や再発行ができ、一連の流れがスムーズになるでしょう。
請求書をペーパーレス化するデメリット
紙の請求書を希望する取引先への個別対応が必要
取引先によっては、ペーパーレスに未対応な場合があります。よって、これまでどおり紙での請求書で受け取りたいと希望する取引先がいることも理解しておくことが大切です。次章の「請求書のペーパーレス化に際してやっておくべきこと」にて、より詳しく解説しますが、こうした取引先に対しては、ペーパーレスで対応可能な取引先とは別に、紙で対応できるよう柔軟な姿勢を示すことが大切です。
システムの導入・運用コストが発生する
請求書の作成に表計算ソフトや無料テンプレートを利用し、PDF 化してメール送信やパソコン保存で運用する場合、特に費用は発生しません。これは、導入・運用コストを要する決済代行業者のシステムを使わないためです。
しかし、請求書業務全般の改善を目的に、既存の顧客データと連動させ、請求書の自動生成、送付、保存までをシステムで一本化させたい場合は、システムの導入と運用へのコストがかかります。そのため、ペーパーレス化によって実現できるコスト削減か、システムの導入や運用によって生じるコストか、どちらが大きいのかをあらかじめ調査し、費用対効果を見極めておく必要があります。
なお、その際には、紙の請求書で生じる社員の労力や人件費についても注視するようにしましょう。1 枚 1 枚、紙の請求書を作成したり送付する作業にかかる人件費や残業代と比べると、システムの導入と運用にかかるコストの方が、生産性や効率性を見据えた長期的視野では、コストの大幅な削減の可能性が期待できるかもしれません。
請求書のペーパーレス化に際してやっておくべきこと
ペーパーレス化の目的を明確化する
ペーパーレス化を実施することの目的を明確にしておきましょう。たとえば、請求書にかかる業務全般の負担を軽減したいなら、決済代行業者が提供する包括的なシステムの導入を検討してみることを、対策の 1 つとしておすすめします。
一方、省スペースのために紙の請求書 (控えや受領原本) を電子データで保存するには、電子帳簿保存法のスキャナ保存要件に対応したシステムの導入が必要です。
このように目的を明確化するにあたっては、具体的に以下のステップを踏むとよいでしょう。
- まず、自社で求める機能とはなにかをリストアップする
- 自社のニーズに見合うシステムを候補としていくつかピックアップする
- 目的に合ったシステムの中から費用対効果を考慮し、最終的にどれが最適か判断する
業務の変更点について周知する
ペーパーレス化を進める際は、業務上の混乱を防ぐため、事前に各担当社員へ変更点を周知することが大切です。また、必要な際にいつでも参考にできる作業マニュアルを設置しておくとよいでしょう。
このほか、取引先からの問い合わせにも適切に対応できるよう、電子データの扱い方に関する取引先への対応マニュアルを準備しておくと安心です。
取引先からの了承を得ておく
請求書をペーパーレス化するにあたって、取引先から了承を得ておくことはとても大切です。もし取引先からの了承を得ないままペーパーレス化を進めてしまうと、取引先は電子データで発行済みの請求書に気付くことができず、期日までに代金を支払えないといったトラブルが生じる可能性があります。
このようなトラブルを防止するためにも、ペーパーレス化を実施する事業者は、時間に余裕をもって請求書の電子化に関する案内文を準備し、できるだけ早めに取引先の了承を得るようにしましょう。
紙の請求書を必要とする取引先への対応
請求書のペーパーレス化を実施する旨を案内文で知らせた後、取引先によっては「引き続き紙で対応して欲しい」との回答が返ってくる可能性もあります。こうした場合は、請求書を郵送もしくは手渡しで取引先に届ける必要があります。
そのため、ペーパーレス化と紙ベースの双方に対応するには、取引先ごとにどちらで対応するべきかがわかるよう、取引先情報を整理することが大切です。特に、紙でのやり取りが必要な取引先については、これらの取引先情報のみを抽出し、柔軟に対応できる態勢づくりを心がけましょう。
電子データの改ざん防止
電子帳簿保存法は、電子文書の真実性と改ざん防止を主な目的としています。したがって、ペーパーレス化に踏み切る事業者は、電子帳簿保存法に則って、以下のような改ざん防止策を講じる必要があります。
ここのように、請求書のペーパーレス化の実現には、さまざまな事前準備が求められます。その反面、一度移行を完了すれば、請求書業務の継続的な効率化と快適な運用が可能になります。
本記事内でも解説したように、決済代行業者が提供するサービスなら、請求書の管理を一本化でき、時間や手間を大幅に削減できることから、ビジネス全体の効率度アップが期待できるでしょう。また、次に解説する Stripe Invoicing のように、現行のインボイス制度や、電子帳簿保存法の「真実性の確保」と、検索機能における「可視性の確保」を満たす発行や保存が適切に行えるものであれば、よりスムーズで理にかなったバックオフィスの改善を図ることができるでしょう。
Stripe Invoicing でできること
Stripe Invoicing は、請求書の作成から支払い回収まで、売掛金プロセスをシンプルにします。単発請求でも継続請求でも、Stripe はビジネスが支払いを受けるまでの時間を短縮し、業務の効率化をサポートします。
- 売掛金処理の自動化: コーディング不要のプロフェッショナルな請求書を簡単に作成、カスタマイズ、送信。Stripe は請求書のステータスを自動で追跡し、支払いリマインダーの送信や返金処理も行うため、キャッシュフローの管理がスムーズになります。
- キャッシュフローを改善: 統合されたグローバル決済、自動リマインダー、AI を活用した督促ツールにより、売掛金回収期間を短縮し、より早く入金を得られます。
- 顧客体験の向上: 25 以上の言語、135 以上の通貨、100 以上の決済手段をサポートする最先端の決済体験を提供。請求書へのアクセスは簡単で、セルフサービスのカスタマーポータルから支払うこともできます。
- バックオフィスの負担軽減: 数分で請求書を作成し、自動リマインダーや Stripe が提供するオンライン請求書決済ページで回収にかかる時間を削減します。
- 既存システムとの接続: Stripe Invoicing は、主要な会計ソフトや ERP (企業資源計画) ソフトと接続でき、システム間の同期を保ちつつデータの手入力を減らします。
Stripe では、売掛金プロセスの簡素化を支援しています。詳しくはこちらをご覧ください。今すぐ開始する場合はこちら。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。