ペンシルベニア州には商業と発明の長い歴史があります。古くはアメリカ建国に貢献し、最近では数々の活気あふれる 技術系スタートアップ企業 や小規模企業が登場しています。これらの企業は今日ペンシルベニア州を故郷と呼んでいます。同州のフィラデルフィア、ピッツバーグといった主要都市には、活力あるビジネスコミュニティができています。2023年、ペンシルベニア州は米国で 6番目にGDPが大きい州 になりました。同州では農業ベンチャーのための農場から、ブティックやレストランが展開する風光明媚な街まで、あらゆるものを提供する地域が増えています。こうした多様性のある地域が起業家を歓迎する環境を作り出しているのです。
ここでは、ペンシルベニア州で事業を始める方法について、必要な書類や税務手続きからどのような報奨金があるかまで、ご説明します。ぜひ理解しておきましょう。
この記事の内容
- なぜペンシルベニア州で事業を始めるのか?
- ペンシルベニア州で事業登録をする方法
- ペンシルベニア州の事業者はどのような税金を検討する必要がありますか?
- 事業に必要な許認可にはどのようなものがありますか?
- ペンシルベニア州で利用できる起業家向けリソースにはどのようなものがありますか?
- Stripe Atlas でできること
ペンシルベニア州でビジネスを始める理由
ペンシルベニア州の多様な社会的・経済的環境は、あらゆる種類のベンチャーのための需要があることを意味します。最初に小規模な在宅ビジネスを立ち上げ、後々、州全体に事業を拡大していくこともここでは可能です。州政府は、新しいプロジェクトを誘致する方法を模索し続けています。
ペンシルベニア州の人口は 1,300 万人以上と堅調であり、企業にとって健全な市場が形成されています。ペンシルベニア州観光局の報告によると、2022 年の同州への訪問者数は 1 億 9,240 万人で、2021 年から 1,200 万人以上の増加となりました。観光客は、史跡や自然保養地、あるいはその中間的な場所を求めてペンシルベニアを訪れています。そして、ペンシルベニア州のベンチャーは、州内外にあるそれらの資源を余すことなく活用できます。
起業家たちがペンシルベニア州でビジネスを始めることを決めた理由を、下記にいくつかご紹介しましょう。
場所の優位性:ペンシルベニア州は中部大西洋岸地域の中心部に位置し、ニューヨークやワシントン D.C. などの主要都市からも近い距離にあります。複数の輸送ルートを利用できることから、企業は輸送や物流の負担を抑えることができます。
業種の多様性:ペンシルベニア州の経済は、ヘルスケア、教育、製造、テクノロジー、ホスピタリティなどのセクターで構成されます。ピッツバーグはテクノロジーセクターが活発であり、今日ではソフトウェア開発、AI 研究、ロボティクス分野のハブ都市と化しています。一方、フィラデルフィアはライフサイエンス、医薬品、金融サービス分野におけるハブ都市に位置づけられています。
労働力と人材:主要大学 (ペンシルベニア大学、ペンシルベニア州立大学、カーネギーメロン大学など) は、多くの専門家を擁しています。そのため、専門的なスキルセットを持つ人材を必要とする企業にとっては、心強いリソースとなります。ペンシルベニア州では、コミュニティカレッジやトレーニングプログラムも普及しており、技術者やサービス業従事者の支援に力が入れられています。
企業支援ネットワーク:多くの郡に中小企業育成センター (SBDC) があり、商工会議所も起業家をメンターやリソースにつなぐ手助けをしています。
ペンシルベニア州で事業を登録する方法
他のすべての州と同様、ペンシルベニア州には事業登録と事業運営に関する特定の法的要件が設けられています。ペンシルベニア州では、事業登録に必要な情報のほとんどが国務省のウェブサイトに集約されているため、新規事業主が簡単に事業を登録できる仕組みになっています。ペンシルベニア州で会社を設立し、事業を開始するために必要なステップは次のとおりです。
会社形態の選択
まず、会社形態を選択し、事業登録を行う必要があります。会計士や弁護士に相談すれば、今後の計画に適した形態を推薦してくれるでしょう。会社形態には以下の種類があります。
個人事業主:一人の個人が会社を所有します。この形態は、事業の運営が一人で事足りる場合に適しています。会社名に事業主の氏名を使用している場合、州に正式に登録する必要はありません。
組合:2 人以上の組合員によって会社の所有権が共有されます。組合は、事業への責任と関与の程度に応じて、無限責任組合または有限責任組合に分かれます。ペンシルベニア州国務省に事業を登録する必要があり、会社形態が有限責任組合または有限責任事業組合になる場合は、正式な組合契約が必要になることがあります。
有限責任会社 (LLC):この会社形態では、所有者に個人責任保護が保障され、パススルー課税の適用が認められます。会社を登録するには、国務省に法人証明書を提出しなければなりません。
株式会社 (C 株式会社または S 株式会社):これは形式式な取り決めによって設立される会社形態であり、投資家を惹きつけるのに適しています。株式会社として登録するには、会社設立の定款を提出し、特定の会社設立手続きに従う必要があります。たとえば、内規を作成したり、年次株主総会を開催することが要件として求められます。
国務省の電子申告システムは、多くの場合、正式な事業登録を行う上で最短の手続き方法となり得ます。オンラインでフォームの提出と手数料の支払いが行えるため、紙のフォームよりも迅速な手続きが可能です。
会社名の登録
事業主の氏名ではなくブランド名を使用する場合は、「商号」(屋号とも呼ばれる) を登録する必要があります。これらの名称はペンシルベニア州国務局に登録する必要がありますが、その前に、会社名が使用可能かどうかを確認しなければなりません。LLC および株式会社は、既存の会社名を使用することは許可されていません。ペンシルベニア州に登録済みの別の事業体が使用予定の名前を使用しているかどうかは、オンラインデータベースで確認できます。また、商標登録する予定が今後ある場合は、連邦政府のデータベースも確認しておくことをお勧めします。
個人事業主として自分の名前で事業を行っている場合は、このステップをスキップできます。
連邦雇用者識別番号 (EIN) の取得
EIN を取得しておくと、ほぼすべての会社形態においてそのメリットを享受できます。EIN は、内国歳入庁 (IRS) が事業体を識別するために使用する 9 桁の番号です。従業員を雇用したり、事業用銀行口座を開設したりする予定がある場合、EIN が必要になります。EIN は、IRS の公式サイトから無料で申請することができます。
ペンシルベニア州での税務登録
商品の販売を目的とする事業は、売上税の登録証が必要になります。また、従業員がいる場合は、源泉徴収税と失業補償税を登録する必要があります。Form PA-100 (ペンシルベニア州の会社登録) を利用すれば、これらの登録を電子的に完了できます。
州・地方のその他のライセンスの取得
業種によっては、事業を行うのにペンシルベニア州の特定の理事会または委員会からの承認が必要になる場合があります。たとえば、レストランの場合は保健所からの承認が必要であり、特定専門サービスの場合はペンシルベニア州専門職業局からの開業認可が必要です。さらに自治区、町、郡でも、追加の認可やゾーニング許可が必要になる場合もあります。後で思わぬ制限に悩まされることのないよう、お住まいの地域の自治体に要件をよく確認しておきましょう。
ペンシルベニア州の企業が考慮すべき税金
税金は、事業を運営する上で特に悩まされる要素の 1 つであり、特に初めて税務を行う創業者にとってはなおさらです。また、会社が従うべきルールも、販売商品、会社形態、従業員の雇用状況などの条件によって異なります。ペンシルベニア州の税金はそれぞれ微妙な違いがあったりするため、以下で内容を確認しておくことをお勧めします。
州所得税
個人所得税:個人事業主の場合、または S 株式会社や LLC などのパススルー事業体である場合、利益の取り分に対してペンシルベニア州の個人所得税が課される可能性があります。ペンシルベニア州の個人所得税率は定額であるため、他の州の累進税率と比較して計算方法が簡素化されています。
法人所得税:会社が C 株式会社として登録されている場合は、法人所得税を納税する義務があります。ペンシルベニア州の法人所得税率は 7.99% に設定されています。
売上税および使用税
商品 (および特定のサービス) を販売する場合、州売上税を徴収して納付しなければなりません。ペンシルベニア州の一般的な州税率は 6% ですが、フィラデルフィアやアレゲニー郡などの地域では、この税率に上乗せする形で地方売上税率が加算されます。実店舗がなくても、ペンシルベニア州の居住者と取引しているオンラインストア等を有している場合は、売上税の徴収を義務付けられる可能性があります。
地方税
ペンシルベニア州の地方税にはさまざまな地方所得税が含まれ、さらに一部の自治体では事業特権税が課されたりもします。通常は少額ですが、従業員 1 人につき地方サービス税が課される場合もあります。地域によってこれらの内容は異なるため、店舗を構える市や郡の税金はあらかじめ調べておきましょう。
失業税
従業員を雇用している場合は、失業税を州に支払う必要があります。会社の経営評価によって税率は変動します。失業税は、労働産業省の公式サイトからオンラインで申告可能です。
給与税
雇用主は、従業員の賃金からペンシルベニア州の個人所得税を源泉徴収する義務があります。源泉徴収した金額を州に納付するとともに、申告書を定期的に提出しなければなりません。
事業に必要な許認可
ペンシルベニア州で求められる許認可要件は、販売する商品や提供するサービスに大きく依存します。現地の基本的な事業許可証のみが必要なビジネスもあれば、高度な認定が必要なビジネスもあります。州と地方の両方で常にこのことを再確認してください。専門分野の場合、郡の規制が別で設けられていたり、お住まいの地域にゾーニング要件があったりすることがあります。詳細が不明な場合は、最寄りの役所に直接訪問・電話したりすると、必要なフォームや手数料を明確にすることができます。
以下では、必要になるであろう許認可について業種別に解説します。
飲食・食品業
食品や飲料を扱う企業は、地域の保健所の基準を満たす必要があります。店舗の衛生状態を裏付けるには、検査を受け、キッチンとダイニングの設備要件を認める許可証を取得する必要があります。
プロフェッショナルサービス
会計、法務サービス、医療関連、不動産といった専門職では、多くの場合、州の専門委員会が授与する特別な免許が事業を行う上で必要です。分野によっては、教育資格の取得、認定試験の受験、継続教育が委員会により義務付けられる場合もあります。
建設・請負業
リフォーム業者として登録するには、専用の要件があります。また、地域の建築基準法と住宅改修消費者保護法を遵守する必要があります。
売上税登録証
商品 (または特定の課税対象サービス) を販売する場合は、売上税登録証 (販売許可証とも呼ばれる) に登録する必要があります。この許可証は、顧客から売上税を徴収し、歳入局に納付するように設計されています。
ペンシルベニア州で利用できる起業家向けリソース
ペンシルベニア州の多くの組織は、新しいビジネスの成長を支援することに専念しています。これらの組織は、小規模な近隣グループから大規模な州全体のネットワークまで多岐にわたります。何でも 1 人で取り組む必要はなく、確立されたネットワークを活用することで、アイデア、パートナーシップ、人道的・経済的支援を得ることができます。また、事業資金源となる助成金、ローン、その他のプログラムも充実しています。
現地で利用できる可能性のあるリソースを以下にいくつかご紹介します。
ペンシルベニア州産業開発局ローン
これらの融資は、製造業からサービスベースのビジネスまで、さまざまなベンチャー企業を支援するためのものです。金利は従来の銀行ローンよりも低く設定されており、一部の与信枠は雇用創出活動を目標としています。詳しくは、地域振興・経済開発局の利用資格に関するガイドラインをご確認ください。
SBDC
SBDC は州内のカレッジや大学に設置されており、無料のコンサルティングを提供しています。彼らは、ビジネスプランの作成、財務予測の算定、潜在パートナーへのピッチ練習などの面でサポートしてくれます。
Ben Franklin Technology Partners
この組織はテクノロジー分野に焦点を当てており、イノベーターにアドバイス、資金調達の機会、人脈を提供しています。各地域の支部は、地元企業のニーズに合わせてプログラムをカスタマイズしています。
地方の助成金と減税
自治体によっては、地域活性化を目的として新規事業の誘致に力を入れているところもあります。特定のエリアに事業を拡大したり、指定された地区に店舗を開いたりすると、一定年数の間、固定資産税の減税などのプログラムが提供されます。たとえば、ピッツバーグでは地域改善イニシアチブが策定されていたり、フィラデルフィアは商業回廊の開発に力を入れていたりします。
Keystone Innovation Zone (KIZ) 税額控除
これらの控除は、ペンシルベニア州の大学およびカレッジの成長を促進するように設計されており、ビジネスがプログラムの基準を満たしている場合、税負担の一部を相殺できます。財務状況によっては、完全に利用できなくとも、税額控除を売却または譲渡できる場合があります。
SCORE チャプター
SCORE は、経験豊富なボランティアと新進気鋭のビジネスオーナーをつなぐメンターシッププログラムを提供する全国的な非営利団体です。ペンシルベニア州の多くの支部は、イベントやワークショップを開催しています。
地域の商工会議所
地域の商工会議所は、他の起業家と出会い、ネットワーキングイベントに参加し、サービスを宣伝するのにうってつけの場所です。多くの商工会議所は、その地域で提供されている事業改善助成金やプログラムを紹介してくれるはずです。
非営利団体からのマイクロローン
Kiva や地域のコミュニティ開発金融機関 (CDFI) などの組織は、マイクロローンを提供しています。少額の融資でも、立ち上げ初期の設備購入やマーケティング予算を補う分には十分かもしれません。従来の銀行から受ける融資ほど形式的ではありませんが、これらのローンはベンチャーの立ち上げを可能にするための重要な役割を果たします。
Stripe Atlas でできること
Stripe Atlas は、御社の法務基盤を構築し、世界中どこからでも 2 営業日以内に資金調達、銀行口座開設、決済を受け付けることができます。
Y Combinator、a16z、General Catalyst などの一流投資家が支援するスタートアップを含む、Atlas を利用している 7 万 5000 以上の法人設立に参加できます。
Atlas への申し込み
Atlas での会社設立のお申し込みは 10 分もかかりません。会社形態を選択し、会社名が使用可能かどうかを即座に確認し、共同創業者を最大 4 名まで追加します。また、株式の分割方法を決定し、将来の投資家や従業員のために株式のプールを確保し、役員を任命し、すべての書類に電子署名をします。共同創業者にも電子署名を促すメールが届きます。
EINが到着する前に決済を受け付け、銀行取引を行う
会社設立後、Atlas は EIN を申請します。アメリカの社会保障番号、住所、携帯電話番号をお持ちの創業者は、IRS の簡易手続きを利用できます。その他の方々は、より時間のかかる通常の手続きを行います。また、Atlas では EIN の取得前決済や銀行取引が可能ですので、EIN 到着前に決済受付や取引を行うことができます。
創業者株式のキャッシュレス購入
創業者は、現金の代わりに知的財産 (著作権や特許など) を使って初期株式を購入することができ、購入証明は Atlas ダッシュボードに保管されます。この機能を利用するには、知的財産の評価額が100 ドル以下である必要があります。それ以上の知的財産を所有している場合は、手続きを進める前に弁護士にご相談ください。
自動83(b)課税選択申請
創業者は83(b)課税選択を申請し、個人所得税を軽減することができます。創業者がアメリカ人であっても、アメリカ人でなくても、Atlas が配達証明付き書留郵便をもって申請を代行します。署名された83(b)選択と申請証明は、Stripeダッシュボードで直接受け取ることができます。
世界クラスの企業法務文書
Atlas は、会社経営に必要なすべての法務文書を提供します。Atlas のC corp文書は、世界有数のベンチャーキャピタル法律事務所であるCooleyと共同で作成されています。これらの文書は、すぐに資金調達ができ、会社が法的に保護されるように設計されており、所有権構造、株式分配、税務コンプライアンスをカバーしています。
Stripe Paymentsを 1 年間無料でご利用いただけるほか、5 万ドルのパートナークレジットと割引もご利用いただけます。
Atlas はトップクラスのパートナーと提携し、創業者限定の割引やクレジットを提供しています。AWS、Carta、Perplexity などの業界最大手による、エンジニアリング、税務、財務、法令遵守、オペレーションに不可欠なツールの割引が含まれます。また、初年度はデラウェア州の登録エージェントを無料で提供します。さらに、Atlas ユーザーであれば、10 万ドルまでの支払い手続きは 1 年間無料になるなど、Stripe の特典をご利用いただけます。
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この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。