近年、訪日インバウンドの需要が高まる中、外国人観光客を対象とする多くのビジネスにおいて決済環境の最適化が重要視されています。
海外では日本と比べキャッシュレス決済が浸透している国が多く、外国人観光客が日本で決済を行う際に、希望する決済手段が利用できず、不便を感じるといったケースは少なくはありません。そこで、外国人観光客に快適で充実したショッピングや観光をしてもらうためには、事業者側はどのような決済手段を導入すればよいのでしょうか。
本記事では、外国人観光客を対象とするインバウンド事業において最適な決済手段とはなにか、決済に関わるインバウンド対策について解説します。
__ 目次 __
- インバウンド決済とは?
- インバウンド向けキャッシュレス決済の重要性
- インバウンドに最適な決済手段
- 対インバウンドの決済サービスを選ぶ際のポイント
- 快適で安全な決済インフラの構築が大切
- Stripe Terminal でできること
インバウンド決済とは?
インバウンド決済とは、外国人観光客が旅行中に現地で利用できる決済手段やシステムのことを意味します。言い換えると「インバウンド決済=インバウンドに適した便利な キャッシュレス決済」ということになります。
日本のインバウンド決済に絞って解説すると、訪日外国人観光客が自国でよく利用する決済手段について、日本国内での決済時にも利用できるように設計された体制やシステムを指します。
事業者がインバウンド向けの決済手段を導入することは、インバウンド消費の活性化に直結するため、成長の一途を辿る今日の訪日インバウンド市場においてとても重要です。たとえば、観光地や繁華街にある店舗での決済シーンで、普段から馴染みのある決済手段が利用できれば、外国人観光客からすると見知らぬ土地、日本での決済に対する不安が軽減されるほか、利便性も大幅に向上します。これにより、店舗を利用しやすくなり、再訪も期待できるでしょう。また、現金の外貨両替にかかる手間が省けるだけでなく、小銭の数え間違いや現金を携帯することによる紛失リスクの回避にもつながります。
インバウンド向けキャッシュレス決済の重要性
インバウンドビジネスの拡大を目的として決済手段を導入する際には、その必要性を見極めながら検討することが大切です。
日本国内にも モバイル決済 や オンライン決済 をはじめとする数多くのキャッシュレス決済が普及しています。しかし、インバウンド決済においては、日本の消費者をターゲットとするのではなく、海外から日本を訪れる外国人旅行者を対象としています。よって、海外のさまざまな国や地域で広く利用されている決済手段に焦点をあてる必要があります。
一般社団法人キャッシュレス推進協議会 が 2024 年 12 月に公開したデータでは、2022 年の「主要国におけるキャッシュレス決済比率」として、以下のような結果を記しています。
- 韓国: 99%
- 中国: 83.5%
- オーストラリア: 75.9%
- シンガポール: 65.6%
- イギリス: 64.2%
上位にランクインした各国の比率についてインバウンドの観点から見てみると、これらの国々から日本を訪れる旅行者が多ければ多いほど、これらの国々でよく使われている主要な決済手段に対応する重要性が高いと考えられます。
なお、同データによると、同年の日本のキャッシュレス決済比率は 36.0% で、韓国や中国などに比べるとキャッシュレス決済をより一層普及させる必要があることがわかります。経済産業省 によると、2023 年には 39.3% と比率が上昇してはいますが、海外からの訪日外国人観光客を対象とするインバウンド集客を成功に導くためには、日本国内の広範囲の地域において決済インフラを強化させていくことが今後の課題といえるでしょう。
また、日本政府観光局 のデータによると、2025 年 1 月から 4 月の訪日外国人旅行者数は 14,447,003 人で、中でも最も訪日外国人旅行者の多かった国については、以下のような結果となっています。
- 韓国: 3,227,855 人
- 中国: 3,130,450 人
- 台湾: 2,161,301 人
- アメリカ: 1,044,344 人
- 香港: 911,248 人
インバウンドに最適な決済手段
先ほど紹介した日本政府観光局のデータ内にある「利用した決済方法」を見てみると、2024 年に訪日外国人観光客が利用した主なキャッシュレス決済には以下のようなものがあります。
- クレジットカード決済 (72.6%)
- 電子マネー(交通系 IC カード、30.3%)
- モバイル決済 (17%)
各キャッシュレス決済について 1 つひとつ見ていきましょう。
クレジットカード決済
クレジットカード決済は、キャッシュレス決済の中でも 2024 年において訪日外国人観光客が最もよく利用した決済手段となっています。コロナ禍終息後の最近では特に、コンタクトレスにクレジットカード決済が行えるショッピングシーンが一般化し、より快適でスムーズに支払いが完了できることが多くの観光客によって利用されている理由といえます。
電子マネー (交通系 IC カード)
PASMO や Suica のような日本国内で発行される交通系 IC カードも、外国人観光客が日本滞在中によく利用する決済手段の 1 つとして挙げられます。地下鉄やバスなどの交通機関だけでなく、コンビニ、コインロッカー、自動販売機などでも利用できるため、ちょっとした買い物をしたいときでも小銭を細かく数える煩わしさがなく気楽に支払いができる点がメリットです。
モバイル決済
モバイル決済は、旅行中に現金やクレジットカードがない場合でもスマートフォンさえあれば簡単に支払いができるため、利便性を重視する多くの外国人観光客によって支持されています。モバイル決済の代表例としては、Apple Pay、Google Pay などがあり、このほかにも中国からの観光客に人気な Alipay (アリペイ) や WeChat Pay (ウィーチャットペイ・微信支付) を利用できる店舗も増えています。
このように決済手段が多様化し、日本国内でインバウンド向けのさまざまなキャッシュレス決済が取り入れられている一方、日本政府観光局のデータによると、現金を用いた決済も 94% と顕著であることがわかります。これは、日本では現在でも現金を必要とするケースが多々あることを示しており、今後のキャッシュレス化の進展については注目すべき点といえます。
対インバウンドの決済サービスを選ぶ際のポイント
対応する範囲
決済サービスを選ぶ際には、VISA や Mastercard のような主要なクレジットカードブランドや、日本を訪れる旅行者の多い韓国や中国などでよく使われている決済手段に対応可能かどうかを確認するようにしましょう。
使いやすさ
外国人旅行者が海外から初めて日本を訪れる際、支払方法や商習慣がわからず戸惑うケースは少なくはありません。特に、多くの外国人旅行者からすると、文字や言語の仕組みが全く異なる日本の場合、滞在中の決済シーンで不便さや不安感を抱いてしまう旅行者こともあるでしょう。そのため、日本の事業者側は、外国人旅行者にとってわかりやすく、使いやすい決済手段を提供できることがとても大切です。また、決済処理がスピーディーに実行されることもユーザビリティを考慮すると必要不可欠といえます。
多言語によるサポート
外国人を対象とするインバウンドビジネスにおいて最も重要なポイントともいえるのが、多言語への対応です。多言語に対応可能な決済システムであれば、日本語がわからなくても安心して決済を行えるため旅行自体がさらに快適になり、旅行者に対してより積極的な消費を促すことにもつながります。
快適で安全な決済インフラの構築が大切
今回はインバウンドビジネスにおいて不可欠ともいえる、外国人観光客向けの決済手段について解説しました。
海外から日本を訪れる外国人観光客が求めている決済手段は、国や地域によって実にさまざまです。そのため、各事業者は、どの国や地域からの観光客による購入率が高いかを調査し、これらの国や地域で主流な決済手段を把握したうえで、自社にとって最適な決済サービスを導入する必要があります。
各事業者が訪日外国人観光客の決済ニーズに柔軟に対応し、今後のさらなる拡大が予想されるインバウンド需要に備えておけば、ビジネスの成功と地域経済の発展にもつながるでしょう。
Stripe Terminal でできること
Stripe Terminal はユニファイドコマースのためのソリューションです。対面チャネルとオンラインチャネルを統合し、収益拡大を実現させます。新しい支払い方法、シンプルなハードウェア、グローバルな対応、数百の POS とのコマース連携により、理想的な決済環境を構築できます。
Stripe は、Hertz、URBN、Lands’ End、Shopify、Lightspeed、Mindbody などのユニファイドコマースを強化しています。
Stripe Terminal の特徴
- ユニファイドコマース: オンラインと対面での決済をグローバルプラットフォームで一元管理します。
- グローバル展開: 1 つのシステムと一般的な決済手段で、24カ国への拡大が可能です。
- 自社に合った導入: 独自のカスタム POS アプリを開発するか、サードパーティの POS や EC システムを使って既存のテックスタックと連携できます。
- シンプルなハードウェア: Stripe 対応のリーダーを注文、管理、監視できます。
Stripe Terminal について詳しくは こちら をご覧ください。今すぐ開始する場合はこちら。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。