さっそくですが、今後 EU 内で取引する予定はありますか?もしフランスですでに事業を行っている場合、他の EU 加盟国から商品を受け取っていたりしますか?また、付加価値税 (VAT) が域内貿易にどのように適用されるかといったことに関心はおありですか?本記事では、法令に準拠した請求書をできるよう域内 VAT のルールをわかりやすく説明します。
本記事の内容
- 域内請求書とは?
- 域内 VAT のルール
- 域内 VAT 請求書に記載すべき情報
- VAT 免除の域内請求書の発行方法
域内請求書とは?
域内請求書は、税務上、会計上、商業上の目的で、EU 加盟国のベンダーと顧客間の取引を記録するために使用される文書です。請求書には当事者の身元、請求額、販売条件など、取引に関連するすべての情報が記載されており、取引が行われた証拠として機能します。
域内 VAT のルール
域内請求書は、当事者の法令遵守を確実にするため、特定の税法に沿って作成されなければなりません。取引で VAT が課税されるかどうかは、次の要因によって異なります。
- 買い手の身分 (企業か個人か)
- 取引の種類 (商品かサービスか)
- 企業の適用税制
VAT 課税対象企業間の物品貿易
域内での商品供給
フランスから商品が販売される場合、買い手が EU 内の自国で納税義務を負っていても、取引に係る VAT が免除されます。フランスの売り手はこの取引を文書化するために VAT が免除された域内請求書を発行し、買い手は自国で VAT の納付および控除の手続きを行います。
また域内請求書には、次の文言を記載する必要があります:「一般税法 (CGI) 第 262 条 1 項に基づき VAT 免除」
域内での商品購入
フランス企業が EU に拠点を置く域外の事業体から VAT 課税対象の商品を購入する場合、その購入品には関税 (フランスの VAT 税率) が適用されます。域外の売り手は VAT が免除された請求書を発行し、フランス企業はフランスでこれを受け取った場合に相応の VAT を納付します。ですが通常、この VAT は控除の対象になります。
フランスの VAT 課税対象企業から個人へのリモート販売
フランスの VAT 課税対象企業が、VAT 納税義務を負わない EU 加盟国の個人にリモート販売を行うケースについて解説します。このような取引に VAT が適用されるかどうかは、過去 1 年以内の企業のリモート販売総売上高 (VAT を除く) によって決定されます。税引前の年間売上高が €10,000 未満の場合、発送国 (フランス企業の所在地) の VAT 税率が適用されます。€10,000 を超える場合は、買い手の所在国の VAT 税率が適用されます。
納税者の納付と申告義務を簡素化するためのポータルサイト VAT One Stop Shop で、EU 域内でのリモート販売に係る税金を処理することが可能です。
VAT が免除されているフランス企業による域内購入
VAT 免税制度を利用しているフランス企業が EU 内で商品を購入する場合、過去 1 年間における域内購入額が €10,000 未満 (VAT を除く) であれば、域外の売り手は自国の税率で VAT を請求しなければなりません。
ただし、前年または当年度のクロスボーダー取引の年間取引高が €10,000 を超えている (VAT を除く) 場合、フランス企業は以下の手続きを行う必要があります。
- 該当するフランスの税率で購入品に対する税金を申告・納付します (域外の売り手は VAT を免除して請求書を発行します)。
- 法人税局 (SIE) に域内 VAT 番号の発行を依頼します。
通常の VAT 免税制度が適用される場合、購入時に VAT を差し引いたり回収したりすることはできません。
EU 域内でのサービスの提供
一般的に、課税対象者間でサービスが提供される場合、消費地で課税処理が発生します。他の EU 加盟国でサービスを提供しているフランス企業は、サービスの提供に際して VAT が免除された請求書を発行し、さらに「リバースチャージ」という文言を請求書に記載しなければなりません。フランスで納税義務を負わない場合は、現地の SIE で域内 VAT 番号を取得する必要があります。
一方、VAT 納税義務を負わない個人にサービスが提供される場合、プロバイダーの所在地で課税処理が発生します。この場合、フランスの税率が適用されます。
EU 域内でのサービスの購入
商品のクロスボーダー取引と同様に、フランス企業が購入したサービスはフランスの税率で課税されます。フランス企業が VAT 免税制度を利用していない場合は、VAT を差し引いて返金に充当することができます。納税義務を負わない買い手は、取引を完了するために域内 VAT 番号を取得する必要がありますが、返金の対象にはなりません。
域内 VAT 請求書に記載すべき情報
VAT が適用される域内請求書には、標準の請求書に通常記載されている以下の情報を含める必要があります。
- 「請求書」という単語
- 請求書番号と発行日
- サプライヤーの身元: 氏名または会社名、SIREN または SIRET 番号、会社の法的形態、資本金額、貿易会社登記簿 (RCS) 番号 (加盟店の場合)、貿易事業者名簿 (RM) 番号 (手工芸者の場合)、登録事業所の住所
- 顧客の身元: 氏名または会社名、請求先住所、配送先住所 (請求先と異なる場合)
- 当事者の域内 VAT 番号
- 発注書番号 (該当する場合)
- 商品の販売日またはサービスの完了日
- 販売または提供された商品の説明と項目別内訳: 単位、数量、種類、ブランド、規格
- 各商品またはサービスの税抜き単価
- 配送料や運送費などの追加コスト (該当する場合)
- 割引
- 合計金額 (VAT 税抜き)
- 各品目に適用される VAT 税率
- VAT 額
- すべての税金を含めた合計金額
- 支払期日と支払い条件
- 期日まで滞納した場合の遅延損害金率
- 回収費用の固定補償額
Stripe Invoicing は、既存のシステムと連携して、域内請求書の作成、収益認識の自動化、支払いプロセスの時短化を実現するツールであり、コードをまったく記述することなく請求プロセス全体を効率化します。
Invoicing を使用しない場合でも、フランス政府の公式サイトでは、独自の請求書テンプレートを作成する際の見本となる 2 種類の請求書テンプレートが提供されています。
VAT 免除の域内請求書の発行方法
VAT が免除された請求書を発行する場合、VAT の税率や金額、VAT 込みの合計金額を記載する必要はありません。ただし、これらの情報を記載しない代わりに、次の文言を記載しなければなりません。
- 域内配送に対する「CGI 第 262 条 1 項に基づく VAT 免除」
- 消費者が税金を支払うべきサービスに対する「リバースチャージ」
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。