近年、日本の小売業界における DX (デジタルトランスフォーメーション) の進展に伴い、ネットショッピングがより一般的になりました。また、タイムパフォーマンス (タイパ) を重視する消費者が増えたことで、EC サイトでの定期購入サービスもこれまで以上に浸透しています。
定期購入は、事業者にとって収益の安定化と顧客との良好な関係維持を両立させる重要な手法として注目を集めています。
本記事では、定期購入の基礎知識から、定期購入サービスの需要が高まる背景、メリットやデメリット、必要な機能までをわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 一度登録するだけで定期的に商品が届く定期購入は、食品や日用品などで広く利用されている
- 定期購入は健康食品を取り扱う D2C 業界で特に注目されている
- 定期購入には購入者・事業者双方にとってさまざまなメリットがある一方、デメリットにも注意が必要
- 定期購入サービスを提供するには、継続課金に対応したシステムの導入が不可欠
- Stripe Billing なら、月額課金の設定や複数プランの作成など、定期購入サービスの運用に関わる業務全般をスムーズに行うことが可能
定期購入とは?
定期購入とは、毎週、毎月など一定の期間ごとに特定の商品が自動的に届けられるサービス形態です。顧客は一度定期購入サービスに申し込めば、その都度購入手続きを行わなくても、注文から決済までが毎回自動で処理されるようになります。
定期購入は、日常的に消費するサプリメントや化粧品、食品、洗剤などの消耗品を中心に、幅広い分野で採用されており、多忙な日々を送る私たちにとって欠かせない購買手段となっています。
サブスクとの違い
一般的にサブスク (サブスクリプション)は、サービスを使用する期間に対して料金を支払うビジネスモデルです。たとえば、映画や TV 番組などのデジタルコンテンツ配信サービスの場合、毎月の定額利用料を支払うだけで回数に制限なく好きなだけコンテンツを視聴することができます。
一方、定期購入は、特定の商品の定期的な受け取り、すなわち物品の売買契約としての側面が強いのが特徴です。
つまり、定期購入が「モノ」の購入・所有を目的とするのに対し、サブスクは「コト (サービス)」を体験・利用する権利に主眼を置いている点が、両者の本質的な違いです。
区分との違い
頒布会 (はんぷかい) とは、事業者側の専門的な知見をもとに、毎回異なる商品が顧客に届けられるビジネスモデルを指します。たとえば、「旬の果物・野菜」や「今月のおすすめワイン」のように、「今回はどのような品物が届くのか」というサプライズ感やワクワク感を楽しめるのが頒布会の最大の魅力です。
そのため、同じ商品を繰り返し受け取る定期購入と、新たな発見 or 出会いという体験価値を提供する頒布会では、目的や顧客体験が大きく異なります。
日本で定期購入の需要が高まる背景
日本の EC 市場は年々成長しています。経済産業省の資料によると、2024 年の日本国内における消費者向け電子商取引の市場規模は 26.1 兆円で、前年の 24.8 兆円に比べると 5.1% 拡大しています。
また、人々の購買行動が多様化し、利便性が重視される現代においては、EC サイトでの定期購入の需要はこれまで以上に高まっています。
これはコロナ禍を経て、ネットショップが生活インフラとして定着したことが背景にあります。生活必需品などの買い物において、消費者は店頭で商品を「探す・購入する・持ち帰る」という手間を省き、より簡単に商品を入手できる合理性を強く求めるようになりました。
定期購入サービスは、こうした消費者ニーズに対し、極めて高い親和性を持っているため、生活の効率化を実現したいと考える層から重宝されているのです。
D2C 業界で注目を集める健康食品
メーカーが仲介業者を介さず消費者に直接商品を販売する D2C (Direct-to-Consumer) ビジネスでは、定期購入サービスの導入が特に活発で、顧客との長期的な関係構築と顧客生涯価値 (CLV) を最大化するために必要な収益構造として、多くの企業が採用しています。
なお、D2C 企業の間で特に注目を集めているのが、健康食品の分野です。サプリメントのように継続的に摂取することで効果が期待できる健康食品は定期購入との相性が良く、「信頼できるメーカーから製品を直接購入したい」と考え、品質や販売ルートにこだわりを持つ顧客から支持されています。
定期購入のメリット
定期購入は、購入者と事業者の双方に以下のようなメリットをもたらします。
購入者のメリット
- その都度注文する手間が省ける
- 買い忘れによるストレスから解放される
- 適切なタイミングで確実に入手できる
- 通常よりも割安な価格で購入できる
- 送料無料などの特典を適用できる
事業者側のメリット
- 継続課金による安定した収益が見込める
- 長期にわたって蓄積されたデータによって精度の高い売上予測が可能
- 定期アンケートの実施によって消費者ニーズを把握でき、マーケティング戦略に活用できる
- 顧客との長期的な関係構築によってブランドロイヤルティが向上する
- 必要な在庫数を予想しやすい
- 単発購入の顧客よりも注文内容を把握しやすいため、トラブルの際にも適切なサポートを提供できる
定期購入のデメリット
定期購入には多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。ここでは、購入者、事業者双方の主なデメリットについて見てみましょう。
購入者のデメリット
- 商品が不要になった場合、解約手続きが必要
- 解約しない限り継続的な支出となるため、家計を圧迫する恐れがある
- 商品を使い切る前に同じ商品が届き、余らせてしまうリスクがある
事業者のデメリット
- 他の商品に対し顧客の関心が薄れる可能性がある
- 注文商品が固定化されると安定した収益を得られる一方、新商品開発や品質向上の取り組みが停滞し、商品ラインナップがマンネリ化するリスクがある (現状維持バイアス)
- 定期購入サービスの提供が停止しないよう、安全性が高く決済トラブルなどに柔軟に対応できるシステムが必須
定期購入における解約 (チャーン) への対策
ビジネスの成長を実現するには、チャーンレートをいかに最小限に抑えるかが重要です。このセクションでは、顧客の解約を防ぎ、CLV を向上させるための具体的な対策について説明します。
解約理由を理解する
顧客が定期購入を解約する主な理由は、以下の通りです。
- 期待していた効果や満足感を得られなかった
対策例: 正しい使用方法の明記、効果チェックシートの提供、効果を感じた顧客レビューの表記など - ライフスタイルが変化したため商品が不要になり、自宅にたくさん余っている
対策例: 休会や配送頻度調整の提案など - 価格が高いため継続利用できない
対策例: 定期購入専用価格での提供、価格に見合う品質向上・価値提供、商品の特徴・品質の明記など
このように、まずは解約理由を明確にし、それぞれに対するマーケティング戦略を立てることから始めましょう。
「意図しない解約」に備える
決済に関連した「意図しない解約 (インボランタリーチャーン)」に備えることも大切です。たとえば、クレジットカードの有効期限切れや残高不足による決済エラーは、顧客の意思に関係なく発生する、意図しない解約の最大要因です。したがって、これを防止するには決済失敗時の顧客通知機能や、自動再決済 (リトライ) 機能を備えた決済システムを導入しておく必要があります。
したがって、これを防止するには決済失敗時の顧客通知機能や、自動再決済 (リトライ) 機能を備えた決済システムを導入しておく必要があります。
定期購入サービスに必要な機能
スムーズで安全なサイト環境の提供は、顧客の信頼に直結し、ビジネスの成功を左右する鍵となります。ここでは、定期購入サービスを開始するために必要な機能を紹介します。
継続課金システム
事業者が自社 EC サイトで定期購入サービスを提供するには、継続課金に対応した決済システムを導入する必要があります。具体的には、システムを選定する際、週次や月次といった基本サイクルだけでなく、「10 日ごと」や「2 週間ごと」などの変則的な請求スケジュールにも柔軟に対応できるものを検討することをおすすめします。
また、先ほど解説した決済失敗時のリトライ機能や顧客への自動通知機能が継続課金システムに備わっていることも、定期購入サービスを提供するうえで非常に重要です。
セルフサービスポータル
顧客が配送頻度の変更や配送の一時停止を自ら行える「セルフサービスポータル」の提供も、顧客維持を強化するための重要要素です。
このようなサイト環境の充実は、顧客体験の向上をもたらし、強固な信頼関係を築くための基盤となります。
データ分析機能
定期購入サービスを継続的に改善していくうえでは、顧客の購入履歴や行動データの分析機能も欠かせません。これにより、顧客の属性や利用期間、購買行動などに応じてパーソナライズされた提案が可能となります。
Stripe Billing でできること
Stripe Billing は請求および顧客管理のためのプロダクトです。シンプルな継続請求から従量課金、商談による契約への対応まで、貴社のニーズに合わせた請求管理や顧客管理を実現します。コーディング不要で、グローバルな継続課金をわずか数分で開始できます。API を活用した独自システムの構築も可能です。
Stripe Billing の特徴
柔軟な料金体系: 従量課金、段階制料金、定額料金および超過料金など、あらゆる料金体系モデルを用意して、ユーザーのニーズにすばやく対応。クーポン、無料トライアル、日割り計算、その他の拡張機能も含まれます。
グローバル展開: 顧客が希望する決済手段に対応し、購入完了率を向上。Stripe は 100 を超える地域固有の決済手段と 130 種類以上の通貨をサポートしています。
売上を伸ばし解約を防止: Smart Retries と回収ワークフローの自動化で、支払い回収を効率化し、意図しない解約を減らします。Stripe のリカバリツールは、2024 年に 65 億ドル以上の支払い回収をサポートしました。
業務効率の向上: Stripe のモジュール型税務管理、収益レポート、データツールを活用して複数の収益管理システムを 1 カ所に統合。外部のソフトウェアとも簡単に連携できます。
Stripe Billing について詳しくは こちらをご覧ください。今すぐ 開始する場合はこちら。
定期購入に関するよくある質問
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。