ドイツにおける決済遅延利息を計算して請求する

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  1. はじめに
  2. 決済遅延利息とは
  3. 法律における決済遅延利息の規定
  4. 決済遅延利息を請求できる時期
  5. 決済遅延利息の計算方法
    1. B2C 顧客向けの計算例
    2. B2B 顧客向けの計算例
  6. 決済遅延利息を要求する方法
  7. 決済遅延利息を回避する方法
    1. 支払いの滞りを防いで、決済遅延利息の請求を回避する方法

事業者は早晩、支払いを怠る顧客に直面することになります。通常、この時点で債務不履行の顧客や企業に対して督促を行う際に、決済遅延利息に関する問題が発生します。では、決済遅延利息とは何でしょうか。利息はどのくらいで、どのように計算するのでしょうか。この記事では、そうした疑問にお答えします。

この記事の内容

  • 決済遅延利息とは
  • 法律における決済遅延利息の規定
  • 決済遅延利息を請求できる時期
  • 決済遅延利息の計算方法
  • 決済遅延利息を要求する方法
  • 決済遅延利息を回避する方法

決済遅延利息とは

決済遅延利息とは、期限までに請求書に対する支払いを行わなかった顧客に課される利息の一種です。言い換えると、決済遅延利息は、支払いが遅れた場合に発生します。利息は、債務不履行の顧客に支払い義務を果たすよう促すために、元の請求金額に追加されます。ただし、決済遅延利息は、支払い遅延の結果として生じる労力と損失に対する補償として請求されることもあります。

具体的には、銀行 (すなわち貸し手) は、借り手が合意した期限内に融資の支払いを行わなかった場合、支払遅延利息を請求します。しかし、商業サービス取引においても、請求書が期日までに支払われなかった場合は決済遅延利息の対象となることがあります。

重要なのは、決済遅延利息と督促手数料を区別することです。督促手数料は特定の枠組み内で債権者の裁量によって設定されるものですが、決済遅延利息の請求金額は法律によって定められています。

法律における決済遅延利息の規定

決済遅延利息の請求およびその金額は、ドイツ民法 (BGB) の第 288 条に規定されています。この法律に基づき、債務は決済遅延利息の対象となる可能性があります。こうした決済遅延利息の金額は、ドイツ中央銀行の Deutsche Bundesbank が発表している現在の基準金利を使用して算出されます。

法律上の観点から、民法は支払い遅延を以下の 2 種類に区別しています。

  1. 受け取り遅延: 商品が受け取られない場合
  2. 支払い遅延: 請求書に対する支払いが行われない場合

事業者は、債務不履行時、すなわち、顧客が請求書の支払いを怠り、支払いが遅延した場合にのみ決済遅延利息を請求できます。決済遅延利息を請求するか否かは事業者が自由に決定することができ、義務ではありません。

決済遅延利息を請求できる時期

事業者が決済遅延利息を請求できるのは、一定期間が経過してからです。通常、支払い期限として合意されている場合、顧客に対して 30 日間が指定されます。ただし、法人顧客の場合はこれよりも長い期間や短い期間が選択されることがあります。原則として、顧客にサービスを提供した日が、該当する支払期限を定める際に決定的な要素となることにご注意ください。この期限を過ぎても請求書が未払いのままである場合にのみ、顧客は債務不履行に該当し、事業者は債権者として決済遅延利息を請求することができます。

支払い期間の短縮に合意した場合、合意した期間の終了時に請求書が未払いであれば、決済遅延利息を早期に請求することもできます。厳密な支払い期限は、事前に、または請求書の発行時に設定する必要があります。

決済遅延利息の計算方法

決済遅延利息として課される金額は、Deutsche Bundesbank が発表している現在の基準金利を使用して算出されます。この固定金利は、法定規定に従って年 2 回 (1 月 1 日と 7 月 1 日) 政府公報で公表されます。2024 年 1 月 1 日以降、基準金利は 3.62% です。

この基準金利は変更される可能性があります。決済遅延利息の請求を希望する場合、まず基準金利を確認してから決済遅延利息を計算する必要があります。また、決済遅延利息を請求する相手が個人か企業顧客かによっても違いがあります。企業顧客の場合、決済遅延利息は、基準金利に 9 パーセントポイントを追加して計算されますが、個人顧客の場合は 5パーセントポイントを追加して計算されます。

BGB の第 288 条に従い、債務に対する支払いが遅れている期間が、利息の対象となることがあります。現在の基準金利を考慮すると、次の法定遅延利息が適用されます。

個人との取引: 8.62%
計算: 3.62% + 5 パーセントポイント = 8.62%

企業顧客との取引: 12.12%
計算: 3.62% + 9 パーセントポイント = 12.62%

基準金利は必ず、「年あたり」(年率) で表示されます。債務者が支払いを行わず、債務不履行に陥った該当期間 (滞納日数) を対象に、1 日ごとに正確に決済遅延利息を計算することが重要です。決済遅延利息を計算する際には、以下の 4 つのルールに従うとよいでしょう。

  1. 現在の基準金利を見つける
  2. B2B か B2C かに応じて、追加する必要があるパーセントポイントを特定する
  3. 延滞日数を計算する
  4. 債務不履行期間の利息を計算する

決済遅延利息の計算に役立つ例を以下に 2 つ示します。

B2C 顧客向けの計算例

ある B2C 顧客が貴社に 1,000 ユーロを未払いで、延滞日数が 100 日であったとします。債務不履行期間の決済遅延利息は、以下のように計算します。

請求書金額 x (基準金利 + 5 パーセントポイント) x 延滞日数/365 = 遅延手数料
1,000 ユーロ x (3.62% + 5 パーセントポイント) x 100/365 = 23.61 ユーロ
決済遅延利息を含めた合計金額は、1,023.61 ユーロとなります。

B2B 顧客向けの計算例

ある B2B 顧客が貴社に 1,000 ユーロを未払いで、延滞日数が 100 日であったとします。決済遅延利息を計算する際に考慮する必要がある基準金利は、1 つのみです。

請求書金額 x (基準金利 + 9 パーセントポイント) x 延滞日数/365 = 遅延手数料
1,000 ユーロ x (3.62% + 9 パーセントポイント) x 100/365 = 34.57 ユーロ
決済遅延利息を含めた合計金額は、1,034.57 ユーロとなります。

ヒント: オンラインの決済遅延利息計算ツールを使用して、計算を確認して見直しできます。

決済遅延利息を要求する方法

顧客が合意された支払い期限までに支払わなかった場合の最善の対応方法は、まず支払いのリマインド通知を送信することです。通知には、元の請求書に記載されているすべての情報と、新しい支払い期限を含めます。債務者が新しい期限までに支払いを怠った場合には、督促を開始することができます。一般的なルールとして、法的手段を講じる前に督促状を 3 通送る必要があります。また、督促プロセスの一環として、決済遅延利息を計算することもできます。

督促状には、少なくとも以下の情報が含まれている必要があります。

  • 請求書が本来支払われるべき日付
  • 支払いリマインド通知とその日付への言及
  • 適用される決済遅延利息と督促手数料の表示

督促状に新しい支払い期日を設定します。2 通目と 3 通目の督促状が必要な場合、延滞日数に合わせて決済遅延利息を調整する必要があります。2 通目と 3 通目の督促状では、支払いが未払いの場合には、さらなる費用 (裁判費用など) が発生することを明確に示す必要があります。最善の方法は、書留郵便で督促状を送り、配達証明を受け取ることです。

裁判に持ち込む前の督促状で希望の反応が得られない場合、法務アドバイザーまたは債権回収会社に相談する必要があります。こうすることで、債務者に対する圧力を強めることができます。繰り返しになりますが、延滞日数が増えると、新たな決済遅延利息が発生します。

決済遅延利息を回避する方法

顧客が支払いを怠った場合の最善の対応方法は、顧客に直接連絡をして、話し合うことです。ほとんどの場合、支払いが滞ったのは、誤解のほか、請求書が経理部門に届いていなかったり、紛失していたりすることが原因です。また、債務者が一時的に財政難に直面し、それが原因で最初の期限を守れなかった可能性もあります。

最初の支払いのリマインド通知を送信しても期待した効果が得られなかった場合は、支払いが滞った理由を調査するようにしてください。通常、問題を解決するための最善の方法は、直接話しをすることです。顧客に連絡をして、支払い期限を新たに設定すれば、督促手続きに頼る必要がなくなる可能性があります。この方法で望ましい効果が得られなかった場合でも、引き続き正式なルートに従い、未払い額に関する督促状を送る必要があります。債務に対応する際にはある程度の寛大さを示すことが望ましく、顧客との関係に良い効果をもたらす可能性があります。滞納している顧客と直接、率直に話し合うことをお勧めします。

また、請求書を発行する際にも、こうした状況を回避するための工夫が必要です。

支払いの滞りを防いで、決済遅延利息の請求を回避する方法

請求書を発行する際には、支払い期日が明確に表示されていることを確認してください。これにより、誤解を防ぐことができます。支払い期日が請求書に記載されていない場合、顧客の支払いが滞る可能性があり、事業者は支払いを求める際に法的な問題に直面することになります。

また、顧客が利用しやすい決済手段 を提供するのも賢明です。このほか、早期の支払いに割引を適用するなど、追加の支払いインセンティブを設けることもできます。こうした対策で、支払い遅延の発生と、決済遅延利息を請求せざるを得ない事態を防ぐことが可能です。

さらに、支払いが遅れた場合には決済遅延利息が請求されることを請求書に記載することもできます。これにより、支払いが期日通りに行われることが両当事者の利益となることが明確になります。また、早期支払いに対する割引を提供すると、顧客に期限を課すのではなく、期日までの支払いを促しているという印象を与えることができます。

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