マイクロデポジットによる確認は、銀行口座の所有権を確認するための方法です。マイクロデポジットなどの確認方法により、金融サービスに銀行口座を接続しようとしている人物がその口座の正当な所有者であることが確認され、不正利用のリスクが軽減されます。2025 年の調査では、世界の消費者の 75% が 2 年前よりもサイバーセキュリティリスクの影響について懸念を強めていると回答しており、マイクロデポジットによる確認などのセキュリティ対策に対する需要の高さが浮き彫りになっています。
このガイドでは、マイクロデポジットによる確認の仕組みと、それをビジネスに導入する方法についてご説明します。
目次
- マイクロデポジットによる確認の仕組み
- マイクロデポジットによる確認を使用するメリット
- マイクロデポジットと代替の確認方法の比較
- マイクロデポジットによる確認を実装するためのステップバイステップガイド
- 確認プロセスのベストプラクティス
- Stripe でのマイクロデポジットによる確認の仕組み
- Stripe Payments の活用方法
マイクロデポジットによる確認の仕組み
ユーザーが銀行口座と金融サービス (たとえば、PayPal、投資プラットフォーム、ピアツーピア決済アプリ) の間に新しいリンクを設定すると、サービスは口座番号や金融番号などの銀行口座の詳細を入力するように求めます。サービスは銀行口座に 1 回または複数回の少額の入金 (通常はそれぞれ 1 ドル未満) を行います。ユーザーは自分の口座に 1 つまたは 2 つの少額の入金を受け取ることがあります。
マイクロデポジットがユーザーの口座に反映されるまでには通常 1 ~ 3 営業日かかりますが、正確なタイミングは金融機関と入金を開始するプラットフォームによって異なります。マイクロデポジットが口座に反映された後、ユーザーは銀行口座にログインし、入金された正確な金額を記録します。金融サービスのプラットフォームに戻り、それらの金額を入力して銀行口座にアクセスできることを確認します。入力した金額が入金額と一致すれば、確認は成功し、金融サービスはトランザクションのためにユーザーのアカウントを完全に有効化します。
金融サービスが合法的で信頼できるものであれば、マイクロデポジットの確認のために銀行口座をリンクすることは一般的に安全です。プロセス自体はセキュリティを念頭に置いて設計されており、口座番号と金融番号を共有することで、サービスは入金を開始し、最終的には引き落としを行うことができますが、パスワードが公開されたり、口座へのより広範なアクセスが許可されたりすることはありません。信頼できるプラットフォームはこのデータを暗号化し、銀行の規制と監視の対象となります。それでも、標準的な予防措置を講じる必要があります。口座の詳細を入力する前に公式プラットフォームにいることを確認し、リンク後に銀行口座を監視して想定されたトランザクションのみが表示されることを確認してください。
マイクロデポジットによる確認のメリット
マイクロデポジットによる口座確認では、銀行口座をリンクさせようとしている人物と口座の名義人が同一であることを確認することで、不正を防止することができます。また、本人確認 (KYC) やマネーロンダリング防止 (AML)のコンプライアンス要件を満たすのにも有益です。これ以外の確認方法と比較した場合のマイクロデポジットの長所としては次のようなものが挙げられます。
コスト: マイクロデポジットは、低コストでシンプルな確認方法です。
適用性: マイクロデポジットは、銀行の規模や技術的な能力に関係なく、送金を受け取ることができるほぼすべての銀行口座で使用できます。
ユーザーの信頼: マイクロデポジットの確認プロセスでは、使い慣れた手順を使用して顧客を確認プロセスに積極的に巻き込むことで、ユーザーの信頼を高めることができます。
プロセス: 個人情報の提出や信用調査をユーザーに求める他の確認方法とは異なり、マイクロデポジットによる確認は負担が少なく、顧客は銀行の取引明細を確認する以上の作業を行う必要がありません。
柔軟性: マイクロデポジットでは、アカウント所有者が特定の店舗にいる必要や、特定のデバイスを使用する必要はありません。オンラインバンキングやモバイルバンキングにアクセスできる場所であれば、どこでも確認を完了できます。
マイクロデポジットによる確認とその他の確認方法との比較
マイクロデポジットによる確認は、銀行口座の名義人を確認する方法の 1 つです。個々の確認方法はそれぞれ異なるニーズに対応しており、セキュリティ、速度、ユーザーの利便性、プライバシーといった点で、それぞれ長所と短所があります。どの方法を選択するかは、多くの場合、金融サービスとその顧客に固有の要件や優先事項によって決まります。
ここでは、マイクロデポジットによる確認とその他の確認方法とを比較してみましょう。
マイクロデポジット (少額振込)
金融サービスは、ユーザーの銀行口座に 1 回または複数回の少額の入金 (通常は 1 ドル未満) を行います。ユーザーは入金の正確な金額を確認し、口座の所有権を証明します。この方法は安全性が高く、幅広く適用可能であり、負担が少なく、手頃な価格です。ただし、入金がユーザーの口座に反映されるまでに 1 ~ 3 営業日かかる場合があり、ユーザーが口座を確認して金融サービスに金額を報告する操作が必要なため、一部の代替手段よりも時間がかかります。
ログイン認証情報による即時口座確認 (IAV)
この方法では、ユーザーが第三者機関にオンラインバンキングの認証情報を提供します。第三者機関がそれを使ってユーザーに代わってログインし、口座情報を即座に確認します。これは迅速で便利な方法ですが、ユーザーの中にはログイン情報の提供に躊躇する人がいる可能性があります。また、第三者機関が侵害されたときにセキュリティ上のリスクが発生する可能性があります。
銀行 API の統合
これは、API を通じて銀行と直接接続して口座情報や認証情報をリアルタイムに取得するというものです。これは迅速で非常に安全な方法で、詳細な口座情報も得られます。ただし、銀行側が API に対応している必要があり、利用できる銀行や地域が限られ、実装もやや複雑です。
事前承認済みまたは事前通知済みの小切手
ユーザーが自分自身または取引先宛てに小切手を記入し、その詳細 (小切手に記載されている銀行口座や ルーティング番号) が口座確認に利用されるという方法です。このプロセスのスピードは、その小切手の処理にかかる時間によって異なります。これは一部のユーザーにとっては馴染みのある方法ですが、電子的な方法と比べると時間がかかり、不正利用されやすくなっています。また、小切手の利用が少なくなってきたため時代遅れになってきました。
クレジットプル
ソフト・クレジットプルまたはハード・クレジットプルがあり、信用情報と口座情報が一致することを確認することで、金融情報および本人確認を行います。通常、これは即座、または 1 営業日以内に完了し、ユーザーの財務状況に関する包括的な情報を入手できます。しかしハードプルはユーザーのクレジットスコアに影響する可能性があり、プライバシーにに関する懸念も生じます。
マイクロデポジットによる確認を実施するための詳細ガイド
確認プロセスの手順は技術的環境、規制要件、事業者のビジネスニーズなどによって異なりますが、ここではマイクロデポジットによる確認の基本的な方法をご紹介します。
銀行口座情報の収集
ユーザーが銀行口座情報 (口座番号とルーティング番号) を記入するフォームを作成します。基本的な入力チェックを行い、口座番号とルーティング番号が正しい形式で記載されていることを確認します。そしてユーザーが受け取る見込みの取引数と金額について説明します。
マイクロデポジットの開始
決済代行業者または銀行の API を使用して、ユーザーの銀行口座への 2 回の少額の入金を開始します。これらのトランザクションには、その目的 (たとえば、「確認のための入金」) を示すラベルが明確に付けられていることを確認してください。ユーザーがマイクロデポジットをトリガーできる回数を制限するなど、悪用を防ぐためのセキュリティ対策を導入します。
ユーザーに通知
マイクロデポジットが開始されたら、メールまたは SMS でユーザーに通知し、入金が銀行口座に反映されるまでの想定される期間をお知らせします。
入金額の確認
ユーザーが口座に振り込まれたマイクロデポジットの金額を正確に入力できるフォームを作成します。安全性を高めるために、ユーザーが金額を入力できる回数に上限を設けましょう。
確認と有効化
ユーザーが振込金額を入力したら、アルゴリズムを使ってそれが送金した額と一致しているかを確認します。金額が一致していれば、確認されたことを通知してユーザーの口座を取引に利用できるようにします。金額が一致しない場合には、ユーザーに再試行の方法を連絡するか、マイクロデポジットに代わる確認方法を連絡します。
確認プロセスのベストプラクティス
次のベストプラクティスは、効果的な確認プロセスの構築に役立ちます。
ユーザー体験
シンプルなデザインを使用する: 確認プロセスは直感的でシンプルである必要があります。すべてのステップがナビゲートしやすいものでなければなりません。
ユーザーへのガイダンスを提供する: 詳細なユーザーガイドとよくあるご質問のページを作成し、ユーザーが確認プロセスや、問題が発生した場合に必要な手順を理解できるようにします。誤った入力やシステムエラーなどの一般的な問題について、役立つエラーメッセージを表示します。
ユーザーからのフィードバックを収集する: 確認プロセス中に即時のフィードバックを提供し、各ステップで何が起こっているかをユーザーが正確に把握できるようにします。特にプロセスに時間がかかる場合は、確認ステータスについて定期的にユーザーに更新情報を提供します。
グローバルなアクセシビリティ基準に準拠する: 確認インターフェイスが WCAG 2.1 などの確立されたガイドラインに従っていることを確認します。これには、視覚、運動、認知に障がいのあるユーザーが障壁なくプロセスを完了できるように、十分なカラーコントラスト、スクリーンリーダーの互換性、キーボードの操作性などの要件が含まれます。
モバイルフレンドリーな体験にする: レスポンシブデザイン、大きなタップターゲット、入金額などの数値入力の自動フォーマットを使用して、モバイルデバイス向けにプロセスを最適化します。これらの機能により、ユーザーは小さな画面で確認を簡単に完了できるようになります。
セキュリティ
ユーザーデータを保護する: 個人情報や銀行口座の詳細など、すべての機密データを安全に送信および保存します。
階層化されたセキュリティを追加する: 二要素認証 (2FA) を組み込み、機密性の高い操作のセキュリティレイヤーをさらに追加します。多くの場合、二要素認証では 4 桁または 6 桁の確認コードを別の識別情報に送信します。 (「6 桁の確認コードはどこで確認できますか?」と疑問に思ったことがあるかもしれませんが、通常はログインプロセス中にメールアドレス、電話番号、またはその他の識別情報に送信されます。)
データ規制を遵守する: ユーザーデータの取り扱いに影響を与える 一般データ保護規則 (GDPR) や カリフォルニア州消費者プライバシー法 (CCPA) などの規制を遵守します。コンプライアンスとトラブルシューティングの目的で、すべての確認の試行とトランザクションのログと監査証跡を保持します。
データの使用とプライバシーの慣行を明確に伝える: データの使用とデータ保護のポリシーについて透明性を保ち、ユーザーが簡単にアクセスできるようにします。
顧客サポート
複数のサポートチャネルを提供する: ライブチャット、電話、または詳細なよくあるご質問を通じて、ユーザーが必要なときにサポートを受けられるようにします。
サポートスタッフをトレーニングする: 確認プロセス中にユーザーをサポートできるように、サポートチームをトレーニングします。
明確な解決プロセスを提供する: ユーザーの信頼を高め、不満を軽減するために、わかりやすいトラブルシューティングの手順をユーザーに提供します。
ユーザーにオプションを提供する: さまざまな好みやニーズに合わせて、いくつかの確認方法を提供します。マイクロデポジットが適していない場合は、即時の銀行口座確認などのオプションを検討してください。
バックアッププランを用意する: プライマリオプションが適していない場合や利用できない場合に備えて、常に代替の方法を用意してください。
Stripe におけるマイクロデポジットによる確認の仕組み
マイクロデポジットによる確認は、Stripe が銀行口座確認に利用している方法の一つです。これはリスクの高い取引が含まれる場合や、即時確認のオプションが利用できない、または普及していない地域で特に役に立ちます。また、ACH 決済のための口座確認 にも頻繁に利用されています。ここではそのプロセスの仕組みをご紹介します。
ユーザーがアカウント情報を入力する: ユーザーは Stripe プラットフォームで銀行口座の詳細を入力します。これには通常、銀行口座番号と金融番号が含まれます。
ユーザーは Stripe が 2 回のマイクロデポジットを送信するのを待つ: ユーザーが銀行口座情報を送信すると、Stripe は銀行口座に 2 回の少額の入金を行います。通常はそれぞれ 1 ドル未満です。これらの入金は通常、1 ~ 3 営業日以内に処理されます。
ユーザーが入金額を確認する: ユーザーは、銀行のウェブサイト、アプリ、またはカード利用明細で銀行口座を確認し、Stripe が入金した正確な金額を確認します。ユーザーは Stripe ダッシュボードに戻り、Stripe が提供する確認フィールドに 2 つの入金額を入力します。
Stripe が支払いのために銀行口座を有効にする: ユーザーが入力した金額がマイクロデポジットと一致することを確認した後、Stripe は銀行口座を確認します。ユーザーは、この銀行口座を使用して ACH トランザクションを処理できるようになります。
エラー処理: 入力した金額がマイクロデポジットと一致しない場合、追加のセキュリティ対策が必要になるまでに、ユーザーが正しい金額を入力できる回数には制限があります。
フォールバックオプション: マイクロデポジットの確認が失敗した場合や利用できない場合、Stripe はサードパーティサービスを通じて銀行のログイン認証情報を使用する即時口座確認などの代替の確認方法を提供する場合があります。
Stripe Payments の活用方法
Stripe Payments は、成長段階のスタートアップからグローバル企業まで、あらゆるビジネスのオンライン、対面、世界各地での決済受付を支援する、統合型のグローバル決済ソリューションです。
Stripe Payments でできることは次のとおりです。
- 決済体験の最適化: 事前構築済みの決済 UI、125 種類以上の決済手段へのアクセス、Stripe が開発したウォレット Link により、スムーズな顧客体験を実現し、エンジニアリング工数を何千時間も節約できます。
- 新市場への迅速な展開: 195 カ国、135 種類以上の通貨に対応した越境決済オプションにより、世界中の顧客にリーチし、複数通貨の管理にかかる複雑さとコストを軽減できます。
- 対面とオンラインの決済を統合: オンラインと対面のチャネル全体でユニファイドコマース体験を構築し、顧客とのやり取りをパーソナライズし、ロイヤルティを向上させ、収入を拡大できます。
- 決済パフォーマンスの向上: ノーコードの不正利用対策や承認率を向上させる高度な機能など、カスタマイズ可能で設定が簡単な決済ツールにより、収入を増やせます。
- 柔軟で信頼性の高いプラットフォームで迅速に成長: 過去の稼働率 99.999% と業界トップクラスの信頼性を備え、事業の成長に合わせて拡張できるプラットフォーム上で構築できます。
Stripe Payments を使ってオンラインおよび対面決済を強化する方法の詳細をご覧いただくか、今すぐ利用を始めてください。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。