会社を立ち上げるには、あらゆる種類の行政手続きを経ることは避けられません (このことについては、個人事業主の設立方法に関する Stripe の記事をご覧ください)。本ガイドでは、その設立の容易さと柔軟な経営体制が評価されている、SAS の設立方法について解説します。また、SAS の設立に関連するコストについても、本ガイドの最後に記載しています。
本記事の内容
- SAS とは?
- 設立手続きに入る前に必要な準備
- SAS の設立手順
- 定款の起草
- 資本金の払い込み
- 法人設立通知の掲載
- ワンストップショップへの登録
- SAS の設立にかかる費用
SAS とは?
簡易型株式会社、またはSAS (société par actions simplifiée) と呼ばれる会社形態は、運営、発展、設立の自由度が高いことで知られています。SAS は、個人または法人の組合員が少なくとも 2 人以上いることで設立できます。Insee の報告によると、SAS は 2022 年にフランスで最も新規設立の多かった会社形態とのことでした。
SAS は、規制を受けている特定の自由業を除いて、ほとんどの商業、工芸、自由業、および産業活動に適しています。会社を運営する社長は、会社に対する民事および刑事責任を負います。社長の権限は、会社の定款で認められる組合員によって決定されます。
本ガイドでは、SAS の設定方法を知りたい方向けに、この法的形態を選択し、そのメリットを最大化するための主要ステップをご案内します。
設立手続きに入る前に必要な準備
SAS を設立する前に、ビジネスプロジェクトの概要を決め、会社が遂行する主要業務を明確にする準備が重要です。携わるのが工芸活動または規制活動の場合、求められる研修や資格の要件 (特定の免許、素養、年齢、経済的保障など) を満たす必要があります。
SAS を設立する前に、起業に関連する税制状況を確認し、可能であれば政府公認の財政援助を受けることも検討してください。
SAS の設立手順
SAS は、以下に掲げる必須の手続きなしには立ち上げることはできません。
- 定款の起草
- 事業用銀行口座への資本金の入金
- フランスの官報または JAL (journal d'annonces légales) への会社設立通知の掲載
- 事業手続きポータルでのオンライン登録
以下は、SAS の設立手順を図解したものです。

定款の起草
SAS の設立は、会社の運営、組織、管理についてのルールを定義する文書である定款の起草から始まります。定款の規則は組合員がかなり自由に決定できることから、SAS は起業家の間で非常に選ばれている法的形態です。
SAS の定款には、少なくとも次の内容を盛り込む必要があります。
- 会社名
- 会社の法的形態 (SAS)
- 登録事業所の住所
- 会社の目的 (SAS が遂行する主な活動)
- 資本金の額および各株主の出資額 (現物及び現金)
- SAS の存続期間
定款には、多くの場合、社長の氏名や運営組織の意思決定規則も明記されます。
社名の選択
INPI が提供する無料検索ツール(l'institut national de la propriété industrielle)を使用して、選択した会社名を割り当てる前にその使用状況を確認する必要があります。一度登録されると、一意の企業名として国内全域で保護されます。
登録事業所の選択
SAS の住所地にはいくつかの選択肢があります。登録事業所は、社長の住居、ビジネスインキュベーター、集合住宅、または商業ビルに設置できます。
株式資本の払い込み
定款を作成したら、SAS の資本金を会社の事業用銀行口座に入金します。登録時に現金拠出金の半分を支払い、その後 5 年以内に残りの半分を支払います。
SAS の事業用銀行口座に利用する銀行は、重要な判断ポイントです。評判の良いフランスの銀行を参照する場合は、こちらの記事をお読みください。
現物出資の評価
現物出資が €30,000 を超え、資本金の半分以上を占める場合は、拠出監査人を任命する必要があります。
法人設立通知の掲載
SAS の事業用銀行口座に資本金を預け入れた後、JAL に法人設立通知を掲載する手続きへと移ります。これは、SAS の存在を第三者に知らせるための手続きです。
JAL に会社設立通知を掲載する際は、所定のフォームを使用して以下の情報を提供します。
- 会社名
- 頭字語 (該当する場合)
- 法的形態 (SAS)
- 会社の目的
- 定款に記載される資本金の額
- 存続期間
- 登録事業所の住所
- 社長 (および常務取締役) の氏名、住所
- 選任された監事の氏名、住所 (該当する場合)
- 総会参加条件および議決権行使条件
- 承認規定 (該当する場合)
- SAS が記載される登録簿
掲載の手続きを終えると、登録の証明となる法定公告の掲載証明書が発行されます。
ワンストップショップへの登録
SAS 設立の最終段階はオンラインで完結します。登記書類を必要な補足書類とともに事業手続きポータルに提出してください。
- 署名済みの定款
- 事業用銀行口座への資本金の預金証明書
- 法定公告の掲載証明書
- 社長の本人確認書類の写し
- 住所証明書
- 免許または資格の証明書類 (工芸活動または規制活動の場合)
- 会社代表者の宣言書
登録が完了すると、SAS の Kbis 妙本が届きます。この文書は、全国会社登記簿 (RNE) において会社の登記を証明し、その法的な存在を裏付けるものです。
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SAS の設立にかかる費用
SAS を設立するには相応のコストが伴います。あらかじめ、以下の費用がかかることを見積もっておきましょう。
- 定款の起草:弁護士に相談する場合 €1,500~€2,000、プラットフォームを使用する場合約 €200 (自分で起草する場合は €0)
- 拠出監査人の任命 (必要な場合):€500~€3,000
- _法定公告の掲載: _€193 (2024 年現在)
- _登記: _€37.45 (工芸活動に従事する場合は €15)
- _会社代表者の宣言書: _€21.41
- 事業所使用料:場所により変動
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。