EC サイトを安定して運営していくためには、売上規模だけでなく、利益率の水準を把握しておくことが大切です。しかし、利益率は重要な指標である一方で、業種や運営形態による差が大きく、明確な目安が分かりにくいと感じる方もいるかもしれません。
本記事では、日本の EC サイトにおける利益率の目安や計算方法を整理し、コストとの関係や利益率を高めるためのポイントを解説します。
目次
- EC サイトの利益率の目安
- EC 事業の利益率調査
- EC サイトの利益率の計算方法
- EC サイトの利益率を把握しておく重要性
- EC サイトの利益率に影響する運営コスト
- EC サイトの利益率を上げる方法
- EC サイトで利益率が高いといわれる商品
- Stripe Checkout でできること
EC サイトの利益率の目安
EC サイトの利益率は、扱う商材、価格、集客手段、物流形態などによって異なります。その中で、利益の考え方を整理する目安として使われるのが、「3・3・4 の法則」や「1・5・4 の法則」です。
これらの法則は、元々、日本の通信販売 (通販) の分野で利益率を考える際の参考として用いられてきました。いずれの法則でも、最終的には営業利益率 20% 前後を確保することをひとつの目安としています。
3・3・4 の法則
3・3・4 の法則は、売上を 100 とした場合、次のような配分を想定しています。
- 商品原価: 30%
- 販売促進費: 30%
- その他経費 + 利益: 40%
3・3・4 の法則は、原価、販促費、その他経費のバランスを重視した、比較的安定した利益構造を想定する考え方で、多くの EC サイト運営に適用することができます。
1・5・4 の法則
1・5・4 の法則では、次のような配分になります。
- 商品原価: 10%
- 販売促進費: 50%
- その他経費 + 利益: 40%
1・5・4 の法則は広告宣伝に大きく投資することを前提とした利益構造を想定しています。高単価・高利益率の商品を販売する EC サイトとの相性が良いと言えるでしょう。
EC 事業の利益率調査
では、日本の EC 事業者はどれくらいの利益率を出しているのでしょうか。ここでは、楽天市場や Amazon、Yahoo!ショッピングなどの大手総合 EC サイトを利用する EC 事業者 114 社を対象に、公益財団法人流通経済研究所が 2021 年に行った「大手総合 EC サイト利用事業者の状況調査」の結果の一部を紹介します。EC サイトの営業利益率と売上成長率の平均を知ることで、物販 EC における利益率の目安を考える材料になります。
EC 事業の営業利益率の分布
調査時点 (2021年) の直帰決算におけるEC 事業の営業利益率は次のようになっています。
|
EC 事業の営業利益率 |
回答社数の構成比 |
|---|---|
|
30% 以上 |
9.6% |
|
20% 以上 30% 未満 |
5.3% |
|
10% 以上 20% 未満 |
18.4% |
|
5% 以上 10% 未満 |
20.2% |
|
0% 以上 5% 未満 |
15.8% |
|
0% 未満 |
15.8% |
|
不明 |
14.9% |
つまり、半数以上の事業者が一定の利益を確保している一方、赤字に陥っている事業者も少なくないことが分かります。
売上成長率の状況
以下では、2021 年の調査時点において、3 年前と比較した EC 事業者の売上成長率を示しています。
|
EC 事業の売上成長率 (3 年前比) |
回答社数の構成比 |
|---|---|
|
150% 以上 |
31.6% |
|
105% 以上 150% 未満 |
21.1% |
|
95% 以上 105% 未満 |
7.9% |
|
95% 未満 |
21.9% |
|
不明・新規参入 |
17.5% |
この結果を見ると、売上を伸ばしている事業者が全体の約半数いる一方で、売上が減少している事業者も 2 割以上あり、EC 事業の成長には大きな差があることが分かります。
EC サイトの利益率の計算方法
EC サイト運営では、商品単位の利益性を見る「粗利益率」と事業全体の収益性を見る「営業利益率」の 2 種類があります
粗利益率
粗利益率とは、売上から商品原価を差し引いた粗利益が、売上に対してどの程度の割合を占めているかを示す指標です。EC サイトでは、商品そのものの利益性を把握するために用いられます。
粗利益率は次の計算式で求めることができます。
粗利益率 = (売上高 - 売上原価) ÷ 売上高 x 100
仮に、商品価格が 100 万円、原価が 60 万円の商品を売ったとします。その場合の粗利益率は次のようになります。
(1,000,000 - 600,000) ÷ 1,000,000 x 100 = 40%
この場合、売上の 40% が粗利益となります。
営業利益率
営業利益率は、売上から商品原価や各種運営コストを差し引いた後に残る営業利益の割引を示します。EC 事業全体として、どの程度利益が出ているかを確認する際に用いられます。
営業利益率は次の計算式で求めることができます。
営業利益率 = (売上高 - 売上原価 - 販管費) ÷ 売上高 x 100
商品価格が 100 万円、原価が 60 万円の商品を売った時にかかった様々な費用が合計で 20 万円だったとします。その場合の営業利益率は次のように計算できます。
(1,000,000 - 600,000 - 200,000) ÷ 1,000,000 x 100 = 20%
この場合の営業利益率は 20% になります。
EC サイトの利益率を把握しておく重要性
利益率は、EC サイトがどれだけ効率よく利益を出せているかを判断するための指標です。売上が増えていても、広告費や送料、手数料などのコストが増えすぎると、利益は思ったほど残りません。事業の状態を正しく把握するには、売上だけでなく利益率を随時確認するようにしましょう。
EC サイトの利益率に影響する運営コスト
EC サイトの利益率は、売上規模だけでなく、どのようなコストがどれだけ発生しているかによって大きく左右されます。利益率をアップするためには、売上とあわせて、運営にかかるコストの内訳を理解することが欠かせません。
ここでは、EC サイトの運営において利益率に影響しやすいコストを、「開発費」と「運営費」に分けて見ていきます。
開発費
EC サイトを構築したり、機能を追加・改修したりする際に発生するコストです。初期費用だけでなく、運用中の改善など、定期的に費用が発生する点には注意が必要です。
開発費には以下のようなコストが含まれます。
- ネットショップ開業時の初期構築費用
- デザイン制作
- 外部制作会社やエンジニアへの委託費
運営費
運営費は、EC サイトを日常的に運営する中で継続的に発生します。売上の増加と共に金額が変動しやすく、利益率に直接影響しやすいのが特徴です。
運営費には次のようなものがあります。
- 広告・販促費
- 配送・梱包費
- 決済手数料不正利用対策費
- 人件費
- EC プラットフォームや各種システムの利用料
- 在庫管理費
- 商品撮影・コンテンツ制作費
EC サイトの利益率を上げる方法
EC サイトの利益率を上げるためには、売上を伸ばすだけでなく、コスト構造や商品構成を見直すことが大切です。
価格設定を見直す
利益率を改善するためには、まず価格設定が適切かどうかを確認する必要があります。原価や運営コストを踏まえた価格になっていない場合、売上があっても当然利益は残りにくくなります。
広告費・販促費を最適化する
広告費や販促費は売上拡大に欠かせない一方で、使い方次第では利益率を大きく下げる要因になります。効果を確認しながら、無駄な支出がないかを定期的に見直しましょう。
配送・返品にかかるコストを抑える
配送費や返品対応にかかるコストは、1 件あたりは小さく見えても、取引数が増えるほど影響が大きくなります。配送条件や運用方法を見直すことで、負担を抑えられる場合があります。
決済にかかるコストを確認する
決済にかかるコストは、取引のたびに発生するため、売上が増えるほど利益率に影響します。そのため、決済代行会社を利用する場合は、決済代行サービスの手数料だけでなく、決済システム全体が効率的に運用できているかを確認することが重要です。
Stripe Checkout を使用すれば、複数の取引先との支払いを効率的に管理することが可能になります。売上の分配、手数料の徴収、国際的な取引への対応など、多岐にわたる機能も利用できます。
在庫管理を改善する
在庫の持ち方は、利益率に直結する要素のひとつです。在庫が過剰になると、保管費や値引き、破棄などのコストが発生します。
利益率の高い商品構成を意識する
利益率を上げるためには、コストを抑えるだけでなく、利益率の高い商品を中心に販売することも重要です。商品ごとに原価や運営コストが異なるため、利益に貢献している商品を把握しておきましょう。
EC サイトで利益率が高いといわれる商品
先述したように、EC サイトの利益率を上げるには、比較的利益率が高いと言われる商品を取り入れることもひとつのポイントです。ここではどのような商品が利益率が高いと言われているか整理してみましょう。
デジタル商材
オンライン講座や動画コンテンツといったデジタル商材は、在庫や配送のコストがかからないため、高い利益率を実現できます。制作後の定期的な更新作業は必要となるものの、追加の原価をほぼかけずに販売可能です。
プライベートブランド (PB) 商品
PB 商品は、小売業者が独自に開発・販売するオリジナル商品のため、企画から価格設定までを自社でコントロールできるのが特徴です。競合との単純な価格競争に巻き込まれにくく、ブランド価値や独自性を価格に反映しやすいため、利益率を設計しやすくなります。
セット販売
セット販売は、1 回の購入あたりの単価をあげやすく、利益率の改善につながりやすい商品です。単品では利益が出にくい場合でも、複数の商品を組み合わせたり、限定性や特典を持たせたりすることで、価格に納得を持ってもらいやすくなります。
また、1 回の注文でまとめて販売することで、配送や決済にかかるコストを分散できる点もメリットです。その結果、売上に対して残る利益を増やしやすくなります。
Stripe Checkout でできること
Stripe Checkout は、ウェブサイトやアプリで簡単に決済を受け付けられる、完全カスタマイズ可能な構築済みの決済フォームです。
Checkout でできること。
購入率の向上: Checkout の決済フォームはモバイル向けに最適化され、ワンクリックで完了する決済フローが構築されています。顧客は支払い情報を簡単に入力し、再利用できます。
開発時間の短縮: Checkout を自社サイトに直接組み込むか、顧客を Stripe のオンライン決済ページへ誘導します。数行のコードで実行可能です。
セキュリティの向上: Checkout が機密性の高いカードデータを処理し、PCI 準拠を効率化します。
グローバルに拡大: 30 以上の言語に対応する Adaptive Pricing により、100 以上の通貨で価格をローカライズできます。また、購入完了率の向上につながりやすい決済手段を動的に表示します。
高度な機能: サブスクリプションのための Billing、不正利用防止のための Radar など、他の Stripe プロダクトと Checkout を連携できます。
柔軟な管理: 決済手段の保存や購入後のアクション設定など、決済体験を完全にカスタマイズできます。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。