発起人と登録代理人:企業が把握しておくべき違い

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  1. はじめに
  2. 発起人とは?
  3. 登録代理人とは?
  4. 発起人と登録代理人の違い
    1. 発起人
    2. 登録代理人
  5. 発起人と登録代理人は同一人物か?
  6. 登録代理人の選定ミスによる法的リスク
  7. 会社に適した登録代理人の選び方
  8. 創業者は発起人 / 登録代理人になれるか?
    1. メリット
    2. デメリット

事業を立ち上げることはつまり、数多くの決断を下していくことにもつながりますが、その始まりとして、発起人と登録代理人の役割の違いを理解する必要があります。発起人は、有限責任会社 (LLC) を正式に設立するための設立書類を州に提出します。一方、登録代理人は公的機関向けの窓口として機能し、法的文書や行政通知を処理します。アメリカの中小企業の約 43% は LLC として運営されており、この違いを知ることは法律を遵守していく上でも重要です。

以下では、各人の責任を細分化し、事業形成プロセスにおいて彼らが必要になる理由を解説します。

本記事の内容

  • 発起人とは?
  • 登録代理人とは?
  • 発起人と登録代理人の違い
  • 発起人と登録代理人は同一人物か?
  • 登録代理人の選定ミスによる法的リスク
  • 会社に適した登録代理人の選び方
  • 創業者は発起人 / 登録代理人になれるか?

発起人とは?

発起人とは、LLC を設立するための正式な手続きを処理する個人または組織を指します。彼らは通常、会社の定款を州に提出して LLC の設立を手伝います。

発起人は LLC の出資者 (「メンバー」) になることができますが、必須ではありません。LLC は、弁護士または事業形成サービスを発起人の代わりとして利用することもできます。書類が提出され、承認されると、発起人の仕事は通常ここで完了し、LLC の管理は経営契約に従って、メンバーまたはマネージャーに引き継がれます。

登録代理人とは?

登録代理人は、会社を代表して法的文書および重要な行政通知 (納税申告書、召喚令状、年次報告書など) を受け取るように指定された個人または企業を指します。アメリカのほとんどの LLC および株式会社は、登録代理人を雇うことを義務付けられています。

登録代理人は、会社が登録されている州に私書箱ではなく物理的な住所を持ち、通常の営業時間内に業務を行っている必要があります。このような規定があるため、会社は法的措置に巻き込まれたり、公的な理由で州から連絡が来た場合でも、登録代理人に通知の処理を任せることができます。

発起人と登録代理人の違い

発起人と登録代理人は、事業の立ち上げおよび運営面において明確な役割を果たします。発起人は会社の設立手続きを担当し、登録代理人は会社の運営が続く限り、会社と州を法的に結びつけるための信頼できる窓口となります。以下で、それぞれの役割の違いを詳しく見てみましょう。

発起人

会社は、発起人によって正式に立ち上げられます。彼らの役割は、LLC を設立するために州に公的書類を提出することです。LLC が法的に設立されると、通常、発起人の仕事はそこで完了します。発起人となるのは、出資者、弁護士、または事業形成サービスであったりします。しかし、会社内で別の役割を有していない限り、事業上の責任や会社の運営方針について発言する権利はありません。

登録代理人

登録代理人は、公式文書や法的通知を処理する、会社の永続的な連絡窓口として機能します。また、会社が登録されている州に住所を持つため、営業時間内にこれらの書類を受け取ることができます。登録代理人が日常業務に関与する必要性はまったくありません。実際、特に複数の州で事業を展開する場合、多くの企業がサードパーティーの登録代理人サービスを利用しています。

発起人と登録代理人は同一人物か?

発起人と登録代理人は、両方の役割の要件を満たしていれば、同一人物または同一法人であっても問題ありません。この仕組みは、中小企業やシングルメンバー LLC ではかなり一般的です。大企業や複数の州で事業を展開している企業では、通常、これらの役割を分担されています。

発起人と登録代理人を同一人物にすることが理にかなっているのは、次のようなケースです。

  • 中小企業の場合、1 人で両方の役割を担うのは比較的容易なため、経営者が設立手続きとコンプライアンス業務を担当したりします。事業の立ち上げ時でも登録代理人としての役割を維持したまま、発起人として作業できます。このように役割を兼任する場合、特に会社が 1 つの州のみで運営されている場合には、シンプルに物事を進められます。

  • 経営者によっては、州からの公的通知または法的事項を直接受け取りたいと考える人もいます。発起人と登録代理人の両方として行動することで、設立手続きから日常のコンプライアンス業務まで個人的に関与し続けることができます。

  • 事務費用を削減したい企業にとって、同一人物に役割を兼務させることは費用対効果の高い手段となります。会社が所在する州に発起人が永続的かつ物理的な住所を持ち、かつ会社の営業時間内に業務を行っている場合、サードパーティーの登録代理人サービスを雇う必要性はほとんどありません。

登録代理人の選定ミスによる法的リスク

登録代理人の選択を誤ると、会社に深刻な問題をもたらしかねません。生じる問題の例としては、以下のようなものがあります。

  • 法的通知の見落とし:登録代理人の主な仕事には、訴状や召喚令状といった法的文書の受領が含まれます。代理人がこれらを即時に処理しなかった場合、会社は重要な期日を逃してしまう可能性さえあります。このような事情があっても、客観的には、会社が対応する必要があることに気づいていなかったという理由で処理され、会社に対して債務不履行の判決やその他の法的決定が下されます。

  • 納税通知書や法的通知の見落とし:登録代理人には、税務書類や州税申告に関する通知を受け取る責任があります。これらの書類の到着を見落とすと、提出期限を逃してしまうだけでなく、罰金が科せられたり、州からの信頼を失ったりすることにもつながりかねません。また、申告漏れの修正にはコストも時間もかかります。

  • 州の要件への違反:各州には、登録代理人に関する特定の規則が設けられています。代理人は、州内に住所を有し、通常の営業時間内に対応できることを義務付けられています。これらの要件を満たしていなかった場合、その法令違反の責任は会社が負うことになり、罰則が科せられたり、最悪の場合、州が行政的に解散を命じることもあります。

  • プライバシーとセキュリティに関するリスク:守秘義務やセキュリティ対策が徹底されていない登録代理人を選ぶと、機密文書が危険にさらされるおそれがあります。ずさんな代理人は、重要な通知書を誤って処理したり、置き忘れたりする可能性があり、これが機密情報の漏洩やセキュリティ上の問題へとつながります。

  • 風評被害:顧客やパートナーが、会社に法令違反や法的な問題があることに気付いた場合、会社の信頼性が損なわれる可能性があります。登録代理人の選定ミスが引き起こす一連の問題は、より信頼できる企業に乗り換えるきっかけを顧客に与えてしまいます。

会社に適した登録代理人の選び方

適切な登録代理人を選択することで、会社の法令遵守、組織化、法的保護が徹底されます。代理人を選ぶ上で考慮すべき要素として、以下のようなものが挙げられます。

  • 信頼性・対応可能性:登録代理人は、重要な書類を受け取らなければならないため、通常の営業時間内に対応できる必要があります。実績のあるサービスや人を選び、必要なときに確実に対応することを約束してもらいましょう。

  • 応答性:優れた登録代理人は、書類を受け取るだけで終わりません。書類を受け取った後も、迅速かつ効率的に処理します。スピーディーで確実な対応を心がけている代理人を探してみましょう。多くの代理人は、オンラインダッシュボードやメールアラートのサービスを提供しています。これらを使用することで、書類の整理や閲覧が容易になります。

  • 住所:登録代理人は、会社が運営されている州に住所を持つ必要があります (私書箱は認められていません)。会社が複数の州で運営されている場合は、全国的な登録代理人サービスを利用することをお勧めします。通常、1 つの組織を通してすべての場所を管理してくれます。同様に、会社が州全体にオフィスを構えることを計画している場合も、会社の成長に合わせつつ業務をシンプルにしてくれることでしょう。

  • プライバシー基準:別の勤務先住所を持つ登録代理人を利用すると、経営者または会社の住所を公的記録に残さないようにすることができます。これは、自宅を事務所にしているような場合に特に役立ちます。

  • 経験・評判:確かな経験と評判を持つ代理人を選ぶようにしましょう。長年の実績がある登録代理人サービスは、法令や州が求める要件を詳細まで理解しているため、ミスを犯す可能性も低いです。レビューを参考にしながら、信頼できる代理人を探してください。

  • 追加サービス:多くの登録代理人サービスは、年次報告書、是正勧告、文書管理システムなどの追加サービスを提供しています。これらのサービスは、会社が成長し、さまざまな州間で法令遵守を維持するためのサポートが必要になった場合に、特に価値を発揮します。

  • コスト:手頃な価格と信頼性のバランスが取れたサービスを探してください。実績を持つ代理人の多くは、手頃な価格のプランを提供しているだけでなく、組織的かつタイムリーに書類を処理してくれます。

創業者は発起人 / 登録代理人になれるか?

はい、LLC では発起人と登録代理人の両方になることができます。中小企業の経営者は、早い段階から両方の役割を担っているケースが多いです。この選択が自分にとって正しいかどうかを判断してもらうために、メリットとデメリットの内訳を以下にまとめています。

メリット

  • 経営者本人が発起人および登録代理人として機能するということは即ち、これらの責任を処理するサードパーティーのサービスに手数料を支払う必要がないことを意味します。予算が限られているスタートアップや中小企業にとっては、簡単なコスト削減方法になります。

  • 両方の役割を自分で処理する場合は、申請プロセス、法的文書、公的通知を完全に管理下に置けるため、全体の流れが見通しやすくなります。またサードパーティーとのやり取りを介さないので、シンプルに物事が伝わります。

  • 経営者が登録代理人になった場合は、すべての法的通知、納税申告書、その他の重要な書類を直接受け取ることになります。そのため、問題を即座に把握し、他社とのやり取りをはさむことなく迅速に書類を処理できます。

デメリット

  • 登録代理人の住所は公に掲載されるため、自宅の住所を使用するとプライバシーが犠牲になる可能性があります。記録を通して誰でも個人住所を閲覧できてしまうことから、在宅ビジネスを営む場合は欠点になります。

  • 登録代理人は、通常営業時間に指定の住所に常駐することを義務付けられています。アポイントメントで頻繁に外出する場合や、オフィスの場所が定まっていない場合は、重要な配達物を見逃す可能性があるため、この要件をクリアするのは困難です。

  • 会社で複数の役割をこなしている場合に代理人の業務まで自分で管理するようになると、重要な書類を誤って見落としたり、紛失したりするリスクが生じます。法的通知に見過ごしがあった場合、債務不履行の判決やその他の罰則につながりかねません。

  • 登録代理人と発起人の両方として行動する場合、中小企業の経営者にとっては管理上のメリットが多くあります。しかし、会社が拡大するにつれ、複数の州での登録が必要になった場合、管理も複雑になることが予想されます。このように、異なる地域にまで事業を展開・維持することを計画しているような場合には、サードパーティーの登録代理人サービスを利用すると、コンプライアンス面での負担を軽減できます。

  • 成長中の企業や、知名度の高い顧客や投資家を抱える企業にとって、個人情報を会社に関連付けることは理想的な選択肢ではないかもしれません。個人と会社の分離を適切に保つためにも、実績のある登録代理人サービスを利用することをお勧めします。

この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。

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