Allensbach Institute for Public Opinion Research が、2022 年に Initiative Deutsche Zahlungssysteme e.V. の依頼で実施した代表的な調査によると、ドイツにおけるレジでの支払いでは、現金よりも girocard が使用されることが多くなっています。つまり、girocard (ドイツ銀行業委員会 (DK) のデビットカードシステム) は、ドイツで最も一般的な支払い方法であり、クレジットカードよりもはるかに広く普及しています。クレジットカードと girocard がどのように異なるのか、またそれぞれのカードを使用する合理的なタイミングと使用方法について説明します。
この記事の内容
- クレジットカードと girocard の主な相違点
- クレジットカードとは何ですか?
- girocard とは何ですか?
- クレジットカードと girocard の 9 つの相違点
- クレジットカードと girocard を使用する合理的なタイミング
クレジットカードと girocard の主な相違点
クレジットカードと girocard の共通点は、いずれもキャッシュレス決済のツールであり、非接触決済や現金の引き出しに使用できるという点です。一方で、クレジットカードは当座預金口座と別個に申し込むことができるの対し、girocard はドイツの商業銀行や貯蓄銀行が発行するもので、通常は、口座を開設すると自動的に発行されます。これは、girocard が必ず銀行口座に関連付けられるためです。
クレジットカードは世界中で使用できるという点でもドイツの girocard とは異なります。クレジットカードはオンラインおよびオフラインでのグローバルな支払いを可能にするものです。一方、シンプルな girocard は、ドイツ国内でのみ使用可能です。国外での支払いやオンライン決済に使用する場合、girocard に機能を追加する必要があります。つまり、girocard に Visa または Maestro の共同ブランドとセキュリティコード (CVV) を追加する必要があります。
売上処理においても違いがあります。girocard で行われた決済は関連する当座預金口座から直接引き落とされます。一方、クレジットカードによる購入の場合、支払いは、それぞれの月末、または次の月始めにクレジットカードの口座から一括で引き落とされます。
口座を開設する際、一般的に口座保有者はその口座と関連付けられた girocard を受け取ります。カードの使用に対して、発行銀行および貯蓄銀行から手数料が請求される場合があります。これらは金融機関によって異なります。クレジットカードの発行を希望する場合、多くのプロバイダーは、当座預金口座と合わせてクレジットカードを発行できます。クレジットカードは、完全に無料であるか、初年度会費が免除されることが多いようです。ただし、クレジットカードの初年度会費が免除されるプロバイダーの場合、その後の手数料は、手数料が最初から徴収されるプロバイダーよりも高額になることがあります。クレジットカードでは、ネットワーク外の ATM からの引き出しや、海外でのカード利用などで、追加の費用が発生する場合があります。
クレジットカードとは何ですか?
クレジットカードは、キャッシュレス決済のための支払いカードです。クレジットカードを提供するのは、クレジットカードの提供と発行を扱う機関です。クレジットカードを使用する場合は、申請する必要があります。クレジットカードの申請が承認され、受領および有効化されると、支払いや現金引き出しに世界中どこでも使用できるようになります。
クレジットカードの仕組み
その名前の通り、クレジットカードの提供者ならびに発行者は、カードを通じてカード所有者に信用を付与します。これは、クレジットカードに関連付けられた請求口座に現金残高がない場合でも、そのカードを使用して決済を実行できることを意味します。この請求口座は、参照口座とも呼ばれます。
クレジット (法的にはローン) での支払いは通常、短期間で処理されます。クレジットカードで 1 カ月の間に実行されたすべての支払いは、関連付けられた口座に集約されます。集約された合計金額は、月末または翌月初めに、カード利用者が指定した口座から引き落とされます。
クレジットとは何ですか?
クレジットとは、カードを提供および発行する機関がクレジットカード利用者に付与する後払い決済のことです。カード保有者が毎月使用できる限度額 (または与信限度額) は、個別に設定された与信限度額によって決定されます。
与信限度額が双方にもたらすメリット: 与信限度額に達するとカードはそれ以上使用できなくなるため、商業銀行または貯蓄銀行に対しては安全性を提供できます。また、カード保有者は使い過ぎないように守られます。また、クレジットカードが盗難に遭った場合も、限度額があれば、窃盗犯によるクレジットカードの悪用に制限をかけることができます。なおクレジットカードの不正使用が発生した場合、証明責任は商業銀行や貯蓄銀行にあります。
「信用付与型」と「非信用付与型」のクレジットカード、および 3 種類 (リボ払い、一括払い、プリペイド) の請求モデル
クレジットカードは、様々な請求モデルに対応しています。請求モデルによってカードには名前が付けられています。
リボ払いのクレジットカード: この請求モデルは現在、英米地域で多く使用されていますが、ドイツでもこのモデルを採用したクレジットカードが増加しています。カード利用者は、支払い期日に口座取引を通じて全額を払い込むか、分割払いを実行する必要があります。負債の未払い部分には利息が課され、その利息は高額になる場合があります。この請求モデルには、実際に付与されるクレジット (ローン) が含まれるため、これらのカードは「信用付与型」のクレジットカードとされています。
チャージ式クレジットカード: 一方、この課金モデルは「非信用付与型」です。ドイツにおけるほとんどのクレジットカードはこれに当たります。カード会社は、限定されたクレジットカード口座におけるクレジットカード取引を集約して、関連付けられた当座預金口座から毎月取引金額を引き落とします。
プリペイド式クレジットカード: この請求モデルも「非信用付与型」とされています。このカードに「実際の信用」は付与されていないからです。この「非信用付与型」のクレジットカードでは、使用前に任意の金額を「チャージ」する必要があります。まずカードに任意の金額を入金し、クレジット残高として利用できるようにする必要があります。カードで決済するたびに、毎回の決済金額の分だけクレジット残高が減少していきます。プリペイド機能は、例えば若年層のカード利用者にとってはメリットとなります。自分または保護者が事前にクレジットカード残高として前払いした金額を超えて使用することができないからです。
girocard とは何ですか?
girocard は、ドイツ銀行業界委員会 (DK) が 2007 年に導入したデビットカードシステムです。このカードは、Eurocheque カードに置き換わる形で導入されましたが、一般的には引き続き「EC カード」と呼ばれています。
girocard はドイツで最も利用されているキャッシュレス決済手段です。このカードは、当座預金口座開設時に商業銀行または貯蓄銀行から発行されます。カード保有者は、このカードをドイツ国内での支払いや引き出しに利用できます。海外で使用する場合は、国際決済を可能にする追加機能 (co-badge としても知られる) が必要になります。オンライン決済には、ドイツの商業銀行および貯蓄銀行の共通オンライン決済手続きである、giropay が利用できます。
girocard により、キャッシュレス決済が可能になり、さらに近距離無線通信 (NFC) 伝送規格を通じて、非接触でも使用可能になっています。利用された金額は、関連付けられた当座預金口座から直接引き落とされます。girocard により、ユーザーは実質的な財務管理が可能になります。スマートフォンやウェアラブルを利用すれば、アナログのプラスチック製 girocard をデジタル版としても使用できます。例えば、スマートウォッチやフィットネス用リストバンドなどを利用できます。
クレジットカードと girocard の 9 つの相違点
クレジットカードと girocard について、以下の 9 つの相違点を知っておくことは重要です。
普及率
普及率を考慮すれば、girocard はドイツにおける究極の銀行カードと言えます。Allensbach Institute の調査によると、回答者のほぼ半数 (48%) が前回の買い物の際に支払いは主にカードで行ったと述べています。一方 46% は現金で支払ったと回答しています。これは、実際の取引の支払い時に、カード払いが現金払いに徐々に置き換わり、最も一般的な支払い方法になりつつあることを示しています。
さらに、回答者の 58% が、カードで支払う場合、クレジットカードよりも girocard を好むと回答しています。一方、この調査によると、若年層や中間層では現金の使用はますます少なくなっており、50 ユーロ以下の金額でもカードの使用頻度が高くなっています。16 歳から 29 歳の若年層で、少額の支払いに現金を使用することを好むのは 34% に過ぎません。これは 2021 年の 47% からさらに低下しています。30 ~ 44 歳の場合、37% が少額の支払いに現金を使うことを引き続き好んでいます (2021 年には 51%)。
girocard の非接触機能は世代を超えて利用されています。60 歳以上の世代のほぼ半数 (49%) が現在、非接触での支払いを利用しています。若年層や中間層では、それぞれ 81% また 83% が非接触機能を利用しています。
受容性
その普及率の高さもあり、ドイツ連邦銀行 (Deutsche Bundesbank) の 2021 年の調査によれば、ドイツの人口の 82% が、キャッシュレス決済に girocard または他のデビットカードを好んで使用しています。決済時にクレジットカードを選ぶのは 11%、モバイル決済を好むのは 7% です。
ドイツ銀行業委員会 (DK) によると、girocard はドイツ全土の 90 万以上の支払い端末で利用可能です。また、Visa の「V-Pay」のような提携バッジ付きの girocard の場合、ドイツ国内のデビットカードを海外でも使用できます。
さらに、giropay または Apple Pay などの支払い方法を利用すれば、girocard を使用してドイツ国内でのオンライン決済を実行できます。一方、クレジットカードは、オフラインでもオンラインでも世界的に受け入れられている決済手段です。
カード発行会社
ドイツの当座預金口座保有者は、口座開設時に銀行から自動的に girocard を受け取ることになります。一部の当座預金口座の契約では、クレジットカードも提供されています。原則的には、口座を持っていなくても、カード会社にクレジットカードを申し込むことができます。
請求期間
クレジットカードで支払う場合、支払額の直接的な引き落としまでには時間差があります (クレジット機能)。クレジットカードの取引金額は、通常、月末または翌月初めのタイミングで、関連付けられた当座預金口座から引き落とされます。つまり、クレジットカードによる支払いに必要な流動性を準備するために、最長で 1 カ月の猶予があります。girocard またはデビットカードで支払う場合、支払い金額は、支払いと同時に関連付けられた当座預金口座から引き落とされます。
手数料およびコスト
商業銀行や貯蓄銀行によって異なりますが、girocard には以下の手数料がかかります。
- 口座利用料 (月額または年額)
- カード手数料
- オンラインバンキング手数料
- クレジット送金手数料
- 口座明細書作成手数料
- 現金引き出し手数料
顧客はクレジットカードの年会費を支払わなければならない場合が多く、さらに海外でのカード利用にも手数料がかかる可能性があります。
現金引き出し
ドイツの商業銀行や貯蓄銀行の顧客は、girocard を使用して、ATM から現金を引き出すことができます。ATM が銀行協会独自のネットワークに属している場合、通常は費用がかかりません。そうでない場合、大抵は出金手数料が発生します。クレジットカードの保有者は、カードの種類に応じ無料または有料で ATM から現金を引き出すことができます。
ドイツにおけるその他の現金自動預け払い機 (スーパーマーケット、ドラッグストア、ホームセンター、ガソリンスタンドの精算機など) の場合、一般的にクレジットカードは利用できませんが、girocard は利用可能であり、限度額までであれば制限なく現金を引き出すことができます。
セキュリティ技術
クレジットカードは、実際には最も安全な支払い手段の 1 つです。クレジットカードでは、最新の暗号化とセキュリティ技術が採用されており、決済時における高度なセキュリティが提供されています。クレジットカードの裏面にはセキュリティコードが印字されており、第三者による不正なオンライン決済のリスクが大幅に軽減されます。
一方、girocard の裏面にはそのようなコードはありません。支払いはカードと PIN (個人識別番号) で処理されます。
利息
当座預金の残高が不足した場合、銀行は個別に合意された当座貸越限度額の範囲内で資金を徴収します。当座貸越額には高い金利が課せられます。一方、クレジットカードはこのようなケースに対応できるように構築されており、カードの利用限度額内であれば、決められた返済日まで無利息で利用できます。ただし、クレジットカードの請求モデルをリボ払いにしている場合などは、支払い期日までに全額を支払わなければ利息が発生することがあります。
その他の特典
クレジットカード会社の顧客には、レンタカーや旅行のキャンセル保険などの特典が提供される場合があります。また、レンタカー、旅行、レストランなどの支払いにクレジットカードを利用すると、レストランの食事券やその他の割引などの特典を受けられることがあります。一方、girocard の顧客には、通常このようなサービスはありません。
クレジットカードと girocard を使用する合理的なタイミング
日常生活における支払い方法として、どちらを使用すべきでしょうか?また、どちらか一方が他方よりも合理的である状況がありますか?
ドイツでは、girocard がキャッシュレス決済用カードとして最も広く利用され、受け入れられています。当座預金口座に十分な資金があれば、制限なく利用できます。ただし、海外では girocard をプラスチックマネーとして使用することはできません。Visa の V-Pay や Mastercard の Maestro モデル (現在は廃止) のような国際決済を可能にする追加機能が必要になります。
オンラインでの買い物の場合、クレジットカードの有用性が証明されています。海外、特に EU 圏外では、クレジットカードは究極の決済カードです。クレジットカードを使用することで、最終的な負担を軽減できることが多いからです。海外での現金引き出しや支払いの際に、girocard を使用する方が負担が小さく見える場合もありますが、ATM 運営者により追加料金が請求されることがあります。
またクレジットカードは、決済の時点で当座預金残高が買い物に必要な額に足りていないものの、クレジットカードで認められる支払い猶予期間内に差額を用意できる見込みがある場合にも有効です。このモデルでは、収入に変動がある場合にも流動性を確保できるため、特に個人事業主に広く利用されています。また、通常より高額な負担が発生する当座貸越と比較すると、費用面でのメリットもあります。
それで結論としては、ドイツ国内では girocard を使うのが合理的ですが、それ以外の国ではクレジットカードの方が良いでしょう。
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