請求書発行は一見簡単そうに見える業務の一つですが、実際に始めてみると、そう簡単でないことがわかります。[記載事項]の選択(https://stripe.com/resources/more/invoice-requirements)から、請求書をいつどのような方法で送るか、どのように追跡するかまで、請求書発行のプロセス全体が、キャッシュフローやクライアントとの関係に大きく影響する可能性があります。
さらに、事業者の種類によって、請求書発行の条件は変わります。短期的なプロジェクトを引き受けるフリーランサーと、段階ごとに請求書を発行する建設会社や、料金が定期的に発生するサブスクリプションベースの会社では、請求書の取り扱い方が異なるはずです。自動化して何十件 (あるいは何千件) もの請求書を一括管理する業界もあれば、手作業での発行を選択する業界もあります。目指すところは、支払ってもらう金額を明確にすること、クライアントが手軽に支払えるようにすること、そして、貴社とクライアントの双方に都合のよい請求書発行の仕組みを作ることです。以下では、その具体的な方法について説明します。
この記事の内容
- 請求書発行のプロセス
- 請求書に記載すべき内容
- 請求書発行作業を簡単にする方法
- 請求書発行の共通課題
- Stripe の請求書発行サポート
請求書発行のプロセス
まず、作業範囲、料金体系、支払い条件、期限などの条件について、必ずクライアントとの間で合意を形成してください。後日行き違いが生じないように、詳しい合意内容を契約書または発注書に記載します。
次に、請求書の下書きを作成します。単価、請求総額、支払い条件、両者の連絡先情報のほか、法令遵守に必要なその他の情報もできるだけ詳しく記載します。下書きを見直して誤りがないかどうかチェックし、すべての詳細が当初の合意内容と合致していることを確認します。ごく小さなミスが原因で支払いが遅れたり、不必要なやり取りが何度も行われたりするおそれがあるからです。
メール、請求プラットフォームまたは郵送で請求書を速やかに送付します。クライアントが支払いの審査と照合を行えるように、領収書、タイムシートなどの補足書類を添付してください。送付後は請求書を監視し、受け取りとクライアントの支払い処理を確認します。支払いが期限までに実行されない場合は、丁重なリマインドメールを送信してください。
支払いを受けた時点で帳簿を更新し、クライアントに領収書を送付して取引を確定します。請求書と財務記録の照合を定期的に行ってください。
請求書に記載すべき内容
どの請求書も、すべての情報を網羅し、わかりやすく記載しなければなりません。記載すべき事項は次のとおりです。
事業情報: ビジネス名 (個人事業主の場合は氏名)、住所、連絡先情報 (電話番号、メール、またはその両方)、納税者番号 (TIN) (貴社の管轄区域で義務付けられている場合)
クライアント情報: クライアントの名称またはビジネス名、住所、支払いを取り扱う個人または部署の連絡先
請求書の詳細: 一意の請求書番号、発行日、支払い期日
商品またはサービスの説明: 販売した商品または提供したサービスの詳しい項目別リスト、ならびに各項目の説明および数量
料金体系に関する情報: 単価、小計、適用される税金、割引、または追加手数料、および請求総額
支払い条件: 支払い期限 (「請求書発行日から 30 日以内」など)、利用可能な支払い方法 (銀行振込、クレジットカードなど)、および支払い遅延に関する規約 (該当する場合)
その他の注意事項または添付書類: 簡単な御礼のメッセージ、口座情報、プロジェクトの参照番号、および補足書類 (領収書、タイムシートなど)
請求書発行作業を簡単にする方法
請求書発行作業の負担を小さくしたいときは、お客様とクライアントの両方の労力を最小限に抑えることができるシステムの構築に力を入れてください。ここでは、その方法について説明します。
早い段階で期待値を設定する
作業を開始する前に、手数料/料金体系、支払いスケジュール、支払いが遅れた場合の対応について、クライアントとの間に必ず合意を形成しておいてください。次に、合意事項を書面にまとめます。想定外の事態が少ないほど、請求書発行はスムーズに進みます。
自動化できるところは自動化する
時間を節約し、ヒューマンエラーのリスクを減らすため、ソフトウェアを活用して再利用可能なテンプレートを作成するとともに、繰り返し発行する請求書のスケジュールを設定し、リマインドメールを自動的に送信します。
クライアント側のプロセスを考慮する
クライアントによっては発注書の番号が必要です。また、特定の部署に請求書を送付しなければならない場合もあるかもしれません。クライアントが請求書をどのように受け取りたいのか、どのような情報が必要なのかを事前に確認してください。クライアントのシステムに合わせて請求書を作成すれば、承認にかかる時間を短縮できる可能性があります。
遅滞なく請求書を発行する
請求書発行の遅れは、キャッシュフローに影響するおそれがあり、クライアントが忘れてしまう可能性も高まります。プロジェクトが完了した時点、あるいは 1 つのマイルストーンに到達した時点で直ちに請求書を送付してください。クライアントの記憶に新しいほど支払いは早まります。
簡単に支払えるようにする
複数の支払い方法を受け入れ、明確な手順を示せば、それ以上のフォローアップを行わなくても、クライアントは支払いを実行することができます。銀行振込による決済を受け付ける場合は、貴社の銀行口座情報を記載してください。小切手を受け付ける場合は住所を記載します。オンライン決済の場合は、決済用リンクを表示してください。
請求書のステータスを追跡する
送付済みの請求書、支払い期限、支払い受領の記録を整理してください。支払いが遅れた場合は、丁重でありながらも毅然としたフォローアップが必要です。多くの場合は、手短なメールや電話で事足ります。
自社のプロセスを見直して改善する
特定のクライアントの支払いが遅れがちな場合や、事務作業に時間がかかりすぎる場合は、その原因を突き止めてください。規約の厳格化やもっと効率的なツールが必要なのかもしれません。少し振り返るだけで、多くの時間と労力を節約することができます。
請求書発行の共通課題
請求書発行は多くの課題を伴います。ここでは、請求書発行にあたって企業が頻繁に直面する問題を取り上げます。
支払い遅延
明確な規約を定めていたとしても、支払い遅延はたびたび起こります。2022 年の調査では、90% 近くの企業が、請求書の期限超過を経験したと訴えました。クライアントのキャッシュフローに問題があったのかもしれません。あるいは、それらの請求書が書類の山に埋もれてしまった可能性や承認プロセスで引っかかった可能性もあります。原因が何であれ、支払い遅延はお客様のキャッシュフローを混乱させ、期限が超過した請求書を追跡するための事務処理を増やします。
請求書に対する不審請求の申し立て
クライアントは、納品された成果物、作業範囲、あるいは合意された価格に対してさえも、疑義を呈することがあります。このような不審請求の申し立ては、当初の合意内容と請求書の明細に食い違いがある場合にしばしば起こります。その結果、両者の関係が悪化し、支払いがますます遅れることもありえます。
請求書の不備
請求書に発注書番号などの明細が記載されていなかったり、形式が誤っていたりすると、支払いが遅れるおそれがあります。支払い手続きが厳格なクライアントの場合、1 つでもミスがあると、請求書が却下されたり、無期限に棚上げされたりする可能性があります。
プロセスに一貫性がない
請求書を作成し、送付し、追跡するための標準化されたシステムがなければ、明細を紛失したり、フォローアップを忘れたり、請求書の送付が遅れたりするかもしれません。これらの事態は、未払いや不要な混乱を引き起こすおそれがあります。
支払い条件がいくつも存在する
支払い条件が異なるクライアント (30 日払い、45 日払い、マイルストーン払いなど) が混在する場合は、請求書の支払い期限の追跡が難しくなります。
クロスボーダー決済
海外のクライアントを持つお客様の場合、請求書発行はますます複雑です。為替レート、税法、法令遵守要件は国によって異なります。誤りがあった場合には、それらを修正する間に過少支払いや支払い遅延が発生するおそれがあります。
透明性の欠如
時には、請求書の処理状況がわからなくなることがあります。請求書は、クライアントの受信トレイに入ったままなのでしょうか、審査中なのでしょうか、それとも跡形もなく消えてしまったのでしょうか。請求書の処理状況がわからなければ、誤ったタイミングで、あるいは誤った方法でフォローアップを行ってしまう可能性があります。
手作業によるフォローアップ
リマインドメールの送信や支払い確認のための電話に時間をかけるということは、その都度、重要な業務のための時間が奪われるということです。特に口座が複数ある場合、フォローアップを手作業で処理すると隠れたコストが生じるおそれがあります。
クライアントによる請求書の見落とし
お得意様は、特に請求書が毎月同じころに届くと見落としてしまうことがありえます。全項目が前回と同じだと思い込むこともあれば、請求書の処理を単純に忘れてしまうこともありえます。
大口クライアントへの過度な依存
大口クライアントの支払いが遅れると、お客様に大きなしわ寄せが来るおそれがあります。お客様が収入の大半をごく少数のクライアントに頼っている場合、クライアントの支払い傾向 (または不払い傾向) は、ますます大きな問題です。
Stripe の請求書発行サポート
請求書発行は Stripe にお任せください。社内プロセスの自動化、支払い回収の効率化を実現いたします。ビジネスの成長に合わせた柔軟な対応が可能です。Stripe はさまざまな方法で請求書発行をシンプル化します。以下に、その中からいくつかをご紹介します。
請求書の作成
Stripe Invoicing は、プロ仕様の詳細な請求書を自動的に作成します。お客様は次のことが行えます。
- テンプレートを使用して請求書を標準化
- 顧客情報、価格設定、税金計算などの詳細を事前に入力
- サブスクリプションの顧客やリピート顧客に対して繰り返し発行する請求書を自動的に作成
このような形で、手作業によるエラーを最小化し、時間を節約することができます。請求書の発行枚数が多い企業にとって、これは特に重要なことです。
支払いの回収
Stripe の請求書には決済手段が組み込まれています。顧客はこの請求書から直接支払いを行えるので、支払いプロセスがシンプルになり、回収がスピードアップします。Stripe は、次に挙げる多種の支払い方法に対応しています。
- クレジットカードとデビットカード
- 自動決済機関 (ACH) 送金
- SEPA ダイレクトデビットや Alipay などのクロスボーダー決済手段
支払いの追跡
Stripe は、請求書のステータス (送金済み、支払い済み、延滞など) を自動的に追跡します。このような処理状況の可視化は、お客様に次のようなメリットをもたらします。
- クライアントへのフォローアップのタイミングが掴める
- 不必要な連絡をせずに済む
- 手間暇をかけずに支払いの記録を残すことができる
フォローアップの自動化
Stripe は、請求書の期限が過ぎていることを知らせるリマインダーをクライアントに自動的に送信することができます。お客様は、これらのリマインダーの送信スケジュールをカスタマイズして、フォローアップのプロセスを引き続きコントロールしてください。手作業によるリマインダー送信に時間をかける必要はなくなります。
支払い条件
Stripe Invoicing をご利用いただけば、支払いプラン、分割払い、割引、延滞料に関するオプションを取り入れ、お客様のニーズに合わせて支払い条件をカスタマイズできます。クライアントとの長期的関係を維持したいお客様や、高額の請求書を取り扱うお客様には特に役立つ機能です。
クロスボーダー決済
Stripe は、国境を越えて事業を展開するお客様のために、次のような複雑な処理を取り扱います。
- リアルタイム通貨換算による多通貨での請求書発行
- Stripe Tax による付加価値税 (VAT)、物品サービス税 (GST) などの税金の自動計算
この機能を利用すれば、国境を越えた事務作業の手間を軽減することができます。
継続請求とサブスクリプション
Stripe のサブスクリプションツールを請求書発行機能と組み合わせれば、次のようなメリットが生まれます。
- 継続支払いを自動化できる
- サイクルの途中でも支払いを調整できる (アップグレードまたはダウングレード時の日割り計算など)
カスタマイズ可能なワークフロー
Stripe は、会計ソフトウェア、顧客関係管理 (CRM) システム、企業資源計画 (ERP) プラットフォームなど、幅広いビジネスツールと連携しているため、請求書発行は、レポート作成、クライアント管理、税務コンプライアンスのための幅広いワークフローの一つとして確実に機能します。
請求書に関する有益な情報
Stripe のダッシュボードには、請求書の実績に関する貴重な分析情報が表示されます。たとえば次のような情報です。
- 請求書の送付から支払い実行までの期間
- 延滞の傾向
- 顧客の支払い傾向
これらの有益な情報は、お客様がパターンを明らかにし、請求書発行業務を改善する上で役立ちます。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。