コロナ禍終息後の今日、多くの外国人が日本を訪れるようになっています。これにともない、多くの事業者においては、訪日外国人観光客の需要に対応するためのインバウンド対策が重要視されています。外国人観光客が旅ƒ行中日本で快適に過ごせるようにするには、各事業者側でさまざまな対策を講じ、外国人観光客の受け入れ態勢を十分に整えておく必要があります。
事業者がこうした対策を行う際は、国や地方公共団体で設けられている各種インバウンド補助金を活用することができます。
事業者がこうした対策を行う際は、国や地方公共団体で設けられている各種インバウンド補助金を活用することができます。
目次
- インバウンド補助金とは
- 主なインバウンド補助金の一覧
- 東京都のインバウンド補助金制度の事例
- その他のエリアでの補助金・助成金制度の事例
- 過去のインバウンド補助金制度の事例
- インバウンド補助金を活用して需要に備えよう
- Stripe Terminal でできること
インバウンド補助金とは
インバウンド補助金とは、インバウンドビジネス に特化した補助金で、訪日外国人旅行者がストレスなく日本での滞在を楽しめるよう観光インフラ整備の促進を目的とするものです。
冒頭でも解説したように、日本では海外からの外国人観光客が増加し、訪日インバウンド需要は拡大の一途をたどっています。日本政府はこの需要に対応すべく、補助金によってインバウンド事業者を支援し、地域経済のさらなる発展を目指しています。
インバウンド補助金は、国や地方公共団体が目的に応じて募集を行い、対象業種や対象者、補助金額などの基準や条件があらかじめ定められています。費用については自社で一旦負担し、その後必要書類を提出することで補助金を受け取ることができます。また、インバウンド補助金には原則として返済義務はなく、目的に沿って補助金が利用されている限り返済の必要はありません。したがって、補助金によって事業にかかる出費を軽減できることは、インバウンド事業者にとって大きなメリットといえるでしょう。
主なインバウンド補助金の一覧
インバウンド事業者が補助金を活用することでサービス全体の質が改善されれば、外国人観光客の満足度もアップするため、インバウンド消費 の活性化が期待できます。
ここでは主にどのようなインバウンド補助金制度が設けられているのかを見ていきましょう。
制度名 |
概要 |
補助金額の目安 |
補助対象事業者 |
---|---|---|---|
インバウンド 安全・安心対策推進事業 |
|
補助対象経費の 2 分の 1 (「災害時における観光危機管理強化」については上限 500 万円) |
|
宿泊施設インバウンド対応支援事業 |
宿泊施設のバリアフリー化促進 |
補助対象経費の 2 分の 1 (1 宿泊事業者あたり上限 500 万円) |
旅館業法の営業許可を得た宿泊事業者 (旅館・ホテルなど) |
宿泊施設インバウンド対応支援事業 |
宿泊施設の基本的ストレスフリー環境整備 |
補助対象経費の 3 分の 1 (1 宿泊事業者あたり上限 150 万円) |
旅館業法の営業許可を得た宿泊事業者 (旅館・ホテルなど) |
歴史的資源を活用した観光まちづくり推進事業 |
観光まちづくり計画の立案や推進体制の構築などの事業化支援と地域経営モデルの創出 |
補助対象経費のうち最大 1,000 万円 (モデル創出は最大 2,000 万円) |
地方自治体、観光地域づくり法人 (DMO)、同事業に携わる協議会や民間事業者 |
地域観光資源の多言語解説整備支援事業 |
観光庁が派遣する英語ネイティブの専門人材による解説文作成費用 |
1 地域あたり 500 万円~ 1,000 万円 |
国・地方公共団体
|
IT 導入補助金 (通常枠) |
キャッシュレス決済 サービスを含む業務効率化、DX 化を図るツールの導入 |
補助対象経費のうち 2 分の 1 (5 万円~ 450 万円) |
中小企業・個人事業主を含む小規模事業者 |
なお、募集の開始および終了時期はそれぞれで定められており、制度によっては本年度の募集期間がすでに終了している場合があります。そのため、補助金制度の利用を検討している場合は、次年度の募集があるかどうか、募集開始時期はいつになるかなど、事前に確認しておくようにしましょう。
東京のインバウンド補助金制度の事例
ここでは東京都のインバウンド補助金制度について、代表的な事例を以下にいくつか紹介します。なお、先ほどの解説のように、次年度以降の募集予定については制度によって未定の可能性も考えられます。よって、繰り返しにはなりますが、今後の実施有無については東京観光財団 の公式ホームページなどでの定期的な最新情報の確認を怠らないことが大切です。
以下の補助金制度については、2025 年 8 月の現在において募集が行われている補助金制度となります。
インバウンド対応力強化支援補助金
インバウンド対応力強化支援補助金は、東京都 および東京観光財団 の補助金制度で、東京都内でビジネスを営む宿泊施設、飲食店、免税店、体験型コンテンツ提供施設などが対象となります。
- 補助率・補助上限額:
- 施設 ・店舗・営業所 の場合は 2 分の 1 および最大 300 万円、
- 中小企業団体・観光関連事業者グループの場合は 2 分の 1 および最大 1,000 万円
- 施設 ・店舗・営業所 の場合は 2 分の 1 および最大 300 万円、
また、同補助金制度ではインバウンド対応の強化を支援することを目的として、主に以下の項目が補助の対象となっています。
- 多言語対応 (自動翻訳機の導入、案内板などの表示整備など)
- 決済機器やサービスの導入 (クレジットカード決済、モバイル決済を含む電子決済への対応など)
- トイレの洋式化
- 客室の和洋式化
- 防犯カメラなどの防犯設備の導入
- 国際放送設備の整備
- 外国人がよく利用するグルメサイトへの掲載
- アクセシブル・ツーリズムにおけるグローバル人材の育成
- 災害時における外国人旅行者に対する安全面への受入体制の構築
観光産業の活性化促進事業
観光産業の活性化促進事業は、コロナ禍によって深刻な影響があった観光業を対象として、サービスの質の向上や生産性の向上に特化した取り組みを支援する制度です。たとえば、多くの旅行者を取り込むためのインバウンド集客を目的に、サービスや商品の開発を行った場合に生じた費用など、経営改善や売上向上を目指す取り組みにおいて利用が可能です。
- 補助率・補助上限額: 1 団体 (グループ) につき対象経費の 3 分の 2 および最大 2,000 万円
その他エリアでの補助金・助成金制度の事例
東京だけでも実際には前述した補助金制度以外に、都レベルや市・区レベルで数多くのインバウンド補助金制度が設けられていますが、このほかの都道府県や市町村においても、以下のようにさまざまな補助金制度が挙げられます。
泉大津市インバウンド等受入環境整備補助金 (大阪府泉大津市)
泉大津市では市内のインバウンド消費を促進し、さらなる地域産業の活性化を図ることを目的として、法人や個人事業主を対象とする補助金制度が実施されています。対象項目にはさまざまなものがありますが、多言語による案内の整備や免税店などの環境整備、キャッシュレス決済の導入にかかる経費などが含まれます。
- _補助率・補助上限額: _対象経費の 3 分の 2 および最大 20 万円
岡山県訪日団体ツアー造成助成金 (岡山県)
岡山県訪日団体ツアー造成助成金は、滞在拠点を岡山県とするツアー造成を促進するために設立されました。
ツアー催行人数が 10 人以上および全員が岡山県内の宿泊施設に宿泊することを条件として、観光目的で海外から岡山県を訪れる団体ツアーを実施した旅行会社などに対し、助成金が交付されます。
- 補助率・補助上限額: 定額 80 万円
過去のインバウンド補助金制度の事例
過去に実施されたことのあるインバウンド補助金制度についても数えきれないほど挙げられますが、ここでは事例として以下の 2 つを紹介します。
おもてなし店舗支援事業補助金: 多言語事業 (東京都新宿区)
東京都新宿区で 2020 年に募集が行われていた同制度は、中小企業を対象として多言語対応の推進を支援する制度です。
- 補助率・補助上限額: 1 件につき対象経費の 3 分の 2 および最大 10 万円
また、主な対象項目には以下のようなものが挙げられます。
- 店舗内外にある看板・案内板などの多言語化
- 多言語に対応したホームページの制作
- 音声自動翻訳機の購入
- メニュー (デジタルメニューを含む) 表示の多言語化
- 多言語によるパンフレットの制作
なお、「多言語事業」のほかにも同制度では「トイレの洋式化事業」、2022 年から 2023 年にかけてはコロナ禍への対応目的として「感染拡大防止・業態転換・販売促進事業」が実施されました。そのため、今後も状況に応じて具体的な事業内容を変えたかたちで、同制度が復活する可能性もゼロではないかもしれません。
体験型観光商品等開発支援事業補助金 (富山県南砺市)
体験型観光商品等開発支援事業補助金は、富山県南砺市で 2023 年から 2024 年にかけて募集されていた補助金制度です。主な対象業種は、市内に事務所および活動拠点を有する宿泊事業者、飲食事業者、観光関係事業者となります。
同制度では、富山県南砺市の雄大な自然や趣深い伝統工芸技術を活かし、観光客向けに新たな体験型観光サービスやプランを造成する民間事業者に対し、開発および商品化、広報などにかかる経費の一部を支援しています。
- _補助率・補助上限額: _ 対象経費の 2 分の 1 および 最大 20 万円
インバウンド補助金を活用して需要に備えよう
今回はインバウンド補助金について、具体的な事例を踏まえて解説しました。
記事内でも解説したように、過去に実施されたことのある補助金制度や現在募集中の補助金制度には実にさまざまなものがあります。したがって、インバウンド事業者は、過去に実施されていた補助金制度の再開有無や、現在利用可能な補助金制度について情報収集を行い、政府および地方自治体の今後の動向を注視することが大切です。
多言語への対応やインバウンドに適した決済手段 の導入など、訪日外国人観光客のニーズに応えるためのインバウンド対策には費用がかかります。そのため、事業者側からすると、たとえ対策を万全に行ったとしてもコスト負担が大きくなり過ぎることで、事業運営にマイナスの影響を与えてしまう可能性があります。しかし、各都道府県や市町村によるさまざまインバウンド補助金制度を積極的に活用すれば、インバウンド対策にかかる費用を抑えることが可能になります。
ぜひ補助金制度を活用して、インバウンドビジネスのさらなる成長を目指しましょう。
Stripe Terminal でできること
Stripe Terminal はユニファイドコマースのためのソリューションです。対面チャネルとオンラインチャネルを統合し、収益拡大を実現させます。新しい支払い方法、シンプルなハードウェア、グローバルな対応、数百の POS とのコマース連携により、理想的な決済環境を構築できます。
Stripe は、Hertz、URBN、Lands' End、Shopify、Lightspeed、Mindbody などのブランドのユニファイドコマースを実現しています。
Stripe Terminal の特徴
- ユニファイドコマース: オンラインと対面での決済をグローバルプラットフォームで一元管理します。
- グローバル展開: 1 つのシステムと一般的な決済手段で、24カ国への拡大が可能です。
- 自社に合った導入: 独自のカスタム POS アプリを開発するか、サードパーティの POS や EC システムを使って既存のテックスタックと連携できます。
- シンプルなハードウェア: Stripe 対応のリーダーを注文、管理、監視できます。
Stripe Terminal について詳しくは こちら をご覧ください。今すぐ開始する場合はこちら。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。